永久えいきゅう)” の例文
ねんじゅうがそうであり、百ねんあいだが、そうであったにちがいない。そしてこの山々やまやまは、むかしも、いまも、永久えいきゅうにだまっているのでした。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうだ。だが、それで安心はしていられないよ。そこで永久えいきゅうにぼくの研究けんきゅう秘密ひみつにしておく方法を考えだしたんだ」
謀叛僧文覚もんがく荒行あらぎょうをやった那智なち大瀑おおだき永久えいきゅうみなぎり落つ処、雄才ゆうさい覇気はきまかり違えば宗家そうかの天下をひともぎにしかねまじい南竜公なんりゅうこう紀州きしゅう頼宣よりのぶが虫を抑えて居た処
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そっとしておかなかったのだい。あれは、おまえのにいさんたちだったのさ。にいさんたちは、いまじゃカラスになっちまって、もう永久えいきゅうにかわることはないよ。
もなくわたくしうみ修行場しゅぎょうばげて、永久えいきゅう神社じんじゃほううつりましたが、それとほとんど同時どうじうま数間かずまじいやにかれて、あたま打振うちふ打振うちふよろこいさんでわたくしところあらわれました。
そのときにはきっと大学だいがく分科ぶんか教授きょうじゅにでもなっていたのでしょう。無論むろん知識ちしきなるものは、永久えいきゅうのものではく、変遷へんせんしてくものですが、しかし生活せいかつうものは、忌々いまいましい輪索わなです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「いいえ、永久えいきゅうです。彼処あすこは自由貿易も絶対の方ですからな」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しずかに永久えいきゅうに立っているのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
貪慾どんよく無情の聖女。永久えいきゅうに聖なる聖女。
こうした周囲しゅうい空気くうきは、ぼくをして、偶然ぐうぜんにもこころふかかんじたいっさいをける機会きかいをば、永久えいきゅうにうしなわしてしまったのでした。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうさ。それよりほかに、ぼくの研究けんきゅう永久えいきゅう秘密ひみつにしておける方法があるかね? ないだろう」
わしか……わしつまもなく、またもなく永久えいきゅう独身ひとりみいたる竜神りゅうじんじゃ……。竜神りゅうじんなかにはったかわものときとしてないではない。げんにそなたの指導役しどうやく老人ろうじんなども矢張やはわしのお仲間なかまじゃ。
だって、そうして、自由じゆうそらべるのじゃありませんか。わたしたちは、永久えいきゅうに、ここにじっとしていなければならない運命うんめいにあります。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
あたたかい家庭かていをつくって楽しく暮らすことも、友だちとゆかいに話しあうことも、永久えいきゅうにできなくなったのだ。ぼくはたったひとりぽっちで暮らすほかはなくなったのだ。
おそらく、永久えいきゅうごと、こうしてさんらんとしてかがやくことだろう。それだのに、人間にんげんだけは、どうして、こんなにはかないのだ。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちんは、もっとそれ以上いじょうのもの、永久えいきゅう平和へいわもとめているのじゃ。はやく、ちんいしになり、くさになり、なんじ魔法まほうでしてもらいたい。」
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これは、むかし、かごからげていなくなったとり子孫しそんらであります。しかし、めくらぼしは、永久えいきゅうもりなかちかづくことができません。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、あわれなからすについて、おもわずにいられなかったのです。かれは、あわれなからすを、もう永久えいきゅうることがないとおもっていました。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
おんながほんとうにさとりがついて、永久えいきゅうわらない自分じぶんおっと見分みわけがつくまで、ここにっているがいい。」といわれました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんんだ子供こどもが、永久えいきゅうかえってこないものなら、なんで、らずのひと子供こども苦労くろうしてそだてることがあろう? わたしは、あくまで
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一人ひとりや、二人ふたりは、まれに、をとめてることはあっても、問題もんだいにしなければ、永久えいきゅうに、それだけでわすれられてしまうのです。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おうさまはこの言葉ことばをおきになると、まことにそのこころがけを感心かんしんなされました。そうして、永久えいきゅうはなあいされたのであります。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんあねいもうとおとうとは、あかつきのある一時ひとときを、ものこそいわないがかおわして、永久えいきゅうにいきいきとして、たがいになぐさめうのでありました。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、たとえ、いかように、こころづくしをしても、もう、んでしまったひとは、永久えいきゅうにものをいわなければ、こたえもしない。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「たしかにそうだよ。んでから、地下ちか二人ふたりは、永久えいきゅう幸福こうふくをもとめて、約束やくそくをはたしたんだね。」と、博士はかせこたえました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして永久えいきゅうに、ただあいめぐみとしからない、太陽たいようひかりは、いつも、うららかで、あかるく、平和へいわで、ぜんちていました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
