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滴
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したゝ
ふりがな文庫
“
滴
(
したゝ
)” の例文
かれの
雫
(
しづく
)
とともに汝その
後
(
のち
)
書
(
ふみ
)
のうちにて我にこれを
滴
(
したゝ
)
らし、我をして滿たされて汝等の雨を
他
(
ほか
)
の人々にも降らさしむ。 七六—七八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
大戸は開いてゐるので、風が吹きこみ、蒔の下半身から水が
滴
(
したゝ
)
り、紫色に
黝
(
くろず
)
んだ頬を固く
痙攣
(
ひきつ
)
つたまゝ速く荒い呼吸をしてゐた。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
と云ってると、不思議な事には
誰
(
たれ
)
も机の傍へ寄りもしないのに、位牌の前に据えた盃がひッくりかえり、酒が
溢
(
こぼ
)
れてポタ/\
滴
(
したゝ
)
りました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それだのに
同
(
おな
)
じ
雪
(
ゆき
)
を
戴
(
いたゞ
)
いたこゝの
庇
(
ひさし
)
は、
彼女
(
かのぢよ
)
にその
冷
(
ひ
)
え
切
(
き
)
つた
心
(
こゝろ
)
を
温
(
あたゝ
)
められて、
今
(
いま
)
は
惜
(
を
)
しげもなく
愛
(
あい
)
の
雫
(
しづく
)
を
滴
(
したゝ
)
らしてゐるのだ。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
拵
(
こしら
)
へたやうな愛嬌は
滴
(
したゝ
)
るばかり、先づは平凡な唯の娘ですが、その後ろに控へたお幽といふのは、これこそ非凡の娘でした。
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
浜勇
(
はまゆう
)
ちゅうてその頃はあまり流行らない顔だしたが、まン丸い愛嬌の
滴
(
したゝ
)
るような可愛い妓だしてな、まア、役徳ちゅう奴で
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
と
言
(
い
)
ふ
袴
(
はかま
)
の
裾
(
すそ
)
を、サラ/\と
石
(
いし
)
を
潛
(
くゞ
)
つて、
草
(
くさ
)
の
下
(
した
)
行
(
ゆ
)
く
細流
(
さいりう
)
あり。
坂
(
さか
)
はたら/\と
雫
(
しづく
)
を
絞
(
しぼ
)
つて、
崕
(
がけ
)
から
路
(
みち
)
に
滴
(
したゝ
)
るのである。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其の生血の
滴
(
したゝ
)
る樣な作者の昂奮した野心は、あの『社會百面相』といふ奇妙な名の一册に書き止められてゐる。その本の名も今は大方忘られて了つた。
硝子窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして指の節々には、殆ど一本も残らず、大きな
皸
(
あかぎれ
)
が深い口をあけて居た。時々赤い血が小指の節などから
滴
(
したゝ
)
つた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
今も
猶
(
なほ
)
どこかの隅で
嗚咽
(
をえつ
)
の声が
聞
(
きこ
)
える感がして自分の雨に濡れた冷たい裾にも血の
滴
(
したゝ
)
るのかと
戦
(
をのの
)
かれるのであつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
男體山は右手の前面に湖岸から直ちに四千尺の高さをもつて美しい傾斜で、翠色
滴
(
したゝ
)
るばかりに聳え立つてゐる。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
案じ夏とて谷間に雪あるに
郎
(
をとこ
)
は
單衣
(
ひとへぎぬ
)
にて
上
(
のぼ
)
られぬ梢の
雫
(
しづく
)
巖
(
いはほ
)
の
滴
(
したゝ
)
り何とてそれにて
凌
(
しの
)
がれん
袷
(
あはせ
)
を贈りまゐらせたやとの情
彼
(
か
)
の孤閨を守る
婦
(
をんな
)
が夫が遠征の先へ新衣を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
卯平
(
うへい
)
はすや/\と
呼吸
(
こきふ
)
を
恢復
(
くわいふく
)
した
儘
(
まゝ
)
で
口
(
くち
)
は
利
(
き
)
かない。ぴしや/\と
飛沫
(
しぶき
)
の
泥
(
どろ
)
を
蹴
(
け
)
りつゝ
粟幹
(
あはがら
)
の
檐
(
のき
)
からも
雪
(
ゆき
)
の
解
(
と
)
けて
滴
(
したゝ
)
る
勢
(
いきほ
)
ひのいゝ
雨垂
(
あまだれ
)
が
止
(
や
)
まないで
夜
(
よる
)
に
