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蕎麥
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そば
ふりがな文庫
“
蕎麥
(
そば
)” の例文
新字:
蕎麦
平次は現場を下つ引に任せて、八五郎を誘つて米澤町の
蕎麥
(
そば
)
屋に入りました。朝からの活躍で、お互ひに腹は減りきつて居ります。
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勘次
(
かんじ
)
はおつたの
姿
(
すがた
)
をちらりと
垣根
(
かきね
)
の
入口
(
いりぐち
)
に
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
不快
(
ふくわい
)
な
目
(
め
)
を
蹙
(
しが
)
めて
知
(
し
)
らぬ
容子
(
ようす
)
を
粧
(
よそほ
)
ひながら
只管
(
ひたすら
)
蕎麥
(
そば
)
の
幹
(
から
)
に
力
(
ちから
)
を
注
(
そゝ
)
いだのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
下谷
(
したや
)
團子坂
(
だんござか
)
の
出店
(
でみせ
)
なり。
夏
(
なつ
)
は
屋根
(
やね
)
の
上
(
うへ
)
に
柱
(
はしら
)
を
建
(
た
)
て、
席
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
きて
客
(
きやく
)
を
招
(
せう
)
ず。
時々
(
とき/″\
)
夕立
(
ゆふだち
)
に
蕎麥
(
そば
)
を
攫
(
さら
)
はる、とおまけを
謂
(
い
)
はねば
不思議
(
ふしぎ
)
にならず。
神楽坂七不思議
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蕎麥
(
そば
)
の
粉
(
こ
)
に
里芋
(
さといも
)
の
子
(
こ
)
をまぜて
造
(
つく
)
つたその
燒餅
(
やきもち
)
の
焦
(
こ
)
げたところへ
大根
(
だいこん
)
おろしをつけて
焚火
(
たきび
)
にあたりながらホク/\
食
(
た
)
べるのは、どんなにおいしいでせう。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
其
(
その
)
時分
(
じぶん
)
は
蕎麥
(
そば
)
を
食
(
く
)
ふにしても、
盛
(
もり
)
かけが八
厘
(
りん
)
、
種
(
たね
)
ものが二
錢
(
せん
)
五
厘
(
りん
)
であつた。
牛肉
(
ぎうにく
)
は
普通
(
なみ
)
が
一人前
(
いちにんまへ
)
四
錢
(
せん
)
でロースは六
錢
(
せん
)
であつた。
寄席
(
よせ
)
は三
錢
(
せん
)
か四
錢
(
せん
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
やがて日が暮れ體中に酒の沁みるのを待つて、いよいよこれから談話を始めようとする前、腹こしらへにと言つて
蕎麥
(
そば
)
を出されたが、私は半分ほど食べ殘した。
足相撲
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
それから
蕎麥
(
そば
)
、夏ならばそうめん。芋大根の類、寒い時なら湯豆腐、香のものもうまいものだ。土地々々の風味の出てゐるのはこの香の物が一番の樣に思ふがどうだらう。
樹木とその葉:07 野蒜の花
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
蕎麥
(
そば
)
と
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
を人間が常用食にして呉れると、一國の經濟が非常に助かるといふ説も出で、これには贊成もあり、反對もあつたが、蕎麥は知らぬが、玉蜀黍の方は今は
亞米利加
(
あめりか
)
の常食だ。
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
丸山の下の横丁まで來ると、
其角
(
そのかど
)
を曲る出前持の松公に逢つた。松公は
蕎麥
(
そば
)
