かい)” の例文
きているのほうが、かいがらよりもきれいでありました。けれど、かずさんは、気味悪きみわるがって、そのろうとしませんでした。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
補佐役の青木主膳あおきしゅぜんという侍から「あれは寄手よせてが追いくずされる物音です」とか、「今度は味方が門内に引き揚げる合図のかいです」
「もうこんなぐあいです。どうかたくさんわらってやってください」とうとたん、かいの火はするどくカチッと鳴って二つにれました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
南蛮寺なんばんじおくのほうから、ジャン、ジャン、ジャン! 妖韻よういんのこもったかね——そして一種の凄味すごみをおびたかいがひびいてきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ガンたちは、牧場まきばへいって、たべものをひろいましたが、ニールスははまべへいってかいを集めました。そこには、貝がたくさんありました。
「よろしゅうございます。ねずみがわるささえしなければ、わたくしどももがまんして、あわびかいでかつぶしのごはんやしるかけめしべて満足まんぞくしています。」
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
とはらぬのでかいげるのに邪魔じやまだから、其所そこ退いてれなんて威張ゐばらして、あと地主ぢぬしわかつて、有合ありあはせの駄菓子だぐわしして、機嫌きげんつたことなどである。
不思議なことに向うの山峡やまかいに突然黒い人間らしい者が、殆どそれは胡麻粒ごまつぶくらいの一行がうごいて、旅人のあとを追うているらしい、向い山のおなじ山稼ぎのかい馬介うますけ追手おってであった。
かい柱飯はしらめし 秋付録 米料理百種「日本料理の部」の「第三十一 貝の柱飯」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
うしなひしかいならば
友に (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
めずらしいかいがらもあれば、金光かなびかりのするいしもあり、またりの道具どうぐもまじっていれば、かたちわったべいごまもはいっていました。
すいれんは咲いたが (新字新仮名) / 小川未明(著)
「お父さん、大丈夫だいじょうぶですよ。きつねなんかなんでもありませんよ。ぼくにはかいの火があるのですもの。あの玉がくだけたりくもったりするもんですか」
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
石見守長安いわみのかみながやすは、やぐらの者に、あわててかいを高くかせた。忘れていたが、いつか、とっぷりと日がくれていたのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、そのつぎの朝、ニールスが浜べにいって、かいをひろっていますと、またもやガンたちが走ってきて、ガチョウの姿を見なかったかとたずねました。
かいをさらひすのについて、活東子くわつとうし幻花子げんくわし衝突しようとつする。發掘はつくつ進路しんろつい衝突しようとつする。
みなさん、じつになさけないの中になりました。元来がんらいねこはあわびかいの中のかつ節飯ぶしめししるかけめしべてきていればいいはずのものであるのに、われわれをってべるというのは何事なにごとでしょう。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
宝石商ほうせきしょうは、今日きょうはここのみなと明日あすは、かしこのまちというふうにあるきまわって、そのまちいしや、かいや、金属きんぞくなどをあきなっているみせっては
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ホモイ。かいの火がくもったのか。たいへんお前の顔色がわるいよ。どれお見せ」そして玉をすかして見てわらっていました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
だが、さけんで反応はんのうがなかったように、そのかいがとおく八ごうへ鳴りひびいていっても、外城そとじろさくから、こたえきの合わせがいが鳴ってこなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
エーランド島は、なん年ものあいだ海の中によこたわっていたんだが、そのあいだには、海草かいそうだとか、すなだとか、かいだとか、いろんなものが波にはこばれてきて、島のまわりに集まったんだ。
わたしは、ここに霊薬れいやくっています。このくすりは、千まんかいくだいて、そのなかからさがした霊薬れいやくで、どんなものにもがた貴重きちょうしなです。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはまあ、ざっと百二十万年まんねんぐらい前のくるみだよ。ごく新しい方さ。ここは百二十万年前まんねんまえ第三紀だいさんきのあとのころは海岸かいがんでね、この下からはかいがらも出る。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかし、すぐ横の佐女牛さめうしの杉並木では、非常太鼓のうちに、くろぐろと陣備じんぞなえがおこなわれていたし、またいんいんたるかいの音は洛中の空の諸方で鳴っている。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このくにには、むかしからのことわざがありまして、なつ晩方ばんがたうみうえにうろこぐものわいたに、うみなかげると、そのひとかいまれわる。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
秀吉の姿の見える中軍のあたりは、いくさ奉行、旗奉行たちの、叱咤の声が高かった。激越げきえつなるかいかねのひびき、また、押太鼓の音が、鼕々とうとうなみとなって、先鑓さきやりを励ました。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジョバンニはその小さく小さくなっていまはもう一つのみどりいろのかいぼたんのように見える森の上にさっさっと青じろく時々光ってその孔雀くじゃくがはねをひろげたりとじたりする光の反射はんしゃを見ました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