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と、
床
(
とこ
)
なる一刀スラリと拔きて、青燈の光に差し付くれば、爛々たる氷の刃に水も
滴
(
したゝ
)
らんず
無反
(
むそり
)
の
切先
(
きつさき
)
、鍔を
銜
(
ふく
)
んで紫雲の如く
立上
(
たちのぼ
)
る
燒刃
(
やきば
)
の
匂
(
にほ
)
ひ目も
覺
(
さ
)
むるばかり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
お時は
滴
(
したゝ
)
るやうな
色氣
(
いろけ
)
を眼元に含ませて、こんなことを言つた。お時の妹のお今といふ十一になるのが、
宵張
(
よひツぱ
)
りをして起きてゐるだけで、他の子供等は皆寢て了つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
述
(
のべ
)
ければ先々
緩
(
ゆる
)
りと
安座
(
あんざ
)
して火に
煖
(
あた
)
り給へといふ吉兵衞は世にも
有難
(
ありがた
)
く思ひ火に
煖
(
あた
)
れば今まで氷たる
衣類
(
いるゐ
)
の雪も
解
(
とけ
)
て
髮
(
かみ
)
よりは
雫
(
しづく
)
滴
(
したゝ
)
り衣服は
絞
(
しぼ
)
るが如くなれば
彼
(
かの
)
男もこれを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それから裾を引きずる緋の
襠
(
うち
)
かけを纒うた尼さんの衣を
滴
(
したゝ
)
る
燦
(
あざや
)
かな眞紅に燃え立たせた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
何處
(
いづく
)
へ
押流
(
おしなが
)
されたか
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
もなく、
秘密造船所
(
ひみつざうせんじよ
)
も
一時
(
いちじ
)
は
全
(
まつた
)
く
海水
(
かいすい
)
に
浸
(
ひた
)
されたと
見
(
み
)
えて、
水面
(
すいめん
)
から
餘程
(
よほど
)
高
(
たか
)
い
屏風岩
(
べうぶいわ
)
の
尖頭
(
せんとう
)
にも、
醜
(
みにく
)
き
海草
(
かいさう
)
の
殘
(
のこ
)
されて、
其
(
その
)
海草
(
かいさう
)
から
滴
(
したゝ
)
り
落
(
お
)
つる
水玉
(
みづたま
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
あなたの祕密の隱れた
泉
(
いづみ
)
を、發見出來ないかどうか、同情の香油の一滴を
滴
(
したゝ
)
らすことが出來る、大理石の胸の一つの
隙間
(
すきま
)
を見出すことが出來ないかどうか、私はやつて見ませう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
猶その上にも
滴
(
したゝ
)
るやうな
艶味
(
つや
)
を持たせてやる事を知らない義男は、たゞ自分の不足な力だけを女の手で物質的に補はせさへすればそれで滿足してゐられる樣な男なのだと云ふ事が
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
それでこの
御二方
(
おふたかた
)
の神樣は天からの階段にお立ちになつて、その
矛
(
ほこ
)
をさしおろして下の世界をかき𢌞され、海水を音を立ててかき𢌞して引きあげられた時に、矛の先から
滴
(
したゝ
)
る海水が
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
むかし蒼海と手を携へて
爰
(
こゝ
)
に遊びし事あり、巌に
滴
(
したゝ
)
る
涓水
(
けんすゐ
)
に鉱気ありければ、これを浴室にうつし、
薪火
(
しんくわ
)
をもて暖めつゝ、近郷近里の老若男女、春冬の閑時候に来り遊ぶの便に供せり。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
夕日
斜
(
なゝめ
)
に差し入る狭き
厨房
(
くりや
)
、今正に
晩餐
(
ばんさん
)
の準備最中なるらん、
冶郎蕩児
(
やらうたうじ
)
の
魂魄
(
たましひ
)
をさへ
繋
(
つな
)
ぎ留めたる
緑
(
みどり
)
滴
(
したゝ
)
らんばかりなる
丈
(
たけ
)
なす黒髪、グル/\と引ツつめたる
無雑作
(
むざふさ
)
の
櫛巻
(
くしまき
)
、
紅絹裏
(
もみうら
)
の長き袂
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「僕に呉れたのか。そんなら早く
活
(
い
)
けやう」と云ひながら、すぐ
先刻
(
さつき
)
の
大鉢
(
おほはち
)
の
中
(
なか
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだ。
茎
(
くき
)
が
長
(
なが
)
すぎるので、
根
(
ね
)
が
水
(
みづ
)
を
跳
(
は
)
ねて、
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
