みじ)” の例文
つめは地面をひっかきしっぽはみじかくふとくなり、耳はつったち、口からはあわをふき、目は大きくひらいて、ほのおのようにかがやきました。
したがつて其方そのはう談判だんぱんは、はじめからいまかつふでにしたことがなかつた。小六ころくからは時々とき/″\手紙てがみたが、きはめてみじかい形式的けいしきてきのものがおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
是から一緒に逃去って、なげえ浮世にみじけえ命、己と一緒に賊を働き、栄耀栄華えようえいが仕放題しほうだいを致すがよい、心を広く持って盗賊になれ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まあまあ、そう気がみじこうては、自身のからだをやつれさすばかり、それではなが年月としつきに、わが子をさがそうという巡礼じゅんれいたびがつづきません。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とほくはゆみ張裂はりさくむね押鎭おししづめ打果さでや置べきかとすそみじかに支度したくを爲し既に一刀たばさんて出行でかけんとする其の折柄をりから後ろのふすま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ながいにせよ、またみじかいにせよ、かくこの無意識むいしきからをさましたときが、わたくしたちの世界せかい生活せいかつはじまりで、舞台ぶたいがすっかりかわるのでございます。
などと云うと千世子はみじっかく「ザンギリ」にした頭をまるむきに出して青っぽい袴と黒か白位の着物をノコッと着た肇を見てつくづく気の毒な様な気持がした。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
と云うのは、それが何あろうか、巧妙なかつらであって、下は半白の、疎らなみじであった。そうして、屍体の手に、一枚の揉みくちゃな紙が握られていたのである。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
箆棒べらぼう迂遠まだるつけえうただな、みじけえのにねむつたくつちやあな」そばから惡口あくこういた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たま姫樣ひめさま御出生ごしつしやうきもへず、るやさくらむなしくなりぬるを、何處いづくりてか六三ろくさ天地てんちなげきて、ひめいのちゆゑばかりみじかきちぎりにあさましき宿世しゆくせおもへば、一人ひとりのこりてなんとせん
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『一ぱうへばかり、もッとたかく、それから一ぱうは、ずッとみじかくしてやらう』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
わかひとの、やつがほに、いろさつのぼつて、——國々くに/″\島々しま/″\方々はう/″\が、いづれもおわかりのないとある、たゞ一句いつく不思議ふしぎな、みじかい、鸚鵡あうむこゑまをすのを、わたくしさきまをしてませう……もしや?……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
シヤツはながし、ヅボンしたみじかし、上着うはぎさかないたにほひがする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
みじの光つめたき笹の葉に雨さゐさゐと降りいでにけり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さはれ、盛りのみじかさよ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
宗助そうすけきはめてみじかい其時そのとき談話だんわを、一々いち/\おもうかべるたびに、その一々いち/\が、ほとんど無着色むちやくしよくつていゝほどに、平淡へいたんであつたことみとめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは時間じかんにすればおそらくようやく一ときぐらいみじかい統一とういつであったとおもいますが、こころ引緊ひきしまっているせいか、わたくしとすれば前後ぜんごにないくらいのすぐれてふか統一状態とういつじょうたいはいったのでございました。
えゝ一席いつせき申上まうしあげます、明治めいぢ地獄ぢごくも新作とまうほどの事でもなく、円朝ゑんてう先達せんだつ箱根はこね逗留中とうりうちう宗蓮寺そうれんじ地獄極楽ぢごく/\らくを見まして、それからあんきましたおみじかい落語おとしばなしでございますが
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
してうしてどうさかなを出し呉よと云ながら縁臺えんだいにどつかとこし打掛うちかけやれ/\日のみじかひ事だ十月の中の十日に心なしの者をつかふなとはよくいひしものだコレ/\若い者大急ぎだ早く酒と肴を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不便ふびんだんべぢやねえかねえ不具かたわおひのことをねえ、保證ほしようつたくれえ身上しんしやうつぶれるつち挨拶あいさつなのさ、ねえこれ、年齡としとつちやこつちのおとつゝあんさきみじけえのに心底しんてえのえゝものでなくつちや
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
シャツはながし、ズボンしたみじかし、上着うわぎさかないたにおいがする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
みじか日の孟宗さむき田圃横藁家わらやひとつ見えてわらべ雀追ふ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
みじかくはぎけて甲斐々々かひ/″\しい。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みじかしとくらこゝろ如何いかばかり長閑のどけかるらんころ落花らくくわの三ぐわつじんちればぞさそあさあらしにには吹雪ふゞきのしろたへ流石さすがそでさむからでてふうらの麗朗うら/\とせしあまあがり露椽先ぬれゑんさき飼猫かひねこのたまかるきて首玉くびたましぼばなゆるものは侍女こしもとのお八重やへとてとし優子ゆうこに一おとれどおとらずけぬ愛敬あいけう片靨かたゑくぼれゆゑする目元めもとのしほの莞爾につこりとして
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
汽車きしやるとみじかい道中だうちゆうでも所爲せゐつかれるね。留守中るすちゆう別段べつだんかはつたことはなかつたかい」といた。實際じつさいかれみじかい汽車きしや旅行りよかうにさへへかねる顏付かほつきをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これ年頃としごろになったのでございますから、縁談えんだんくち諸方しょほうからあめるようにかかりましたが、俚諺ことわざにもおびみじかしたすきながしとやら、なかなかおもつぼにはまったのがないのでございました。
つくしたれ共更にしるしなく今は一めい旦夕たんせきせまり頼みのつなも切果たる體なれば五左衞門おもまくらあげ漸々やう/\と言葉みじかに手紙をしたゝめ丸龜なる養子半四郎方へ急ぎ飛脚を遣はしたりさてまた半四郎は養父の安否あんぴ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)