にいさん、わたしに、金色きんいろとりたまごと、よるになるとうたうたかいを、お土産みやげにかならずってきてください。」とたのみました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
われにかえると、尊氏の耳にも遠い所のかいが聞えていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むすめは、二、三にちたってまどそとますと、てたかいがらが、すっかり、うつくしいかわいらしい黄色きいろはなになっていました。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
「正師。かいを」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かいがらのようなあかたけ、おはぐろとんぼ、いいこえうたをうたうはるぜみなど。そして、またこのうみほおずき。なんといううつくしいことであろう。
草を分けて (新字新仮名) / 小川未明(著)
おばさんは、おれいもうして、さて、さかなかいをなんにれていったらいいものかとかんがえましたが、なにもなかったので
海のおばあさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
うつくしいむすめたちは、自分じぶんたちが、かいでつくったボタンを二つずつ三にんに、わけてくれました。そして、無事ぶじに、故郷こきょうくようにといのってくれました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
雪女ゆきおんなしろ水晶すいしょうのようなひとみからはなつひかりと、人魚にんぎょのかんむりや、くびにかけた海中かいちゅうのめずらしいかいや、さんごじゅのかざりからながれるかがやきは
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、だれも、このあおいボタンが、いしつくられたものか、かいつくられたものか、判断はんだんくるしんだのでありました。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
夕空ゆうぞらかがやほしのように、また、うみからがったさまざまのかいがらのように、それらのはなうつくしくいていました。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふるい、小形こがた汽船きせんって、うみうえをどこということなく、ひがしに、西にしに、さすらいながら、めずらしいいしや、かいがらなどをさがしていた父子おやこ二人ふたりがありました。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、正雄まさおさんは、ただ一人ひとりうみほうからいてくるすずしいかぜかれながら波打なみうちぎわを、あちらこちらと小石こいしかいがらをつけながらあるいて
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、かえりには、お土産みやげのほかに、海岸かいがんひろったいしころや、かいがらなどをなかへいれて、汽車きしゃると、このバスケットをあみだなのうえせておきました。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして二人ふたりは、べにがにや、うつくしいかいがらや、しろ小石こいしなどをひろって、晩方ばんがたまでおもしろくあそんでいました。いつしか夕暮ゆうぐがたになりますと、正雄まさおさんは
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正吉しょうきちは、こういいました。しずさんが、うつくしいかいをあげた先生せんせいは、この先生せんせいだとおもうと自分じぶんのいったことをわかってくださるにちがいないとおもいました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おばあさんは、燈火ともしびのところで、よくそのかねをしらべてみると、それはおかねではなくて、かいがらでありました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くる二人ふたりはそのふくろけて子細しさいますと、きんでもぎんでもなければ、よごれたかいがらでありました。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
つかれしょ、つかれしょ、おれつかれしょ。真珠しんじゅかいがらつかれしょ。」といいました。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うみなかにすんでいるけだものきばや、金色きんいろをしたとりたまごや、香水こうすいれるくさや、よるになるといいこえして、うたをうたうかいなどがあるということをいていましたから
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんは、いまからかんがえると、あれが、普通ふつうかいではなかったようながしました。そして、あのしまのことをおもうと、まったく、ゆめのような、ふしぎながします。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのかごに、あおいしや、あかかいがらがはいっているのだな。」と、なんとなくたのしかったのでした。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
すこしはなれたはたけには、かきのがたくさんなっていたし、あちらの垣根かきねのすみには、山茶花さざんかが、しめった地面じめんうえって、いちめん、かいがらをしいたようでした。
おかまの唄 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かい種類しゅるいのいたってすくない北海ほっかいには、こんなかいがらは、めずらしいものかしれないけれど、なみおだやかなみなみ海岸かいがんには、もっときれいなかいがらがすくなくなかったのでした。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらのしまいて、金色きんいろたまごよるになるとおもしろいうたをうたうかいひろってきて、いもうとへの土産みやげにしよう。自分じぶんがこの航海こうかい無事ぶじえたら、もうりっぱな船乗ふなのりだ。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)