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浅黄
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あさぎ
ふりがな文庫
“
浅黄
(
あさぎ
)” の例文
右へ曲る
角
(
かど
)
にバーがあって、入口に立てた
衝立
(
ついたて
)
の横から
浅黄
(
あさぎ
)
の洋服の胴体が一つ見えていたが、中はひっそりとして声はしなかった。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
中
(
なか
)
に
咲
(
さ
)
いたやうな……
藤紫
(
ふじむらさき
)
に、
浅黄
(
あさぎ
)
と
群青
(
ぐんじやう
)
で、
小菊
(
こぎく
)
、
撫子
(
なでしこ
)
を
優
(
やさ
)
しく
染
(
そ
)
めた
友染
(
いうぜん
)
の
袋
(
ふくろ
)
を
解
(
と
)
いて、
銀
(
ぎん
)
の
鍋
(
なべ
)
を、
園
(
その
)
はきら/\と
取
(
と
)
つて
出
(
で
)
た。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
京ちりめんに、
浅黄
(
あさぎ
)
に白で麻の葉を絞りあわせた振り袖のひとえもの……
萩乃
(
はぎの
)
は、その肩をおとして、ホッとちいさな溜息を洩らした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
殆
(
ほと
)
んど
立続
(
たてつづ
)
けに
口小言
(
くちこごと
)
をいいながら、
胡坐
(
あぐら
)
の
上
(
うえ
)
にかけた
古
(
ふる
)
い
浅黄
(
あさぎ
)
のきれをはずすと、
火口箱
(
ほぐちばこ
)
を
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せて、
鉄
(
てつ
)
の
長煙管
(
ながきせる
)
をぐつと
銜
(
くわ
)
えた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
浅黄
(
あさぎ
)
の石持で柿色の袖なしに
裁布
(
たっつけ
)
をはいて、腰に七輪のアミを
提
(
さ
)
げて、それを叩いたり三味線を引いたりして、種々な音色を聞かせたが
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
▼ もっと見る
するとほんとうにそこらのもう
浅黄
(
あさぎ
)
いろになった空気のなかに見えるか見えないような赤い光がかすかな波になってゆれました。
ひのきとひなげし
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
取込んでろくに雪も
掻
(
か
)
かなかったのでしょう、下男の与次郎が、
浅黄
(
あさぎ
)
の手拭を
頬冠
(
ほおかむ
)
りに、
竹箒
(
たけぼうき
)
でセッセと雪を払っております。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ついと立つ影が白と
浅黄
(
あさぎ
)
の中から見えた。ふわりと一つのものから離れてゆく同体の一部としか見えない。
刹那
(
せつな
)
その人は人間か何うか疑われた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右手に竹で格子を組んだ板場、つきあたりにまたのれんが掛けてあり、これは
浅黄
(
あさぎ
)
に紺で「すみよし」と書いてあった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
黒い髪をむすんでうしろに垂れて、
浅黄
(
あさぎ
)
無地に大小の
巴
(
ともえ
)
を染め出した麻の筒袖に、
土器
(
かわらけ
)
色の短い
切袴
(
きりばかま
)
をはいていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
小僧はだぶだぶの白足袋に
藁草履
(
わらぞうり
)
をはいて、膝きりのぼろぼろな筒袖を着て、
浅黄
(
あさぎ
)
の風呂敷包を肩にかけていた。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
那処
(
あすこ
)
に遠く
些
(
ほん
)
の
小楊枝
(
こようじ
)
ほどの棒が見えませう、あれが旗なので、
浅黄
(
あさぎ
)
に赤い
柳条
(
しま
)
の模様まで
昭然
(
はつきり
)
見えて、さうして
旗竿
(
はたさを
)
の
頭
(
さき
)
に
鳶
(
とび
)
が
宿
(
とま
)
つてゐるが手に取るやう
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
真にまたと見ることの出来ぬと思われるほどの思いつきで、赤や
浅黄
(
あさぎ
)
の
無垢
(
むく
)
を重ね、上に
十徳
(
じっとく
)
を着たお
坊主
(
ぼうず
)
までついて、銀の道具のお茶所まで従がっていった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
山三郎は此の馬を見ますると
好
(
い
)
い白馬だ、白馬と申しても
濁酒
(
にごりざけ
)
とは違います、実に
十寸
(
とき
)
もある大馬で、これに
金梨地
(
きんなしじ
)
の蒔絵の鞍を置き、白と
浅黄
(
あさぎ
)
