“黛色”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たいしょく50.0%
たいしよく50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
越しかたかえりみれば、眼下がんかに展開する十勝の大平野だいへいやは、蒼茫そうぼうとして唯くもの如くまた海の如く、かえって北東の方を望めば、黛色たいしょく連山れんざん波濤はとうの如く起伏して居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
西を見れば、茶褐色にこがれた雑木山の向うに、濃い黛色たいしょくの低い山が横長く出没して居る。多摩川たまがわの西岸をふちどる所謂多摩の横山で、川は見えぬが流れのすじ分明ぶんみょうに指さゝれる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
灣をはなれて山路にかゝり、黒松内くろまつないで停車蕎麥を食ふ。蕎麥の風味が好い。蝦夷えぞ富士〻〻〻〻と心がけた蝦夷富士を、蘭越驛らんこしえきで仰ぐを得た。形容端正、絶頂まで樹木を纏うて、秀潤しうじゆん黛色たいしよくしたゝるばかり。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)