小僧こぞう)” の例文
和尚おしょうさんのお部屋へやがあんまりしずかなので、小僧こぞうさんたちは、どうしたのかとおもって、そっと障子しょうじから中をのぞいてみました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
だから、小僧こぞうがものをいう時分じぶんには、みみたぶがあかくなって、平生へいぜいでさえ、なんとなく、そのようすがあわれにられたのであります。
初夏の不思議 (新字新仮名) / 小川未明(著)
竹童ちくどうみたいな小僧こぞうにはりまくられ、旅僧たびそうににらまれればすぐげだすなんて、いくら町人ちょうにんにしても、あまり度胸どきょうがなさすぎるね」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いたずら小僧こぞうのニールスは、おとうさんやおかあさんの留守るすのまに、小人こびとをからかったため、小人の姿すがたに変えられてしまいました。
藪入やぶいりの小僧こぞうさん、学校帰りの腕白わんぱく、中には色気盛りの若い衆までが「ここはお国を何百里」と、喜び勇んで、お馬の背中でおどるのだ。
木馬は廻る (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
小僧こぞうはこの子をこなひきの夫婦ふうふのところへつれていきました。すると、粉ひきの夫婦には子どもがなかったものですから、ふたりは
西尾にしをからひがしして小僧こぞう皆身みなみため年季奉公ねんきぼうこうと、東西南北とうざいなんぼくで書いてると、おまへ親父おやぢがそれをくにへ持つてつて表装へうさうを加へ
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あたしだって、こわいもの平気よ。ポーデル先生、そのかわった人物というのは一つ目小僧こぞうですか、それともろくろッ首ですか」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひと小僧こぞう豆腐買とうふかいは、流灌頂ながれかんちょう野川のがわへりを、大笠おおがさ俯向うつむけて、跣足はだしでちよこ/\と巧みに歩行あるくなど、仕掛しかけものに成つて居る。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もし、オヤユビ小僧こぞうのニールスをここへつれてくることができれば、きっとこのかめはあけさせることができる、と言いました。
おもいがけない出来事できごとに、茫然ぼうぜんとしていた小僧こぞう市松いちまつが、ぺこりとげたあたまうえで、若旦那わかだんなこえはきりぎりすのようにふるえた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
要吉ようきちは、東京のやまにある、あるさか水菓子屋みずがしや小僧こぞうさんです。要吉は、半年はんねんばかり前にいなかからでてきたのです。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
在所の者は誰も相手にせぬし、便たよかたも無いので、少しでも口をす為にあますヽめに従つて、長男と二男を大原おほはら真言寺しんごんでら小僧こぞうつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
宗助そうすけえんから跣足はだしんでりて、小六ころくあたまなぐけた。其時そのときから、宗助そうすけには、小六ころく小惡こにくらしい小僧こぞうとしてうつつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『ばんざい!』それは小さい煙突そうじの小僧こぞうでした。生れてはじめて煙突の中をてっぺんまでのぼってきて、頭を外につき出したのでした。
「ぼくは、メーソフさんのところに、小僧こぞうにあがってるんだよ。すると、この二、三日、馬車に変なことがあるから、そういってやったら……」
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
モコウは富士男の家につかわれている小僧こぞうで、昔ふうにいえば、主従しゅじゅうの関係である、だが富士男は、モコウをけっして奴隷的どれいてきに見なしたことはない。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
しかたがない、わしの家も当分とうぶんはまだせわしいから手伝てつだっていな。そのうち、どこか小僧こぞうにでもいったらいいだろう。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
いうまでもなくこのげいは、新吉しんきちがもと鍛冶屋かじや小僧こぞうだったので、それから思いついた芸で、歌の文句もんくの「たたけやたたけ、はげあたま」というのは
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
持居たれども今は一文もなしなどとひとつぶやきながら通る所に肥前屋より小僧こぞうを一人供に連て出行いでゆく者の體小猿に髣似よくにたりしかば三吉はあとつけて能々是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そゝぐにおたかことばたがひもなくうれひまゆいつしかとけて昨日きのふにかはるまめ/\しさちゝのものがものへばさら手代てだい小僧こぞう衣類いるゐ世話せわひほどきにまで
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そら! また見えた、橋桁はしげたに引っかかったよ。」と、欄杆に手をけて、自由に川中を俯瞰みおろし得る御用聴ごようききらしい小僧こぞうが、自分の形勝の位置をほこるかのように
死者を嗤う (新字新仮名) / 菊池寛(著)
小僧こぞう。さあ、来。これから、れの家来けらいだ。来う。この刀はいい刀だな。じつきをよぐかげである。」
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そういえばいつか小平さんが町の床屋とこやさんへ、小僧こぞうにいったということを、聞いたような気もします。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
この家にて或る年田植たうえ人手ひとでらず、明日あすそらあやしきに、わずかばかりの田を植え残すことかなどつぶやきてありしに、ふと何方いずちよりともなくたけひく小僧こぞう一人来たりて
