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奮
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ふる
ふりがな文庫
“
奮
(
ふる
)” の例文
もう駄目だと
悟
(
さと
)
つた私は、二つに割れた
石板
(
せきばん
)
の
缺片
(
かけら
)
を
屈
(
かゞ
)
んで拾ひながら、最惡の場合に處する爲めに、勇氣を
奮
(
ふる
)
ひ起した。時は來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ことに、既に長き旅路に
勞
(
つか
)
れたる我をして、
嚢中
(
のうちう
)
甚だ旅費の乏しきにも拘らず、
奮
(
ふる
)
つてこの山中に
入
(
い
)
らしめたる理由猶一つあり。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
肚
(
はら
)
の底で喚いてみた。が、そんな空しい相対性の観念を
奮
(
ふる
)
ってみても何のかいもない。いたずらに毛の根が汗ばむばかりだった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その呟きが相手の
敵愾心
(
てきがいしん
)
を激発した。岡田は苦悶の顔色すさまじく、最後の気力を
奮
(
ふる
)
って、遂に、劇薬のコップを唇につけた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わが国の
存亡
(
そんぼう
)
の決まる日がすぐそこに見えているために、これが最後のチャンスと
奮
(
ふる
)
い
起
(
た
)
って立ったのだ。どうぞ
愍
(
あわれ
)
みたまえ
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
駭然
(
がいぜん
)
として夢か
覚
(
うつつ
)
か
狐子
(
こし
)
に
騙
(
へん
)
せらるるなからむやと思えども、なお勇気を
奮
(
ふる
)
いてすすむに、答えし男急に
呼
(
よ
)
びとめて、いずかたへ行くやと云う。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
君があの際
奮
(
ふる
)
って演壇に立ったのは実際感心である、と大いに
褒
(
ほ
)
めたり
詫
(
あや
)
まったりして来た。実際橋本の云う通りである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
われは忽ち興到り氣
奮
(
ふる
)
ふを覺えしに、忽ち又興散じて氣衰ふるを覺え、悄然として舟に上り、大海に臨める
岸區
(
リド
)
に着きぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかし、失敗ほどこの少年を
奮
(
ふる
)
いたたせるものはないのだ。翌日は非常な意気ごみで紀代子の帰りを待ち受けた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
疼痛
(
とうつう
)
とは
疼痛
(
とうつう
)
の
活
(
い
)
きた
思想
(
しさう
)
である、
此
(
こ
)
の
思想
(
しさう
)
を
變
(
へん
)
ぜしむるが
爲
(
ため
)
には
意旨
(
いし
)
の
力
(
ちから
)
を
奮
(
ふる
)
ひ、
而
(
しか
)
して
之
(
これ
)
を
棄
(
す
)
てゝ
以
(
もつ
)
て、
訴
(
うつた
)
ふる
事
(
こと
)
を
止
(
や
)
めよ、
然
(
しか
)
らば
疼痛
(
とうつう
)
は
消滅
(
せうめつ
)
すべし。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
けれども、
次第
(
しだい
)
に
畜生
(
ちくしやう
)
、
横領
(
わうりやう
)
の
威
(
ゐ
)
を
奮
(
ふる
)
つて、
宵
(
よひ
)
の
内
(
うち
)
からちよろりと
攫
(
さら
)
ふ、
漁
(
すなど
)
る
後
(
あと
)
から
嘗
(
な
)
めて
行
(
ゆ
)
く……
見
(
み
)
る/\
四
(
よ
)
つ
手網
(
であみ
)
の
網代
(
あじろ
)
の
上
(
うへ
)
で、
腰
(
こし
)
の
周囲
(
まはり
)
から
引奪
(
ひつたく
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
老人
(
らうじん
)
の
言
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かした
言葉
(
ことば
)
は
先
(
ま
)
づ
斯
(
こ
)
んなものでありました。そして
權藏
(
ごんざう
)
は
奮
(
ふる
)
ひ
起
(
た
)
つて
老人
(
らうじん
)
の
下
(
もと
)
を
去
(
さ
)
つたのです。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
拳を
奮
(
ふる
)
ってみても、このくらいの大艦になれば、主砲の他に八
吋
(
インチ
)
砲、六吋砲の十二門や十四門は積んでいたであろうから、もはや我々のごとき
眇
(
