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奉
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たてまつ
ふりがな文庫
“
奉
(
たてまつ
)” の例文
「さればにて
候
(
さふらふ
)
、
別段
(
べつだん
)
是
(
これ
)
と
申
(
まを
)
して
君
(
きみ
)
に
勸
(
すゝ
)
め
奉
(
たてまつ
)
るほどのものも
候
(
さふら
)
はねど
不圖
(
ふと
)
思附
(
おもひつ
)
きたるは
飼鳥
(
かひどり
)
に
候
(
さふらふ
)
、
彼
(
あれ
)
を
遊
(
あそ
)
ばして
御覽候
(
ごらんさふら
)
へ」といふ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僧団上首の一人 ——うやまい
奉
(
たてまつ
)
る無上尊。うやまい奉る御教の数々。また道を共にする兄弟姉妹、かくてこの功徳無量無辺なるべし。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「これこれ何んだ、求林斎、他人行儀はやめてくれ、お互い林家の門に学び、いわば同門の仲というもの、いけないいけない
奉
(
たてまつ
)
っては」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
幼児
(
をさなご
)
たちは
皆
(
みな
)
十字架
(
クルス
)
を
背負
(
しよ
)
つて、
主
(
しゆ
)
の
君
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
たてまつ
)
る。してみるとその
体
(
からだ
)
も
主
(
しゆ
)
の
御体
(
おんからだ
)
、あたしに
分
(
わ
)
けて
下
(
くだ
)
さらなかつたその
御体
(
おんからだ
)
だ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
左
(
さ
)
候わば幕府諸藩一人も服さざるはこれ有るまじくと存じ
奉
(
たてまつ
)
り候。幕府諸藩心服
仕
(
つかまつ
)
らずては
曠代
(
こうだい
)
の大業は恐れながら
覚束
(
おぼつか
)
なく存じ奉り候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
帝室
(
ていしつ
)
をば政治社外の
高処
(
こうしょ
)
に
仰
(
あお
)
ぎ
奉
(
たてまつ
)
りて
一様
(
いちよう
)
にその
恩徳
(
おんとく
)
に
浴
(
よく
)
しながら、
下界
(
げかい
)
に
居
(
おっ
)
て
相
(
あい
)
争
(
あらそ
)
う者あるときは敵味方の区別なきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
時の御門を悩まし
奉
(
たてまつ
)
ろうとするとき、
公達
(
きんだち
)
藤原治世の征討を受け、
敵
(
かたき
)
と恋に落ちて、非望をなげうつという筋の、通し狂言——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
アア、何という大胆不敵、彼は追手に囲まれながら、心から、貴賓を驚かせ
奉
(
たてまつ
)
った今日の
不埒
(
ふらち
)
を、御詫びしたつもりらしい。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
依つてその父オホヤマツミの神にお求めになると、非常に喜んで姉の
石長姫
(
いわながひめ
)
を副えて、澤山の獻上物を持たせて
奉
(
たてまつ
)
りました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
車はかんかららんに桓武天皇の亡魂を
驚
(
おどろ
)
かし
奉
(
たてまつ
)
って、しきりに
馳
(
か
)
ける。前なる
居士
(
こじ
)
は黙って乗っている。
後
(
うしろ
)
なる主人も言葉をかける
気色
(
けしき
)
がない。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家柄だの財産だのを、無上のものと
崇
(
あが
)
め
奉
(
たてまつ
)
る世間にたいして、自分の名誉やぱりぱりの名声でもって、仕返しをする気なのだろうと思っていた。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この
歌
(
うた
)
は、
持統天皇
(
じとうてんのう
)
のお
伴
(
とも
)
をして、
雷
(
いかづち
)
の
岳
(
をか
)
——また、
神岳
(
かみをか
)
ともいふ——へ
行幸
(
ぎようこう
)
なされた
時
(
とき
)
に、
人麿
(
ひとまろ
)
が
奉
(
たてまつ
)
つたものなのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
かの源氏物語にも近き川のあゆ西山より
奉
(
たてまつ
)
れるいしぶしやうのもの御前に調じてとかけるなむすぐれてめでたきぞとよ
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
住吉
(
すみよし
)
を
移奉
(
うつしまつ