しさうになる。代助は
滴
(
したゝ
)
る
茎
(
くき
)
を
又
(
また
)
鉢
(
はち
)
から
抜
(
ぬ
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
近いものよりは却て遠い昔の記憶が軒に
滴
(
したゝ
)
る雨だれの如く、とぎれ/\に浮んで來る。私はよく子供の時分に、大雨の晴れた
午後
(
ひるすぎ
)
四手網
(
よつであみ
)
を持つて、場末の町の
小流
(
こなが
)
れに
小魚
(
こうを
)
を
漁
(
あさ
)
つた事がある。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
灣をはなれて山路にかゝり、
黒松内
(
くろまつない
)
で停車蕎麥を食ふ。蕎麥の風味が好い。
蝦夷
(
えぞ
)
富士〻〻〻〻と心がけた蝦夷富士を、
蘭越驛
(
らんこしえき
)
で仰ぐを得た。形容端正、絶頂まで樹木を纏うて、
秀潤
(
しうじゆん
)
の
黛色
(
たいしよく
)
滴
(
したゝ
)
るばかり。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
三角の尻尾の
先端
(
さき
)
ゆ濁る水のまだ
滴
(
したゝ
)
りて河馬は動かず
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
紫の紅の
滴
(
したゝ
)
り花におちて成りしかひなの夢うたがふな
みだれ髪
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
蝋燭の蝋がぽた/\と土の上に
滴
(
したゝ
)
る。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
まだき
滴
(
したゝ
)
る
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
の
美
(
うま
)
しにほひは
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
生きて
滴
(
したゝ
)
る乳緑の
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お角は二十四五の年増盛り、柳橋で
左褄
(
ひだりづま
)
を取つてゐる頃から、江戸中の評判になつた女で、その
濃婉
(
のうゑん
)
さは
滴
(
したゝ
)
るばかりでした。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は次の瞬間に思わずアッ! と声を挙げて二足三足
後退
(
あとずさり
)
したのである。死体だ! 畳は
滴
(
したゝ
)
る
血汐
(
ちしお
)
でドス黒くなっている。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
コチートの悉く凍れるもこれによりてなりき、彼は六の
眼
(
まなこ
)
にて泣き、涙と血の
涎
(
よだれ
)
とは三の
頤
(
おとがひ
)
をつたひて
滴
(
したゝ
)
れり 五二—五四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
獣類とは申しながら熊は誠に感心なもので、清水が
滴
(
したゝ
)
るようになったので、熊の児を穴の途中まで出しました様子、お町の心配は何程か知れませぬ。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ピイロロロロピイーとしよんぼりと
行
(
ゆ
)
く。トトトン、トトトン、と
間
(
ま
)
を
緩
(
ゆる
)
く、
其處等
(
そこら
)
の
藝妓屋
(
げいしやや
)
で、
朝稽古
(
あさげいこ
)
の
太鼓
(
たいこ
)
の
音
(
おと
)
、ともに
何
(
なん
)
となく
翠
(
みどり
)
の
滴
(
したゝ
)
る
山
(
やま
)
に
響
(
ひゞ
)
く。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一度出口の立つた乳汁は、胸中それかと思はれるほどにまで、円くふつくらと小山のやうに盛り上つた真白な乳房の先から、ぽたぽたと止度もなげに
溢
(
あふ
)
れ
滴
(
したゝ
)
つてゐた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
取出し
伏拜
(
ふしをが
)
みけるに金毘羅の
金
(
こん
)
の一字は切放れて
血汐
(
ちしほ
)
滴
(
したゝ
)
り有ければ親子の者は一同にハツとひれ
伏
(
ふし
)
有難
(
ありがた
)
し/\とて
感涙
(
かんるゐ
)
を流しけるが其中に罪人の本人が出て源内は長壽を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と云つて、夫人は
母家
(
おもや
)
の方へ
行
(
ゆ
)
かれた。
暫
(
しばら
)
くすると露の
滴
(
したゝ
)
る
紅薔薇
(
べにばら
)
の花を
沢山
(
たくさん
)
持つて来られた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
露
(
つゆ
)