びょう
)
たる駆逐艦としては
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「宮!」と
奮
(
ふる
)
つて呼びしかど、
憫
(
あはれ
)
むべし、その声は苦き
喘
(
あへぎ
)
の如き者なりき。我と吾肉を
啖
(
くら
)
はんと想ふばかりに
躁
(
あせ
)
れども、貫一は既に声を立つべき力をさへ失へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
三日
(
みつか
)
にして
後
(
のち
)
兵
(
へい
)
を
勒
(
ろく
)
す。
病者
(
びやうしや
)
も
皆
(
みな
)
行
(
ゆ
)
かんことを
求
(
もと
)
め、
爭
(
あらそ
)
ひ
奮
(
ふる
)
つて、
出
(
い
)
でて
之
(
これ
)
が
爲
(
た
)
めに
戰
(
たたかひ
)
に
赴
(
おもむ
)
けり。
晉
(
しん
)
の
師
(
し
)
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
き、
爲
(
た
)
めに
罷
(
や
)
め
去
(
さ
)
り、
燕
(
えん
)
の
師
(
し
)
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
き、
水
(
みづ
)
を
度
(
わた
)
つて
解
(
と
)
く。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
雀のお宿の
素峰子
(
そほうし
)
は、自ら
行乞子
(
こうきつし
)
と称している。かつては書店の主人であったが、愛妻の病没により、
哀傷
(
あいしょう
)
の極は
発願
(
ほつがん
)
して、
奮
(
ふる
)
って無一物の真の清貧に富もうと努めた。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
余が本校の議員に列し、熱心と勉強とを以て、事に
茲
(
ここ
)
に従わんと欲せしものは、
唯
(
ひと
)
り隈公と諸君との知遇に感ぜしのみにあらず、
蓋
(
けだ
)
し又別に
自
(
みず
)
から
奮
(
ふる
)
う所ありて然るなり。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
雞を
揺
(
ゆ
)
り豚を
奮
(
ふる
)
い、
嗷
(
かまびす
)
しい
脣吻
(
しんぷん
)
の音をもって、
儒家
(
じゅか
)
の
絃歌講誦
(
げんかこうしょう
)
の声を
擾
(
みだ
)
そうというのである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「今週土曜日放課後ただちにクラス会を開きますから、
奮
(
ふる
)
ってご出席ください。会費十五銭」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
えい、ものものしや、
我
(
わ
)
が
神聖
(
しんせい
)
なる
甲板
(
かんぱん
)
は、
如何
(
いか
)
でか
汝等
(
なんぢら
)
如
(
ごと
)
き
汚
(
けが
)
れたる
海賊
(
かいぞく
)
の
血汐
(
ちしほ
)
に
染
(
そ
)
むべきぞ。と
我
(
わ
)
が
艦
(
かん
)
ます/\
奮
(
ふる
)
ふ。
硝煙
(
せうゑん
)
は
暗
(
くら
)
く
海
(
うみ
)
を
蔽
(
おほ
)
ひ、
萬雷
(
ばんらい
)
一時
(
いちじ
)
に
落
(
お
)
つるに
異
(
ことな
)
らず。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
非常時
(
ひじょうじ
)
のことで、
仕事
(
しごと
)
が
忙
(
いそが
)
しくなりました。
体
(
からだ
)
が
強健
(
きょうけん
)
で、
希望
(
きぼう
)
の
方
(
かた
)
は、
奮
(
ふる
)
って
居残
(
いのこ
)
ってもらいたい。」と
工場長
(
こうじょうちょう
)
のいった
言葉
(
ことば
)
が、
達夫
(
たつお
)
の
耳
(
みみ
)
に、はっきりとよみがえりました。
夕焼けがうすれて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かくては
所詮
(
しょせん
)
、我
業
(
わざ
)
の進まむこと
覚束
(
おぼつか
)
なしと、旅店の二階に
籠
(
こ
)
もりて、
長椅子
(
ながいす
)
の
覆革
(
おおいかわ
)
に穴あけむとせし頃もありしが、
一朝
(
いっちょう
)
大勇猛心を
奮
(
ふる
)
ひおこして、わがあらむ
限
(
かぎり
)
の力をこめて
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
エチエンヌは非常な
勇気
(
ゆうき
)
を
奮
(
ふる
)
い起こします。一
生懸命
(
しょうけんめい
)
、足を
速
(
はや
)
めます。
短
(
みじか
)
い
脚
(
あし
)
を
精
(
せい
)
いっぱいにひろげます。まだその上に、
腕
(
うで
)
を
振
(
ふ
)
ります。しかし、なんといっても、
小
(
ちい
)
