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巧
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たく
ふりがな文庫
“
巧
(
たく
)” の例文
さらに一方花垣志津馬は、無頼の浪人を手下とし、葉末さん誘拐を企てたり、琢磨氏殺害を
巧
(
たく
)
んだり、いろいろ奸策をしたそうです。
怪しの館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それからまた「益さん何て云うんだって、その奥さんは」と何遍も一つ事を
訊
(
き
)
いては、いつまでも笑いの種にしようと
巧
(
たく
)
らんでかかる。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
はじめから、高いカラーをつけた針目博士を、怪しい人物とにらんではいたが、まさかこんな
巧
(
たく
)
みな
変装
(
へんそう
)
をしているとは思わなかった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
山「成程妙に
巧
(
たく
)
んだもので……お蘭さん其のまアお前の亭主から贈ったという手紙をお見せなさい、まあサ見なくては解らんから」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
流石
(
さすが
)
のコンドルも手を引くの余儀なきに至り、今度は方針を改めて、気永に策略をめぐらして、妻を
吾物
(
わがもの
)
としようと
巧
(
たく
)
らみ初めました。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
言張し憑司夫婦も
恩愛
(
おんあい
)
に心の
鬼
(
おに
)
の
角
(
つの
)
をれて是まで
巧
(
たく
)
みし惡事の段々殘らず白状なりたりけり依て大岡殿は外々の
者共
(
ものども
)
へも右の趣きを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
表面
(
うわべ
)
は優しく見せかけても内心は
如夜叉
(
にょやしゃ
)
、総領の継子を殺して我が
実子
(
じっし
)
を相続人に据えようという怖しい
巧
(
たく
)
みがあったに相違ないのです。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
売薬
(
ばいやく
)
は
先
(
さき
)
へ
下
(
お
)
りたが
立停
(
たちどま
)
つて
頻
(
しきり
)
に
四辺
(
あたり
)
を
瞻
(
みまは
)
して
居
(
ゐ
)
る
様子
(
やうす
)
、
執念深
(
しふねんぶか
)
く
何
(
なに
)
か
巧
(
たく
)
んだか、と
快
(
こゝろよ
)
からず
続
(
つゞ
)
いたが、さてよく
見
(
み
)
ると
仔細
(
しさい
)
があるわい。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「今晩はもう遲い、明日の朝早く出かけるとしよう。それだけ
巧
(
たく
)
んだ仕事なら、早く行つたからつて
尻尾
(
しつぽ
)
を掴めるとも限るめえ」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
徳川時代の
狂言
(
きょうげん
)
作者は、案外ずるく頭が働いて、観客の意識の底に
潜在
(
せんざい
)
している
微妙
(
びみょう
)
な心理に
媚
(
こ
)
びることが
巧
(
たく
)
みであったのかも知れない。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は、このフィルムのヤマで、フィルム作者が頭を
搾
(
しぼ
)
って考え附いた場面で、いかにも
巧
(
たく
)
みに、群衆の笑いの心理を、掴んでいたのである。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かく
寡
(
やもめ
)
となりしを
便
(
たよ
)
りよしとや、
言
(
ことば
)
を
巧
(
たく
)
みていざなへども、
一〇四
玉と
砕
(
くだ
)
けても
瓦
(
かはら
)
の
全
(
また
)
きにはならはじものをと、幾たびか
辛苦
(
からきめ
)
を忍びぬる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
独木舟を操るに
巧
(
たく
)
みでない遊牧民は、湖上の村の
殲滅
(
せんめつ
)
を断念し、湖畔に残された
家畜
(
かちく
)
を
奪
(
うば
)
っただけで、また、疾風のように北方に帰って行った。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
既
(
すで
)
に漁業に
巧
(
たく
)
みなりと云へば舟の類の
存
(
そん
)
せし事
推知
(
すいち
)
すべき事なるが、アイヌは又此事に付きても言ひ傳へを有せり(後回に
細説
(
さいせつ
)
すべし)(未完)