の段々の
手綱
(
たづな
)
で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見ると、それは色のあせた
浅黄
(
あさぎ
)
いろのズボンに、上半身はすっ裸という恰好の、中国人少年だった。
太平洋魔城
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
葛籠
(
つゞら
)
の底に納めたりける
一二枚
(
いちにまい
)
の
衣
(
きぬ
)
を
打
(
うち
)
かへして、
浅黄
(
あさぎ
)
ちりめんの
帯揚
(
おびあげ
)
のうちより、五
通
(
つう
)
六通、数ふれば十二
通
(
つう
)
の
文
(
ふみ
)
を
出
(
いだ
)
して
旧
(
もと
)
の座へ
戻
(
もど
)
れば、
蘭燈
(
らんとう
)
のかげ少し暗きを
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その儒者風な顔に引較べて、よれよれの角帯に前垂れを掛け、坐った着物の裾から
浅黄
(
あさぎ
)
色の
股引
(
ももひき
)
を覗かしている。コールテンの黒
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
いているのまで釣合わない。
家霊
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
九蔵の久吉、
浅黄
(
あさぎ
)
のこくもちに白のおひずる、濃浅黄のやつし
頭巾
(
ずきん
)
を
冠
(
かぶ
)
り、浅黄の
手甲
(
てっこう
)
、
脚半
(
きゃはん
)
にてせり上げの間
後向
(
うしろむき
)
にしやがみ、楼門の柱に「石川や」の歌をかき居る。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
「梅本」「
嬉
(
うれ
)
し野」「
浮舟
(
うきぶね
)
」「
青柳
(
あおやぎ
)
」など、
筆太
(
ふでふと
)
に染め出した、
浅黄
(
あさぎ
)
の長い
暖簾
(
のれん
)
などが、ヒラリヒラリとなびいている。店の作りが変っていて、隣りの店とのへだてがない。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
襟
(
えり
)
と
浅黄
(
あさぎ
)
と美くしくなずんで、
柔
(
やさ
)
しく前にかさねた手の、その
爪
(
つま
)
はずれのものなつかしさ!
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
堤の上の同じように可愛い
燈籠
(
とうろう
)
にはもう灯がともっているらしいけれど、水の面はまだ
浅黄
(
あさぎ
)
色に明るく、二三人の男の燈籠の根もとにしゃがんで釣りを垂れているのが見える。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
男の子のように結った髪のかたちから、さっぱりとした
浴衣
(
ゆかた
)
に幅の狭い
更紗
(
さらさ
)
の帯をしめ、後ろにたれ下がった
浅黄
(
あさぎ
)
の付け
紐
(
ひも
)
を見せたところまで、ちょっと女の子とは見えない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
自分も
後
(
あと
)
から出た。爺さんの腰に小さい
瓢箪
(
ひょうたん
)
がぶら下がっている。肩から四角な箱を
腋
(
わき
)
の下へ釣るしている。
浅黄
(
あさぎ
)
の
股引
(
ももひき
)
を
穿
(
は
)
いて、浅黄の
袖無
(
そでな
)
しを着ている。
足袋
(
たび
)
だけが黄色い。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒いのは一箇の
両掛
(
りょうがけ
)
で、
浅黄
(
あさぎ
)
模様の
被布
(
おおい
)
をした
長櫃
(
ながもち
)
が
後
(
あと
)
に一箇、
孰
(
ど
)
れも
人夫
(
にんぷ
)
が
担
(
かつ
)
いで
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
伯父は夏になると、どんな客が来ても、この
浅黄
(
あさぎ
)
の帷子の袖無しを一枚素肌にひっかけたままで応対するのであった。その袖無しには、ちゃんと背に一つ大きい家の紋がついていた。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
石谷貞清も
浅黄
(
あさぎ
)
に金の五の字を
画
(
えが
)
いた指物見せて、二の丸近くに押しよせた。しかし崖は数丈の高さであり堀も亦至って深い。城兵また多く来襲して、貞清自らも肩を槍で衝かれた。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
下職への
仕着
(
しきせ
)
も紋無しの
浅黄
(
あさぎ
)
にするといまからでも間に合いますから、お金の事など心配せず、まあ、わしたちに
委
(
まか
)
せて、大船に乗った気で一つ思い切り派手に年越しをするんだね。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
当年は不景気でもあり、国家多事の際でもあるので、
山車
(
だし
)
も
屋台
(
やたい
)
もできなかったが、それでも近在から人が出て、紅い半襟や
浅黄
(
あさぎ
)
