少年しょうねん)” の例文
夕飯ゆうはんのあとは、お祖父じいさん、お祖母ばあさん、少年しょうねんの三にんが、いろりのはたでえだ松葉まつばをたき、毎晩まいばんのようにたのしくおはなしをしました。
おかまの唄 (新字新仮名) / 小川未明(著)
諭吉ゆきちは、このように、自分じぶんでなっとくのできないことについては、自分じぶんでじっさいにためしてみるという、しっかりした少年しょうねんでした。
相手あいて黙々もくもくとした少年しょうねんだが、由斎ゆうさいは、たとえにあるはしげおろしに、なに小言こごとをいわないではいられない性分しょうぶんなのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
つぎにかえってたのは、少年しょうねん角兵ヱかくべえでありました。角兵ヱかくべえは、ふえきながらたので、まだやぶこうで姿すがたえないうちから、わかりました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
生徒監せいとかんのセルゲイ・イヴァーヌイチは、うさんくさそうな目付めつきで、ひたとこの少年しょうねんを見つめた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
きっさてんや、カフェーや、マージャンクラブなどがのきなみにならんでいて、少年しょうねんは、その中のオリオンけんというミルクホールにはたらいていた。少年しょうねんの名は、いのきちといった。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
いったいこの為朝ためとも子供こどものうちからほかの兄弟きょうだいたちとは一人ひとりちがって、からだもずっと大きいし、ちからつよくって、勇気ゆうきがあって、の中になに一つこわいというもののない少年しょうねんでした。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
幼年時代ようねんじだいを通じて、その音楽家の面影おもかげは生きた手本てほんとなり、かれはそのうえをすえていた。わずか六歳の少年しょうねんたる彼が、自分もまた楽曲を作ってみようと決心けっしんしたのは、この手本にもとづいてであった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「だれだい?」と、少年しょうねんびかけて、その三にんをじっと見守みまもりました。すると、一人ひとりとしちゃんで、一人ひとりしょうちゃんでありました。
町の天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
春信はるのぶは、こいからはなすと、きゅうおもいだしたように、縁先えんさき万年青おもと掃除そうじしている、少年しょうねん門弟もんてい藤吉とうきちんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
町人ちょうにんたちは、さも、ふしぎなものをみたといわんばかりに、少年しょうねんのうしろすがたをゆびさして、ささやきあいました。
まっ赤になってもじもじしているこの少年しょうねんつめていたが、そろりそろり質問しつもんを始めた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
「ちょうど、わたしがよくいくミルクホールで、少年しょうねんがほしいといっているから……。」
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
とまだ少年しょうねん角兵ヱかくべえこたえました。これは越後えちごから角兵ヱ獅子かくべえじしで、昨日きのうまでは、家々いえいえしきいそとで、逆立さかだちしたり、とんぼがえりをうったりして、一もんもんぜにもらっていたのでありました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
きみにできる仕事しごとなんですか?」とききました。かれは、その少年しょうねんにできることなら、自分じぶんにもできないことはないとおもったからです。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、少年しょうねんがたちどまったのは、もんこそありますが、ふるぼけた、そまつなかやぶきやねのいえでした。
けがれのない少年しょうねんたましいをほめたたえ、これをけが大人おとな生活せいかつみにくさ、いやしさをにくのろうソログーブの気持きもちは、レース細工ざいくのようにこまやかな、うつくしい文章ぶんしょうで、こころにくいまでにうつされている。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
達夫たつおじゃない?」と、おかあさんは、こえをかけました。しかし、ちがっていたとみえて、その少年しょうねんは、だまっていってしまいました。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おかあさん、つきは、去年きょねんはるとちがって、あたりがあんなあとになったので、びっくりしたでしょうね。」と、少年しょうねんがいいました。
夢のような昼と晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてあの少年しょうねんっていたようなふでがあったら、自分じぶんにもきっと、あのようにいきいきとけるのであろうとおもいました。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
白鳥はくちょうは、注意深ちゅういぶかくその広場ひろばりたのであります。そして、そこに、一人ひとり少年しょうねんくさうえにすわって、ふえいているのをました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、少年しょうねんちそこなっては、ともだちや、ともだちのおとうさんのているまえで、みっともないとおもいました。それで、しんけんでした。
すずめを打つ (新字新仮名) / 小川未明(著)
はなしはべつに、あるまち病院びょういんで、まずしげなふうをした母親ははおや少年しょうねん二人ふたりが、待合室まちあいしつかたすみで、ちぢこまって、いていました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
かあさんが、けさおっしゃった言葉ことばが、ふとあたまかんだので、少年しょうねんは、いっそうこの景色けしきを、とうとく、いとしいものにおもいました。