いくらおもっても、かんがえても、かいないものならば、わすれようとつとめました。彼女かのじょは、まれたふるさとのことを、永久えいきゅうおもうまいとしました。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのひかったひとみなかに、たとえ肉体にくたいほろびても、けっして永久えいきゅうなない生命せいめいのあることが刹那せつなかんじられたのであります。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、ねこにとっては、それが、兄弟きょうだい永久えいきゅうわかれであったことはわかりませんでした。三にん姉弟きょうだいめずらしがって、ねこをしたきません。
小ねこはなにを知ったか (新字新仮名) / 小川未明(著)
かんがえると、あなたがたの一生いっしょうほどいろいろと経験けいけんなさるものはありますまい。わたしたちは、永久えいきゅうに、このままでうごくことさえできないのであります。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もう一つは、おはなわかれたら、おそらく、もう永久えいきゅうに、そのかおることができないであろうとおもったのでありました。
人の身の上 (新字新仮名) / 小川未明(著)
言葉ことばはわからなかったけれど、人情にんじょうにかわりはありませんでした。しまひとたちのまごころは、三にんむねつうじて、永久えいきゅうわすれられないものでした。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正坊まさぼうは、まちきもらしたのが残念ざんねんでした。おそらくそのことは、永久えいきゅうに、かれにとって残念ざんねんであったにちがいない。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よるになると、とおくで獣物けもののほえるこえと、永久えいきゅうだまってつめたくかがやほしひかりと、いずこへともなくけてゆく、無情むじょうかぜおといたばかりであります。
山の上の木と雲の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして英霊えいれい永久えいきゅうきていて、自分じぶんたちを見守みまもっていてくださるのだ。だからさびしくないとしんじていたのでした。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、それらの兄弟きょうだいや、ともだちとは、永久えいきゅうに、またいっしょにらすこともなければ、およぐこともなかったのです。
金魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
いもうとは、どこへいったか、その姿すがたえませんでした。今度こんどばかりは、あねから永久えいきゅうわかれて、もういえには、けっしてかえってきまいとおもったのでしょう。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このなかのおもしろいこと、はなやかなことをもし、また、しつくされたおうさまは、どうか永久えいきゅう平和へいわな、しずかな生活せいかつおくりたいとおもわれました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、たがいにうたものは、また永久えいきゅうわかれてしまいました。いつまた、おじいさんと利助りすけのさかずきとまごとが、相見あいみるときがあるでありましょうか。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もし、こうして、だれもかまわんでいたら、わたしからだには、いくつもちいさなあながあいてしまって、もはや永久えいきゅうに、やくたなくなるであろうとかなしんでいました。
煙突と柳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくも、一かあさんを、湯治とうじにやってあげたいと、おもっているうちになくなられて、もう永久えいきゅう機会きかいがなくなってしまった。」と、正吉しょうきちは、歎息たんそくをもらしました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれらは、やがてとしをとり、気力きりょくがなくなり、永久えいきゅうにふるさとを見捨みすてなければならないのでした。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うみは、永久えいきゅうにたえず美妙びみょううたをうたっています。そのうたこえにじっとみみをすましていると、いつしか、青黒あおぐろそこほうめられるような、なつかしさをかんじました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、快活かいかついもうとにとっては、迷惑めいわくにこそおもわれるが、すこしもありがたくないばかりでなく、できるものなら永久えいきゅうに、あねからわかれてしまいたいとおもったこともあります。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さむかぜは、かなしいうたをうたってゆきうえいて、木々きぎのこずえは身震みぶるいをしました。永久えいきゅうしずかなきたくに野原のはらには、ただなみおととおこえてくるばかりでありました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おればかりは、いつもうみしか、ることができないのだ。りくがって、にぎやかな、まちることも永久えいきゅうにかなわないのか……。」と、汽船きせんは、不平ふへいそうなかおつきをして
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、もうみんなそのひとたちは、どこへかいってしまった。おそらく永久えいきゅうかえってくることがあるまい。また、そのひとたちをさがしたとて、永久えいきゅうさがしあてることができまい。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それがために、ツェッペリンの姿すがたは、建物たてものかげにさえぎられて、なかにはいらず、みんなのあせるうちにらぬかおで、この怪物かいぶつは、永久えいきゅうに、あちらへってしまったのでした。
おばあさんとツェッペリン (新字新仮名) / 小川未明(著)
とうさんの悪口わるくちなんかいったら、ぼくは、承知しょうちしない。もし、学校がっこうへいって、試験勉強しけんべんきょうばかりしていたら、ぼくは、ほんとうの自然しぜんというものを、永久えいきゅうにわからずにしまったろうな。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よくかんがえて、自分じぶんのなりたいとおもうものになるがいい。けれど、一姿すがたえてしまったなら、永久えいきゅうに、ふたたびもとのような天使てんしにはなれないのだから、よくかんがえてなるがいい。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)