以上いじょう)” の例文
ちんは、もっとそれ以上いじょうのもの、永久えいきゅう平和へいわもとめているのじゃ。はやく、ちんいしになり、くさになり、なんじ魔法まほうでしてもらいたい。」
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなことをしているあいだに、かねをのせた牛車ぎゅうしゃはもうしんたのむねをおりてしまっていた。五ねん以上いじょうものは、がせいてたまらなかった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
自分は十だいから花前と懇意こんいであって、花前にはひとかたならず世話せわにもなったが、自分も花前のためにはそうとう以上いじょうにつくした。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ミリガン夫人ふじんが両親のことを言いださなかったなら、わたしは親方がくれた十分の時間以上いじょうをさようならを言うためについやしたであろう。
百姓家ひゃくしょうや裏庭にわで、家鴨あひるなかうまれようとも、それが白鳥はくちょうたまごからかえ以上いじょうとりうまれつきにはなんのかかわりもないのでした。
しかし今日こんにちところでは病院びょういんは、たしか資力ちから以上いじょう贅沢ぜいたくっているので、余計よけい建物たてもの余計よけいやくなどで随分ずいぶん費用ひようおおつかっているのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その御同情ごどうじょうふかいこと、またその御気性ごきしょう素直すなおなことは、どこの世界せかいさがしても、あれ以上いじょう御方おかたまたとあろうとはおもわれませぬ。
すると、川のみず一向いっこういていませんが、まさかとおもっていたはしが、半分はんぶん以上いじょうも、みごとにその上にかかっているので、びっくりしました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
蔦之助つたのすけむちも折れろとばかり、ぴゅうッと馬背ばはいを打ってさけんだ。馬もはやいがより以上いじょうに、こころは三方みかたはらにいっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはけん規則きそく全級ぜんきゅうの三分の一以上いじょう参加さんかするようになってるからだそうだ。けれども学校へ十九円おさめるのだしあと五円もかかるそうだから。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
申立もうしたて拒否きょひしたとなつたら、それをいてわせる権限けんげん警察けいさつにもない。訊問じんもんはこれ以上いじょうにはあまりすすまなかつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
「それがようござる。およばずながら愚老ぐろう看護かんごして以上いじょう手落ておちはいたさぬかんがえじゃ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
彼はルイザとおなじように小柄こがらで、せていて、貧弱ひんじゃくで、少し猫背ねこぜだった。としのほどはよくわからなかった。四十をこしているはずはなかったが、見たところでは五十以上いじょうに思われた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
男親おとこおやかなしさには、とうさんはそれ以上いじょうのことをおはつたずねることも出来できなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お坊さんは、法師のようすがあまりへんなので、これはすこしあやしい、もしかしたら悪霊あくりょうにでもとりつかれたのかもしれない、と思って、それ以上いじょうは、ききただそうとしませんでした。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ずっとしまいのほうをんでいるガンたちは、ガチョウがもうこれ以上いじょうついていけそうもないのを見てとりますと、クサビがた先頭せんとうになって、みんなをみちびいているガンにむかって呼びかけました。
「おまえさんはこの子のためにだれか金を出さない以上いじょう、自分のうちにいてやしなっていることはいやだという、それにちがいないのだろう」
横合よこあいから飛びだしゃあがって、なにをてめえなんぞの知ったことか。いたふうな文句もんくをつける以上いじょうは、この喧嘩けんかを買ってでるつもりか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尼寺あまでらて、ぼくはびっくりした。まるでおまつりのときのような人出ひとでである。いや、おまつりのとき以上いじょうかもれない。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
しかし、わたしは、のせいだとは、しんじられませんでした。けれど、それ以上いじょういいることは、できませんでした。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしすでに監獄かんごくだとか、瘋癲病院ふうてんびょういんだとかの存在そんざいする以上いじょうは、たれかそのうちはいっていねばなりません、貴方あなたでなければ、わたくし、でなければ、ほかものが。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ただそれが事実じじつである以上いじょうよんどころなく申上もうしあげるようなものの、けっしてけっしてわたくしになってわけでもなんでもないことを、くれぐれもおふくみになっていただきとうぞんじます。
