父親ちちおや)” の例文
ゆきがふるとられなくなるから、ちょっと、となりむらまでようたしにいってくる。」と、父親ちちおやは、じたくをしながら、いいました。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおや相当そうとうたか地位ちい大宮人おおみやびとで、狭間信之はざまのぶゆき母親ははおやはたしか光代みつよ、そして雛子ひなこ夫婦ふうふなか一粒種ひとつぶだねのいとしだったのでした。
父親ちちおやというのは家老かろうですが、自分じぶんのむすこにたいしてはとてもあまいおやばかでしたから、諭吉ゆきちのいとこ藤本元岱ふじもとげんたいをよびつけて
母親ははおやわった姿すがたてびっくりした子供こどもは、きながら方々ほうぼう父親ちちおやのいるところさがあるいて、やっとつけると、いまがたたふしぎを父親ちちおやはなしたのです。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
駄賃だちんはこの翁を父親ちちおやのように思いて、したしみたり。少しく収入のあまりあれば、町にくだりきて酒を飲む。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かみの毛はどうしたのと聞いてみたり、父親ちちおやメルキオルの露骨ろこつ常談じょうだんにおだてられて、禿はげをたたくぞとおどしたりして、いつもそのことでかれをからかってあきなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
すると母親ははおやは、おおきな、おおきな、おさらくろいスープをって、はこんでました。マリちゃんはまだかなしくって、あたまもあげずに、おいおいいていました。すると父親ちちおやは、もう一
でもまあほか子達こたちてやって下さい。ずいぶんきりょうしばかりでしょう? みんあ父親ちちおやそっくりじゃありませんか。不親切ふしんせつで、ちっとも私達あたしたちかえってない父親ちちおやですがね。
フョードル・クジミッチ・チェーチェニコフ——これがソログーブの本名ほんみょうである。フョードルは、クジミッチは父称ふしょうといって、父親ちちおや特定とくてい語尾ごびをつけて、自分じぶん併用へいようするものである。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
高橋たかはしは、はや父親ちちおやわかれたけれど、母親ははおやがあるのでした。正吉しょうきちだけは、両親りょうしんがそろっていて、いちばん幸福こうふくうえであったのです。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぞくかみ申子もうしごよわいなどともうしますが、けっしてそのようなものではなく、この立派りっぱ成人せいじんして、父親ちちおや実家じっかあとぎました。
なんとかして、諭吉ゆきち長崎ながさきからおいだしてしまおうとかんがえて、そのことを中津なかつ父親ちちおやにしらせてやったのでした。
「だが金太郎きんたろうというさむらいにはおかしい。父親ちちおや坂田さかたというのなら、いまから坂田金時さかたのきんとき名乗なのるがいい。」
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
戦争せんそうが、はじまって、純吉じゅんきち出征しゅっせい召集しょうしゅうされたとき、父親ちちおやは、ただ息子むすこが、むらからともだちにけをらぬことをねんじたのでした。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやはなにかいっていましたが、やがて半分はんぶんばかりとこなかからからだこして、やせたでその金貨きんかを三にんむすめらにけてやりました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正吉しょうきち父親ちちおやは、自分じぶんおとこで、着物きものえないが、だれかひとにたのんで、子供こどもにだけなりとあたたかい着物きものせてやりたいとおもいました。
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうしたのですか? おとうさん。」と、息子むすこは、なにをいっても、父親ちちおや気乗きのりをしないので、心配しんぱいしてうたのでありました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは、ずっと以前いぜんに、このからくなられて、わすれかかっていた父親ちちおやかおを、おじいさんをて、はっきりとおもしました。
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
若者わかものは、自分じぶん父親ちちおやが、海嘯つなみほろびてしまったこのまちを、ふたたびあたらしくてたひとであることをかたりました。船長せんちょうは、うなずきました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまにも、ってきそうな、灰色はいいろくもったそらにしながら、父親ちちおやおおまたにあゆむのを、小太郎こたろうちいさなあしいかけたのです。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その父親ちちおやは、手間てまがとれても、子供こどもくままにまかせて、ぼんやりまって、それを見守みまもっていることもありました。
幾年もたった後 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夕方ゆうがたになると、父親ちちおや子供こどもとは、ひのきのしたに、どこからかかえってきました。子供こどもは、えだつくった、胡弓こきゅうっていました。
あらしの前の木と鳥の会話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おばあさん、ありがとう。また、かんがえて、もらいにきますから……。」と、父親ちちおやは、人形にんぎょうをおばあさんにかえして、そのみせからました。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやが、街道かいどうあるいていますと、電信柱でんしんばしら付近ふきんいているつばめは、「いま、おかえりですか。」と、いうようにこえました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どこへいくものか。もうさむいからやすんだがいい。」と、父親ちちおやさきたれました。つづいて兄弟きょうだいもへやへはいって、とこはいりました。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじいさんは、だまってしたいていました。正吉しょうきち父親ちちおやは、そのまえって、はさみをながら、いろいろのことをおもしていました。