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
これでこの話はお
終
(
しま
)
いに致します。古い
経文
(
きょうもん
)
の言葉に、心は
巧
(
たく
)
みなる
画師
(
えし
)
の如し、とございます。何となく
思浮
(
おもいうか
)
めらるる言葉ではござりませぬか。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
更に又
巧
(
たく
)
みにその過剰を大いなる
花束
(
はなたば
)
に仕上げねばならぬ。生活に過剰をあらしめるとは生活を豊富にすることである。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ちょうど、このとき、どこにいて、
狙
(
ねら
)
っていたものか、もう一
度
(
ど
)
、
子供
(
こども
)
が
跳
(
は
)
ね
上
(
あ
)
がったとき、一
羽
(
わ
)
の
白鳥
(
はくちょう
)
が、
巧
(
たく
)
みに
子供
(
こども
)
をくわえてしまいました。
魚と白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
折よくプウルの傍の手摺によりかかり、海に唾を吐きちらしているネルチンスキイをみつけると、川北氏は傍に近づき
巧
(
たく
)
みな英語で話しかけます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「それは
売僧
(
まいす
)
の
巧
(
たく
)
み
凡
(
ぼん
)
ならずさ。
対照
(
コントラスト
)
のために
態〻
(
わざわざ
)
鳴らないところを拵えて置いてお上りさんに有難がらせるのさ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これは自分達の器械じゃないからと靴磨きが正直に弁解するのを、
巧
(
たく
)
んだゆすりの手と思い込んでますます
慄
(
ふる
)
え上がりとうとう二百五十円まで奮発する。
初冬の日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
月の輪の大きな熊が、上からのしかかって来るのを、下にくぐって槍で突き上げるきわどい瞬間を
巧
(
たく
)
みに描いて
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
北川が
態
(
わざ
)
と怒った顔をして、つかみかかるのを、
巧
(
たく
)
みに避けて、それをきっかけに、艶子は社長室へと逃げて行く。なまめかしき笑い声が、ドアの外へ消える。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
次
(
つ
)
ぎに
竝
(
なら
)
べてあるのは、
皆
(
みな
)
さんの
見
(
み
)
られるとほりその
造
(
つく
)
り
方
(
かた
)
は、
前
(
まへ
)
のよりもかへって
簡單
(
かんたん
)
であるようですが、しかも
大
(
おほ
)
きく
打
(
う
)
ちわつた
表面
(
ひようめん
)
を
巧
(
たく
)
みに
使
(
つか
)
つて
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
無力の
巧
(
たく
)
んだ一種の略奪であった。さすがの御直参湯川氏も考えさせられた。これではならないと働きものの二女を
伴
(
つ
)
れて江戸へ出た。江戸には住みすてた
邸
(
やしき
)
もある。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
こんな分業などが
能
(
よ
)
く行われ、
且
(
か
)
つ受精が
巧妙
(
こうみょう
)
に
行
(
ゆ
)
きわたり、また種子の
分布
(
ぶんぷ
)
も
巧
(
たく
)
みなので、キク科植物は地球上で最も進歩発達した花である、と評価せられている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
殺さんと迄に猛りたれど妾
巧
(
たく
)
みに其疑いを
言解
(
いいと
)
きたり斯くても妾は何故か金起を思い切る心なく金起も妾を
捨
(
すて
)
るに忍びずとて猶お懲りずまに不義の働きを為し居たり
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
第三番
(
だいさんばん
)
の
阿倍
(
あべ
)
の
右大臣
(
うだいじん
)
は
財産家
(
ざいさんか
)
でしたから、あまり
惡
(
わる
)
ごすくは
巧
(
たく
)
まず、ちょうど、その
年
(
とし
)
に
日本
(
につぽん
)
に
來
(
き
)
た
唐船
(
とうせん
)
に
誂
(
あつら
)
へて
火鼠
(
ひねずみ
)
の
皮衣
(
かはごろも
)
といふ
物
(
もの
)
を
買
(
か
)
つて
來
(
く
)
るように
頼
(
たの
)
みました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
巧
(
たく
)
みに、逃げ口上をいって、はずすのではないかと、弦之丞の
懸念
(
けねん