の出前を、ウンと肩の上へ積上げて、片手に傘を
翳
(
さ
)
して居たが、女の姿を見て見ぬ
振
(
ふり
)
をして行過ぎやうとする。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
草を
拉
(
ひし
)
いで積み重ねた材木に腰かけ、職人達に
蕎麥
(
そば
)
を振舞い、自分も食べた。
牡丹
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
送らん
特
(
こと
)
に木曾とありては玉味噌と
蕎麥
(
そば
)
のみならん京味を忘れぬ爲め通り三丁目の嶋村にて汲まんと
和田鷹城子
(
わだおうじやうし
)
と共に勸められ南翠氏が
濱路
(
はまぢ
)
もどきに
馬琴
(
ばきん
)
そつくりの送りの
詞
(
ことば
)
に久しく飮まぬ
醉
(
ゑひ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
返しけるに源八は一
向
(
かう
)
腹
(
はら
)
をも
立
(
たゝ
)
ず
否々
(
いや/\
)
未
(
まだ
)
初戀
(
はつごひ
)
のお高殿一度や二度では
勿々
(
なか/\
)
成就
(
じやうじゆ
)
すまじ
氣永
(
きなが
)
に頼むとて又々與八へ
酒
(
さけ
)
肴
(
さかな
)
など
振舞
(
ふるまひ
)
手拭
(
てぬぐひ
)
雪駄等
(
せつたとう
)
に至るまで心付或時は
蕎麥
(
そば
)
など
喰
(
くは
)
せて頼みしかば與八は又々文を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「成る程ね。それにつけても、あんまり詰め込むなよ、毒だぜ。
爺
(
とつ
)
さんが、仕入れた
蕎麥
(
そば
)
がおしまひになり相で心配して居るぜ」
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
又
(
また
)
蕎麥
(
そば
)
を
打
(
う
)
つたことがあつた。
彼
(
かれ
)
は
黄蜀葵
(
ねり
)
の
粉
(
こ
)
を
繼
(
つな
)
ぎにして
打
(
う
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
おつぎへ
注意
(
ちうい
)
をして
能
(
よ
)
くは
茹
(
う
)
でさせなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
諸君
(
しよくん
)
聞
(
き
)
かずや、むかし
彌次郎
(
やじらう
)
と
喜多八
(
きたはち
)
が、さもしい
旅
(
たび
)
に、
今
(
いま
)
くひし
蕎麥
(
そば
)
は
富士
(
ふじ
)
ほど
山盛
(
やまもり
)
にすこし
心
(
こゝろ
)
も
浮島
(
うきしま
)
がはら。
其
(
そ
)
の
山
(
やま
)
もりに
大根
(
だいこん
)
おろし。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
蕎麥
(
そば
)
の
香
(
にほ
)
ひのする
燒
(
や
)
きたてのお
餅
(
もち
)
の
中
(
なか
)
から
大
(
おほ
)
きな
里芋
(
さといも
)
の
子
(
こ
)
なぞが
白
(
しろ
)
く
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
は、どんなに
嬉
(
うれ
)
しいでせう。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
夜、膝を突き合せて二人は引越し
蕎麥
(
そば
)
を食べた。小さな机を
茶餉臺
(
ちやぶだい
)
代りにして、好物の
葱
(
ねぎ
)
の
韲物
(
あへもの
)
を肴に、サイダーの空壜に買つて來た一合の酒を酌み交はし、心ばかりの祝をした。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
手桶
(
てをけ
)
の
冷
(
つめ
)
たい
水
(
みづ
)
で
曝
(
さら
)
した
蕎麥
(
そば
)
は
杉箸
(
すぎはし
)
のやうに
太
(
ふと
)
いのに、
黄蜀葵
(
ねり
)
の
特色
(
とくしよく
)
の
硬
(
こは
)
さと
滑
(
なめ
)
らかさとで
椀
(
わん
)
から
跳
(
をど
)
