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可笑をかしなお話をいたしましたが、策伝さくでんの話より、一そう御意ぎよいかなひ、其後そののち数度たび/\御前ごぜんされて新左衛門しんざゑもんが、種々しゆ/″\滑稽雑談こつけいざつだんえんじたといふ。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると、女がある日、不思議な御縁ごえんでいっしょに暮しましたが、あなたもお気にしたから、こんなに長くいらっしゃるのでしょう。
女強盗 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「そうなるように、願っているわけじゃありませんが、死ぬものなら、しようがないでしょう。神さまが、おしになるのですから」
蝶の絵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それで、ひすいを見分みわけるために、御殿ごてんされた老人ろうじんは、きさきくなられると、もはや、仕事しごとがなくなったのでひまされました。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「キヤノンさん、先刻さつきから拝見してゐると、貴方はしきりと玉蜀黍をあがつていらつしやるやうですが、おなかに悪かありませんか。」
御酒ごしゆからいものでござります。からいものをからいとおぼしますのは、結構けつこうで、‥‥失禮しつれいながらもう御納盃ごなふはいになりましては。‥‥』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
天皇は、沙本毘古王さほひこのみこという方のお妹さまで沙本媛さほひめとおっしゃる方を皇后におしになって、大和やまと玉垣たまがきの宮にお移りになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ほかなにもさしげるものとてございませぬ。どうぞこのたきのおみずなりとあがれ……。これならどんなに多量たんとでもございます……。』
殿とのよツくきこし、呵々から/\わらはせたまひ、たれぢやと心得こゝろえる。コリヤ道人だうじんなんぢ天眼鏡てんがんきやうたがはずとも、草木くさきなびかすわれなるぞよ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして口々に、「近いうちにおこなわれるご行列のときに、このあたらしい、りっぱなお着物をおしになってはいかがですか」
アシュル・バニ・アパル大王は巨眼縮髪きょがんしゅくはつの老博士ナブ・アヘ・エリバをして、この未知の精霊についての研究を命じたもうた。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
つるそうらへ/\」と、各地に呼び売りする行商人となっておりましたから、その呼び声を取ってツルメソと言われたのです。
あゝ貴君あなたのやうにもないおりき無理むりにも商買しようばいしてられるは此力このちからおぼさぬか、わたし酒氣さかけはなれたら坐敷ざしきは三昧堂まいどうのやうにりませう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると、まばゆいようにかゞやをんながゐます。これこそ赫映姫かぐやひめちがひないとおぼしてお近寄ちかよりになると、そのをんなおくげてきます。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
「おかしら、これをしあがってください。うまいものですから、あなたにもお気にめしましょう。」と、ノロ公が言いました。
「ぜひがないこととなった。したが、忍剣にんけん他人手ひとでられるのは、なんともざんねん。かれとしても本意ほんいであるまい。民部みんぶ、民部」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌日朝早く案内者一人し二人きおいにきおいて滝壺に下る。岩崩れ足すべる。手に草をつかみてうしろ向きになりて少しずつ下り行く。
滝見の旅 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「今までの占がもし当ったとすれば、今の占も決してあたらぬ筈は御座いませぬ。嘘だとおぼすならば、その証拠を御覧に入れましょうか」
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「すぐ赴任さすことになっておるが、仁孝の心にめんじて、九年の時間をかそう。そのかわり、時間が来たならまたすから、そう心得よ。」
考城隍 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「山県様に一日も早く、お逢いなさろうとおぼして、先をお急ぎなさいますそうな」下僕の小平はからかうようにいった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小僧こぞうはそれをくやしがって、いつかすきをつけて、和尚おしょうさんから、おいしいものをげてやろうとかんがえていました。
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
王樣わうさま御殿ごてんかもしれねえ、自分じぶんはあそこへくのだらう。きつと王樣わうさま自分じぶんをおしになつたんだ。おかゝつたらなにだい一にはう。そうだ。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
龐涓はうけんすでつかへ、惠王けいわう將軍しやうぐんるをて、みづか以爲おもらへく(一五)のう孫臏そんびんおよばずと、すなはひそかに((人ヲシテ))孫臏そんびんさしむ。ひんいたる。
その上自分の心中のわたくしを去ることをかたんずる人程かへつて他人の意中のわたくしあばくにびんなるものである。九郎右衛門は一しよにられたいと云ふ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それならば助けて見ようというおぼししが神にもあって、おかげこうむることが多いということを、久しくわたしたちの祖先は経験していたのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「内藤さん、けっしてご遠慮えんりょはいりませんのよ。今度こそ一晩ゆっくりお母さんのお乳をしあがっていらっしゃい」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
