ぶん)” の例文
ぶんをとこと書きます。頭の恰好が、どうも、あなたに似てゐるやうです。失礼ながら、そんな工合に、はちが開いてゐるやうな形なのです。
津軽 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
しかし、やがておくぬしかなしきかた見になつたその寫眞器しやしんきは、支那しなの旅からかへるともなく、或るぶん學青年の詐欺さぎにかゝつてうしなはれた。
今日の状態は独りえん世凱せいがい〕政府たるがためのみでなく、袁ほろんでそんぶん〕が立とうが、こうこう〕が立とうが、誰が立とうとも同一である。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
このじゅくでは、はじめて入学にゅうがくしたものには、上級生じょうきゅうせいが、ガランマチカ(文法ぶんぽう)をおしえ、やさしいぶんのよみかたとやくしかたをおしえました。
いはく、『三ぐんしやうとして士卒しそつをしてたのしましめ、敵國てきこくをしてあへはからざらしむるは、いづれぞ』と。ぶんいはく、『かず』と。
増一阿含経ぞういちあごんぎやう(第卅三。等法品第卅九)に転輪聖王てんりんじやうわうの徳にそなはりたる一尺六寸の夜光摩尼宝やくわうまにはう彼国かのくに十二由旬ゆじゆんてらすとあり、ぶんおほければあげず。
愈々いよいよ大津の息子はお梅さんをもらいに帰ったのだろう、うまく行けばあとの高山のぶんさんと長谷川の息子が失望するだろう
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
今朝こんちょうのご参詣のあと、わがおやかたには、ふしぎな奇瑞きずいにお会いなされた。あまりのありがたさゆえ、それを皆へも告げ知らせる。まずは次の一ぶんを聞け」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてその次には、玉転がし、ぶん廻し、鉄砲、くじ引き、瓶釣り、その他あらゆるあてものの店がならんでいる。普通にものを買える店は一つもないのだ。
日本脱出記 (新字新仮名) / 大杉栄(著)
彼奴あいつは有名な悪党なんですよ。ええ、あの一座の親方って奴はね。ちょっと私とも知己しりあいなんで。釜無かまなしぶんというんでさ。……ああ本当に飛んだことをした。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
見らるゝに手跡しゆせきも見事にして其文章も勿々なか/\よくわかりしかば則ち目安方へ渡され目安方高々たか/″\讀上よみあげる其ぶん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「神戸?」鼻つたらしの町内の腕白太郎は、不思議さうに目をぱちくりさせて、そばにゐた友達の一人をふりかへつた。「神戸つてどこだい。ぶんちやん、君知つてる。」
ゆゑに彼の恋は青年を楽む一場いちじようの風流のうるはしき夢に似たるたぐひならで、質はそのぶんに勝てるものなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
現今げんこん日本にほんでは、歐文おうぶん通信つうしん著作ちよさくや、その各種かくしゆぶん場合ばあひに、その署名しよめい歐米風おうべいふうにローマさきせいあとくことにしてゐるが、これは由々ゆゝしい誤謬ごべうである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
やぶれかぶれにあばれてあばれて、正太郎しようたらうつらきず一つ、れも片眼かため片足かたあしなきものとおもへばやすし、加擔人かたうど車屋くるまやうし元結もとゆひよりのぶん手遊屋おもちやゝ彌助やすけなどあらばけはるまじ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
(三) 子曰く、周は二代にかんが郁郁乎いくいくことしてぶんなるかな。吾は周に従わん。(同上、一四)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「おぶんさんという、常磐津ときわずの地で、地弾じびきをしてくれる人が、あたしを可愛がってね。小石川伝通院でんづういんにいた、高名な三津江師匠のところへ連れてってくれたのだが芸はこわい。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
其処そこべるなよ、かへつててからべなさいな。小「へえ、それでもこれを置いてまゐりますと、えいどんだのぶんどんがみんなべてしまひます。主「それでは何処どこれない所へかくして置け。 ...
