道理どうり)” の例文
いや、ごもっとものはなしです。おそらく、みんながこまっているからでしょう。そして、あなたが、しなさるのも道理どうりおもいます。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これ勝伯の当時においてもっとも憂慮ゆうりょしたる点にして、吾人はこれを当時の記録きろくちょうしてじつにその憂慮のしかるべき道理どうりを見るなり云々うんぬん
『いやわたくし哲学者てつがくしゃでもなんでもい。が、これを主張しゅちょうするのは、おおい各人かくじん義務ぎむだろうとおもうのです、これは道理どうりのあることで。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
午睡ひるねする人達ひとたちもあわててとびき、うえしたへの大騒おおさわぎをえんじたのも道理どうり、その来客らいきゃくもうすのは、だれあろう、ときみかどうず皇子みこ
それも道理どうり、金博士のこの実験室は、上海の地下二百メートルのところにあり、あの小うるさい宇宙線も、完全に遮断しゃだんされてあるのであった。
内部ないぶ案外あんがい綺麗きれいでありますから、ちょっとこゝで住居じゆうきよしてもよいとおもふほどであります。道理どうりときには乞食こじきなどが、この石室せきしつんだりしてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そしてしずかなところを、もとめて林の中に入ってじっと道理どうりを考えていましたがとうとうつかれてねむりました。
手紙 一 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
幸に部内の人は私を知っており、物の道理どうりをわきまえ、私を支持してくれたが、門を出ずれば四面楚歌しめんそかの声だ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
くらゐいたゞいても、そなたになれてなんとしよう。しかし、宮仕みやづかへをしてもなねばならぬ道理どうりはあるまい」
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
私の形を見て、お心持が悪くなったなんぞって事は、ちっとも話しませんから、知ろう道理どうりはないのです。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大人おとなたちは、やれやれ、といったかおつきをした。みんな、庵主あんじゅさんがしようのない頑固者がんこものであることをっていたからだ。しかし庵主あんじゅさんのいうことも道理どうりであった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
もちろんかういふうたをまねたものがおほいからといつて、日本につぽん文學ぶんがく悲觀的ひかんてき文學ぶんがくだなどゝ、よくも道理どうりらないで、一概いちがいにばかにしてかゝるのはいけないくせだとおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
これでは民草たみくされるわけである。おかみのご宸念しんねんのたえない道理どうりである。気をわるくするかもしれないが、そなたの祖父そふ信玄しんげんほどの人物も、そのひとりだといわなければならない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとより紛議ふんぎ葛藤かつとうおそるゝところでない、正理せいりわれにあるのだが、しか※里ばんり波濤はたうへだてたる絶島ぜつとうおいて、すで唯一ゆいいつ確證くわくしようたる日章旗につしようき徹去てつきよされたるのちは、われに十二ぶん道理どうりがあつても
太郎「なるほどそうかねえ、道理どうり清正きよまさもんとおんなじだとおもつたよ」
道理どうりでぽかんとしてるとおもつた。うかしたんですか。風邪かぜですか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「だが、てよ。のなかにゃあ、まだ道理どうりってものがあらあな。」
らすべしとのたまひしかど元來もとよりおとせしは粗忽そこつなりかれしも道理どうり破損そこねしとてうらみもあらずましてやかはりをとののぞみもなしれは亡母なきはゝ紀念かたみのなれば他人ひとたてまつるべきものならずとてひろあつめてふところにせしを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
したがつて慘害さんがいすくなくなる道理どうりです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
人間にんげんには、だれにも、できることと、できないこととがあるものだ。」と、道理どうりのわかったひとはいいましたが、わからないものは
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
道理どうりで、毒酒毒蛇も平気だし、弾丸たまにあたっても、壁にぶつけられても死なないはずであった。
それもわるいとはもうさぬが、しかし一しょうますには一しょう分量ぶんりょうしかはいらぬ道理どうりで、そなたの器量うつわおおきくならぬかぎり、いかにあせってもすべてがちるというわけにはまいらぬ。
泣き虫の蛾次郎がじろうおよび親方おやかた卜斎ぼくさいまでが、なにを見てそんなにぼうぜんとしているのかと思えば——それも道理どうり、ふしぎ! イヤふしぎなどというなまやさしい形容けいようをこえた、あるべからざる事実じじつ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三郎さぶろうさまと申のなり此頃このごろたまひしは和女そなた丁度ちやうど不在るすときよ一あしちがひに御歸宅ごきたくゆゑらぬのは道理どうりひかけてお八重やへかほさしのぞき此願このねがかなはゞ生涯しやうがい大恩だいおんぞかしくどうははぬこゝろこれよとはすうれしきいろはあらはれたり
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
正吉しょうきちくんがをまるくしたのも道理どうりです。ときねえさんのっているうつくしいきりのばこが、まえから正吉しょうきちくんはほしくてならなかったのです。
「そんなことをぼくに聞いてもわかる道理どうりがない。捜査するのはあなたたちの仕事でしょう。徹底的にさがしたらいいでしょう。かまいませんから、邸内どこでもおさがしなさい」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひと一ばい熱心に見入みいるのも道理どうりなわけ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
