長櫃ながもち)” の例文
二階は昇口の処に三畳敷位の空間をおいて箪笥たんす長櫃ながもちを置いてあった。平吉は窓の傍に渋紙包を持って立っていた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
黒いのは一箇の両掛りょうがけで、浅黄あさぎ模様の被布おおいをした長櫃ながもちあとに一箇、れも人夫にんぷかついで
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
微暗うすぐらい土蔵の中には中央なかほどに古い長櫃ながもちを置いて、その周囲まわり注連縄しめなわを張り、前に白木の台をえて、それにはさかきをたて、その一方には三宝さんぽうを載っけてあった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
平吉は長櫃ながもちふたけた。中には松に鶴の模様のある懸蒲団かけぶとんが三枚入っていた。裏は萌黄もえぎであった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)