り
出
(
だ
)
し
相
(
さう
)
に
成
(
な
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
時
(
とき
)
に
蕎麥
(
そば
)
と
言
(
い
)
へば——
丁
(
てい
)
と——
梨
(
なし
)
。——
何
(
なん
)
だか
三題噺
(
さんだいばなし
)
のやうだが、
姑忘聽之
(
しばらくわすれてきけ
)
。
丁
(
てい
)
と
云
(
い
)
ふのは、
嘗
(
かつ
)
て(
今
(
いま
)
も
然
(
さ
)
うだらう。)
梨
(
なし
)
を
食
(
た
)
べると
醉
(
よ
)
ふと
言
(
い
)
ふ。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「まアいゝ、兄哥の言ふのが皆んな本當として、——人を殺しに行く者が、夜泣
蕎麥
(
そば
)
を二杯も喰へるだらうか」
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
多勢
(
おほぜい
)
の
旅人
(
たびびと
)
が
腰掛
(
こしか
)
けて、めづらしさうにお
蕎麥
(
そば
)
のおかはりをして
居
(
ゐ
)
ました。
伯父
(
をぢ
)
さんは
父
(
とう
)
さん
達
(
たち
)
にも
山
(
やま
)
のやうに
盛
(
も
)
りあげたお
蕎麥
(
そば
)
を
奢
(
をご
)
りまして、
草臥
(
くたぶ
)
れて
行
(
ゆ
)
つた
足
(
あし
)
を
休
(
やす
)
ませて
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
蕎麥
(
そば
)
、お
汁粉
(
しるこ
)
等
(
など
)
、
一寸
(
ちよつと
)
入
(
はひ
)
ると、一ぜんでは
濟
(
す
)
まず。二ぜんは
當前
(
あたりまへ
)
。だまつて
食
(
た
)
べて
居
(
ゐ
)
れば、あとから/\つきつけ
裝
(
も
)
り
出
(
だ
)
す
習慣
(
しふくわん
)
あり。
古風
(
こふう
)
淳朴
(
じゆんぼく
)
なり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
やうやく田町を流してゐるのを突き留めて、
蕎麥
(
そば
)
屋へ入つて一杯呑ませながら聽くと、十手より
酒精
(
アルコール
)
の方が利いて、思ひの外スラスラと話してくれました。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雲
(
くも
)
往
(
ゆ
)
き
雲
(
くも
)
來
(
きた
)
り、やがて
水
(
みづ
)
の
如
(
ごと
)
く
晴
(
は
)
れぬ。
白雲
(
しらくも
)
の
行衞
(
ゆくへ
)
に
紛
(
まが
)
ふ、
蘆間
(
あしま
)
に
船
(
ふね
)
あり。
粟
(
あは
)
、
蕎麥
(
そば
)
の
色紙畠
(
しきしばたけ
)
、
小田
(
をだ
)
、
棚田
(
たなだ
)
、
案山子
(
かゝし
)
も
遠
(
とほ
)
く
夕越
(
ゆふご
)
えて、
宵
(
よひ
)
暗
(
くら
)
きに
舷
(
ふなばた
)
白
(
しろ
)
し。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「パイ一も有難いが、それより腹へ底を入れなきや、呑んだやうな氣がしませんよ。朝つから
蕎麥
(
そば
)
を二杯食つた切りで、山の手一圓から、芝まで駈け廻つたんで——」
銭形平次捕物控:172 神隠し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
日
(
ひ
)
、はじめて
店
(
みせ
)
をあけた
通
(
とほ
)
りの
地久庵
(
ちきうあん
)
の
蒸籠
(
せいろう
)
をつる/\と
平
(
たひら
)
げて、「やつと
蕎麥
(
そば
)
にありついた。」と、うまさうに、
大胡坐
(
おほあぐら
)
を
掻
(
か
)
いて、また
飮
(
の
)
んだ。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「證據があるんだから文句は言はせねえ
心算
(
つもり
)
さ。東禪寺前で夜泣
蕎麥
(
そば
)
を二杯も喰つてゐるし——」