さすぎます。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
又は一点の機微に転身をやしたりけむ、
忽然
(
こつぜん
)
衝天
(
しょうてん
)
の勇を
奮
(
ふる
)
ひ起して大刀を上段
真向
(
まっこう
)
に振り
冠
(
かむ
)
り、精鋭
一呵
(
いっか
)
、電光の如く斬り込み来るを
飜
(
ひら
)
りと避けつゝ
礑
(
はた
)
と打つ。竹杖の
冴
(
さ
)
え
過
(
あや
)
またず。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかしながら彼は、自分の信念を道づれとして勇ましく自分の道を切りひらいていった。いかにつまずき倒れても、ふたたび猛然と
奮
(
ふる
)
いたつだけの力が、彼の内部から湧き上がってきた。
ジャン・クリストフ:01 序
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ところへ、ホテルの支配人がやって来て、山本氏に召集状が来、明朝応召されるので、山田氏の発起でホテルと共同の歓送晩餐会を催すことになったから
奮
(
ふる
)
ってご出席願いたいといった。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
識者の予測したる、愚者の夢視せざる、三百年来
未
(
いま
)
だ
曾
(
かつ
)
てこれなき大刺激は来れり。大挑発は試みられたり。怯者
懼
(
おそ
)
れ、勇者
奮
(
ふる
)
い、愚者驚き、智者憂い、人心動乱、停止する所を知らず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
然り而して其の文を
観
(
み
)
るに、各々
奇態
(
きたい
)
を
奮
(
ふる
)
ひ、
啽哢
(
あんろう
)
真
(
しん
)
に
逼
(
せま
)
り、
低昂宛転
(
ていかうゑんてん
)
、読者の心気をして
洞越
(
どうゑつ
)
たらしむるなり。事実を千古に
鑑
(
かんが
)
みらるべし。
余
(
よ
)
適
(
たまたま
)
鼓腹
(
こふく
)
の閑話あり、口を
衝
(
つ
)
きて吐き
出
(
い
)
だす。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
しかし、われわれの日常に起こるいろいろな場合に、
奮
(
ふる
)
い立つ心——それは単なる義侠心のみではできない。良心というよりも、もっと深いところにある
霊性
(
たましい
)
の力だと私はそれを思っている。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
さながら雲を
掴
(
つか
)
むようにしか、「言葉の純粋さ」に就て説明を施し得ないのは、我ながら面目次第もない所とひそかに赤面することであるが、で、私は勇気を
奮
(
ふる
)
って次なる一例を取り出すと——
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
與吉
(
よきち
)
を
連
(
つ
)
れておつぎは
開墾地
(
かいこんち
)
へ
行
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
勘次
(
かんじ
)
が
其
(
そ
)
の
鍛錬
(
たんれん
)
した
筋力
(
きんりよく
)
を
奮
(
ふる
)
つて
居
(
ゐ
)
る
間
(
ま
)
におつぎはそこらの
林
(
はやし
)
から
雀枝
(
すゞめえだ
)
を
採
(
と
)
つて
小
(
ちひ
)
さな
麁朶
(
そだ
)
を
作
(
つく
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
小
(
ちひ
)
さな
枝
(
えだ
)
は
土地
(
とち
)
では
雀枝
(
すゞめえだ
)
といはれて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「僕も勇気を
奮
(
ふる
)
い起して、是非もう一度叔父さんに御目に掛ります……」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
手前は
匹夫
(
ひっぷ
)
の勇を
奮
(
ふる
)
って命を
亡
(
な
)
くしても仕方がないが、跡はどうする
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
本当の探偵は一にも実践、二にも実践——これが大事なので、そこにあたくしたちの腕の
奮
(
ふる
)
いどころがあるのですわ、奥さま
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……だが、もう今までのような悲しみはさせないぞ。伊勢ノ忠盛の面目を、これからは
奮
(
ふる
)
うてみせる。責めるな。そうわしを、泣いて責めるな
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ようやくある家にて草鞋を買いえて勇を
奮
(
ふる
)
い、八時半頃
野蒜
(
のびる
)
につきぬ。白魚の子の
吸物
(
すいもの
)
いとうまし、海の景色も
珍
(
めず
)
らし。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もう一度二階へ戻るというのは、その際の彼に取って、殆ど不可能に近い
