銀色ぎんいろ)” の例文
すると、ちょうどおじいさんの帽子ぼうしちたあたりに、銀色ぎんいろひかった三かくちいさないしが一つ、しろゆきうえちていました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
月は野の向こうにのぼって、まるくかがやいていた。銀色ぎんいろもやが、地面じめんとすれすれに、またかがみのような水面すいめんただよっていた。かえるが語りあっていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
空は銀色ぎんいろの光をし、あまり、もずがやかましいので、ひばりもしかたなく、その空へのぼって、少しばかり調子ちょうしはずれの歌をうたいました。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
銀色ぎんいろ薔薇ばらの花、人間の夢の香爐にも譬ふべき薔薇ばらの花、吾等われらの心臟を取つて煙にしてお了ひ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
指揮刀しきたうさや銀色ぎんいろやみなかひらめかしてゐる小隊長せうたいちやう大島少尉おほしませうゐさへよろけながらあるいてゐるのが、五六さきえた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
と、とつぜん、するどくきみのわるいうなり声が聞こえてきました。立ちあがって見ますと、露台ろだいの下の芝地しばちに、一ぴきのキツネが、銀色ぎんいろのお月さまの光をあびて、立っていました。
石狩川いしかりがわでとれたさけがつみこんであったので、自分は、キラキラと銀色ぎんいろに光るうろこの山を予想よそうしたのだったが、ランプの光は、ただ、ぼんやりとやみの中にとけこんでしまって
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
黄金おうごんくさりむねにたらした銀色ぎんいろの十、それが、朝陽あさひをうけて、ギラギラ光っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このくらゐのあめは、たけがさおよぶものかと、半纏はんてんばかりの頬被ほゝかぶりで、釣棹つりざをを、いてしよ、とこしにきめた村男むらをとこが、山笹やまざさ七八尾しちはつぴき銀色ぎんいろ岩魚いはなとほしたのを、得意顏したりがほにぶらげつゝ
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「十一はんさ、近頃ちかごろどうもやすくつてな」商人あきんどはいひながらあさ目笊めざるたまごれて萠黄もえぎひものたどりをつてはかりさをにして、さうして分銅ふんどういとをぎつとおさへたまゝ銀色ぎんいろかぞへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何時いつ何時いつもわが悲哀かなしみ背景バツクには銀色ぎんいろ密境みつきやうぞ住む。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
きたほううみは、依然いぜんとして銀色ぎんいろこおって、さむかぜいていました。そして、あざらしは、氷山ひょうざんうえに、うずくまっていました。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてこわごわきあがって、そっとまくらもとのかいの火を見ました。かいの火は、あぶらの中で魚の眼玉めだまのように銀色ぎんいろに光っています。もう赤い火はえていませんでした。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
海はミルク色で、目のとどくかぎり、小さな白い波をうねらせ、銀色ぎんいろにきらめくさざなみをたてていました。なにもかも白い中に、いろんな形をした島があっちこっちにくろぐろときでていました。
そのほとり WHISKYウヰスキイにほひ銀色ぎんいろうち
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あるあおたま銀色ぎんいろのふえをすと、すなはまのうえで、おとうさんやおかあさんのことをしのびながら、じいっとながめていました。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それもまもなくしぼんで、やがてたそがれ前の銀色ぎんいろと、それから星をちりばめた夜とが来ます。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
理髪器バリカン銀色ぎんいろぞやるせなき囚人しうじんかしらうごく。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ゆきがまったくえて、まちなかにはあとをもめなくなりました。木々きぎは、みんな銀色ぎんいろをふいて、よるもうすあかるくていい季節きせつとなりました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
銀色ぎんいろのマントをきらきら波立なみだてて野原のはらを見まわったり、ホモイはうれしさに何遍なんべん
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
葉かげの水面みのも銀色ぎんいろ静寂しづけさる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かねて、びんぼうならしでしたから、むすめのなみにのこされたものは、ただあおたまと、銀色ぎんいろのふえだけでありました。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
風がき、空がくらくて銀色ぎんいろです。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
銀色ぎんいろ絹衣すずしひるがへる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その時分じぶんは、あおかったうみいろが、いま銀色ぎんいろになっているのをても、また、からだりかかる白雪しらゆきても、かなしみがこころをそそったのであります。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
銀色ぎんいろの光のなかに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
パチパチとみずのはねるおとがして、銀色ぎんいろさかながさおのさきでおどって空想くうそうは、やぶられました。このときおじさんがおおきなふなをられたのでした。
花かごとたいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、また自転車じてんしゃはしらせて、きたときのみちをもどるころには、そらは、くもって、村々むらむら新緑しんりょくが、いちだんと銀色ぎんいろひかってかすんでいました。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
たけちゃんと、ゆうさんは、おじさんたちが、ふねすなうえげる、おてつだいをしました。ふねなかには、銀色ぎんいろさかながぴちぴちねています。
海へ帰るおじさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、もうおそらく、ったなつのように、銀色ぎんいろかがやそらしたで、まどろむというようなことは、また来年らいねんまではできないであろう……。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
北の方の海は、依然いぜんとして銀色ぎんいろこおって、寒い風が吹いていました。そして海豹は、氷山の上にうずくまっていました。
月と海豹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しなやかなえだにはいろ銀色ぎんいろひかって、なよなよとかぜうごいていたものですが、としをとるにしたがって、だんだんは、むずかしくなりました。
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このあおたまは、おかあさんがだいじにしていらしたんだわ。ああ、この銀色ぎんいろのふえは、おとうさんが、みんなとおさかなをとるときにふいたんだわ。」
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
へちまのて、銀色ぎんいろのなよなよとしたつるが、あねてたぼうにはいのぼるころには、正雄まさおは、まち工場こうばで、機械きかいのそばにって、はたらいていました。
へちまの水 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのほしひかりはなんともいえないうつくしいひかりはなっていました。金色きんいろのもあれば、銀色ぎんいろのもある。また緑色みどりいろのもあれば、紫色むらさきいろのも、青色あおいろのもありました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらいろ銀色ぎんいろひかって、生暖なまあたたかなのことでありました。としをとったおんなが、はまほうから、かごのなかに、たくさんのたらをいれてりにまいりました。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
もはや、一にちましに、あつくなる時節じせつであって、まちうえそらは、銀色ぎんいろにうるんでいました。そして、たび心細こころぼそさをまさしめる、つばめがいていました。
ガラス窓の河骨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くる朝日あさひかげが、したながれのうえしたとき、ちいさなさかなたちは、もうじきはるがくるのをよろこぶように、銀色ぎんいろはらせながらみずなかおどったのでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、とうとうチューリップは、がまんができなくなって、銀色ぎんいろのかわいらしいつちうえしました。
チューリップの芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
風船虫ふうせんむしは、あわてて、これをいかけるように、銀色ぎんいろからだひからして、みずをくぐってしたほうおよいでいきました。そしてまたかみうえげにかかるのでした。
風船虫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひかりが、直射ちょくしゃしたときは、うみ銀色ぎんいろにかがやいていたが、かたむくにつれて、あおみをましてだんだん黄昏たそがれちかづくと、紫色むらさきいろににおってみえるのでありました。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いましも、金色きんいろふちどられたくもあいだから、一そうの銀色ぎんいろふねが、ほしのようにえました。そして、そのふねには、常夏とこなつはなのような、あかはたがひらひらとしていました。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
北方ほっぽううみは、銀色ぎんいろこおっていました。ながふゆあいだ太陽たいようはめったにそこへはかおせなかったのです。なぜなら、太陽たいようは、陰気いんきなところは、かなかったからでありました。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
光子みつこさんは、きゅうにつまらなくなって、じゅずだまえだをひきずるようにしておうちへかえりました。じゅずだまは、銀色ぎんいろに、むらさきいろに、さながら宝石ほうせきのようにひかっていました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ていると、銀色ぎんいろ小舟こぶねは、波打なみうちぎわにこいできました。が、あか花弁かべんえついたように、はたいろがかがやいて、ちょうどかぜがなかったので、はたは、だらりとれていました。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとこは、ちいさなはこなかから、銀色ぎんいろひか小豆粒あずきつぶほどのいししました。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、おおきなえだには青葉あおばがふさふさとして、銀色ぎんいろにかがやいています。
青葉の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ずっと、いくとなくとおいところに、銀色ぎんいろうみがあります。それをわたっておかがり、ゆきしろひかった、たか山々やまやまかさなっている、そのやまえてゆくので、それは、容易よういにゆけるところでない。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
二郎じろうさんはひかりに、銀色ぎんいろにかがやいているゆりをていいました。
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
大空おおぞらで、銀色ぎんいろくもが、したて、わらっていました。
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)