)
る
佃島
(
つくだじま
)
も岸の姫松の
少
(
すくな
)
きに
反橋
(
そりばし
)
のたゆみをかしからず
宰府
(
さいふ
)
は
崇
(
あが
)
め
奉
(
たてまつ
)
る名のみにして
染川
(
そめかわ
)
の色に
合羽
(
かっぱ
)
ほしわたし
思河
(
おもいかわ
)
のよるべに
芥
(
あくた
)
を
埋
(
うず
)
む。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それ
故
(
ゆゑ
)
にこれ
等
(
ら
)
の
異變
(
いへん
)
がある
度
(
たび
)
に、
奉幣使
(
ほうへいし
)
を
遣
(
つかは
)
して
祭祀
(
さいし
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
或
(
あるひ
)
は
神田
(
しんでん
)
を
寄進
(
きしん
)
し、
或
(
あるひ
)
は
位階
(
いかい
)
勳等
(
くんとう
)
を
進
(
すゝ
)
めて
神慮
(
しんりよ
)
を
宥
(
なだ
)
め
奉
(
たてまつ
)
るのが、
朝廷
(
ちようてい
)
の
慣例
(
かんれい
)
であつた。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
……とど仕損じがちもござりましょうが、ごひいきをもちまして、悪いところは袖たもとにおつつみあって、なにとぞ、お引立てを願いあげ
奉
(
たてまつ
)
ります。
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
陛下に対し
奉
(
たてまつ
)
る臣民の忠誠心が、すべての道徳に先んじ、すべての道徳を導き育てるのであって、友愛や
隣人愛
(
りんじんあい
)
が忠誠心を生み出すのでは決してない。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
湯呑所
(
ゆのみじょ
)
には例のむずかしい顔をした、かれらが「
般若
(
はんにゃ
)
」という
綽名
(
あだな
)
を
奉
(
たてまつ
)
った小使がいた。
舎監
(
しゃかん
)
のネイ将軍もいた。当直番に当たった数学の教師もいた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
このたび、御門入り願い
奉
(
たてまつ
)
り
候
(
そうろう
)
ところ、御許容なし下され、御門人の列に召し加えられ、本懐の至りに存じ奉り候。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おお
)
くも
私
(
わたくし
)
として、
天照大御神様
(
あまてらすおおみかみさま
)
、
又
(
また
)
皇孫命様
(
こうそんのみことさま
)
の
尊
(
とうと
)
い
御神姿
(
おすがた
)
を
拝
(
はい
)
し
奉
(
たてまつ
)
ったのは
実
(
じつ
)
にその
時
(
とき
)
が
最初
(
さいしょ
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あのやうな
愚物樣
(
ぐぶつさま
)
を
良人
(
をつと
)
に
奉
(
たてまつ
)
つて
吉岡
(
よしをか
)
さんを
袖
(
そで
)
にするやうな
考
(
かんが
)
へを、
何故
(
なぜ
)
しばらくでも
持
(
も
)
つたのであらう、
私
(
わたし
)
の
命
(
いのち
)
が
有
(
あ
)
る
限
(
かぎ
)
り、
逢
(
あ
)
ひ
通
(
とほ
)
しましよ
切
(
き
)
れますまい
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これは皇室をはじめ
奉
(
たてまつ
)
り、
下々
(
しもじも
)
としても大事なことで、これをどうだってよいと思っている者はあり得ない。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「浜松のご城内へまで
潜入
(
せんにゅう
)
して、君のお
命
(
いのち
)
をねらった不敵な伊那丸、生かしておきましては、ながく
徳川
(
とくがわ
)
御
(
ご
)
一
門
(
もん
)
をおびやかし
奉
(
たてまつ
)
るは
必定
(
ひつじょう
)
とぞんじまして……」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「圧迫されるよ。あの目にはね。あれ以上出て来られちゃ溜まらないから一も二もなく
崇
(
あが
)
め
奉
(
たてまつ
)
っているのさ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ネパール国王から私がチベット法王に
奉
(
たてまつ
)
る
上書
(
じょうしょ
)
を差上ぐるような手続きにして貰いたいという考えがあった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「馬鹿野郎、
奉
(
たてまつ
)
つて置きアいゝ氣になつて、
手前
(
てめえ
)
達
三下
(
さんした
)
の知つたこつちやねえ、默つて引込んで居やがれ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「三宝の
奴
(
やつこ
)
と仕へ
奉
(