事柄
(
ことがら
)
ではあったけれど、彼は死にもの狂いの気力を
奮
(
ふる
)
って、更に家の中へ取って返した。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
疼痛
(
とうつう
)
とは
疼痛
(
とうつう
)
の
活
(
い
)
きた
思想
(
しそう
)
である、この
思想
(
しそう
)
を
変
(
へん
)
ぜしむるが
為
(
ため
)
には
意旨
(
いし
)
の
力
(
ちから
)
を
奮
(
ふる
)
い、しかしてこれを
棄
(
す
)
てて
以
(
もっ
)
て、
訴
(
うった
)
うることを
止
(
や
)
めよ、しからば
疼痛
(
とうつう
)
は
消滅
(
しょうめつ
)
すべし。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
不意
(
ふい
)
に彼は我と我身を
奮
(
ふる
)
ひ起たせようとする樣子だつた。あらゆる現實の證據が彼を捉へたのである。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
得ば本会の面目
不過之
(
これにすぎず
)
と存
候
(
そろ
)
間
何卒
(
なにとぞ
)
御賛成
奮
(
ふる
)
って
義捐
(
ぎえん
)
あらんことを
只管
(
ひたすら
)
希望の至に
堪
(
た
)
えず
候
(
そろ
)
敬具
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世襲の多数奴隷の上に生殺与奪の権を
奮
(
ふる
)
って、あたかも王侯のごとくに君臨しているのです。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
敵の遺棄
屍体
(
したい
)
三千余。連日の
執拗
(
しつよう
)
なゲリラ戦術に久しくいらだち屈していた士気が
俄
(
にわ
)
かに
奮
(
ふる
)
い立った形である。次の日からまた、もとの
竜城
(
りゅうじょう
)
の道に
循
(
したが
)
って、南方への退行が始まる。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
マダムは新聞や雑誌をよく読んで、時代に対するアラユル理解力を
奮
(
ふる
)
っておられました。そうして現代がスピードとエロの時代である事を、飲み込み過ぎるほど、のみこんでおられました。
奥様探偵術
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
事がむずかしければむずかしいほど、いっそう
奮
(
ふる
)
いたつという風になる。
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これは外の談判と違つて唯
金銭
(
かね
)
づくなのだから、
素手
(
すで
)
で飛込むのぢや弁の
奮
(
ふる
)
ひやうが無いよ。それで
忽諸
(
まごまご
)
すると飛んで火に入る夏の虫となるのだから、まあ君が行つて何とか話をして見たまへ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
舳櫓
(
ともろ
)
の
船子
(
ふなこ
)
は海上
鎮護
(
ちんご
)
の神の
御声
(
みこえ
)
に気を
奮
(
ふる
)
い、やにわに
艪
(
ろ
)
をば立直して、
曳々
(
えいえい
)
声を
揚
(
あ
)
げて
盪
(
お
)
しければ、船は
難無
(
なんな
)
く
風波
(
ふうは
)
を
凌
(
しの
)
ぎて、今は我物なり、
大権現
(
だいごんげん
)
の
冥護
(
みょうご
)
はあるぞ、と
船子
(
ふなこ
)
はたちまち力を得て
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
溢るゝばかり
奮
(
ふる
)
ひ立ち
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
平小次郎将門事、徒党を狩り、暴を
奮
(
ふる
)
い、故なく、
官田
(
かんでん
)
私園
(
しえん
)
に立ち入り、良民を
焚害
(
ふんがい
)
し、国倉を掠奪し、人を殺すこと無数。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
正木署長は
俄
(
にわ
)
かに
奮
(
ふる
)
いたって、取調べを始めた。カオルも山治も、蠅男らしい人物がこの家に出入していない旨を誓った。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
其
(
その
)
才を
称
(
しょう
)
し、其学を勧め、
其
(
そ
)
の流れて文辞の人とならんことを戒め、其の
奮
(
ふる
)
って聖賢の域に至らんことを求め、他日
復
(
また
)
再び大道を論ぜんことを欲す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
奮
常用漢字
小6
部首:⼤
16画
“奮”を含む語句
昂奮
興奮
発奮
大奮発
亢奮
奮発
奮闘
發奮
奮迅
奮然
獅子奮迅
奮發
奮起
奮戦
奮鬪
大昂奮
奮励
大興奮
是以人奮励
興奮的
...