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕事しごと都合つごう二電車ふたでんしゃばかりおくれた父親ちちおやは、くろ外套がいとうに、鳥打帽とりうちぼうをかぶっていそいできました。むかえにているせがれつけると
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
たびからたびわたってあるく、ちち乞食こじきがありました。父親ちちおやだまりがちにさきってあるきます。あとから十になった小太郎こたろうはついていきました。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは、とおまちんでいる息子むすこが、どんならしをしているかとおもいました。そして、どうか一いってみたいものだとおもっていました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
盲目めくら父親ちちおやいて、十二、三さいのあわれな少年しょうねんは、日暮ひぐがたになると、どこからかにぎやかなまちほうへやってきました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは、なまもので、その教育きょういくができないために、行商ぎょうしょうにきたひとにくれたのが、いま一人前にんまえおとことなって、都会とかい相当そうとうみせしている。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、あるのこと、見慣みなれないおとこ旅人たびびと門口かどぐちって、みちきました。そのときおとこは、二人ふたり父親ちちおや看病かんびょうをしているのをながめて
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは、いくらかのかねして、そのオルゴールをいました。しかし、そのかねは、おじいさんを満足まんぞくさせなかったようです。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
子供こどもは、そのがたなみだぐんだつきをして、ふもとのはやしなかかえってきました。小舎こやなかには、父親ちちおやっていました。
あらしの前の木と鳥の会話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、あめかぜくる渺茫びょうぼうたる海原うなばら想像そうぞうして感歎かんたんこえはなちました。龍夫たつお父親ちちおやは、南洋なんよう会社かいしゃつとめていて、その病死びょうししたのです。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、どんな気持きもちだろうか? もう一自分じぶんもあんな子供こども時分じぶんになってみたい。」と、父親ちちおやはしみじみとおもいました。
幾年もたった後 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「これをむすめ土産みやげっていってやろう……?」と、父親ちちおやは、かんがえたのでした。そして、おばあさんに、あたいをたずねました。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおや死後しご少年しょうねんは、労働者ろうどうしゃとなって、工場こうじょうはたらきました。運命うんめいは、いろいろに、もてあそんだ。かれは、機械きかいれて、不具者ふぐしゃになりました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それは、おおきくなればゆけるとも、はやく、病気びょうきをよくして、元気げんきにならなければならない。」と、父親ちちおやは、こたえたのです。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
達吉たつきちは、父親ちちおや戦死せんししてから、戦争せんそうにいった兵隊へいたいさんにたいして、なんとなくいいしれぬしたしみをもつようになったのでした。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは、無理むり今夜こんやあひるをころすとはいいませんでした。せめて、一晩ひとばんは、子供こども自由じゆうにさせておいてやろうとおもいました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、いつものところへげろよ。」と、父親ちちおやはそこらにあったものをひっつかむようにして、やみなかしました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんは、小西こにしのあとについてゆきました。みせつぎでは、小西こにし父親ちちおやらしいひとが、肌脱はだぬぎで、わかおとこ相手あいてにして、将棋しょうぎをさしていました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるところに、性質せいしつのちがったあにおとうとがありました。父親ちちおやぬときに、自分じぶんっているはたけ二人ふたりけてやりました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きたほうのあるむらに、なかのよくない兄弟きょうだいがありました。父親ちちおやんだあとあにおとうとをば、むごたらしいまでに、いじめました。
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ねているならこさずにおいておやり。」と、そのことばには、やさしみがありました。そして、もう父親ちちおやは、もんほうあるいていたのでした。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おとうさん、そんなに、金貨きんかや、銀貨ぎんかを、たくさんためて、どうするんですか?」と、子供こども父親ちちおやかってききました。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは、オルゴールにをつけて、おじいさんのまえにやってきました。そして、どんなおとがするのかとたずねたのでした。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、そのほうがかえって、人々ひとびとからかわいそうだといわれて、おかねをたくさんもらえることと父親ちちおやおもったのです。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんむすめらは、当時とうじのようにわらいもせずに、いずれも心配しんぱいそうなかおつきをしていました。やがて父親ちちおやは、なにかいって金庫きんこほうゆびさしました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)