子宮脱しきゅうだつはかれこれ六時間以上いじょうになるという。いちばん高い牛だから、気が気でないという。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そして一った以上いじょう、たとえ一粒種ひとつぶだね大事だいじむすめでも、七日なのかのうちには長持ながもちれて、よるおそくおやしろまえまでかついでいって、さしげるとすぐ、あとかえらずにかえってなければなりません。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
でもわたしたちは力を合わせて、やがて先生と生徒せいとの美しい協力一致きょうりょくいっちから、ほんとうの天才以上いじょうのものができるようになった。
「すでに伊那丸君いなまるぎみがごさいごとわかった以上いじょうは、いさぎよくおともをして、臣下しんか本分ほんぶんをまっとういたしとうござります」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、ごんごろがね最後さいごに三つずつらさせてもらうこの「配給はいきゅう」は、お菓子かし配給はいきゅう以上いじょうにみんなに満足まんぞくをあたえた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
上流社会じょうりゅうしゃかいでも卑劣ひれつなこと以上いじょうにはその教育きょういく程度ていどのぼらんのですから、まった下等社会かとうしゃかいすこしもことならんのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こう一は、それ以上いじょう、ほんとうだとしんじさせるようにいえないことを、至極しごく残念ざんねんおもいました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
答『妊娠にんしんする以上いじょうさんもある。そのさい女性じょせい竜神りゅうじん大抵たいていどこかに姿すがたかくすもので……。』
主人は細君をそれほどおもんじてはいないが、ただ以上いじょうてんをおおいにけいしている。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
わたしはおかみさんに打ち明けて一斤半でたくさんだというわけを話して、それ以上いじょうらないようにていねいにたのんだ。
かれは、しばらく、人間にんげんがなにをしようと、するままにだまって、ていようとおもいました。くまは、人間にんげんは、けっして、これ以上いじょうなんにもしないということをったのであります。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人は以上いじょうの話を総合そうごうしてみて、残酷ざんこく悲惨ひさん印象いんしょうを自分の脳裏のうりきんじえない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
このときからわたしは我知われしらずかの女を、なにか後光につつまれた人間以上いじょうのものに思うようになり、それが白い大きなつばさをしょってはいないで
秀吉ひできちは、双眼鏡そうがんきょうというものを、はじめて、のぞいたのでした。しかしつき世界せかい秘密ひみつ肉眼にくがん以上いじょうに、わからなかったのでした。いくらか、はっきりするぐらいなものです。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしの質問しつもんを受けると、父親はじっとわたしの顔を見つめた。けれどわたしはこの場合できそうに思っていた以上いじょうだいたんに、かれの顔を見返した。するとかれはにっこりした。
校舎こうしゃ日蔭ひかげのところにって、あずまが、一人一人ひとりひとりからかねっていました。一人ひとりが、十せん以上いじょう寄付きふをすれば、そのかねもとめたドッジボールの遊戯ゆうぎくわわることができるのでした。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白瀬大尉しらせたいいや、アムンゼンや、シャツルトンらの探検たんけんした南極なんきょくや、北極ほっきょくには、いつも三十メートル以上いじょう暴風ぼうふういているそうだ。その氷原ひょうげん探検隊たんけんたいは、自分じぶんたちの国旗こっきをたてたんだ。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし小学校しょうがっこう卒業そつぎょうすると、うちがどちらかといえばまずしかったので、それ以上いじょう学校がっこうへやることができなかったのであります。龍雄たつおは、毎日まいにちぼうってむらうちをぶらぶらあるいていました。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それはそれは、わたしのところもわるいできでしたが、あなたのところは、それ以上いじょうわるいようですね。ほんとうにおどくなことです。さぞおこまりでございましょう。」と、おつはいいました。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いましも、サフランのはなびらのように、また石竹せきちくはなのように、うつくしくったくもながら、あわれないざるは、しかし、自分じぶんちいさなあたまはたらきより以上いじょうのことはかんがえることができませんでした。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そう、運命うんめいとは、人間にんげんちから以上いじょうのものとでもいうのかな。」
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんという人間にんげんは、かみ以上いじょうちからっていることだろう。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)