日本の小僧 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「やいぶんき、青六が村長になつたちうて、皆なが喜んでゐるのがおもろいやないかい。」
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
玲瓏れいろう明透めいてつ、そのぶん、そのしつ名玉山海めいぎよくさんかいらせるきみよ。溽暑蒸濁じよくしよじようだくなつそむきて、冷々然れい/\ぜんとしてひとすゞしくきたまひぬ。倏忽たちまちにして巨星きよせいてんり。ひかり翰林かんりんきて永久とこしなへえず。
芥川竜之介氏を弔ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その才八という「一寸ぶんのわかる男」が、風邪でふせっている令嬢の気ばらしに
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ぶんさんと言つて、私と同年で、父から讀書よみかきを受ける爲に毎日通つて來たのです。父を『お師匠樣』と呼んだのは斯のばかりでなく、村中の重立つた家の子はあらかた父の弟子でした。
当時妾の感情をらせる一片いっぺんぶんあり、もとより狂者きょうしゃの言に近けれども、当時妾が国権主義に心酔し、忠君愛国ちょう事に熱中したりしその有様を知るに足るものあれば、叙事の順序として
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
君が歌を作りぶんを作るのは、君自身でもいうとおり、作らねばならない必要があって作るのではなく、いわば一種のもの好き一時の慰みであるのだ。君はもとより君の境遇からそれで結構けっこうである。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
文学を味わうものは皆ぶんさむらいである。そういう建前から、僕は読む方を主としている。書く方もやらないことはない。創作が三度雑誌に載ったから、木寺君の二科入選に一遍丈け勝っている次第わけだ。
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
王上おうじょうはくを冠すれば、そのぶんは皇なり、儲位ちょい明らかに定まりて、太祖未だ崩ぜざるの時だに、かくごときの怪僧ありて、燕王が為に白帽を奉らんとし、しこうして燕王かくの如きの怪僧をいて帷幙いばくの中にく。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
幼く且つ拙しとおもふわがぶんを讀み選みつつ捨てられぬかも
彼はこれからぶんを売って口をのりするつもりだと云っていた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
美しきぶんを見むことを願ふ
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
君六十年ぶんりて
偏奇館吟草 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
いはく、『百くわんをさめ、萬民ばんみんしたしましめ、(九一)府庫ふこたすは、いづれぞ』と。ぶんいはく、『かず』と。
増一阿含経ぞういちあごんぎやう(第卅三。等法品第卅九)に転輪聖王てんりんじやうわうの徳にそなはりたる一尺六寸の夜光摩尼宝やくわうまにはう彼国かのくに十二由旬ゆじゆんてらすとあり、ぶんおほければあげず。
あきれるじゃないの。文化ってどんな事なの? ぶんのおけと書いてあるわね。どうして日本のひとたちは、こんなに誰もかれも指導者になるのが好きなのでしょう。
冬の花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
これがすむと、セインタキス(文章法ぶんしょうほう)をおしえ、すこしむずかしいぶんをならわせます。この二つがわかるようになると、あとは、自分じぶん勉強べんきょうをすすめていくのです。
ところが神様の罰があたり、わしは迂闊うっかりその秘密を「釜無かまなしぶん」めに話してしまった。文は宝壺をよこせと云った。だがわしは承知しなかった。そこで文めは仇をした。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そしてその後、日本の浅草よりももっとずっと上等の遊び場へ行って、そこの立派な踊り場やキャフェの中にも、やはりこの玉転がしやぶんまわしがあるのにはさらに驚いた。
日本脱出記 (新字新仮名) / 大杉栄(著)
正太郎が面に疵一つ、我れも片眼片足なきものと思へば爲やすし、加擔人かたうどは車屋の丑に元結よりのぶん手遊屋おもちやゝの彌助などあらば引けは取るまじ、おゝ夫よりはの人の事の人の事
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
駈寄かけよる岸の柳をくぐりて、水は深きか、宮は何処いづこに、とむぐらの露に踏滑ふみすべる身をあやふくもふちに臨めば、鞺鞳どうとうそそぐ早瀬の水は、おどろなみたいつくし、乱るる流のぶんいて、眼下に幾個の怪き大石たいせき
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おらアお作が多助へ送ったぶんだが、馬鹿なマア此間こねえだまで、青鼻あおっぱなアくったらして、まさきの葉で笛を拵えて遊んで居たのがハア、こんな事を仕出かすように成ったかえ、ナント馬鹿々々しい事だがのおかめさん
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
したゝつかはしける其ぶんに曰く
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぶんはこれでおわっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或人あるひとに答ふるぶん
矢立のちび筆 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ぶんいはく、『かず』と、いはく、『つのものみなしもでて、くらゐかみくははるは、なんぞや』と。
晴天風なき時日いづれば十三の小嶋おの/\離散りさんして池中に遊ぶが如し、日入れば池の正中まんなかにあつまりて一ツの嶋となる。此池に種々の奇異きゐあれどもぶんおほければしるさず。
加担人かたうどは車屋のうし元結もとゆひよりのぶん手遊屋おもちやや弥助やすけなどあらば引けは取るまじ、おおそれよりはあの人の事あの人の事、藤本のならばき智恵も貸してくれんと、十八日の暮れちかく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
釜無かまなしのぶん」だよ」こう云いながらその男は、ヌッと部屋の中へ入って来たが「婆さん」と、ひどく威嚇的に「お前あっちへ行っていな、おいら「爺つあん」に用があるんだからな」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
晏嬰あんえいすなは田穰苴でんじやうしよすすめていはく、『穰苴じやうしよ田氏でんし(四)庶孽しよげつなりといへども、しかれども其人そのひとぶんしうけ、てきおどす。ねがはくはきみこれこころみよ』
晴天風なき時日いづれば十三の小嶋おの/\離散りさんして池中に遊ぶが如し、日入れば池の正中まんなかにあつまりて一ツの嶋となる。此池に種々の奇異きゐあれどもぶんおほければしるさず。
かへつて(四八)浮淫ふいんげて・これ(四九)功實こうじつうへくはふるをうれへ、以爲おもへらく、(五〇)儒者じゆしやぶんもつはふみだし、しかうして(五一)侠者けふしやもつきんをかす。
(二)がく載籍さいせききはめてひろけれども、しん六蓺りくげいかんがふ。(三)詩書ししよ(四)けたりといへども、しかれども(五)虞夏ぐかぶんなりげうまさくらゐ(六)のがれんとするや、虞舜ぐしゆんゆづる。