さく)” の例文
そして二まい大畫たいぐわ今日けふ所謂いはゆ大作たいさく)がならべてかゝげてあるまへもつと見物人けんぶつにんたかつてる二まい大畫たいぐわはずとも志村しむらさく自分じぶんさく
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大慈大悲の仏たちである。大して御立腹もあるまいけれども、さくがいいだけに、またたきもしたまいそうで、さぞお鬱陶うっとうしかろうと思う。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さい近廣津和郎氏が「さまよへる琉球りうきう人」といふさくしゆこうにした青年がどうもその青年と同一人らしいので、わたしはちよつとおどろいてゐる。
宋人そうひと彭乗はうじやうさく墨客揮犀ぼくかくきさい鄂州がくしうそう无夢むむしかばね不埋うづめず爪髪つめかみのびたる義存ぎぞんに同じかりしが、婦人の手になでられしより爪髪のびざりしとぞ。
「駄目だよ。旦那だんなが気がないから」さくと云うその男はうつむいたまま答えた。「もう楮のなかから小判の出て来る気遣きづかいもないからね」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
けれども、時代じだいさきまをしたようですから、そのおさくも、自然しぜんおもしろさがかたよつてゐて、完全かんぜんなものとはまをげることが出來できません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
が、どうして忠相ただすけが、このさく爺さんの前身を知っていたか、また、それをいかにして柳生へ通じたか、くわしいことはわからないけれど。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ある雑誌へ、ある人のさくを手紙を付けて紹介する約束がある。この二三箇月中に読むはずで読めなかった書籍は机の横にうずたかく積んである。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
下総しもうさでは、印旛いんば新橋にっぱしあしさくという所に、これは頼朝の御家人ごけにんであった千葉介常胤ちばのすけつねたねの箸が、成長したという葦原があります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
みんなは、陶器とうきについて、見分みわけるだけの鑑識かんしきはなかったけれど、そういわれてのぞきますと、さすがに名人めいじんさくだというこりました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さくやん」とだけ呼ばれていた、四十恰好の、背に岩見重太郎の彫青いれずみをほどこした小柄な男——その男が怪しいと思われた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
こうを乞うとはいえ、決して信長にあわれを求めているのではない。さく二州の強兵と一族郎党はなお健在であるのだ。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸福しやわせならぬことおのづから其中そのうちにもあり、おさくといふむすめ桂次けいじよりは六つの年少とししたにて十七ばかりになる無地むぢ田舍娘いなかものをば、うでもつまにもたねばおさまらず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
友「左様で、お金物はこれは目貫物めぬきもので飛んだ面白いもので、さく宗乘そうじょうと申しますが、銘はございませんが宗乘と云うことでございます、これは良いほりでげす」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると、そうした不吉な予感の渦巻の中心に何よりも先に浮かんだのは、女房のおさくの白い顔であった。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
桶取おけとり」、「大仏」が出たあとで、五番目に「さくこう」と云う名取の娘の「江戸みやげ」が済み、今休憩の時間に這入ってお茶やちらしずしの接待が始まっていた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あっしもきょうまで、これぞとおもった人形にんぎょうを、七つや十はこさえてたが、これさえ仕上しあげりゃ、んでもいいとおもったほど精魂せいこんうちんださくはしたこたァなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
小作料があまり酷なために、村の人が誰も手をつけない石ころだらけの「野地やじ」を余分に耕やしていた。そこから少しでもさくをあげて、暮しのたしにしようとしたのである。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
それから、あれもたしかに綺堂さんのさくと思つたが、菊五郎、梅幸で演じた「お化け師匠」踊りの師匠の妄念——それから小説では半七捕物帳の中の「むらさき鯉」その他。
八歳の時の憤激 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
に身請する人ありといつはりて五十兩の金をかたとり種々しゆ/″\惡計あくけいはたらきし其根元こんげんたづぬるに國は三しう藤川ふぢかは近在きんざい岩井村いはゐむらの百姓にさく十と云者あり夫婦のなかに子供兩人有てあにを作藏舍弟おとゝ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
無論家宝として高橋君の愛玩あいがんかざる光広みつひろさく千匹猿せんびきざるつばもどこへ往ったか判らなかった。
千匹猿の鍔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これはさくのいいせいだ——と勘八もなんとなくそう思って、つくづくながめると、いよいよすごくなってくるので、これはトテモ子供のおもちゃには向かないわいと思いました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
梯子はしご乗りの上手なさくでも、若旦那にはかなわんいいよりますわい。
屋上の狂人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「つまらねえさくなんか抜きにして——それっきりか」
「今は照り続ける方がさくの為めに好いんだ」
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
さくろとて
野口雨情民謡叢書 第一篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