持って学校へ行って来ますから、兄さんはここで休んでいらっしゃい。はい、これはおむすび。たくさんし上れ。
薄明 (新字新仮名) / 太宰治(著)
古藤さん、あなた貧乏くじを背負い込んだとおぼして、どうか二人ふたりを見てやってくださいましな。いいでしょう。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それあの山部の何とか言つた地下ぢげびとの歌よみが、「昔見し池の堤は年深み……」と言つた位だが、其後は、これ此様に四流にも岐れて栄えてゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
何卒どうぞ閣下かくかこれをおください。』と、ニキタは前院長ぜんゐんちやうまへつて丁寧ていねいふた。『あれ閣下かくかのお寐臺ねだいで。』と、かれさらあたらしくおかれた寐臺ねだいはうして。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
後藤ごとう男爵が少年のころ、何かの折りに、岩倉公いわくらこうの前にされ、菓子をもてなされた。地方からポットの男はめずおくせず、その席上でムシャムシャと菓子を食った。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
〔評〕大坂城おちいる。徳川慶喜よしのぶ公火船に乘りて江戸に歸り、諸侯を召して罪をつの状を告ぐ。余時に江戸に在り、特に別廳べつちやうし告げて曰ふ。事此に至る、言ふ可きなし。
「いかがです、今日は一つ、お風呂ふろをおしなさいませ。すっかりお仕度したくができて居ます。」
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ひむがしたぎ御門みかどさもらへど昨日きのふ今日けふすこともなし 〔巻二・一八四〕 日並皇子宮の舎人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「そうされても、あたしいやじゃないの。……あたし、あなたの顔が気に入ったわ。あなたとは、仲好なかよしになれそうな気がするのよ。でもあたしは、あなたのお気にしまして?」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
なまじひのお慈悲でわが子をされなければ、こんなことにもならなかつたであらうと、娘の親たちは今更にかみを恨むやうにもなつた。町役人共もよしないことを届け出たのを後悔した。
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
ばあさんに聞いてみると、すこぶる水気の多い、うまい蜜柑だそうだ。今にうれたら、たんとし上がれと云ったから、毎日少しずつ食ってやろう。もう三週間もしたら、充分じゅうぶん食えるだろう。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さるべきの處物頭役大橋文右衛門のなさけにて助けられ廿兩の金子をめぐくれ候を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まあ一盃ひとつし上れな、すっかり御酒ごしゅめておしまいなすったようですね。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ロレ いや、寛大くわんだいなお宣告いひわたし、一めいされいで、追放つゐはうにせいとの命令おほせぢゃ。
御家人ごけにん旗本のあいだには黄平きびらの羽織に漆紋うるしもん、それは昔し/\家康公が関ヶ原合戦の時に着て夫れから水戸の老公が始終しじゅうソレをして居たとかと云うような云伝いいつたえで、ソレが武家社会一面のおお流行。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
去年三月主君浅野内匠頭あさのたくみのかみ殿中でんちゅうにて高家こうけの筆頭吉良上野介きらこうずけのすけ刃傷にんじょうに及ばれ、即日芝の田村邸において御切腹、同時に鉄砲洲の邸はおげとなるまで、毛利小平太は二十石五人扶持ぶち頂戴ちょうだいして
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
日向の國の諸縣むらがたの君のむすめ髮長姫かみながひめが美しいとお聞きになつて、お使い遊ばそうとして、おし上げなさいます時に、太子のオホサザキの命がその孃子の難波津に船つきしているのを御覽になつて
トルコ皇帝陛下は近頃メジナにある回々教祖フイフイきょうそマホメットの墓に電灯をつけて神聖な墓地の闇を照らそうという事をおぼし立たれて英国の某会社に右の工事一切を御下命になったと伝えられている。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
他の一二の小屋は訪わず、玉蜀黍をい喰い帰る。北海道の玉蜀黍は実にうまい。先年皇太子殿下(今上きんじょう陛下へいか)が釧路くしろで玉蜀黍をしてそれから天皇陛下へおみやげに玉蜀黍を上げられたももっともである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
尤もナオミも、前から内々あの男におぼしがあったらしい。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「父上……その密書いかがおぼしますか」
城を守る者 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「先生何かあがります? トストでも。」
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
つくしてされうづるにても
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
我子わがこされ、いへ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)