トップ
>
枯草
>
かれくさ
ふりがな文庫
“
枯草
(
かれくさ
)” の例文
高さこそは私の
丈
(
せい
)
より少し低い位でしたが、三人
坐
(
すわ
)
つて遊ぶにはもつてこいといふ加減で、下にぢいやに頼んで
枯草
(
かれくさ
)
を敷いて
貰
(
も
)
らひ
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
其
(
その
)
二尺
(
にしやく
)
程
(
ほど
)
下
(
した
)
の
勾配
(
こうばい
)
の
一番
(
いちばん
)
急
(
きふ
)
な
所
(
ところ
)
に
生
(
は
)
えてゐる
枯草
(
かれくさ
)
が、
妙
(
めう
)
に
摺
(
す
)
り
剥
(
む
)
けて、
赤土
(
あかつち
)
の
肌
(
はだ
)
を
生々
(
なま/\
)
しく
露出
(
ろしゆつ
)
した
樣子
(
やうす
)
に、
宗助
(
そうすけ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
驚
(
おど
)
ろかされた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今その小屋をみれば木の
枝
(
えだ
)
、山さゝ、
枯草
(
かれくさ
)
など取りあつめ、ふぢかつらにて
匍匐
(
はひ
)
入るばかりに作りたるは、
野非人
(
のひにん
)
のをるべきさまなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
捨
(
す
)
てた
燐寸
(
マツチ
)
の
燃
(
も
)
えさしが
道端
(
みちばた
)
の
枯草
(
かれくさ
)
に
火
(
ひ
)
を
點
(
つ
)
けて
愚弄
(
ぐろう
)
するやうな
火
(
ひ
)
がべろ/\と
擴
(
ひろ
)
がつても、
見向
(
みむ
)
かうともせぬ
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
は
懶
(
ものう
)
げである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
枯草
(
かれくさ
)
をやく
百姓
(
ひゃくしょう
)
の
野火
(
のび
)
か、あるいは、きこりのたいた
焚火
(
たきび
)
であろうか、とある原のなかほどに、チラチラと赤くもえている
焔
(
ほのお
)
があった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「殺されてゐたのですよ、——
虐
(
むご
)
たらしく。死骸は五日前に五人の子供達が見えなくなつた、空地の
枯草
(
かれくさ
)
の中に捨ててあつたが」
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その日は、天気が下り坂になって来て風さえ出て来たので、農夫たちは急いで
枯草
(
かれくさ
)
を車へのせ、その上をロープでしっかりしばりつけた。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし
汽車
(
きしや
)
はその
時分
(
じぶん
)
には、もう
安安
(
やすやす
)
と
隧道
(
トンネル
)
を
辷
(
すべ
)
りぬけて、
枯草
(
かれくさ
)
の
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
との
間
(
あひだ
)
に
挾
(
はさ
)
まれた、
或
(
ある
)
貧
(
まづ
)
しい
町
(
まち
)
はづれの
踏切
(
ふみき
)
りに
通
(
とほ
)
りかかつてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あはれ、殊勝な法師や、
捨身
(
しゃしん
)
の
水行
(
すいぎょう
)
を
修
(
しゅ
)
すると思へば、
蘆
(
あし
)
の
折伏
(
おれふ
)
す
枯草
(
かれくさ
)
の中に
籠
(
かご
)
を
一個
(
ひとつ
)
差置
(
さしお
)
いた。が、
鯉
(
こい
)
を
遁
(
にが
)
した
畚
(
びく
)
でもなく、草を
刈
(
か
)
る
代
(
しろ
)
でもない。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そよ風はもう
歇
(
や
)
んだ。
枯草
(
かれくさ
)
はついついと立っている。銅線のようなものもある。一本が顫え声を出すと、空気の中に顫えて行ってだんだん細くなる。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
古池
(
ふるいけ
)
には早くも
昼中
(
ひるなか
)
に
蛙
(
かはづ
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて、去年のまゝなる
枯草
(
かれくさ
)
は水にひたされて
腐
(
くさ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
戲
(
たはむ
)
れに
枯草
(
かれくさ
)
へ
火
(
ひ
)
を
移
(
うつ
)
した
子供等
(
こどもら
)
は、
遙
(
はる
)
かに
見
(
み
)
える
大勢
(
おほぜい
)
の
武士
(
ぶし
)
の
姿
(
すがた
)
に
恐
(
おそ
)
れて、
周章
(
あわ
)
てながら
火
(
ひ
)
を
消
(
け
)
さうと、
青松葉
(
あをまつば
)
の
枝
(
えだ
)
で
叩
(
たゝ
)
くやら、
燃
(
も
)
えてゐる
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
へ
轉
(
ころ
)
がるやらして、
頻
(
しき
)
りに
騷
(
さわ
)
いでゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
