はと)” の例文
白亀の改元かいげん白鳥しらとり神瑞しんずゐ、八幡のはと、源家のはた、すべて白きは 皇国みくに祥象しやうせうなれば、天機てんき白熊はくいうをいだししも 昇平万歳しようへいばんぜいの吉ずゐ成べし。
たふうへにははとあそぶさうである。く。花屋敷はなやしきをのがれたざうたふしたきた。ざう寶塔はうたふにしてしろい。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
役目不心得につきおとがめ——という不名誉な譴責けんせきのもとに、退役たいやく同様な身の七年間、はとを飼って、鳩を相手に暮らしてきた同心である。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とたんに、ざわめきはやみ、はとのような目がいっせいに男先生の顔をみつめた。男先生はきびしく、しかし一種のやさしさをこめて
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
紫ははとの胸毛の如くに美しくもいろめたるもの、また緑は流るる水の緑なるが如く、藍は藍めの布の裏地を見る心地ここちにもたとへんか。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
觀音樣にたどり着いたのは丁度巳刻よつ(十時)頃、二人は繪馬ゑまを眺めたり、はとに餌をやつたり、ざつと半刻ばかり待つて居ると——
光はすえひて竹村の姉のもとへ、天神様のはとを見になど行き候。かしこに猿もあり、猿は行儀わろきものゆえ見すなといひきかせ候。
ひらきぶみ (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
彼の愛する風景は大きい丹塗にぬりの観音堂かんのんどうの前に無数のはとの飛ぶ浅草あさくさである。あるいはまた高い時計台の下に鉄道馬車の通る銀座である。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その上彼は、はとの白きがように率直であって何らの疑念をもいだいていないコゼットに、それとなくいろいろなことを尋ねてみた。
お寺のはとに豆を買ってやることは日本に限ることと思っていましたがここのサンマルコのお寺の前でも同じことをやっています。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そうして、反絵の動かぬ一つの眼には、彼女の乳房ちぶさの高まりが、反耶の銅のつるぎに戯れるはとの頭のように微動するのが映っていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
私はその棗の木の下へ仕掛けのある箱を置いて、二つ三つ得意の奇術をやり、それから石を投げてはとにして飛ばしたところで
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
はとはおなかいてゐました。あさでした。羽蟲はむしを一つみつけるがはやいか、すぐ屋根やねからにはびをりて、それをつかまえました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
胸のあたりははとの色のように見えて、下はすそまでばっと視線を乱している中に、小さなヴァイオリンをかかえて、長い弓をおごそかにかついでいる。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたし所有あらゆるしらべました、堤防どてました、それからかきも』として、はとあいちやんにはかまはず、『けどへびは!だれでもきらひだ!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その時一はとが森のおくから飛んで来て、ついたなりで日をくらす九十に余るおばあさんの家のまど近く羽を休めました。
そしておき上るといきなり、ひょいと小さなはとになって窓からとび出しました。王女はこういうじゆうじざいな魔法の力をもっているのです。
ぶくぶく長々火の目小僧 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
これまで永い間私はあまり荒々しい人々のなかにのみみすぎたように思っていましたが、あなたとって私ははとのような
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そして猟をすると、きじはと山鶏やまどりうさぎ穴熊あなぐまなど、面白いほどとれましたし、ときには、大きな鹿しかゐのししなどもとれました。
悪魔の宝 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
はだは白魚のようにきとおり、黒瞳こくとうは夢見るように大きく見開かれ、額にかかる捲毛まきげはとの胸毛のように柔らかであった。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
彼は傷ついたはとのごとく、ややもすると狭心症の発作に悩まされがちなので、常住ポケットにジキタリスの小壜こびんを用意することを忘れなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そう心の中で思うと、信一郎の心は、かごを放れたはとか何かのように、フワ/\となってしまった。彼は思い切って云った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
雑草の中の水溜みずたまりにはとが降りて何かをあさり歩いているのが、いかにものんびりした光景で、此処ここばかりはそんな山津浪やまつなみ痕跡こんせきなどは何処どこにもない。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
優善の移った緑町の家は、渾名あだなはと医者と呼ばれた町医佐久間さくま某の故宅である。優善は妻てつを家に迎え取り、下女げじょ一人いちにんを雇って三人暮しになった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