たてまつ
)
れる天皇の命を大前に奏す」という言葉をもって始まるこの奏文は、我が
古神道
(
こしんとう
)
を絶対とする心からは、とかく非難されてきたものである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
されば疾翔大力とは、捨身大菩薩を、鳥より申しあげる別号じゃ、まあそう申しては失礼なれど、鳥より
仰
(
あお
)
ぎ
奉
(
たてまつ
)
る一つのあだ名じゃと、
斯
(
こ
)
う考えてよろしかろう。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
君
(
きみ
)
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
きて
之
(
これ
)
を
賢
(
けん
)
として
曰
(
いは
)
く、「
孝
(
かう
)
なるかな、
母
(
はは
)
の
爲
(
た
)
めの
故
(
ゆゑ
)
に
刖罪
(
げつざい
)
を
犯
(
をか
)
せり」と。
君
(
きみ
)
と
果園
(
くわゑん
)
に
游
(
あそ
)
ぶ。
彌子
(
びし
)
、
桃
(
もも
)
を
食
(
くら
)
うて
甘
(
あま
)
し。((彌子))
盡
(
つく
)
さずして
君
(
きみ
)
に
奉
(
たてまつ
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
陶器店
(
とうきてん
)
の
主人
(
しゅじん
)
は、いつかお
茶
(
ちゃ
)
わんを
造
(
つく
)
って
奉
(
たてまつ
)
ったことがあったので、おほめくださるのではないかと、
内心
(
ないしん
)
喜
(
よろこ
)
びながら
参上
(
さんじょう
)
いたしますと、
殿
(
との
)
さまは、
言葉静
(
ことばしず
)
かに
殿さまの茶わん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
武士の
一分
(
いちぶん
)
相立ち申さず、お上へ対し
恐多
(
おそれおお
)
い事とは存じながら、かく
狼藉
(
ろうぜき
)
いたし候段、重々恐入り
奉
(
たてまつ
)
ります、此の上は無実の罪に
伏
(
ふく
)
したる友之助をお助け下され
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
家の旦那さまだってそうでねえか、みんながああ
奉
(
たてまつ
)
るちうのもな、ええか、あれは旦那さまが
国家
(
くに
)
のお役をちゃんと勤めあげさっした
奏任官
(
そうにんかん
)
さまだからだぞ……。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
大殿
(
おおとの
)
より
歌絵
(
うたえ
)
とおぼしく書たる絵をこれ歌によみなして
奉
(
たてまつ
)
れと
仰
(
おおせ
)
ありければ、屋のつまに
女
(
おみな
)
をとこに逢ひたる前に梅花風に従ひて男の
直衣
(
のうし
)
の上に散りかかりたるに
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
社会主義者だの無産者だのというむずかしい神〻の神慮をすずしめ
奉
(
たてまつ
)
る
御神楽
(
おかぐら
)
の一座にも相成る訳だ。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
三帝を流し
奉
(
たてまつ
)
りし
北条
(
ほうじょう
)
の徒を英雄となし得ようか、諸君! 諸君は
西郷南洲
(
さいごうなんしゅう
)
を英雄なりと称す、はたしてかれは英雄であるか、かれは傑出したる人材に相違ないが
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
金持が幅をきかせたり、道具屋が巧者ぶったり、待合のかみさんが出入したり、女共が派手な着物を競ったり、若宗匠などと
奉
(
たてまつ
)
ったりするような茶会をどうも好かぬ。
茶の改革
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
法華經云、
諸法實相
(
しよほふじつさう
)
。
天台云
(
てんだいにいはく
)
、
聲爲佛事等云々
(
せいゐぶつじとううんぬん
)
。日蓮又かくの如く推し
奉
(
たてまつ
)
る。たとへば
雷
(
いかづち
)
の
音
(
おと
)
、
耳
(
みゝ
)
しい(
聾
(
つんぼ
)
)の爲に聞くことなく、日月の光り目くらのために
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
なし。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さすがは歴代検事のうちで、バケモノという異称を
奉
(
たてまつ
)
られ、人間ばなれのした智能を持った
主
(
あるじ
)
と
畏敬
(
いけい
)
せられている彼だけあって、その透徹した考え方には愕くのほかない。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こゝに
此
(
この
)
因果を観じて
如是
(
にょぜ
)
本末の
理趣
(
ことわり
)
を
究竟
(
くきょう
)
し、
根元
(
こんげん
)
を断証して菩提心に転じ、一宇の