夢のような昼と晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、マントのしたかたからかけた、新聞しんぶんたばから、一まいくと、もんけてぐちへまわらずに、たけ垣根かきねほうちかづきました。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、なかには帽子ぼうしなかぜにをいれてやるものもあったが、少年しょうねんが、そのまえにこぬうちに、さっさといってしまうものもありました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それはほんとうですか?」と、少年しょうねんは、まれわったようにじょうぶになるといて、おどろきとよろこびとにつようにおもいました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのばん太郎たろう母親ははおやかって、二日ふつかおな時刻じこくに、きんをまわしてはしっている少年しょうねんのことをかたりました。母親ははおやしんじませんでした。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どいておくれ。」と、おとこは、ぶあいそうにいった。少年しょうねんは、一退いて、ほそくして、雲切くもぎれのしたあきそらあおいでいました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おなんかやればんでしまう。きみ金魚きんぎょだって、おなかへいれればんでしまうだろう?」と、相手あいて少年しょうねんは、いいました。
ある日の先生と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みつは、少年しょうねんのたおれているところへきました。ると、その顔色かおいろさおになっています。そして、くるしそうにいきをしていました。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆうちゃんは、あとで、さびしいがしました。それから、温泉場おんせんばまで、ふたたび少年しょうねんることができなかったのでした。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)
すでに、あのときから、はや一週間しゅうかんちかくたったであろうか。少年しょうねんは、あの中国ちゅうごくおんなのおどっている、あかいさらがたくなりました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、しっかりとわたし脊中せなかにおさりなさい。」と、天使てんしはいいました。少年しょうねんは、天使てんししろ脊中せなかにしっかりときつきました。
町の天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あめは、しだいに小降こぶりになってきました。少年しょうねんは、両手りょうてに、四かくのかんや、びんをつつんだのをかかえて、自動車じどうしゃにもどってきました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
荷物にもつ背中せなかって、薬売くすりうりの少年しょうねんは、今日きょうらぬ他国たこくみちあるいていました。きたまちから行商群ぎょうしょうぐん一人ひとりであったのです。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おとうさん、すずらんのが、だんだんびてきましたよ。」と、にわて、あそんでいた少年しょうねんが、おくほうかっていいました。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
いろいろなひとたちが、そのみちうえをばあるいていましたけれど、少年しょうねんには、そのひとたちにこころをとめてみる余裕よゆうもなかったのであります。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
学生服がくせいふく少年しょうねんから、あつなみだがながれました。つねにかれはほがらかだったのです。おとうさんは、おくにのためにたたかって、んだのだ。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
いったいだれだろうとおもって、かなたの往来おうらいはしってゆく少年しょうねんかおをながめましたが、まったく見覚みおぼえのない少年しょうねんでありました。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくつけておいた、いいものをってきてあげるから、ここにっていたまえ。」と、少年しょうねん雑木林ぞうきばやしけてはいりました。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、いくつかのうたがすむと、少年しょうねん自分じぶんのかぶっている帽子ぼうしって、それをって、っている人々ひとびとまえをまわりました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、雑沓ざっとうするみちからは、喧騒けんそうさけびがあがり、ほこりがいたっていました。そのあいだ少年しょうねんは、とぼとぼあるいてきたのです。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、はたけなかって、しょんぼりとして、少年しょうねん行方ゆくえ見送みおくりました。いつしかその姿すがたは、しろみちのかなたにえてしまったのです。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いいよ、ぼくが、ければ、もうしてくれといわない。そして、今度こんどきたときにりたのはかえすからね。」と、少年しょうねんは、こたえたのです。
友だちどうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんが、あるいていくと、旅人たびびとは、にっこりとわらいました。少年しょうねんは、やさしい、どこかのおじさんだとおもうと、きゅうになつかしくなりました。
その日から正直になった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なぜ、くの?」と、少年しょうねんは、少女しょうじょかおをのぞきこんだ。けれど、彼女かのじょは、だまっていました。こえは、だんだんちいさくなりました。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、おじいさんのげたの鼻緒はなおをたてていますと、あごひげのしろいおじいさんは、つえによりかかってあたりをまわしていましたが
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、二人ふたりは、ぜにをもらい、いままでのごとく、こまったことはなかったけれど、少年しょうねんにとってただ一つ、物足ものたらないものがありました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ともだちは、ふところからかきをして、少年しょうねんわたしました。二人ふたり子供こどもは、かわいた往来おうらいうえで、黄色きいろ果実かじつってたのしそうにあそんでいました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)