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袷
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あはせ
ふりがな文庫
“
袷
(
あはせ
)” の例文
お靜が丹精した新しい
袷
(
あはせ
)
、十手を懷ろに忍ばせて、おろし立ての麻裏の
草履
(
ぞうり
)
をトンと踏みしめると
項
(
うなじ
)
から、切火の鎌の音が冴えます。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
頼み彌陀如來
救
(
すく
)
はせ給へと口の内今ぞ一期と
看念
(
かんねん
)
なし
水淺黄色
(
みづあさぎいろ
)
の
袷
(
あはせ
)
の上に
切繩
(
きりなは
)
を
懸
(
かけ
)
馬の上に
縛
(
しば
)
り付られ眞先には捨札
紙幟
(
かみのぼり
)
を立與力同心
警固
(
けいご
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして紫の銘仙の
袷
(
あはせ
)
の下に緋の紋羽二重の
綿入
(
わたいれ
)
の下着を着て、
被布
(
ひふ
)
は着けずにマントを着た姿を異様な
情
(
なさけ
)
ない姿に思はれた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
おつぎが
洗
(
あら
)
ひ
曝
(
ざら
)
しの
袷
(
あはせ
)
を
棄
(
す
)
てゝ
辨慶縞
(
べんけいじま
)
の
單衣
(
ひとへ
)
で
出
(
で
)
るやうに
成
(
な
)
つてからは
一際
(
ひときは
)
人
(
ひと
)
の
注目
(
ちうもく
)
を
惹
(
ひ
)
いた。
例
(
れい
)
の
赤
(
あか
)
い
襷
(
たすき
)
が
後
(
うしろ
)
で
交叉
(
かうさ
)
して
袖
(
そで
)
を
短
(
みじか
)
く
扱
(
こき
)
あげる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
矢
(
や
)
がすりの
袷
(
あはせ
)
に、
赤
(
あか
)
の
帶
(
おび
)
の
竪矢
(
たてや
)
の
字
(
じ
)
を
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うた
侍女
(
じぢよ
)
が、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
へて、キッパリと
耳
(
みゝ
)
に
快
(
こゝろよ
)
い
江戸言葉
(
えどことば
)
で
言
(
い
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
不斷衣
(
ふだんぎ
)
の
袷
(
あはせ
)
と袷羽織とめりやすのシヤツとがある外には、樺太の夏に向きかかつた時拵らへた銘仙の
單衣
(
ひとへ
)
に
對
(
つゐ
)
の銘仙の袷羽織を着てゐるばかりだ。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
『お前着物を
如何
(
どう
)
お
爲
(
し
)
なんだよ。此寒いのに、ベラ/\した
袷
(
あはせ
)
かなんかで。
其樣
(
そん
)
な
姿
(
なり
)
で此邊を
彷徨
(
うろ/\
)
しておくれでないよ、
眞實
(
ほんとう
)
に外聞が惡いから。』
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
こゝに
巣
(
す
)
をくふ
平吉
(
へいきち
)
と
云
(
い
)
ふ
博奕仲間
(
ぶちなかま
)
に
頼
(
たの
)
んで、
其
(
そ
)
の
袷
(
あはせ
)
と
綿入
(
わたいれ
)
を
一枚
(
いちまい
)
づゝ、
帶
(
おび
)
を
添
(
そ
)
へて
質入
(
しちい
)
れにして、
小助
(
こすけ
)
が
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つた
金子
(
かね
)
が……
一歩
(
いちぶ
)
としてある。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
連れて来られた時は木綿縞の
袷
(
あはせ
)
だつた。八月の炎天の下をそれでは歩けないだらう。考へて
襦袢
(
じゆばん
)
一枚になつた。履きものには三銭の藁草履を買つた。
反逆の呂律
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
「何の、
私
(
わし
)
は寝たよりも
醒
(
さ
)
めてる方が
楽
(
たのしみ
)
だ——此の綿を
紡
(
つむい
)
で
仕舞
(
しま
)
はんぢや寝ないのが、私の
規定
(
きめ
)
だ、是れもお前の
袷
(
あはせ
)
を織る
積
(
つもり
)
なので——さア、早くお
寝
(
やす
)
み」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
寒空に
袷
(
あはせ
)
一枚で乳母車を露店にして黄塵を浴びながら大福餅を燒いて客を待つ脊髓の
跼
(
かゞま
)
つた婆さんを、皺だらけの顏を
鏝塗
(
こてぬ
)
りに
艶裝
(
めか
)
しこんで、船頭や、車引や
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
案じ夏とて谷間に雪あるに