薪
(
まき
)
も
枯草
(
かれくさ
)
なども巧みにニホに積むようにはなっているが、なお多くの村々に穂ニホまたは本ニホという名称の存するのを見ると、ニホが本来は
刈稲
(
かりいね
)
をそのまま積んで置く場所なることを
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夜露
(
よつゆ
)
にぬれた
枯草
(
かれくさ
)
が気味わるく足にまとい、ともすれば
水溜
(
みずたま
)
りに踏み込みそうで、歩くのも難儀であったが、神谷は、
折角
(
せっかく
)
ここまで尾行した怪物を、このまま見捨てて帰るのも残り
惜
(
お
)
しく
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それから若い
木霊
(
こだま
)
は、明るい
枯草
(
かれくさ
)
の
丘
(
おか
)
の間を歩いて行きました。
若い木霊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
十月の
枯草
(
かれくさ
)
の
黄
(
き
)
なるかがやき、そがかげのあひびきの
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
忽ちに
枯草
(
かれくさ
)
はもえあがる。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
今その小屋をみれば木の
枝
(
えだ
)
、山さゝ、
枯草
(
かれくさ
)
など取りあつめ、ふぢかつらにて
匍匐
(
はひ
)
入るばかりに作りたるは、
野非人
(
のひにん
)
のをるべきさまなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
紳士 口でな、
最
(
も
)
う其の時から。
毒蛇
(
どくじゃ
)
め。
上頤
(
うわあご
)
下頤
(
したあご
)
へ
拳
(
こぶし
)
を
引掛
(
ひっか
)
け、
透通
(
すきとお
)
る歯と
紅
(
べに
)
さいた唇を、めりめりと
引裂
(
ひきさ
)
く、
売婦
(
ばいた
)
。(足を挙げて、
枯草
(
かれくさ
)
を
踏蹂
(
ふみにじ
)
る。)
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこは、
枯草
(
かれくさ
)
がうず高くつんであるすばらしく暖かな日なただった。ゆらゆらと、かげろうが燃え立っていた。その中に、隆夫の霊魂は立っているのだった。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし
汽車
(
きしや
)
が
今
(
いま
)
將
(
まさ
)
に
隧道
(
トンネル
)
の
口
(
くち
)
へさしかからうとしてゐる
事
(
こと
)
は、
暮色
(
ぼしよく
)
の
中
(
なか
)
に
枯草
(
かれくさ
)
ばかり
明
(
あかる
)
い
兩側
(
りやうがは
)
の
山腹
(
さんぷく
)
が、
間近
(
まぢか
)
く
窓側
(
まどがは
)
に
迫
(
せま
)
つて
來
(
き
)
たのでも、すぐに
合點
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
であつた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
細くなって消え失せると、あたりが死んだように静かになる。二人は
枯草
(
かれくさ
)
の中に立って仰向いて鴉を見ると、鴉は
切立
(
きった
)
ての樹の枝に頭を縮めて鉄の
鋳物
(
いもの
)
のように立っている。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
たちまち、山と積まれた
枯草
(
かれくさ
)
の
束
(
たば
)
。はこばれてくる
獣油
(
じゅうゆ
)
の
瓶
(
かめ
)
、かつぎだされた数百本の
松明
(
たいまつ
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
堤
(
つゝみ
)
の
枯草
(
かれくさ
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つて、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
で
新任
(
しんにん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
に
兼
(
か
)
ねて一
場
(
ぢやう
)
の
訓示
(
くんじ
)
演説
(
えんぜつ
)
をした。
其
(
そ
)
の
演説
(
えんぜつ
)
に
少
(
すこ
)
しも
耳
(
みゝ
)
を
痛
(
いた
)
めないで
聽
(
き
)
くことの
出來
(
でき
)
た
者
(
もの
)
は、
多
(
おほ
)
くの
與力
(
よりき
)
同心
(
どうしん
)
中
(
ちう
)
で
殆
(
ほと
)
んど
一人
(
ひとり
)
もなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そして諒安はとうとう一つの
平
(
たい
)
らな
枯草
(
かれくさ
)
の
頂上
(
ちょうじょう
)
に立ちました。
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
つつましき
枯草
(
かれくさ
)
の
湿
(
しめ
)
るにほひよ……
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
枯草
(
かれくさ
)
も
真直
(
まっすぐ
)
になつて、風
死
(
し
)
し、そよとも
靡
(
なび
)
かぬ上に、あはれにかゝつたのは
彼
(
か
)
の
胴抜
(
どうぬき
)