)
も、お綱の眼も、そういう相手の顔色を、
天眼鏡
(
てんがんきょう
)
の向うに置くように見つめたが、お久良の
素振
(
そぶり
)
には
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わが右の手にその
巧
(
たく
)
みを忘れしめよ、もし子たるものがその母を忘れ得るなれば余は余の国を忘れ得るなり、無理に離縁状を渡されし
婦
(
ふ
)
はますますその
夫
(
ふ
)
を慕うがごとく
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
写生帳には
瓶
(
びん
)
の梅花、水仙、学校の門、
大越
(
おおごえ
)
の桜などがあった。
沈丁花
(
じんちょうげ
)
の花はやや
巧
(
たく
)
みにできたが、葉の
陰影
(
かげ
)
にはいつも失敗した。それから
緋縅蝶
(
ひおどしちょう
)
、
紋白蝶
(
もんしろちょう
)
なども採集した。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
人夫中にては中島善作なるものは
猟
(
りやう
)
の為め
常
(
つね
)
に
雪
(
ゆき
)
を
踏
(
ふ
)
んで
深山
(
しんざん
)
に
分
(
わ
)
け入るもの、主として一行の
教導
(
けうどう
)
をなす、一行方向に
迷
(
まよ
)
ふことあれば
直
(
ただ
)
ちに
巧
(
たく
)
みに高樹の
頂
(
いただき
)
に
上
(
のぼ
)
りて
遠望
(
ゑんぼう
)
し
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
同宿の者はこの男一人を目の敵のようにして、何ぞというと銭を使わせようと
巧
(
たく
)
む。が、銭占屋も年こそ若いけれど、世間を渡り歩いている男だ、容易にはその手に乗らない。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
頭
(
とう
)
の中將殿(重衡)も
管絃
(
くわんげん
)
の
奏
(
しらべ
)
こそ
巧
(
たく
)
みなれ、千軍萬馬の間に立ちて
采配
(
さいはい
)
とらん
器
(
うつは
)
に非ず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ホウル卿の弁護がいかに
巧
(
たく
)
みであっても、鋼鉄のような事実は曲げることができない。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その
上
(
うへ
)
ならず、
馬
(
うま
)
の
頭
(
あたま
)
と
髭髯
(
しぜん
)
面
(
めん
)
を
被
(
おほ
)
ふ
堂々
(
だう/\
)
たるコロンブスの
肖像
(
せうざう
)
とは、一
見
(
けん
)
まるで
比
(
くら
)
べ
者
(
もの
)
にならんのである。
且
(
か
)
つ
鉛筆
(
えんぴつ
)
の
色
(
いろ
)
はどんなに
巧
(
たく
)
みに
書
(
か
)
いても
到底
(
たうてい
)
チヨークの
色
(
いろ
)
には
及
(
およ
)
ばない。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
もしそれさえあったら、かれはもっと
巧
(
たく
)
みに草稿に眼を走らせることができたであろうし、またしたがってかれの演説はいっそう
雄渾
(
ゆうこん
)
であることができたかもしれなかったのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
棚
(
たな
)
から
落
(
お
)
ちる
牡丹
(
ぼた
)
餅
(
もち
)
を
待
(
ま
)
つ
者
(
もの
)
よ、
唐様
(
からやう
)
に
巧
(
たく
)
みなる
三代目
(
さんだいめ
)
よ、
浮木
(
ふぼく
)
をさがす
盲目
(
めくら
)
の
亀
(
かめ
)
よ、
人参
(
にんじん
)
呑
(
の
)
んで
首
(
くび
)
縊
(
く〻
)
らんとする
白痴
(
たはけ
)
漢
(
もの
)
よ、
鰯
(
いわし
)
の
頭
(
あたま
)
を
信心
(
しん/″\
)
するお
怜悧
(
りこう
)
連
(
れん
)
よ、
雲
(
くも
)
に
登
(
のぼ
)
るを
願
(
ねが
)
ふ
蚯蚓
(
み〻ず
)
の
輩
(
ともがら
)
よ
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
軟
(
やはら
)
かい
梢
(
こずゑ
)
を
押
(
お
)
し
分
(
わ
)
けて、
其首
(
そのくび
)
を
突
(
つ
)
ッ
込
(
こ
)
み、
半圓
(
はんゑん
)
を
描
(
えが
)
きながら
巧
(
たく
)
みに
青葉
(
あをば
)
の
中
(
なか
)
に
濳
(
もぐ
)
らうとしました、
愛
(
あい
)
ちやんは
此時
(
このとき
)
まで、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
は
只
(
たゞ
)
樹
(
き
)
の
頂上
(
てうじやう
)
にのみあるものだと
思