びたりとかやまいもとはお前様まへさまはるゝも道理どうりなりらざりしわれうらめしくもらさぬきみうらめしく今朝けさ見舞みまひしときせてゆるびし指輪ゆびわぬきりてこれ形見かたみとも見給みたまはゞうれしとて心細こゝろぼそげにみたる其心そのこゝろ今少いますこはやらばくまでにはおとろへさせじを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かあさんは、じつにものの道理どうりのわからないひとでありましたけれど、おとうと三郎さぶろうはこのあねしたい、そのいうことをよくきく、いいでありました。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それも道理どうりで、ジュリアはいま舞台に出て喜歌劇きかげきを演じているところだった。舞台の横のカーテンの陰には批評家らしい男が二人、肩をかさねんばかりにして、ジュリアの熱演に感心していた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「その心配しんぱい道理どうりである。が、おじいさんは、ほんとうにそうした理想りそう世界せかいっているのだろうか。」と、冒険好ぼうけんずきな、ケーがんがいいました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼等の顔のハッキリしないのも道理どうりです。まったくは、顔というものが無いのです。頭のない生物です。頭のない生物が、まるで檻の中にひしめきあう大蜥蜴おおとかげむれのように押し合いへし合いしているのです。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
みんなは、うすい着物きものしかきていません。また、それほどいろいろのものをっている道理どうりとてありません。まったく、まずしいひとたちでありました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、そうだったの。道理どうりで、お元気な声だと思ったわ」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だっていぬがなんにもしないのに、いぬをしかる道理どうりがない。これは人間にんげんのほうが、かえってわるいのじゃありませんか。
少年の日の悲哀 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、これでは返事がなかったのも道理どうりである。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きよしくんは、いえはいってから、すずめをおとうさんにわたすと、おとうさんは、すずめをてのひらにのせて、しばらくかんがえていられましたが、なまなか道理どうりをいいきかせて
すずめを打つ (新字新仮名) / 小川未明(著)
なるほど、これは道理どうりである。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そうとも、たとえ人間にんげんほどに道理どうりがわからなくとも、おれたちにだって義理ぎりはあるからな。」といいました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ははあ、よそのものはみても、わたしをばみられないとおっしゃるのだな。どうせ、この老耄おいぼれはくたばるのだからいいけれど、そうした道理どうりというものはないはずじゃ。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういうふうに、おまえがあの半分はんぶんうたがってみるのも道理どうりだけれど、ばかというものじゃない、ただちがっているだけだ。あのには、学問がくもん学問がくもんといわぬほうがいいよ。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生せんせい、なんでもうすこし容易たやす道理どうりがわかるように、そのひと算術さんじゅつつくらなかったのでしょうか。わたしには、むやみに暗誦あんしょうしたり、法則ほうそくおぼえてしまうことができないのです。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
子曰夫孝天之経也しのたまわくそれこうはてんのけいなり地之義也ちのぎなり民之行也たみのこうなり。——このけいは、サダマリというのだ。そして、は、ここでは道理どうりという意味いみであって、たみすなわひとこうはこれをツトメというのだ。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なんだろう?」と、あしめて、それをひろげました。なかなかおもいのであります。つつみをいてみて、おどろきました。おもいのも道理どうりで、ふくろ小判こばんがたくさんはいっていました。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「や、や、それなら、あなたは、まさしく天女てんにょでいらっしゃいますか。道理どうりで、人間にんげんにしては、あまりりっぱすぎるとおもいました。」と、きゅう若者わかものは、ようすをあらためました。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんなにみんなのためにつくしていて、それでばかにされる道理どうりはないはずだわ。
人間と湯沸かし (新字新仮名) / 小川未明(著)
普通ふつうかんがえてみても、そんなことをいったとて、汽車きしゃがとまる道理どうりがありません。けれどこのとしとったおとこは、いまにもとまりはしないかと空想くうそうえがきながら、汽車きしゃつめていました。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、母親ははおやのいうように、着物きもの粗末そまつときれいとによって、ころされたり、ころされなかったりすることが、あろう道理どうりがないとかんがえて、母親ははおやことばを、そのまましんずることはできませんでした。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あなたは勉強べんきょうしないんでしょう。勉強べんきょうをしてわからない道理どうりがない。」
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、どこにしんせつな、よく道理どうりのわかる人間にんげんんでいるかということもっています。わたしは、今日きょうから、あなたのおかあさんになって世話せわをしてあげますから……さあ、まいりましょう。
酒屋のワン公 (新字新仮名) / 小川未明(著)