郎
(
をとこ
)
は
單衣
(
ひとへぎぬ
)
にて
上
(
のぼ
)
られぬ梢の
雫
(
しづく
)
巖
(
いはほ
)
の
滴
(
したゝ
)
り何とてそれにて
凌
(
しの
)
がれん
袷
(
あはせ
)
を贈りまゐらせたやとの情
彼
(
か
)
の孤閨を守る
婦
(
をんな
)
が夫が遠征の先へ新衣を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
板のやうな掛蒲団を
袷
(
あはせ
)
の上に
被
(
かぶ
)
つて
禿筆
(
ちびふで
)
を噛みつゝ原稿紙に
対
(
むか
)
ふ日に焼けて
銅
(
あかゞね
)
色をしたる頬の
痩
(
やつ
)
れて
顴骨
(
くわんこつ
)
の高く現れた神経質らしい
仝
(
おな
)
じ
年輩
(
としごろ
)
の男を冷やかに見て
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「四月の末に来るといふお
婿
(
むこ
)
さんが一月延びることに成つた。綿入の紋附を
袷
(
あはせ
)
に直して、またそれでも間に合はないなんて、大変な話だぞ。弱つたナ、こりや。」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それからこの百姓大尽の家に使われている幸内という若い者のことを書いて、「見ると幸内は
小薩張
(
こざつぱり
)
した
袷
(
あはせ
)
に小紋の羽織を引かけて」云々(五五六頁)といっている。
中里介山の『大菩薩峠』
(新字新仮名)
/
三田村鳶魚
(著)
鼠いろのこまかい縞目の
袷
(
あはせ
)
に、黒無地のセルの羽織を着て立つてゐた。ドアを押して中へはひり
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
周三は、よれ/\の
袷
(
あはせ
)
の裾下から現はした細い脚をひよろつかせながら、首を縮めて歩いてゐた。おきみは、からだの中に
惡寒
(
をかん
)
を感じながら、胸を顫はして歩いてゐた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
ああ、さう、何でも
袷
(
あはせ
)
を着てゐたから、丁度今時分でした。
湖月
(
こげつ
)
さんのあの池に好いお月が
映
(
さ
)
してゐて、
暖
(
あつたか
)
い晩で、貴方と一処に涼みに出たんですよ、善く覚えてゐる。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
幾度水に
潜
(
くゞ
)
ツたかと思はれる
銘仙
(
めいせん
)
の
袷
(
あはせ
)
に、新しい
毛襦子
(
けじゆす
)
の
襟
(
えり
)
をかけて、しやツきりした
姿致
(
やうす
)
で
長火鉢
(
ながひばち
)
の傍に座ツてゐるところは、是れが娘をモデルに出す
人柄
(
ひとがら
)
とは思はれぬ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
押入れ探ぐつて何やらの小風呂敷
取出
(
とりいだ
)
し、これはこの子の
寐間着
(
ねまき
)
の
袷
(
あはせ
)
、はらがけと三尺だけ貰つて行まする、御酒の上といふでもなければ、
醒
(
さ
)
めての思案もありますまいけれど
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「それにしても、
此方
(
こつち
)
はいやに
冷
(
ひや
)
つくね。もう六月だつていふのに、
袷
(
あはせ
)
では寒いね!」
時子
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
声をかけられるその瞬間まで、彼は酒造家の相沢を何となくでつぷり肥つて、木綿縞の
袷
(
あはせ
)
の袖口から肉づきのいゝ手首を
喰
(
は
)
み出させた、紺の前掛でもした男を想像してゐたのだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
自分もセルを
脱
(
ぬ
)
がなければならないと思つて、五六町
歩
(
ある
)
くうちに、
袷
(
あはせ
)
を
着
(
き
)
た
人
(
ひと
)
に
二人
(
ふたり
)
出逢
(
であ
)
つた。
左様
(
さう
)
かと思ふと新らしい氷屋で書生が
洋盃
(
コツプ
)
を
手
(
て
)
にして、
冷
(
つめ
)
たさうなものを飲んでゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
或る雨の夜、教会から戻つて、ゆき子は黒い制服を
袷
(
あはせ
)
に着替へて、茶の間で、信者のをばさんと食事をしてゐた。火鉢のそばに置かれた夕刊に眼をとめると、農業雑誌の広告が眼にとまつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
垢
(
あか
)
すこし付きて
痿
(
な
)
へたる絹物の
袷
(
あはせ
)
の襟こそなまめかしけれ
かろきねたみ
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「もう
袷
(
あはせ
)
が無いと、いくら何んでも、働けない」
貧乏一期、二期、三期:わが落魄の記
(新字旧仮名)
/
直木三十五
(著)
小原女
(
をはらめ
)
の五人揃ふて
袷
(
あはせ
)
かな
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
