地上ちじょう)” の例文
おこがましい申分もうしぶんかはぞんじませぬが、そのてん御理解ごりかい充分じゅうぶんでないと、地上ちじょう人類じんるい発生はっせいした径路いきさつがよくおわかりにならぬとぞんじます。
すがすがしい天気てんきで、青々あおあお大空おおぞられていましたが、その奥底おくそこに、ひかったつめたいがじっと地上ちじょうをのぞいているようなでした。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
後世こうせい地上ちじょうきたるべき善美ぜんびなる生活せいかつのこと、自分じぶんをして一ぷんごとにも圧制者あっせいしゃ残忍ざんにん愚鈍ぐどんいきどおらしむるところの、まど鉄格子てつごうしのことなどである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
先棒さきぼううしろとのこえは、まさに一しょであった。駕籠かご地上ちじょうにおろされると同時どうじに、いけめんした右手みぎてたれは、さっとばかりにはねげられた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そこでマリアは、おきさきさまをふたたび地上ちじょうにおろして、三ばんめの赤ちゃんもとりあげてしまったのです。
地上ちじょうにありて最大たりしものも、天国てんごくにありては恐らくは最小なるものならん」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ガチョウは、すぐにむきをかえて、地上ちじょうにおりていきました。ところが、ぐうぜんにも、ふたりの子どもが、その道をあるいてきて、おとしたニールスの靴をひろいあげてしまいました。
反対はんたいに、聖書せいしょのお話は大変たいへんよく知っています。ジャンセエニュ先生せんせい生徒せいとのうちでも、地上ちじょう楽園らくえんとノアの方舟はこぶねことをローズ・ブノワさんのように上手じょうずにお話しできる生徒せいとは一人もいません。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
垂木たるきは、年寄としよりのおもみさえささえかねたとみえて、メリメリというおととともに、伯父おじさんのからだ地上ちじょうっさかさまに墜落ついらくしたのでした。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっともこれは地上ちじょうははいて申上もうしあげることで、肉体にくたいててしまってからのはは霊魂たましいとは、むろん自由自在じゆうじざいつうじたのでございます。
ジオゲンを御覧ごらんなさい、かれたるなかんでいました、けれども地上ちじょう諸王しょおうより幸福こうふくであったのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これは、かみさまがうちにいらっしゃるとき、いつもおかけになるいすだったのです。そしてここから、神さまは地上ちじょうにおこるすべてのことを、ごらんになることができたのです。
産土うぶすなかみがあって、生死せいし疾病しっぺい諸種しょしゅ災難等さいなんとう守護しゅごあたってくれればこそ、地上ちじょう人間にんげんはじめてそのその生活せいかついとなめるのじゃ。
岡田おかだは、そうこたえて、自分じぶんもそこの地上ちじょういているはなをとめました。すると、どこかで、細々ほそぼそむしこえがしたのです。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きさきさまの頭の上に、ひとすじの光がさしたかと思うと、聖母せいぼマリアが地上ちじょうにおりてきました。マリアは、ふたりの男の子を両わきにつれ、生まれたばかりの赤ちゃんをうでにだいています。
子供こどもは、教師きょうし仕打しうちをうらめしくおもいました。そして、たる地上ちじょうに、かなだらいをってちながらかんがえました。
教師と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「わたくしは、地上ちじょうで、ばあさんがせんたくをしているとき、ベールをふたつこっそりぬすむのを見ましたものですから、かっとなって、そのばあさんめがけて、足台をぶっつけたのでございます。」
てきにねらわれるということからいえば、地上ちじょうにいるだけにどれほど、わたしたちのほうが、危険きけんであるかしれないでしょう。
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まりは、この地上ちじょうのものをうつくしく、うれしくおもいました。なぜ、自分じぶんは、この下界げかいてて、そらうえなどへ、すこしのあいだなりとゆくになったろう。
あるまりの一生 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなは、きみ姿すがたようとするけれど、あまりに、地上ちじょうから距離きょりがはなれています。きみらえようとおもうものまで、あきらめてしまうものがおおい。
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうち、あめかぜがもつれあって、ますますひどくなり、はたして、いえ木立こだちも、地上ちじょうにあるいっさいのものが、もみくちゃにされそうにえました。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
「みみずも、かえるも、よくうたっているな。」と、もとにほほえんで、地上ちじょう見下みおろしているばかりでした。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひと思想しそうも、なにかに原因げんいんするものか、以来いらいわたしは、地上ちじょうはなよりは、大空おおぞらをいくくもあいするようになりました。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けんちゃんは、ににぎっていた、ボールを地上ちじょうとし、たけちゃんは、しばらくだまって、うなずいていました。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ、この地上ちじょうにいるあいだは、おもしろいことと、かなしいこととがあるばかりで、しまいには、たましいは、みんなあおそらへとんでいってしまうのでありました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちへくると、いつものごとく、トラック、自転車じてんしゃ自動車じどうしゃはしっていました。さんさんたる太陽たいようが、あらゆる地上ちじょう物体ぶったいひかりなかにただよわせていました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やまがはじめて、地上ちじょうまれたとき、あたりは、荒涼こうりょうとして、なにも、にとまるものがなかったのです。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こう不幸ふこうか、なわをかけたえだれて、かれ地上ちじょうあたまつとそのままとおくなってしまいました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、絶体絶命ぜったいぜつめいかんじた。数秒すうびょうのちに、自分じぶんからだが、いくしゃくたかいところから地上ちじょう落下らっかして粉砕ふんさいするのだと意識いしきするや、不思議ふしぎにも、気力きりょくがった。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひばりは、だんだん地上ちじょうへちかづくと、じっと自分じぶん見上みあげているおじさんのかおと、としちゃんや、よっちゃん、とめさんたちのかわいらしいかおたのであります。
ひばりのおじさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、ふたたび、地上ちじょうりても、いままでのように、ははねこは、あとおうとせず、なるたけはなれて、ままにあそねこを見守みまもるというふうでありました。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとき、正吉しょうきちのからだも、いっしょにからはなれて、くうでもんどりち、地上ちじょうへとちました。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大空おおぞらは、まんまんとして、はらうえあお天蓋てんがいのように、無限むげんにひろがっているし、やわらかなくさは、うつくしい敷物しきもののごとく、地上ちじょうのとどくかぎりしげっていました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まったく、この地上ちじょうのくらしをらぬわたしに、なんで、あなたをしあわせにすることができましょう。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地上ちじょうに、すむものは、よいも、わるいもない、みんなの運命うんめいおなじなんです。」と、こたえた。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
まりは、地上ちじょうかえろうかとかんがえました。そのとき、かぜは、かれにささやいたのであります。
あるまりの一生 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらにいるわたしは、まったく、地上ちじょうのくらしをらないのでございます。」といいました。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とこなつのはなは、みつばちが、よるになっても、かえってこないので、どこでねむったろうとかんがえていました。かぜが、さやかにきわたると、木々きぎつゆがぽたぽたと地上ちじょうちました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
またさか上方じょうほうそらが、地上ちじょうへひくくたれさがって、ここからは、そのさきにあるまちや、木立こだちなどいっさいの風景ふうけいをかくして、たとえば、あのさきうみだといえば、そうもおもえるように
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとごとをして、いつまでもいていますと、そのうちにがまったくれてしまって、ひろ地上ちじょうよるいろつつまれて、だんだんほしひかりがさえてくる時分じぶんになると、いつともなしに
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、幾世紀いくせいきはたちました。やがてこの地上ちじょうをつかさどられたおうさまがあります。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうしてほとんどおな時刻じこくに、地上ちじょうをたくさんの汽車きしゃはしっていましたが、レールのいった汽罐車きかんしゃは、トンネルのなかへでもはいっていたものか、ついつきにとまりませんでした。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、石油せきゆのびんをわたせ。」と、おとこは、少年しょうねんからったくるとたんになわがれて、びんは地上ちじょうちて、たおれると石油せきゆしげもなく、くちから雲母きららのごとくながました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこだけが、いつものしずかなよる景色けしきと、わりがなかったからです。そこだけをるなら、地上ちじょうで、いま、まちけ、ひとんでいるということが、しんじられないがしました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
「この地上ちじょう人間にんげん霊魂れいこんが、あのそらほしでございます。」と、うらなしゃはいった。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、わしのははは、もうこの地上ちじょうには、どこをさがしてもいだすことができない。
お母さまは太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まつは、旅人たびびとのひとりごとをきいて、自分じぶんとよくが、この地上ちじょうのどこかに存在そんざいしていることをったのです。それは、たがいに相見あいみることはなくとも兄弟きょうだいでなければならない。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんなうつくしいまちがどうしてできたものか、まただれによって、どうしてうつくしく地上ちじょうにいろいろなものがつくられたのであるか、それをかんがえることすらが、二人ふたりにはできなかったのであります。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うかうかと、地上ちじょうりさえしなければ、何事なにごともなかったと、後悔こうかいしました。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このから、この地上ちじょうには、幸福こうふくまれたようにおもわれました。一に、木々きぎのつぼみはふくらみ、さきは、いろづきました。もう、ふゆは、どこかへげていって、はるがやってきたのです。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)