災難さいなん)” の例文
勇蔵ゆうぞうわってあかぼうりをしながら、ボールをていた達吉たつきちみみへも、一人ひとり子供こどもんできて、伯父おじ災難さいなんらせました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
さらに聞き入ず否々和主達おまへたちが殺したりと云には非ず御知らせ有しは少しの災難さいなん手續てつゞきなればやむを得ず夫ともたつて止まるをいなとならばなは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そしてその王女のために、おそろしい災難さいなんにあうことになろう。だから、そういうことのないように、ようく気をつけてやってもらいたい。
ですから、うっかりじょうだんにうらないなどをてると、それがほんとうになって、とんだ災難さいなんをうけることがあるものです。
夢占 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
野球ボール其樣そん災難さいなんいから、毎日まいにち/\さかんなものだ、丁度ちやうど海岸かいがんいへから一ちやうほどはなれて、不思議ふしぎほど平坦たいらか芝原しばはらの「ゲラウンド」があるので
つまり、はらをたてて、そのことを言いにきたのです。たしかに、コウノトリのやりかたでは、この災難さいなんをふせぐことはとてもできないでしょう。
やかたがわになってみれば、何千がんといっても多寡たか馬糧まぐさで、いてもしいものではあるまいが、でるにでられない蛾次郎と竹童こそ災難さいなんである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんとまあ、災難さいなんな頭の瘤だろう。ちょうど、頭のてっぺんにある。弟までに、その痛いところをなぐりつけられて……。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのほかには事業じぎょう成功せいこう祈願きがん災難さいなんけの祈願等きがんとういろいろございます。これはいずれの神社じんじゃでもおそらく同様どうようかとぞんじます。
これがほかの場合だったら、こんな災難さいなんに会えば、どんなにくやしかったかしれない。だが、わたしはもうどらきもりんごのものも思わなかった。
私がこんな災難さいなんった以上お前も盲目になって欲しいと云う意であったかそこまでは忖度そんたくし難いけれども
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
僕などは何か災難さいなんに出合ひ、誰かに同情して貰ひたき時には、まづ未醒老人に綿々と愚痴ぐちを述べるつもりなり。もつとも実際述べたことは幸ひにもまだ一度もなし。
田端人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
家を出るときの、お母さんにたいしてのぶあいそをいたのである。三時間目の唱歌しょうかのとき、女先生は思いついて、生徒をつれ、災難さいなんをうけた家へお見舞みまいにゆくことにした。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
そうでもござんしょうが、いちどんこそ災難さいなんだ。んにもらずにおともて、おせんにったばっかりに、大事だいじ奉公ほうこうをしくじるなんざ、辻占つじうらない文句もんくにしても悪過わるすぎやさァね。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
犬からのがれてほっとしたのもつかのま、また、つぎの災難さいなんがふりかかってきたんだ
たとへにいふ寝耳ねみゝに水の災難さいなんにあふ事、雪中の洪水こうずゐ寒国の艱難かんなん暖地だんちの人あはれみ給へかし。
そこで、大きい人やつよい人には大変たいへん災難さいなんが降りかかってるということを、無邪気むじゃきな頭の中でいろいろとかんがえてみます。ゲートルをはかされた四人のほうは、しおしおとひっかえします。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
ぢや、ほんとになくつてよかつたね。たら、わたしもやられたかもれない。やつぱりおてらばうさんのとほりだ。親孝行おやかうかうしてゐるとわる災難さいなんにかゝらないでうんくなるツて、まつたくだよ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
はてさて迷惑めいわくな、こりやまい黄色蛇あおだいしやう旨煮うまにか、腹籠はらごもりさる蒸焼むしやきか、災難さいなんかるうても、赤蛙あかゞへる干物ひもの大口おほぐちにしやぶるであらうと、そツると、片手かたてわんちながら掴出つかみだしたのは老沢庵ひねたくあん
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玄竹げんちくあたまおさへて、『御城内ごじやうないで、御近習ごきんじゆられました。御城内ごじやうないりますと、これがひとつの災難さいなんで‥‥。』と、醫者仲間いしやなかまでは嚴格げんかく偏屈へんくつとできこえた玄竹げんちくも、矢張やは醫者全體いしやぜんたい空氣くうきひたつて
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「飛んだ災難さいなんだね」
あには、それから、毎日まいにち愉快ゆかいあそぶことばかりかんがえて、おもしろいおくっていました。しかるに、不意ふいに、おもいがけない災難さいなんあいました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其方共儀むこ夫等をつとら災難さいなんを歎き艱難辛苦かんなんしんくの上公儀巡見使じゆんけんしうつたへ出申立明了あきらかなるにより善惡判然と相あらはれ九助の寃罪ゑんざいそゝぎし信義しんぎ貞操ていさうの段厚くほめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