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嘸
(
さぞ
)
うちたての
蕎麥
(
そば
)
を
罵
(
のゝし
)
つて、
梨
(
なし
)
に
醉
(
よ
)
つてる
事
(
こと
)
だらう。まだ
其
(
それ
)
は
勝手
(
かつて
)
だが、
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
量見
(
りやうけん
)
で、
紅葉先生
(
こうえふせんせい
)
の
人格
(
じんかく
)
を
品評
(
ひんぺう
)
し、
意圖
(
いと
)
を
忖度
(
そんたく
)
して
憚
(
はゞか
)
らないのは
僭越
(
せんゑつ
)
である。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ガラツ八はさすがに
膽
(
きも
)
を潰しました。十六文の
蕎麥
(
そば
)
を毎晩二つづつ喰へる身分になりたいと思ひ込んでゐる八五郎に取つては、八千兩といふのは全く夢のやうな大金です。
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
胃弱
(
ゐじやく
)
にして、うちたてをこなし
得
(
え
)
ないが
故
(
ゆゑ
)
に、ぐちやり、ぐちやりと、
唾
(
つば
)
とともに、のびた
蕎麥
(
そば
)
を
噛
(
か
)
むのは
御勝手
(
ごかつて
)
だが、その
舌
(
した
)
で、
時々
(
とき/″\
)
作品
(
さくひん
)
の
批評
(
ひへう
)
などすると
聞
(
き
)
く。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これぢやろくな
蕎麥
(
そば
)
も喰へません。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勞
(
らう
)
を
謝
(
しや
)
するに
酒
(
さけ
)
もない。
柳川
(
やながは
)
は
卷煙草
(
まきたばこ
)
の
火
(
ひ
)
もつけずに、ひとりで
蕎麥
(
そば
)
を
食
(
た
)
べるとて
歸
(
かへ
)
つた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
山家
(
やまが
)
、
村里
(
むらざと
)
は
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の
蕎麥
(
そば
)
の
霧
(
きり
)
、
粟
(
あは
)
の
實
(
み
)
の
茂
(
しげ
)
れる
中
(
なか
)
に、
鶉
(
うづら
)
が
鳴
(
な
)
けば
山鳩
(
やまばと
)
の
谺
(
こだま
)
する。
掛稻
(
かけいね
)
の
香
(
か
)
暖
(
あたゝ
)
かう、
蕪
(
かぶら
)
に
早
(
はや
)
き
初霜
(
はつしも
)
溶
(
と
)
けて、
細流
(
せゝらぎ
)
に
又
(
また
)
咲
(
さ
)
く
杜若
(
かきつばた
)
。
晝
(
ひる
)
の
月
(
つき
)
を
渡
(
わた
)
る
雁
(
かり
)
は、また
戀衣
(
こひぎぬ
)
の
縫目
(
ぬひめ
)
にこそ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尾上
(
をのへ
)
に
遙
(
はるか
)
に、
崖
(
がけ
)
に
靡
(
なび
)
いて、
堤防
(
どて
)
に
殘
(
のこ
)
り、
稻束
(
いなづか
)
を
縫
(
ぬ
)
つて、
莖
(
くき
)
も
葉
(
は
)
も
亂
(
みだ
)
れ
亂
(
みだ
)
れて
其
(
それ
)
は
蕎麥
(
そば
)
よりも
赤
(
あか
)
いのに、
穗
(
ほ
)
は
夢
(
ゆめ
)
のやうに
白
(
しろ
)
い
幻
(
まぼろし
)
にして
然
(
しか
)
も、
日
(
ひ
)
の
名殘
(
なごり
)
か、
月影
(
つきかげ
)
か、
晃々
(
きら/\
)
と
艶
(
つや
)
を
放
(
はな
)
つて、
山
(
やま
)
の
袖
(
そで
)
に、
懷
(
ふところ
)
に
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蕎
漢検準1級
部首:⾋
15画
麥
部首:⿆
11画
“蕎麥”で始まる語句
蕎麥屋
蕎麥掻
蕎麥粉
蕎麥幹
蕎麥畑
蕎麥切
蕎麥湯