の袖口やメリンスの帯などがぞろぞろと町を通った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
赤い
布片
(
きれ
)
か何かで無雜作に髮を
束
(
たば
)
ねた頭を、
垢染
(
あかじ
)
みた
浅黄
(
あさぎ
)
の手拭に包んで、雪でも降る日には、不恰好な
雪沓
(
つまご
)
を穿いて、半分に
截
(
き
)
つた赤毛布を頭からスッポリ
被
(
かぶ
)
つて來る者の多い中に
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
また『太平記抄』慶長十五年作二十四巻、
巻纓
(
けんえい
)
の老懸の註に、老懸とは
下々
(
しもじも
)
の者の鍋取というような物ぞと見え、寛永十九年の或記に
浅黄
(
あさぎ
)
の
指貫
(
さしぬき
)
、鍋取を冠り、弓を持ち矢を負うとあり。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
四十ばかりの
漢
(
をとこ
)
でした、
頭
(
あたま
)
には
浅黄
(
あさぎ
)
のヅキンをかぶり、
身
(
み
)
には
墨染
(
すみぞめ
)
のキモノをつけ、
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
もカウカケにつヽんでゐました、その
眼
(
め
)
は、
遠
(
とほ
)
い
国
(
くに
)
の
藍
(
あを
)
い
海
(
うみ
)
をおもはせるやうにかヾやいてゐました。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
鉄無地の
道行
(
みちゆき
)
半合羽
(
はんがっぱ
)
、
青羅紗
(
あおらしゃ
)
の
柄袋
(
つかぶくろ
)
、
浅黄
(
あさぎ
)
甲斐絹
(
かいき
)
の
手甲脚半
(
てっこうきゃはん
)
、
霰小紋
(
あられこもん
)
の
初袷
(
はつあわせ
)
を裾短かに着て、袴は穿かず、鉄扇を手に持つばかり。斯うすると竜次郎の男振りは、
一入
(
ひとしお
)
目立って光るのであった。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
十七世紀にル・ノオル王が切り
平
(
なら
)
させたと云ふ横長い岡の上の一隅に建てられて、
直
(
すぐ
)
下に
浅黄
(
あさぎ
)
色のセエヌを
瞰下
(
みおろ
)
し、ペツク
其他
(
そのた
)
の小さい
田舎
(
ゐなか
)
の村を隔てて
巴里
(
パリイ
)
の大市街を二里の
彼方
(
あなた
)
に見渡して居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
年
(
とし
)
の
頃
(
ころ
)
は三十
許
(
ばかり
)
、
身
(
み
)
には
丸味
(
まるみ
)
がかった
袖
(
そで
)
の
浅黄
(
あさぎ
)
の
衣服
(
いふく
)
を
着
(
つ
)
け、そして
膝
(
ひざ
)
の
辺
(
あたり
)
でくくった、
矢張
(
やは
)
り
浅黄色
(
あさぎいろ
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
き、
足
(
あし
)
は
草履
(
ぞうり
)
に
足袋
(
たび
)
と
言
(
い
)
った、
甚
(
はなは
)
だ
身軽
(
みがる
)
な
扮装
(
いでたち
)
でした。
頭髪
(
かみ
)
は
茶筌
(
ちゃせん
)
に
結
(
ゆ
)
っていました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
其は街道の近くにある田圃の中の
孤丘
(
こきゅう
)
を
削
(
けず
)
って其上に建てられた別荘で、質素な然し
堅牢
(
けんろう
)
なものであった。西には富士も望まれた。南には九十九里の海——太平洋の一片が
浅黄
(
あさぎ
)
リボンの様に見える。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
看護員は
犇々
(
ひしひし
)
とその身を
擁
(
よう
)
せる
浅黄
(
あさぎ
)
の
半被
(
はっぴ
)
股引
(
ももひき
)
の、雨風に
色褪
(
いろあ
)
せたる、
譬
(
たと
)
へば囚徒の幽霊の如き、
数個
(
すか
)
の物体を
眴
(
みま
)
はして、
秀
(
ひい
)
でたる
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めつ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お袋は取って六十七だが、白地の手拭は汚れっぽいからと言って、
浅黄
(
あさぎ
)
の手拭でなきゃ、どうしても使わねえ」
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
浅黄
(
あさぎ
)
ぼけのお
仕着
(
しきせ
)
、青白い額を
蔽
(
おお
)
う
五分月代
(
ごぶさかやき
)
、彼は、自分の肩や胸の薄ぺッたさを感じながら、砂利を見つめた。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紺
(
こん
)
ちりめんへ雨雲を
浅黄
(
あさぎ
)
と
淡鼠
(
ねずみ
)
で出して、稲妻を白く抜いた
単
(
ひとえ
)
に、
白茶
(
しらちゃ
)
の
唐織
(
からおり
)
を
甲斐
(
かい
)
の
口
(