の下着である。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
姿
(
すがた
)
を
煤煙
(
ばいえん
)
と
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひかり
)
との
中
(
なか
)
に
眺
(
なが
)
めた
時
(
とき
)
、もう
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
が
見
(
み
)
る
見
(
み
)
る
明
(
あかる
)
くなつて、そこから
土
(
つち
)
の
匀
(
にほひ
)
や
枯草
(
かれくさ
)
の
匀
(
にほひ
)
や
水
(
みづ
)
の
匀
(
にほひ
)
が
冷
(
ひやや
)
かに
流
(
なが
)
れこんで
來
(
こ
)
なかつたなら、
漸
(
やうや
)
く
咳
(
せ
)
きやんだ
私
(
わたくし
)
は
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして
汗
(
あせ
)
を
拭
(
ふ
)
くまもなく、クロの足をしばりつけてある
鎖
(
くさり
)
をガチャガチャ
解
(
と
)
きはじめた。だが、——
意地
(
いじ
)
わるく、急げばいそぐほど、鎖は
笹
(
ささ
)
や
枯草
(
かれくさ
)
にひっからんで、
容易
(
ようい
)
にむすびこぶしが
解
(
と
)
けない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日は七つ森はいちめんの
枯草
(
かれくさ
)
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
魘
(
おそ
)
はれたる如く
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みま
)
はし、
慌
(
あわただ
)
しく
画
(
え
)
の
包
(
つつみ
)
をひらく、
衣兜
(
かくし
)
のマツチを探り、
枯草
(
かれくさ
)
に火を点ず。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
坂
(
さか
)
の
其
(
そ
)
の
兩方
(
りやうはう
)
は、
見上
(
みあ
)
げて
峰
(
みね
)
の
如
(
ごと
)
き
高臺
(
たかだい
)
のなだれた
崖
(
がけ
)
で、……
時
(
とき
)
に
長頭
(
ながあたま
)
が
面
(
おもて
)
を
向
(
む
)
けた
方
(
はう
)
は、
空
(
そら
)
に一二
軒
(
けん
)
、
長屋立
(
ながやだて
)
が
恰
(
あたか
)
も
峠茶屋
(
たうげぢやや
)
と
云
(
い
)
ふ
形
(
かたち
)
に、
霜
(
しも
)
よ、と
靄
(
もや
)
のたゝまり
積
(
つ
)
んだ、
枯草
(
かれくさ
)
の
上
(
うへ
)
に
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
つい
今
(
いま
)
しがた
牡丹亭
(
ぼたんてい
)
とかいふ、
廣庭
(
ひろには
)
の
枯草
(
かれくさ
)
に
霜
(
しも
)
を
敷
(
し
)
いた、
人氣
(
ひとつけ
)
のない
離
(
はな
)
れ
座敷
(
ざしき
)
で。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ほい。」と
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
、もう
枯草
(
かれくさ
)
の
段
(
だん
)
を
下
(
お
)
りて
居
(
ゐ
)
る、
嚏
(
くしやみ
)
に
飛
(
と
)
んだ
身輕
(
みがる
)
な
足取
(
あしどり
)
。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
飛
(
と
)
ぶやうに
列車
(
れつしや
)
の
過
(
す
)
ぐる、
小栗栖
(
をぐるす
)
を
窓
(
まど
)
から
覗
(
のぞ
)
いて、あゝ、あすこらの
藪
(
やぶ
)
から
槍
(
やり
)
が
出
(
で
)
て、
馬上
(
ばじやう
)
に
堪
(
たま
)
らず
武智光秀
(
たけちみつひで
)
、どうと
落人
(
おちうど
)
から
忠兵衞
(
ちうべゑ
)
で、
足
(
あし
)
捗取
(
はかど
)
らぬ
小笹原
(
こざさはら
)
と、
線路
(
せんろ
)
の
堤防
(
どて
)
の
枯草
(
かれくさ
)
を
見
(
み
)
た
料簡
(
れうけん
)
。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其時
(
そのとき
)
最後の痛苦の絶叫、と見ると、
苛
(
さいな
)
まるゝ
婦人
(
おんな
)
の下着、樹の枝に届くまで、すツくりと立つたので、我を忘れて
突立
(
つった
)
ち
上
(
あが
)
ると、
彼方
(
かなた
)
はハタと又
僵
(
たお
)
れた、今は
皮
(
かわ
)
や破れけん、
枯草
(
かれくさ
)
の白き上へ
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
胸騒
(
むなさわぎ
)
がしながら
歩行
(
ある
)
いたけれども、不思議なものは
樹
(
き
)
の根にも
出会
(
でっくわ
)
さない、
唯
(
ただ
)
、
彼
(
あ
)
のこはれ/″\の
停車場
(
ステエション
)
のあとへ来た時、
雨露
(
あめつゆ
)
に
曝
(
さら
)
された十字の
里程標
(
りていひょう
)
が、
枯草
(
かれくさ
)
の中に、横になつて居るのを見て
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
“枯草”で始まる語句
枯草山
枯草色