だい)” の例文
これがまただいのおめかしとて、當世風たうせいふう廂髮ひさしがみ白粉おしろいをべた/\る。るもの、莫不辟易へきえきせざるなしあにそれ辟易へきえきせざらんとほつするもんや。
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
花心くわしんだいにして七菊花の形をなし、臙脂の色濃く紫にまがふ。一花いつくわ落つれば、一花開き、五月を過ぎて六月霖雨りんうこうに入り花始めて尽く。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
一度ありたりとて自らすでに大悟徹底したるが如く思はば、野狐禅やこぜんちて五百生ごひゃくしょうの間輪廻りんねを免れざるべし。こころざしだいにすべき事なり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
だいとくじの じゅうしょくに なっても、つねづねは この いおりに すむことを おゆるしくだされば おうけ いたします。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
武村兵曹たけむらへいそう相變あひかはらず淡白たんぱくで、慓輕へうきんで、其他そのほか三十有餘名いうよめい水兵等すいへいら一同いちどう元氣げんきよく、だいなる希望きぼう待望まちのぞみつゝ、勤勉きんべんはたらいてる。
けれども、悲しいことには、息子がだいのなまけ者で、年が年じゅう、町へ行って、なまけ者の子供たちと遊びくらしていました。
ふるぎつねは、腰かけ台の下へだいなりになって、ぴくりとも動かず、まるでぶち殺されたねずみのように、死んだふりをしていたのです。
カントの超絶てうぜつ哲学てつがく余姚よよう良知説りやうちせつだいすなはだいなりといへども臍栗へそくりぜに牽摺ひきずすのじゆつはるかに生臭なまぐさ坊主ばうず南無なむ阿弥陀仏あみだぶつおよばず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
先生は予がこのこうともないしをふか感謝かんしゃせらるるといえども、予の先生にうところ、かえってだいにしておおいしゃせざるべからざるものあり。
多勢の奉公人は、みんな離室に寝る中で、殺された伝六と、下女のおだいだけは母屋おもやに寝るそうで、お勝手の締りはそのお大の役目でした。
所在しよざいしるすのに、日本にほんでは、くに府縣ふけんちやう番地ばんちだいよりせうるに、歐米おうべいでは、番地ばんちちやう府縣ふけんくにと、ぎやくせうよりだいる。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
最早もはや一分も猶予ゆうよが出来ぬ仕儀しぎとなったから、やむをえず失敬して両足を前へ存分のして、首を低く押し出してあーあとだいなる欠伸をした。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わが輩の信ずるところによれば、いわゆる世人の強いと称する匹夫ひっぷ的の勇と、霊的に強い沈勇とのあいだにはだいなる差違がある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
鰹節かつをぶしだいの立派な伽羅の木を見せられた事があつたが、仏蘭西フランス語では、ボア・ド・エーグルと云ふのだと、部長のモーラン氏に教へられた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
しょうちゃんは、いまに野球やきゅうのピッチャーになるといっています。それで、ボールをなげてあそぶのがだいすきですが、よくボールをなくしました。
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)
併し此女がどれ丈僕の死に影響してゐるかと云ふと、それは真に道の上の一くわいの石、風景の中の一しゆの樹よりだいなる影響を与へてはゐない。
不可説 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
もし其女がだい蝋燭(バージンを通人仲間でこういう)であれば、どんな醜婦でも先ず五十元以上で売れ、洗礼後のものならば値は半減する。
坂本等が梅田を打ち倒してから、四辻に出るまで、だいぶ時が立つたので、この上下十四人は首尾好くあとくらますことが出来た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そのころ、中津藩なかつはん空気くうきだい西洋せいようぎらいでしたから、諭吉ゆきち気持きもちなどさっしてくれるものがないのも、むりはありません。
其れから、どの建築も、どの道路も、どの家具も、皆堂堂だうだうとしてだいと堅牢と器械的の調整とを誇つて、其れが又自分達を不愉快に威圧する。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
たとへ、どんな話があらうと、あなたを一人、あの亭へおびき出すなんて、小間使としては、ちつとだいそれたことだとはお思ひになりません?