宋人そうひと彭乗はうじやうさく墨客揮犀ぼくかくきさい鄂州がくしうそう无夢むむしかばね不埋うづめず爪髪つめかみのびたる義存ぎぞんに同じかりしが、婦人の手になでられしより爪髪のびざりしとぞ。
『まだきたい。御身おみさくはだなめらかぢやらう。が、にくはあるか、れて暖味あたゝかみがあるか、木像もくざうつめたうないか。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こんなすぐれたうたが、しかも非常ひじようたふと方々かた/″\のおさくてゐるにかゝはらず、世間せけん流行りゆうこうは、爲方しかたのないもので、だん/\、わるほうへ/\とかたむきました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
なかなかいいさくだ。よほどふるいものだ。わたしはまだこれよりもいいものをたことがあったが、このぞうもなかなかいい。けているのはしいものだ。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
幸福しやわせならぬ事おのづからそのうちにもあり、おさくといふ娘の桂次よりは六つの年少とししたにて十七ばかりになる無地の田舎娘いなかものをば、どうでも妻にもたねば納まらず
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どうも誠に斯様かやう御名作ごめいさく出来できませんもので、じつ御名作ごめいさくで、天下てんか斯様かやうなおさく沢山たくさんにございますまい。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
肝心の名前を忘れたと見えて、欄外と云ふ様な所に野々宮宗八どのとかいてあつた。此欄外には其外二三件ある。さく青馬あをが急病で死んだんで、作は大弱りでゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
新吉しんきちがおさくを迎えたのは、新吉が二十五、お作が二十の時、今からちょうど四年前の冬であった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
田神農神またはさくの神が、始めて田に降りたまう日は大体に旧暦二月の中頃ときまっている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
とにかく文壇ぶんだんでもわかさくたちあいだにだいぶはやり出したといふ。くわん西では令孃れいぜう人のあいだに大りう行だといふ。球突たまつき趣味しゆみは今のところひろまつて行くばかりらしい。(一五、二、一六)
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「りっぱなさくゆきじゃなあ。品行といい、味わいといい、たいしたものじゃナ」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さくをつくりなさい、蕎麦そば、大根、蕪菁かぶら、にんじんなどをたくさんお作りなさい、あわひえ、大豆などは勿論のこと、すべて食料になるものは念を入れてお作りなさいとすすめ、御自分では
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「では、その御褒美のおつもりなのでしょう。いッそありがたくいただいておきなされませ。そして、いちばい御精ごせいをこめて、いつかいちどいおさくを打って、お目にかけたらよいではありませんか」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妙子は大阪のさくいね師匠の所へ通って舞の練習を続けていた。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
つかはすとの御意にていとまになり又たさくの方もすぐながの暇となり意伯と夫婦に成べしとの御意にて是も五人扶持くだし置れしかば意伯いはくはお作の方と熊野くまの山奧やまおく蟄居ちつきよし十七年目にて御目通りなし又増扶持として五人扶持下し置れ都合つがふ十五人扶持にて平野村ひらのむらに住居し名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
で、たゞちに木材もくざい伐更きりあらためて、第二だいにざうきざみはじめた。が、またさくたいする迫害はくがい一通ひととほりではないのであつた。ねこんで行抜ゆきぬける、ねずみかじる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ああ、さくは、まずもうぶんなしといっておこう。ただ、けているのがしい。」と、金持かねもちはいいました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
可愛想かわいそうなことをとすこなみだくんでおさくをかばふに、それは貴孃あなた當人たうにんぬゆゑ可愛想かわいさうともおもふからねど、おさくよりはれのほうあはれんでくれてはづ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かういふと、不思議ふしぎおもかたがあるかもれません。あなたがた御覽ごらん書物しよもつには、たいてい短歌たんかおこりを、神代かみよのすさのをのみことのおさくからとしてゐるでせう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
伊太利いたりー著作家ちよさくかいたつて流行りうかうの人があつて、其処そこ書林ほんやから、本をあつらへまするに、今度こんど何々なに/\さくをねがひますとたのみにきまする時に、小僧こぞう遣物つかひものを持つてくんです。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すぐ起きて下へ降りると、銀杏返いちょうがえしの上へ白地の手拭てぬぐいかぶって、長火鉢ながひばちの灰をふるっていたさくが、おやもう御目覚おめざめでと云いながら、すぐ顔を洗う道具を風呂場へ並べてくれた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ヨウさく爺ちゃん、泰軒小父たいけんおじちゃん、これはいったい、どうしたというんですイ?
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
久米一は元より柿右衛門の神経質なさくを嫌い、古伊万里こいまりの老成ぶったのはなおとらなかった。で、この増長天王にあらん限りの華麗と熱と、若々しさとほこりと、自分の精血せいけつそそごうとする意気をもった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうしてその後へはすべてさくを作る方針にして居る。