大聲おほごゑ)” の例文
新字:大声
さてはや、念佛ねんぶつ題目だいもく大聲おほごゑ鯨波ときこゑげてうなつてたが、やがてそれくやうによわつてしまふ。取亂とりみださぬもの一人ひとりもない。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かの新婦はなよめ——即ち大聲おほごゑによばはりつゝ尊き血をもてこれとえにしを結べる者の新婦——をしてそのいつくしむ者のもとくにあたり 三一—三三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
大學者だいがくしやさまがつむりうへから大聲おほごゑ異見いけんをしてくださるとはちがふて、しんからそこからすほどのなみだがこぼれて、いかに強情がうじやうまんのわたしでも
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
締直しめなほし支度をして行んとする故彼方かなたに居る雲助共は大聲おほごゑあげヤイ/\よくそんな事でいける者か何でも乘てもらへ/\今時生若なまわかい者が大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝鮮牛てうせんうし大分だいぶ輸入ゆにふされたがいねころのやう身體からだ割合わりあひ不廉たかいからどうしたものだかなどといふことが際限さいげんもなくがや/\と大聲おほごゑ呶鳴どなうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
小舎こやかへつてからもなほ、大聲おほごゑきながら「おつかあ、おいらはなんで、あのがんのやうにべねえだ。おいらにもあんないいはねをつけてくんろよ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あしをばた/\やつて大聲おほごゑげていて、それでらず起上おきあがつて其處そこらのいしひろひ、四方八方にけてた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大聲おほごゑ搖醒ゆりさますものがあるので、おどろいてさますと、此時このときまつたれて、部室へや玻璃窓がらすまどたうして、ながむるうみおもには、うるはしき星影ほしかげがチラ々々とうつつてつた。
過去くわこことおもすものは、兩眼りやうがんくじつてしまひませう。リユバフキン!』と、かれ大聲おほごゑたれかをぶ。郵便局いうびんきよく役員やくゐんも、來合きあはしてゐた人々ひと/″\も、一せい吃驚びつくりする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たかしは夕方幸子を抱いて、樂しさうな讃美歌を大聲おほごゑで歌ひながら、砂山から海の方へ行つた。そしてまた小高い砂山の上に立つて空を見上げながら、大聲おほごゑで歌を唄つた。
(旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
莫迦ばかなことを!』とあいちやんは大聲おほごゑ嚴然げんぜんひました。女王樣ぢよわうさまだまつてしまはれました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
乾漢こぶんらしいのが、大聲おほごゑで『一個ひとつ百兩ひやくれうにでもれるのなら、つてもい』とふ。
普請小屋ふしんごや材木納屋ざいもくなやまへさけらず、與吉よきち狂氣きやうきごと大聲おほごゑで、このまへをもよばはつて歩行あるいたのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くのかあ」とまだねむらなかつた船頭せんどう突然とつぜん特有もちまへ大聲おほごゑ呶鳴どなつた。おつぎはおどろいてまたさん土手どてはしつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
引開ひきあけ見ればお光はすでにはや庄兵衞をば刺留しとめつゝ今や自害じがいをなさんとする景樣ありさまなるに大きに慌忙あわてヤレまてしばしと大聲おほごゑあげんとなししが夜隱やいんのこともしも長家へ漏聞もれきこえ目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いたつて元氣げんきな、壯健さうけんな、立派りつぱしろ頬鬚ほゝひげの、快活くわいくわつ大聲おほごゑの、しかい、感情かんじやうふか人間にんげんである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
大聲おほごゑで『雲飛うんぴ先生せんせい、雲飛先生! さう追駈おつかけくださいますな、わづか四兩のかねで石を賣りたいばかりに仕たことですから』と、あだか空中くうちゆうひとあるごとくにさけるのに出遇であつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
なぜれをころさぬ、ころさぬか、れも三五らうたゞぬものか、幽靈ゆうれいになつても取殺とりころすぞ、おぼえて長吉ちようきちめと湯玉ゆだまのやうななみだをはら/\、はては大聲おほごゑにわつといだ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このをとこ正直せうじきだから、猛狒ゴリラ退治たいぢ手柄話てがらばなし勿論もちろん自分じぶん大失策おほしくじりをも、人一倍ひといちばい大聲おほごゑでやツて退けた。
そして遠い砂山の上に立つて、落日に顏を赤くそめながら、夕風に髮をふかれて、大聲おほごゑで歌を唄つてるわが夫と我子とを見た。彼女は彼とともに大聲を出して歌を合せやうとした。
(旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
夫人ふじんきふ大聲おほごゑつたので、あいちやんは喫驚びツくりしてあがりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
被害者ひがいしや駐在所ちうざいしよけつけるに、はたけとほくにはなれ/″\にらばつて百姓等ひやくしやうらことごとれをつた。被害者ひがいしや途次みちみち大聲おほごゑして呶鳴どなつてつたからである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わいたわいたと大聲おほごゑびあるきてのわきたるをふれらす、江戸えどにはきことなり——とあり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『イヤ、中黒ちうぐろです。』と滑※こつけいなる兵曹へいそう一言いちごんに、大佐たいさも、濱島はまじまも、わたくし大聲おほごゑわらくづるゝとき春枝夫人はるえふじんやさしいは、はるか/\のみなみほうみづそらとをなつかしさうながめてつた。
道々みち/\も一ぷん絶間たえまもなくしやべつゞけて、カフカズ、ポーランドを旅行りよかうしたことなどをはなす。さうして大聲おほごゑ剥出むきだし、夢中むちゆうになつてドクトルのかほへはふツ/\といき吐掛ふつかける、耳許みゝもと高笑たかわらひする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
乞ふに内にては大聲おほごゑあげどうれと云て立出る長庵を見るよりはやく千太郎是は/\伯父樣をぢさま此間このあひだは御出下され段々だん/\の御世話忝けなし偖御約束の通り今日參上さんじやう致せしと云ふに長庵いと不審いぶかしげに小首こくび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おい山田やまだりてい、と二階にかい大聲おほごゑぶと、ワツといひさま、けたゝましく、石垣いしがきくづれるやうにがたびしとりて、わたし部屋へや一所いつしよになつた。いづれも一言ひとこともなし。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
のゝしるか、わらふか、ひと大聲おほごゑひゞいたとおもふと、あの長靴ながぐつなのが、つか/\とすゝんで、半月形はんげつがた講壇かうだんのぼつて、ツと一方いつぱうひらくと、一人ひとりまつすぐにすゝんで、正面しやうめん黒板こくばん白墨チヨオクにして
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大聲おほごゑわめいてるのがよくきこえた。まだ、わたしたち朝飯あさめしまへであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)