の
滴
(
したゝ
)
りさうな眞白の實を花の形に切り、ナイフの
尖端
(
さき
)
に刺して小池の前に差し出した。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
私は幾度も/\手を血と水の混つた
水鉢
(
みづばち
)
に浸して
滴
(
したゝ
)
る血を拭ひ去らねばならなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
が、濡れしをれた衣服の裾がべつたり脚に纒つて歩きにくさうであり、長く伸びた頭髮からポトリ/\と雫の
滴
(
したゝ
)
る圭一郎のみじめな姿を見た千登世の眼には、夜目にも熱い涙の玉が
煌
(
きら
)
めいた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
血の如くに赤く
黄金
(
こがね
)
の如くに清く、時には水晶の如くに
蒼
(
あを
)
きその色その光沢の如何に美妙なる感興を
誘
(
いざな
)
ひ侯ふか。
碧
(
みどり
)
深き美人の眼の潤ひも、
滴
(
したゝ
)
るが如き宝石の光沢も、到底これには及び申さず候。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
與吉
(
よきち
)
は
遠慮
(
ゑんりよ
)
もなく
其
(
そ
)
の
膳
(
ぜん
)
に
向
(
むか
)
つたのである。
卯平
(
うへい
)
は
飯臺
(
はんだい
)
の
蓋
(
ふた
)
を
開
(
あ
)
けて
見
(
み
)
たが
暖味
(
あたゝかみ
)
がないので
彼
(
かれ
)
は
躊躇
(
ちうちよ
)
した。
茶釜
(
ちやがま
)
の
蓋
(
ふた
)
をとつて
見
(
み
)
たが、
蓋
(
ふた
)
の
裏
(
うら
)
からはだら/\と
滴
(
したゝ
)
りが
垂
(
た
)
れて
僅
(
わづ
)
かに
水蒸氣
(
ゆげ
)
が
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
身体にへばりついたシャツをはぎとると、背部に最もひどい傷があつた、それは
紛
(
まが
)
ふところのない刃物による刺傷だつた。新しい血がはぎとられたシャツの下から、
瞬
(
またゝ
)
く間にふき出し、
滴
(
したゝ
)
り落ちた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
※
(
すぐ
)
る十
有餘日
(
いうよにち
)
の
間
(
あひだ
)
、よく
吾等
(
われら
)
の
運命
(
うんめい
)
を
守護
(
しゆご
)
して
呉
(
く
)
れた
端艇
(
たんてい
)
をば、
波打際
(
なみうちぎわ
)
にとゞめて
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
上陸
(
じやうりく
)
して
見
(
み
)
ると、
今
(
いま
)
は五
月
(
ぐわつ
)
の
中旬
(
なかば
)
すぎ、
翠
(
みどり
)
滴
(
したゝ
)
らんばかりなる
樹木
(
じもく
)
は
島
(
しま
)
の
全面
(
ぜんめん
)
を
蔽
(
おほ
)
ふて、
遙
(
はる
)
か
向
(
むか
)
ふは、
野
(
の
)
やら
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
滴
(
したゝ
)
る
蝋
(
らふ
)
のしづく涙と共に散りて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「ドウダ一杯やらうか」といふ此の一杯やらうが一丁ごとぐらゐになると餘程
勞
(
つか
)
れたるなり
蘆田
(
あしだ
)
の
宿
(
しゆく
)
より先に未だ峠あり
石荒阪
(
いしあれざか
)
といふ名の如く石荒の急阪にて今までのうち第一等の難所なり阪の上へ到れば平なる所半丁ほどありて草がくれの水手に
掬
(
むす
)
ぶほども流れず
下
(
くだ
)
りて一丁ほど行けば此の水山の
滴
(
したゝ
)
りを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
さう言つて後ろから覗いたのは、二十四五の年増、これはまた拔群の美しさで、
滴
(
したゝ
)
る魅力を汚な作りで殺したと言つた女——多分評判の下女お仲でせう。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そはわが見しもの殆んどこと/″\く消え、これより生るゝうるはしさのみ今猶心に
滴
(
したゝ
)
ればなり 六一—六三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
“滴”の意味
《名詞》
(しずく)空中や物の表面にある球状となった少量の液体。
(出典:Wiktionary)
滴
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“滴”を含む語句
点滴
一滴
雨滴
滴々
涓滴
水滴
滴水
墨汁一滴
余滴
點滴
滴点
滴垂
二滴
下滴
散滴
油滴
滴水和尚
滴血
滴雫
血一滴
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