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大入道おほにふだう、一つ小僧こぞうなどはそれである。しか復仇ふくきうはう鍋島なべしま猫騷動ねこさうどうのやうに隨分ずゐぶんしつこい。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「おのれ、あの小僧こぞうッ神め」と、それはそれはおいかりになって、かみの毛をひと束ずつ、もどかしく解きはなしていらっしゃるまに、こちらの大国主神はいっしょうけんめいにかけつづけて
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
小僧こぞう! おめえ迷兒まいごか、どこからきたんだ。だれかたづねるものでもあるのか」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ぱちぱちという音のほかに、ぱんぱんと鉄砲てっぽうをうつような音も聞こえていた。立ちどまってみると、ぼくのからだはぶるぶるふるえて、ひざ小僧こぞうと下あごとががちがち音を立てるかと思うほどだった。
火事とポチ (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「そりゃ、貝原さんはいい人さ、小初先生と僕のことだって大目に見ての上で世話する気かも知れませんさ。だけど、僕あ嫌いです。いくら、僕、中学出たての小僧こぞうだって、僕あそんな意気地無しにあ、なれません」
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
新参しんざん小僧こぞうでございます。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
鍛冶屋かぢや小僧こぞうさん
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
「おまえなんか、いくらかかってもだめさ。」と、炭屋すみや小僧こぞうさんは、威張いばりました。酒屋さかや小僧こぞうさんは、いかにもくやしそうです。
日の当たる門 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「バカ野郎やろうめ。目っけたというのはその竹童のことをいうのか。ふざけやがッて! だれがあんな小僧こぞうをさがせといいつけたのだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たいそうけちんぼな和尚おしょうさんがありました。なにかよそからもらっても、いつでも自分じぶん一人ひとりでばかりべて、小僧こぞうには一つもくれませんでした。
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「じつは、いまから十四年ほどまえに、はこにいれられて、せきにながれつきましたのを、こなひきの小僧こぞうが水からひきあげたのでございます。」
けれども、ふゆ鳥打帽とりうちばうかむつた久留米絣くるめがすり小僧こぞうの、四顧しこ人影ひとかげなき日盛ひざかりを、一人ひとりくもみねかうして勇氣ゆうきは、いまあいする。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それにしても、あの長い赤い足のコウノトリのやつは、こんなちっぽけな小僧こぞうはまるっきり役にはたたないだろうと、思いこんでいるのです。
少年探偵団の井上一郎いのうえいちろう少年とポケット小僧こぞうが、ちょっと用事があって、練馬区ねりまくのはずれのさびしい町をあるいていました。
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
二百発の砲弾は、まるでいたずら小僧こぞうむれを襲う熊蜂くまばちの群のように、敵艦にとびついていったが、まことにふしぎな、そして奇怪な光景であった。
へいらつしやいまし、小僧こぞうやおちやを、サ何卒どうぞ此方こちらへおけ遊ばして、今日こんにちは誠にいお天気になりました、何卒どうぞこれへ。婦人「はい、御免ごめんなさいよ。 ...
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
して藤助の處へゆくと番頭は何をして居ると尋ねらるゝに小僧こぞうアノ藤助さんのはうゆくと久兵衞さんはすぐに二かいあがりおたみさんと云ふ美麗うつくしいねえさんと何だかはなしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小僧こぞう粗相そそう番頭ばんとう粗相そそう手前てまえから、どのようにもおわびはいたしましょうから、御勘弁ごかんべんねがえるものでございましたら、この幸兵衛こうべえ御免ごめんくださいまして。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
さうして夫等それらあいきるものがかさならないばかり隙間すきまなく清水谷しみづだにから辨慶橋べんけいばしつゞいて、たがひむつまじくういてゐると、とほがゝりの小僧こぞうだの閑人ひまじんが、いしけて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
太吉たきち小僧こぞうひとさしゆびさきいて、おふねこぐ眞似まねせいみせしなをばちよろまかされぬやうにしておれ、わたしかへりがおそいやうならかまはずとをばおろして
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
半之助方小僧こぞうぶるえしつつ、酒一斗はとても入りね候と返答へんとういたし候ところ、山男、まずは入れなさるべく候として申し候。半之助も顔色青ざめ委細いさい承知しょうちと早口に申し候。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
平助は正覚坊の背中をでながら、さてその始末しまつに困りました。家に置いておけば、自分がりょうに出た不在中るすに、村のいたずら小僧こぞうどもからどんな目にあわされるかわかりません。
正覚坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「でも、小僧こぞうがひとりで、さびしがりますから。さいわいに風もございませんので。」
のら犬 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「悪いやつをなぐるのはあたりまえだ、おれの家の小僧こぞうをおどかして毎朝豆腐とうふ強奪ごうだつしやがる、おれは貧乏人びんぼうにんだ、貧乏人のものをぬすんでも助役の息子むすこならかまわないというのか」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
やがて、雨があがると、いたずら小僧こぞうがふたり、そこへやってきました。