(
おも
)
つてゐました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
一度
(
いちど
)
商売したものは辛抱の置き処が違ふ故当人いかほど殊勝の覚悟ありても
素人
(
しろうと
)
のやうには
行
(
ゆ
)
かぬなり。これを
巧
(
たく
)
みに使つて身を落ちつかせてやるは亭主となつた男の
思遣
(
おもいや
)
り一ツによる事なり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そして、その紙をもとへ戻しながら、
巧
(
たく
)
みにその端の方を細長く裂いて取つたのを私は見た。それは彼の手袋の中に消えた。さうして、そゝくさと
會釋
(
ゑしやく
)
して「さよなら」を云つて、彼は消えた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
巧
(
たく
)
まずして華麗高潔の芸論を展開するのであるが、私は、れいの「天候居士」ゆえ、いたずらに、あの、あの、とばかり申して膝をゆすり、
稀
(
まれ
)
には、へえ、などの平伏の返事まで飛び出す始末で
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「噂は弘まるばかりだし、無実を証拠立てる方法もない、たれそれとかいうその侍は、たまりかねてその藩を退身した、たぶんこらえ性のない男だったんだろうな」と土田は
巧
(
たく
)
みにまをおいて云った
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
巣造りさかしき
巧
(
たく
)
み鳥の
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
制
(
せい
)
し
凱歌
(
かちどき
)
の
聲
(
こゑ
)
いさましく
引揚
(
ひきあ
)
げしにそれとかはりて
松澤
(
まつざは
)
が
周章狼狽
(
しうしやうらうばい
)
まこと
寐耳
(
ねみゝ
)
に
出水
(
でみづ
)
の
騷動
(
さうどう
)
おどろくといふ
暇
(
ひま
)
もなく
巧
(
たく
)
みに
巧
(
たく
)
みし
計略
(
けいりやく
)
に
爭
(
あらそ
)
ふかひなく
敗訴
(
はいそ
)
となり
家藏
(
いへくら
)
のみか
數代
(
すだい
)
續
(
つゞ
)
きし
暖簾
(
のれん
)
までも
皆
(
みな
)
かれが
手
(
て
)
に
歸
(
き
)
したれば
木
(
き
)
より
落
(
おち
)
たる
山猿同樣
(
やまざるどうやう
)
たのむ
木蔭
(
こかげ
)
の
雨森新七
(
あめもりしんしち
)
といふ
番頭
(
ばんとう
)
の
白鼠
(
しろねづみ
)
去年
(
きよねん
)
生國
(
しやうこく
)
へ
歸
(
かへ
)
りし
後
(
のち
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
根本的に無理な空想を実現させようと
巧
(
たく
)
らんでいるのだから仕方がないと気がついた時、彼は一人で苦笑してまた
硝子越
(
ガラスごし
)
に表を眺めた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、怖ろしいよりも憎うござる。弓矢を取っては怖ろしい奴ではござりませぬが、
佞弁
(
ねいべん
)
利口の小才覚者、何事を
巧
(
たく
)
もうも知れませぬ。」
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此の事件に関係ありと唯今目をつけている五人の人物を
歴訪
(
れきほう
)
して
巧
(
たく
)
みに取ってきたメッセージを、その懐中手帳から
鳥渡
(
ちょっと
)
失敬して並べてみる。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
売薬は先へ下りたが
立停
(
たちどま
)
ってしきりに
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
している様子、
執念
(
しゅうねん
)
深く何か
巧
(
たく
)
んだかと、快からず続いたが、さてよく見ると
仔細
(
しさい
)
があるわい。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下女は何の
巧
(
たく
)
みもなく言ふのです。あの物影のやうな和助が、夜中に隱居所へ行く圖を考へると何がなし、不氣味なものを感じさせるのでした。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
で、養母もご機嫌であった。そこでお色はこの事情を、恋しい男の弓之助へ告げ、今日いつもの半太夫茶屋で、逢おうと
巧
(
たく
)
んでいるのであった。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
巧
常用漢字
中学
部首:⼯
5画
“巧”を含む語句
巧妙
技巧
巧者
精巧
巧言
巧手
巧緻
巧拙
見巧者
機巧
老巧
口巧者
巧計
惡巧
悧巧
利巧
繊巧
巧々
悧巧者
小悧巧
...