召使めしつかいは、不安ふあん心配しんぱいむねをいためながら、中庭なかにわにおりて、どうしてこの災難さいなんをのがれたものだろうかと、いっしょうけんめい考えていました。
おそらくわたくし想像さうぞうあやまるまい、じつてんわざはひ人間にんげんちからおよところではないが、今更いまさらかゝ災難さいなんふとは、じつ無情なさけな次第しだいです。
今夜、菊が天神池てんじんいけへ行ったのは、わたくしのいいつけでございまする。菊の意志ではございませぬ。菊にしてみれば、ほんとに災難さいなんだったといってよい。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おいで、リーズ。それでないとぼくが、災難さいなんに会うから」とわたしは言った。「あした九時にここへおいで。一人でだよ。そのとき話してあげるから」
たまたまうしたふたつのちから合致がっちしたればこそ、あのような災難さいなんきゅうっていたのじゃ。当時とうじ橘姫たちばなひめにはもとよりそうしたくわしい事情じじょうわかろうはずもない。
それでもあれほどかたく「るな。」といわれたものをては、なおさらどんな災難さいなんがあるかもしれません。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それはそうとしても、ともかくガチョウがいなくなってしまったということは、ニールスにとっては、たいへんな災難さいなんです。そこで、さっそく、さがしに出かけました。
されば人はつね神仏かみほとけ信心しん/″\して悪事あくじ災難さいなんまぬかれん事をいのるべし。神仏かみほとけしんずる心のうちより悪心はいでぬもの也。悪心のなき災難さいなんをのがるゝ第一也とをしへられき。今もなほみゝに残れり。
とんだ災難さいなんで、まあ、こんな日には、おやめになったほうがようござんすね
「それはあるならばつけて上げます。しかし人間の脚はないのですから。——まあ、災難さいなんとおあきらめなさい。しかし馬の脚は丈夫ですよ。時々蹄鉄ていてつを打ちかえれば、どんな山道でも平気ですよ。……」
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
苦しめて自分が無事でおりましては何としても心が済まずばちが当ってくれたらよいと存じましてなにとぞわたくしにも災難さいなんをお授け下さりませこうしていては申訳もうしわけの道が立ちませぬと御霊様ごりょうさま祈願きがん
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「人が災難さいなんうたのが、そんなおかしいんですか。うちのお父さんは屋根から落ちましたが、それもおかしいでしょう。みんごとたいした怪我けがは、しませなんだけんど、大怪我でもしたら、なお、おかしいでしょう」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
もつと意外な災難さいなんにびつくりしてしまつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
して居るゆゑ重四郎は是幸ひと聲を掛けモシ/\和尚樣をしやうさま私しは只今災難さいなんあうて追人の懸る者何卒御慈悲じひを以て御隱匿かくまひ下さるべしと頼みければ老僧は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「とんだ災難さいなんまねいたがいまさらいたしかたもない。裁判所さいばんしょへ来てごらん、教訓きょうくんになることがあるであろう」
わたくし滿面まんめんえみたゝえて大佐たいさにぎり、かゝる災難さいなんあひだにもたがひ無事ぶじなりしことをよろこび、さて
いかなる災難さいなんか、またなやみからで、そのおんなんだのであるが、わかでありながら、人生じんせいのよろこびも、たのしみも、じゅうぶんらずして、んでしまったのだ。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、この小供こどもんでもない災難さいなんっていたのでございます。
わたしぐらい年とってるものが、これっぱかしの災難さいなんでまいってたまるもんですか。あんたがたフクロウさんは、どおし起きていられるんですから、ちょっと二つほど用事をたのまれてくれませんか。
どうかして、この災難さいなんからのがれるすべはないかな
「とんだ災難さいなんさ。巡査に反抗はんこうしたことを証明しょうめいすれば、あのじいさんは刑務所けいむしょへやられるだろう、きっと」
「かわいそうだね。」と、太郎たろうは、ほかのともだちどうしと、不幸ふこうともだちの災難さいなんあわれみました。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
技師ぎし災難さいなんをともにはしなかったが、自分がほねってあやういところをすくい出した子どもということで、わたしに親しんだ。かれはわたしをそのうちへ招待しょうたいした。
いっしょに出発しゅっぱつしながら、ながあいだには、おくれたり、また災難さいなんにかかってんだりした仲間なかまもありました。しかし、これから、うみわたることが困難こんなんだとおもっています。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、五、六年まえパリで災難さいなんに会った石工いしく家内かないだな。それも知っている。調べさせよう」
むかしは、このおみやにあがったいたろうそくのえさしさえっていれば、けっして、うみうえでは災難さいなんにはかからなかったものが、今度こんどは、あかいろうそくをただけでも
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
門番もんばんつけたら、またひと災難さいなんであろうと、おひめさまは心配しんぱいをなされましたが、門番もんばんはこのときまで、まだいい心地ここち居眠いねむりをしていましたので、乞食こじきのふうをしたわかおんな
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)