くち
)
にキュッと締めて、
単衣
(
ひとえ
)
には
水色
(
みずいろ
)
太白
(
たいはく
)
の糸で袖口の下をブツブツかがり
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
浅黄
(
あさぎ
)
のずきんにうこんの袖なし、伊賀袴をはき一本差し、人形箱を胸へ掛けた、古風の
傀儡師
(
くぐつし
)
がうつ向き加減に、足のつま先を見詰めながら、すべるように右手を通って行く。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
貫一はかの客の間の障子を
開放
(
あけはな
)
したるを見て、
咥楊枝
(
くはへようじ
)
のまま
欄杆伝
(
てすりづた
)
ひに
外
(
おもて
)
を眺め行く
態
(
ふり
)
して、その前を
過
(
すぐ
)
れば、床の間に
小豆革
(
あづきがは
)
の
手鞄
(
てかばん
)
と、
浅黄
(
あさぎ
)
キャリコの風呂敷包とを
並
(
なら
)
べて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
浅黄
(
あさぎ
)
幕が落ちて、
口上
(
こうじょう
)
から
世話場
(
せわば
)
があいたというところだな」栄二はなにも聞かなかったような口ぶりで云った、「——うちで心配しているといけないから帰る、ありがとうよ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
老人も至極
道理
(
もっとも
)
のことゝ、ある住職にたのみ、岩次を仏門に帰依いたさせますると、それから因果塚建立という
文字
(
もんじ
)
を染ぬきました
浅黄
(
あさぎ
)
の
幟
(
のぼり
)
を杖にいたし、二年余も
勧化
(
かんげ
)
にあるき
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
手ぬぐいを首に巻きつけて行くもののあとには、火の用心の
腰巾着
(
こしぎんちゃく
)
をぶらさげたものが続く。あるいは
鬱金
(
うこん
)
や
浅黄
(
あさぎ
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
一枚になり、あるいはちょん
髷
(
まげ
)
に向こう
鉢巻
(
はちまき
)
という姿である。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小麦を粉にする日ならペムペルはちぢれた
髪
(
かみ
)
からみじかい
浅黄
(
あさぎ
)
のチョッキから
木綿
(
もめん
)
のだぶだぶずぼんまで粉ですっかり白くなりながら赤いガラスの水車場でことことやっているだろう。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
関のさびれた町に入って主人は作楽井が昨年話して呉れた古老を尋ね、話を聞きながらそこに持ち合っている伊勢詣りの
浅黄
(
あさぎ
)
の
脚絆
(
きゃはん
)
や道中差しなど私に写生させた。福蔵寺に小まんの墓。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
絹のごとき
浅黄
(
あさぎ
)
の幕はふわりふわりと幾枚も空を離れて地の上に
被
(
かぶ
)
さってくる。払い
退
(
の
)
ける風も見えぬ往来は、夕暮のなすがままに静まり返って、
蒼然
(
そうぜん
)
たる大地の色は刻々に
蔓
(
はびこ
)
って来る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仮髪
(
かつら
)
は前幕の通にて、着附は茶の細い
弁慶縞
(
べんけいじま
)
(木綿と見するも、実は姿を好くするため、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
を用ゐる)に、
浅黄
(
あさぎ
)
のもうか木綿の裏ついたる
袷
(
あわせ
)
と白紺の弁慶の縞の太さ一寸八分なる
単衣
(
ひとえ
)
とを重ね
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
美女
(
たをやめ
)
の
背後
(
うしろ
)
に
当
(
あた
)
る……
其
(
そ
)
の
山懐
(
やまふところ
)
に、
唯
(
たゞ
)
一本
(
ひともと
)
、
古歌
(
こか
)
の
風情
(
ふぜい
)
の
桜花
(
さくらばな
)
、
浅黄
(
あさぎ
)
にも
黒染
(
すみぞめ
)
にも
白妙
(
しろたへ
)
にも
咲
(
さ
)
かないで、
一重
(
ひとへ
)
に
颯
(
さつ
)
と
薄紅
(
うすくれなゐ
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
真新しい看板に『さざなみ』と書き、
浅黄
(
あさぎ
)
の
暖簾
(
のれん
)
に
鎌輪奴
(
かまわぬ
)
と染め出した入口、ヒョイと見ると、頭の上の
大輪飾
(
おおわかざ
)
りが、どう間違えたか裏返しに掛けてあるではありませんか。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“浅黄”の意味
《名詞》
薄い黄色。
(出典:Wiktionary)
浅
常用漢字
小4
部首:⽔
9画
黄
常用漢字
小2
部首:⿈
11画
“浅黄”で始まる語句
浅黄色
浅黄裏
浅黄繻子
浅黄幕
浅黄木綿
浅黄縮緬
浅黄無垢
浅黄地
浅黄鼠
浅黄絖