取りいでし
去年
(
こぞ
)
の
袷
(
あはせ
)
の
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二人共
總髮
(
そうはつ
)
、黒木綿の
袷
(
あはせ
)
、白い小倉の袴をはいて、短かいのを一本腰にきめて居りますが、人相や氣分は、
對蹠的
(
たいしよてき
)
に違つて居ります。
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
話
(
はなし
)
は
別
(
べつ
)
にある……
色仕掛
(
いろじかけ
)
で、あはれな
娘
(
むすめ
)
の
身
(
み
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
は
)
いだ
元二
(
げんじ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
其
(
そ
)
の
袷
(
あはせ
)
に一
枚
(
まい
)
づゝ
帶
(
おび
)
を
添
(
そ
)
へて
質入
(
しちい
)
れにして、
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つた
金子
(
きんす
)
一
歩
(
ぶ
)
としてある。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もう
袷
(
あはせ
)
に袷羽織と云ふ時候であつたが晴代の前では話せない事もあるらしく、その辺の若い人達の夜の遊び場になつてゐる
麻雀
(
マージャン
)
か玉突きへでも行くものらしく
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
この節の素足のこゝちよさ、尤も、
袷
(
あはせ
)
から
單衣
(
ひとへ
)
になり、シャツから晒木綿の襦袢になり、だん/\いろ/\なものを脱いだ後で、私達はこの節の素足にまで辿り着く。
短夜の頃
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
葡萄茶
(
えびちや
)
の
細格子
(
ほそごうし
)
の
縞御召
(
しまおめし
)
に
勝色裏
(
かついろうら
)
の
袷
(
あはせ
)
を着て、羽織は
小紋縮緬
(
こもんちりめん
)
の
一紋
(
ひとつもん
)
、
阿蘭陀
(
オランダ
)
模様の
七糸
(
しつちん
)
の
袱紗帯
(
ふくさおび
)
に
金鎖子
(
きんぐさり
)
の
繊
(
ほそ
)
きを引入れて、
嬌
(
なまめかし
)
き友禅染の
襦袢
(
じゆばん
)
の
袖
(
そで
)
して口元を
拭
(
ぬぐ
)
ひつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
松田の家に一と晩とまり、翌朝になつて思ひ出したが、義雄が小樽から樺太へ渡る時、ふちの堅い麥藁帽と
袷
(
あはせ
)
とを旅館に預けて置いたのだ。渠は冬の鳥打帽を
被
(
かぶ
)
つて行つたのであつた。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
此身
(
このみ
)
は
遊藝
(
ゆうげい
)
手藝學校
(
しゆげいがくかう
)
にも
通
(
かよ
)
はせられて、
其
(
その
)
ほうは
心
(
こゝろ
)
のまゝ、
半日
(
はんにち
)
は
姉
(
あね
)
の
部屋
(
へや
)
、
半日
(
はんにち
)
は
町
(
まち
)
に
遊
(
あそ
)
んで
見
(
み
)
聞
(
き
)
くは
三味
(
さみ
)
に
太皷
(
たいこ
)
にあけ
紫
(
むらさき
)
のなり
形
(
かたち
)
、はじめ
藤色絞
(
ふぢいろしぼ
)
りの
半襟
(
はんゑり
)
を
袷
(
あはせ
)
にかけて
着
(
き
)
て
歩
(
あ
)
るきしに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
見られしか
暫時
(
しばらく
)
控
(
ひか
)
へよと申さるゝ時
常盤橋
(
ときはばし
)
御門番松平
近江守殿
(
あふみのかみどの
)
番頭
(
ばんがしら
)
夏目
(
なつめ
)
五郎右衞門より差出したる者兩人足輕
小頭
(
こがしら
)
一人
足輕
(
あしがる
)
六七人附
添
(
そひ
)
罷出しに其者共の
風俗
(
ふうぞく
)
何れも
棧留
(
さんとめ
)
綿入の上へ青梅の
袷
(
あはせ
)
羽織を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
木曾のナア木曾の
御嶽山
(
おんたけさん
)
は夏でも
寒
(
さぶ
)
い
袷
(
あはせ
)
やりたや袷やりたや
足袋
(
たび
)
添へて
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「
袷
(
あはせ
)
の
下
(
した
)
にネルを
重
(
かさ
)
ねちやもう
暑
(
あつ
)
い。繻絆にすると
可
(
い
)
い」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
橘のかごとがましき
袷
(
あはせ
)
かな
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
垢
(
あか
)
じみし
袷
(
あはせ
)
の
襟
(
えり
)
よ
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