雪の中を掘って見ましたがちょうどはとの卵位のものが沢山ありました。降った時の大きさはどの位かというと、鶏の大きな卵ほどであったという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
はともむかしは親不孝おやふこうで、おやのいうことには、みぎといえばひだりひだりといえばみぎと、なにによらずさからうくせがありました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
舞台外では幾度と逢ったのではないが、いつでもあの人はキョトンとしたはとのような目附きで私の顔を眺めていた。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
緑の芝生しばふの上には、小さな噴水がその細かな雨をあられの網のように降らしていた。日を受けた一本の樹木の中には、眼の丸い青石盤色のはとが鳴いていた。
辛い人の世の生存ながらえに敗れたものは、はとのような処女の、繊弱かよわい足の下にさえも蹂み躙られなければならないのか。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
突然とつぜんぱた/\とけたゝましい羽音はおとすぐあたまうへさわいだ。たけこずゑとまつてはとにはかおどろいてとほげたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのなかでは朝から晩までから竿ざおの音がいそがしく鳴りひびき、つばめや岩つばめが軒端のきばをかすめて飛び、さえずり、屋根の上にははとがいく列もならんで
ぢゃによって、こひかみ御輦みくるま翼輕はねがるはとき、かぜのやうにはやいキューピッドにもふたつのはねがある。あれ、もう太陽たいやうは、今日けふ旅路たびぢたうげまでもとゞいてゐる。
桟橋の下にはたくさん塵芥じんかいいていた。その藻や塵芥の下をくぐってかげのような魚がヒラヒラ動いている。帰って来た船がはとのように胸をふくらませた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
私がこの話をしかけると豆鉄砲をくらったはとのように唖然あぜんとして(これはしゃべっている私の方も唖然とした)つづいて羨望せんぼうのあまり長大息をらした男があった。
見たことはないと言ったのさ、まるで、はと三志様さんしさまそっくりの人相だから、わたしゃ夢かと思ったのさ
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
独乙ドイツことわざに曰く「屋上のはとは手中のすゞめかず」と。著者の屋上の禽とは此諺の屋上の鳩を意味するもの。果して然らば少しく無理の熟語と謂はざるからず。
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
夜が明けはじめると、人なれたはとが何千ともなく、はなれて立っている高いとうのまわりを飛びまわります。
はとは小屋へはいる。一羽の雌鶏めんどりはけたたましく鳴きながら、雛鶏ひよこたちを呼び集める。用心堅固な鵞鳥がちょうどもが、裏庭から裏庭へがあがあ鳴き立てている声が聞える。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
たった一言でもよい。せっぱつまった言葉が、出るものだ。ねこだって、はとだって、鳴いてるじゃないか。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
次にはとのごとき鳥類では、頬に嚢のないかわりに、食道の途中に大きな嚢があって、多量の豆に出遇うたときは、まずこの嚢にいっぱいになるまで詰めこんでおき
動物の私有財産 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
そりやア仁王門にわうもんだ、これから観音くわんおんさまのおだうだ。梅「道理だうりおほきいと思ひました……あゝ……あぶない。とおどろいて飛下とびさがる。近「フヽヽなんだい、みつともない、はとがゐるんだ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
このとりについて面白おもしろいことは、はとやかさゝぎ、栗鼠等りすなどつくつた、ふるにはひつてたまごむことです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ある朝の十時過ぎ、一郎はたゞひとり、はとのなくお時計の部屋へこつそりとはいつて来ました。どこからか、踏台を一つ、重たさうにぞろ/\とひきずつてゐました。
鳩の鳴く時計 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
よ、我なんじらをつかわすは、羊を狼のなかに入るるが如し。この故に、蛇の如くさとく、はとの如く素直なれ、人々に心せよ、それは汝らを衆議所にわたし、会堂にてむちうたん。
乗円坊の阿闍梨慶秀ははとの杖にすがって宮の前に進むと、涙はらはらとこぼして申しあげた。
とびはとが親不孝で親の墓を水のほとりに設け、雨が降るたびにその墓が流れはしないかとうれえて啼くという話は方々にあるが、なおそれ以外にも雨を待つという鳥の話はある。
はとふくろうも出なかったが、すずめはたくさんいた。見あたり次第にポンポンやったけれど、距離きょりが遠いからちっともあたらない。なお林の中をうろつきまわっている間に、照彦様は
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
はばひろ石段いしだん丹塗にぬり楼門ろうもんむらがるはとむれ、それからあのおおきなこぶだらけの銀杏いちょう老木ろうぼく……チラとこちらからのぞいた光景ありさまは、むかしとさしたる相違そういもないように見受みうけられました。
鷲尾が知ってるだけの材料で話し終る間若者は熱心に破けたズボンの穴をいじくりまわしながら、はとのように丸い眼をクルクルさして聴いていたが、執拗しつこい程質問を繰りかえした揚句あげく
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
ちょうどからすの群れに取り巻かれたはとといったようなふうになって乗っている。
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)