“長櫃”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ながびつ75.0%
ながもち12.5%
キャビネット6.3%
スンドゥーク6.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
脇船の底——長櫃ながびつの中——そこにあるのは永遠の悲恋と恐怖の闇ではないか。このかがやかしい光明ひかり微塵みじんもないのである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぢやによつて帝の行列の後から、三十人の力士もえくまじい長櫃ながびつ十棹とさをの宰領を承つて、ほど近い御所の門まで、鼻たかだかと御供仕つた。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
次第に多くなって防ぐことができないので、長櫃ながびつの中へ入れておくうちに七月十一日になって死んでしまった。
四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼が客に見せたいと思う古文書なぞは、取り出したら際限きりのないほど長櫃ながびつの底にうずまっている。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「されば、今すぐに俵一八郎と一緒に積み込むつもり、その長櫃ながびつをあれまで持ちだしてくれと申すのじゃ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お高はあがって往った。二階は昇口の処に三畳敷位の空間をおいて箪笥たんす長櫃ながもちを置いてあった。平吉は窓の傍に渋紙包を持って立っていた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
だんだん人影が近づいたがこれは田舎の婚礼であった、黒いのは一箇の両掛りょうがけで、浅黄あさぎ模様の被布おおいをした長櫃ながもちあとに一箇
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
平吉は長櫃ながもちふたけた。中には松に鶴の模様のある懸蒲団かけぶとんが三枚入っていた。裏は萌黄もえぎであった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と云うのは、奥の長櫃キャビネットの上で、津多子夫人は生死を四人のさいの目に賭けて、両手を胸の上で組み、長々と横たわっているのであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「あたしにシャベルで戸の外へ追ひ出して貰ひ度いとでもいふの? ほんとにあんた達は、そろひもそろつて、忍びこみの名人ばかりだわ。おとつつあんの留守をすぐに嗅ぎつけるんだもの。ええ、あたし、ちやんとあんた達のことは知つててよ。それはさうと、あたしの長櫃スンドゥークはもう出来て?」