十手や捕繩を神田の家に殘して、道中差一本に、
着換
(
きがへ
)
の
袷
(
あはせ
)
が一枚、出來るだけ野暮な堅氣に作つた、一人旅の氣樂さはまた格別でした。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
傍
(
そば
)
に二三枚の新聞紙を
引※
(
ひつつく
)
ね、
衣桁
(
いこう
)
に絹物の
袷
(
あはせ
)
を懸けて、その
裾
(
すそ
)
に紺の靴下を畳置きたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
暑
(
あつ
)
くるしいね、
絣
(
かすり
)
の、
大島
(
おほしま
)
か
何
(
なに
)
かでせう、
襟垢
(
えりあか
)
の
着
(
つ
)
いた
袷
(
あはせ
)
に、
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
兵子帶
(
へこおび
)
を
腸
(
はらわた
)
のやうに
卷
(
ま
)
いて、
近頃
(
ちかごろ
)
誰
(
だれ
)
も
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ます、
鐵無地
(
てつむぢ
)
の
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て、
此
(
こ
)
の
温氣
(
うんき
)
に、めりやすの
襯衣
(
しやつ
)
です。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この身は遊芸手芸学校にも通はせられて、そのほかは心のまま、半日は姉の部屋、半日は町に遊んで見聞くは
三味
(
さみ
)
に太鼓にあけ紫のなり形、はじめ藤色絞りの
半襟
(
はんゑり
)
を
袷
(
あはせ
)
にかけて着て歩るきしに
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
收めたり
夜具
(
よるのもの
)
も清くして取扱ひ丁寧なり
寐衣
(
ねまき
)
とて
袷
(
あはせ
)
を
出
(
いだ
)
したれど我はフラネルの
單衣
(
ひとへ
)
あればこれにて寐んと一枚を戻せしにいかに
惡
(
あし
)
くは聞取りけん此袷
汚
(
きたな
)
しと退けしと思ひ忽ち持ち行きて換へ來りしを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
携
(
たづさ
)
へ
曉寅刻
(
あけなゝつ
)
に皆門口へ來て親方御支度は
宜
(
よし
)
かと大聲に云ば水田屋の
家内
(
かない
)
は立出是は御苦勞々々々今
旦那
(
だんな
)
は御出なさると云中藤八出來りしが先其
打扮
(
いでたち
)
は
紺縞
(
こんじま
)
の上田の
袷
(
あはせ
)
に
紺紬
(
こんつむぎ
)
の
盲縞
(
めくらじま
)
の羽織
濃
(
こひ
)
御
納戸
(
なんど
)
の半合羽を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
平岡は
絣
(
かすり
)
の
袷
(
あはせ
)
の
下
(
した
)
へ、ネルを
重
(
かさ
)
ねて、
素肌
(
すはだ
)
に
着
(
き
)
てゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
揃ひの
手拭
(
てぬぐひ
)
、叔母さんに達引かした
袷
(
あはせ
)
、
身扮
(
みなり
)
は氣の毒なほど粗末だつたが、きりやうは向島一帶をクワツと明るくしたお糸ですよ。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手織縞
(
ておりじま
)
の
茶
(
ちや
)
つぽい
袷
(
あはせ
)
の
袖
(
そで
)
に、
鍵裂
(
かぎざき
)
が
出來
(
でき
)
てぶら
下
(
さが
)
つたのを、
腕
(
うで
)
に
捲
(
ま
)
くやうにして
笛
(
ふえ
)
を
握
(
にぎ
)
つて、
片手
(
かたて
)
向
(
むか
)
うづきに
杖
(
つゑ
)
を
突張
(
つツぱ
)
つた、
小倉
(
こくら
)
の
櫂
(
かひ
)
の
口
(
くち
)
が、ぐたりと
下
(
さが
)
つて、
裾
(
すそ
)
のよぢれ
上
(
あが
)
つた
痩脚
(
やせずね
)
に
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
押入
(
おしい
)
れ
探
(
さ
)
ぐつて
何
(
なに
)
やらの
小風呂敷
(
こぶろしき
)
取出
(
とりいだ
)
し、これは
此子
(
このこ
)
の
寐間着
(
ねまき
)
の
袷
(
あはせ
)
、はらがけと三
尺
(
じやく
)
だけ
貰
(
もら
)
つて
行
(
ゆき
)
まする、
御酒
(
ごしゆ
)
の
上
(
うへ
)
といふでもなければ、
醒
(
さ
)
めての
思案
(
しあん
)
もありますまいけれど、よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
て
下
(
くだ
)
され
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
袷
漢検準1級
部首:⾐
11画
“袷”を含む語句
袷羽織
素袷
古袷
初袷
木綿袷
袷衣
二枚袷
秋袷
袷小袖
白袷
黒絽夢想袷羽織
袷袢纏
袷柄
袷服
袷季節
袷姿
袷半纏
袷一重
薄袷
絹袷衣
...