親類しんるゐ)” の例文
同伴者つれ親類しんるゐ義母おつかさんであつた。此人このひと途中とちゆう萬事ばんじ自分じぶん世話せわいて、病人びやうにんなる自分じぶんはらまでおくとゞけるやくもつたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
九郎兵衞に頼みあとの事まで念頃ねんごろに話しける九郎兵衞故意と斷り云しか共女房の親類しんるゐ共打寄いや癩病らいびやうにては村へ置れぬ定法ぢやうはふなれば是非共跡を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
されば芝居をつくる処、此役者が家はさらなり、親類しんるゐ縁者えんじや朋友はういうよりも人を出し、あるひは人をやとひ芝居小屋場の地所の雪をたひらかにふみかため
のきはなけます、といりかはりちかはる、二三日前にさんにちまへから、もう町内ちやうない親類しんるゐづきあひ。それもい。テケテンテケテン、はや獅子ししひあるく。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それぢや少し聞いたことがるから、わたしは一つ沼田ぬまたつて見ようと思ふ」「沼田ぬまた親類しんるゐもあの五代目が達者たつしや時分じぶん折々をり/\たづねてましたが、 ...
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
竹村たけむらはそのときあねなる彼女かのぢよのうへを、すこしきいてみた。彼女かのぢよ東京とうきやう親類しんるゐせて、女学校ぢよがくかうてから、語学ごがく音楽おんがくかを研究けんきうしてゐるらしかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
母親おふくろ父親おやぢ乞食こじきかもれない、おもてとほ襤褸ぼろげたやつ矢張やつぱりれが親類しんるゐまきで毎朝まいあさきまつてもらひにびつこ隻眼めつかちのあのばゝなにかゞれのためなんあたるかれはしない
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いましがたまして、はひつて、それからめしつて、烟草たばこんで、いてると、家内かない子供こどもれて親類しんるゐつて留守るすなんでせう。成程なるほどしづかなはずだとおもひましてね。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
思出おもひだしてると奇談きだんがあつた。はゝさい親類しんるゐ子供こどもや、女中ぢよちうや、とほくもいので摘草つみくさかた/\見物けんぶつことつた。其時そのとき生憎あいにくなにないので、採集袋さいしふぶくろ摘草つみくされてかへつたこともあつた。
其方儀嘉川家嫡子ちやくしの身分を以て常々不行跡ふぎやうせきの由沙汰有之の處當時たうじ病氣びやうきにて存命もはかり難き由是によつて全快まで親類しんるゐへ御預仰付らる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
されば芝居をつくる処、此役者が家はさらなり、親類しんるゐ縁者えんじや朋友はういうよりも人を出し、あるひは人をやとひ芝居小屋場の地所の雪をたひらかにふみかため
……今日けふかへりがけに西片町にしかたまち親類しんるゐ一寸ちよつとらう。坂本さかもとから電車でんしやにしようと、一度いちど、おぎやうまつはう歩行あるきかけたが。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
本當ほんたうれはまたからでもたのか、つひしか親類しんるゐらしいものつたこと
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其女そのをんなさいはたらき、勉強べんきやう出来できすぐれて悧巧りこうたちであつたが、或時あるとき脊負揚しよいあげのなかゝら脱落ぬけおちたをとこふみで、其保護者そのほごしや親類しんるゐ細君さいくんかんづかれ、一学校がくかうめられて、うち禁足きんそくされてゐたが
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
たく酒井伝吉さかゐでんきちといふ車ををとこがある、此男このをとこは力が九人力にんりきある、なぜ九人力にんりきあるかといふと、大根河岸だいこんがし親類しんるゐ三周さんしうへ火事の手伝てつだひにやつたところが、一人でたゝみを一度に九枚持出もちだしたから
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
佐伯さへき叔母をば安之助やすのすけ其後そのごとん宗助そうすけうちへはえなかつた。宗助そうすけもとより麹町かうぢまち餘暇よかたなかつた。また夫丈それだけ興味きようみもなかつた。親類しんるゐとはひながら、別々べつ/\二人ふたりいへらしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
盡しけるに母も父が七回忌くわいきあたとし病死なしければ傳吉の愁傷しうしよう大方ならずかつ親類しんるゐは只當村たうむらをさ上臺憑司かみだいひようじ而已のみなれ共是は傳吉の不如意をきらひ出入を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
親類しんるゐうちで一軒いつけんでもけなかつたのがお手柄てがらだ。」といつて、うれしさうなかほをした。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とんでもない親類しんるゐくやうなつたのさ、わたし明日あすあのうら移轉ひつこしをするよ、あんまりだしぬけだからさぞまへおどろくだらうね、わたしすこ不意ふいなのでまだ本當ほんたうともおもはれない
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其上そのうへ細君さいくん子供こどもれて親類しんるゐばれてつて留守るすだといふはなしまでした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
就中なかんづく、わざ/\東京とうきやうから出張でばつて親類しんるゐのものは、あるひなぐさめ、あるひはげまし、またいましめなどする種々いろ/\言葉ことばを、立続たてつゞけに嘵舌しやべつたが、あたまからみゝにもれず……暗闇くらやみ路次ろじはいつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
床几しやうぎ——といふところだが、(——親類しんるゐいへで——)用意よういがないから、踏臺ふみだい嵬然くわいぜんとしてこしけた……んぢや、とわらつて、當人たうにんわたしはなした。夫人ふじんおよ學生がくせいさんがたには内證ないしようらしい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、宿やど了見れうけんばかりで電報でんぱうつた、とえて其処そこ出逢であつた一群いちぐんうちには、おうら親類しんるゐ二人ふたりまざつた、……なかない巡査じゆんさなどは、おな目的もくてきで、べつ方面はうめんむかつてるらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なるかなさら一時間いちじかんいくらとふ……三保みほ天女てんによ羽衣はごろもならねど、におたからのかゝるねえさんが、世話せわになつたれいかた/″\、親類しんるゐようたしもしたいから、お差支さしつかへなくば御一所ごいつしよ
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
親類しんるゐ一人いちにん、インバネスををとこ真前まつさきつて、みなぞろ/\とかへつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)