秘密の代償 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
今に四五月ごろの雷雨性の不連続線に伴のうて鳩卵きゅうらんだいの降雹がほんのひとしきり襲って来れば、銀座付近が一時はだいぶ暗くなる事であろう。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
初期微動しよきびどう主要動しゆようどう比較ひかくしてだいなるはやさをつてゐるが、しかしながら振動しんどうおほいさは、反對はんたい主要動しゆようどうほうかへつてだいである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
此纎弱このかよわむすめ一人ひとりとりむることかなはで、いきほひにりていだときにはだいをとこ二人ふたりがゝりにてもむつかしきときのありける。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このころにも、このお二方ふたかたりまいて、名人めいじんといつてよい人々ひと/″\だいぶんゐるのですが、そのおはなしは、只今たゞいまいたしません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
我國わがくにおい大正たいしやうねんぐわつ十二にちきん輸出禁止ゆしゆつきんし實行じつかうして以來いらい十三ねんあひだきん輸出禁止ゆしゆつきんし日本にほん經濟界けいざいかいあたへた惡影響あくえいきやうなりだいなるものであつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
貴下は、かつてロマノフ王家おうけ宝冠ほうかんをかざりしだいダイヤモンド六個を、貴家の家宝として、珍蔵ちんぞうせられると確聞かくぶんする。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ところが、まぐろとか、てんぷらというものは、おろしのよしあしで、ずいぶん風味にだいなる影響があるものである。
鮪を食う話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
抑〻そもそも其方そのほうだいそれた悪事を目企もくろみはじめたのは、いうまでもなく、龍山公のお血統ちすじの詮議を依頼されてからのこと。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元來ぐわんらい自分じぶんだい無性者ぶしやうものにておもたつ旅行りよかうもなか/\實行じつかうしないのが今度こんどといふ今度こんど友人いうじん家族かぞくせつなる勸告くわんこくでヤツと出掛でかけることになつたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かきやうはいろいろあるべし。唯さわがしからぬ心づかひ有りたし。『猿簔さるみの』能筆なり。されども今少しおほいなり。作者の名だいにていやしく見えはべる。」
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼はだいの肉食家であり、いつも錫の弁当箱をもってわたしの家のまえをとおって仕事場まで——夏じゅう木を伐っていたのだ——二マイルをかよった。
あはれみ給ふ故ならんこゝは一番二人が力をつくしてはたらかにやならぬ其方そなたなんと思ふと問けるに助十ももとより正直者しやうぢきものにて勘太とはだいの不和なればいふにや及ぶ力を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
支那は国だいに民衆も多い。また特にその歴代の史跡に徴するに、支那を苦しむるものは常に北方の蛮族である。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
英学発心ソコデもって蘭学社会の相場は大抵分てず安心ではあったが、さて此処ここだい不安心な事が生じて来た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
人間にんげんもうすものは兎角とかく自分じぶんちから一つでなんでもできるようにかんがちでございますが、じつだいなり、しょうなり、みなかげから神々かみがみ御力添おちからぞえがあるのでございます。
A 大隈侯おほくまこうまへ正月しやうぐわつ受取うけとつた年始ねんし葉書はがき無慮むりよ十八まん五千九十九まいで、毎日々々まいにち/\郵便局いうびんきよくからだいぐるまはこびこんだとふが、隨分ずゐぶんきみエライもんぢやないか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
しかるにもかかわらず、人に使われてるのみならず、おちついて使われている主人をすらえられないかと思うと、そこにだいなる矛盾むじゅんを思わぬわけにいかない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
孝「わたくしゃ覚えはない、そんな無理な事を云ってもいけないよ、ほかの事と違って、だいそれた、家来が御主人様のお金を百両取ったなんぞと、そんな覚えはない」
さりながらわれわれの任務はじゅうだいでありまして、火星人との交渉はこれから始まらんとして居ります。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから繻珍しゆちん夏帶なつおびとおめし單衣ひとえ綾絹あやぎぬ蝙蝠傘かふもりがさとを強請ねだられてはせられたが、これは彼の消極的經濟せうきよくてきけいざいに取ツて、預算よさん以外の大支出だいししゆつで、確に一だい打撃だげきであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
真鍮のだいの燭台を組、ちういつ組、銅の燭台を組、大大だいだいのおらんだの皿をさん枚、錦手にしきでの皿を三十枚、ぎやまんの皿を百人前、青磁せいじの茶碗を百人前、煙草盆を十個とを
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
又保胤の父の忠行は後の人の嘖々さくさくとして称する陰陽道のだい験者げんざ安倍晴明あべのせいめいの師であったのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奥様はソンナお話がだいのお好きと仰言おっしゃる……恐れ入りやしたなあドウモ。そんな話を聞いてるうちに眼尻が釣上って来て自然と別嬪べっぴんになる……新手あらての美容術……ウワア。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わがくにの園芸家がこれに着目ちゃくもくし、大いにその品種の改良をくわだてなかったのは、だいなる落度おちどである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
果して卓子ていぶる其他の抽斗ひきだしよりは目科の推量せし通り倉子よりの艶書ふみも出でかつ其写真も出たる上、猶お争われぬだいの証拠と云う可きは血膏ちあぶらの痕を留めしいと鋭き両刃もろはの短剣なり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
四人のだいの男をじゅうぶんに食べさせ、居心地よくさせ、くつろがせ、慰安をあたえ、休養させ、やすらかに眠らせ、……食べることから、身のまわりのいっさいのことを
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
とおだいと云ふ裏町のお師匠さんが、柳町やなぎちやうの或寄席よせの前のきたない床屋から往來へ聲をかける。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
田山白雲は、だい身体からだをゆすぶって、その目から涙をこぼして、拳をわななかせました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「さつきからだいちやんが来て待つてゐるのよ、御飯の仕度も出来てゐるんだけれど。」
鶴がゐた家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)