伽藍
(
がらん
)
を起して
仏智慧
(
ぶつちえ
)
を
荘儼
(
しょうごん
)
し
奉
(
たてまつ
)
り、一念
称名
(
しょうみょう
)
、
人天咸供敬
(
にんてんげんくぎょう
)
の浄道場となせる事あり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さては去年の
病鶴
(
びやうかく
)
恩
(
おん
)
に
報
(
むくは
)
んため
異国
(
ゐこく
)
より
咥
(
くは
)
えきたりしならん、何にもあれいとめづらしき稲なりとて
領主
(
りやうしゆ
)
に
奉
(
たてまつ
)
りけるに、しばらくとゞめおかれしのちそのまゝ
主
(
あるじ
)
にたまはり
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ただ一身をもって
陛下
(
へいか
)
の
御
(
おん
)
ために
捧
(
ささ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ることのみを心得、他には何らの心得なきものであれば、今この席においてもあるいは
御作法
(
ごさほう
)
に
背
(
そむ
)
くごときことがあるかも存じませぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
今までき印だのきの字だのと呼んでいたものが、急に膝を正してお艶様さまと
奉
(
たてまつ
)
る始末。
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
海と
河
(
かわ
)
との神々にことごとくお供えを
奉
(
たてまつ
)
り、それから私たち三人の神の
御魂
(
みたま
)
を船のうえに
祀
(
まつ
)
ったうえ、まきの
灰
(
はい
)
を
瓠
(
ひさご
)
に入れ、また
箸
(
はし
)
と
盆
(
ぼん
)
とをたくさんこしらえてそれらのものを
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
流すは
拙
(
つたな
)
しこれはどうでも言文
一途
(
いっと
)
の事だと思立ては矢も
楯
(
たて
)
もなく文明の風改良の熱一度に寄せ来るどさくさ紛れお先
真闇
(
まっくら
)
三宝荒神
(
さんぽうこうじん
)
さまと春のや先生を頼み
奉
(
たてまつ
)
り
欠硯
(
かけすずり
)
に
朧
(
おぼろ
)
の月の
雫
(
しずく
)
を
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
同じ頃神田立花亭主人大森君は、私に寄席の淫乱という尊称をあえて
奉
(
たてまつ
)
ってくれた。世の中には、今日もかつての私のごとくこのような苦労苦患を重ねた寄席ファンがあるだろうか。
わが寄席青春録
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
それからそれへとご
吹聴
(
ふいちょう
)
下され、にぎにぎしくおはやばや、ぞくぞくとご
光来
(
こうらい
)
ご
観覧
(
かんらん
)
の
栄
(
えい
)
をたまわらんことを、
一座
(
いちざ
)
一同になりかわり、象の
背中
(
せなか
)
に平に
伏
(
ふ
)
しておんねがい
奉
(
たてまつ
)
るしだぁい。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
この上は広い都に住むほどの者、
商人
(
あきうど
)
でも職人でも百姓でも身分はかまわぬ。よき歌を作って
奉
(
たてまつ
)
るものには莫大の御褒美を下さるると、
御歌所
(
おうたどころ
)
の大納言のもとから御沙汰があったそうな。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蝶子はん蝶子はんと
奉
(
たてまつ
)
られるので良い気になって、朋輩へ二円、三円と小銭を貸したが、渡すなり後悔して、さすがにはっきり催促出来なかったから、何かとべんちゃら(お世辞)して
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
御贔屓
(
ごひいき
)
になる縁の初まりで、殿様が侯爵になってからも、邸内にM屋出張所を設け、毎日店員が
伺候
(
しこう
)
して新柄珍品を御覧に入れ、お料理して
奉
(
たてまつ
)
る玉子しか御承知のない、家附女房のお
姫様
(
ひいさま
)
に
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
残暑かえって厳しき折柄いよいよ御清健のことと拝察
賀
(
よろこ
)
び
奉
(
たてまつ
)
り候。
岩波茂雄宛書簡:01 一九三一年八月十七日
(新字新仮名)
/
野呂栄太郎
(著)
“奉”の解説
奉(ほう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
奉
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
“奉”を含む語句
奉仕
奉公
奉行
奉職
供奉
奉書
奉存候
遵奉
郡奉行
奉行所
御奉公
奉納
町奉行
勘定奉行
作事奉行
奉加帳
奉教人
奉化
日奉部
寺社奉行
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