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癪
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しやく
ふりがな文庫
“
癪
(
しやく
)” の例文
『千兩の褒美はこの清吉がきつと取つて見せる、濟まねえが八
兄哥
(
あにい
)
後で文句は言はないでくれ』つて、
癪
(
しやく
)
な言ひ草ぢやありませんか。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中にも苦味走つた顔の男は、巡査の人を見るやうな見方をしたと思つたので、八は
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
つたが、
怯
(
おく
)
れ
気
(
ぎ
)
が出て下を向いてしまつた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「それもまたうそなのだらう。」そして、女の本部屋で、三味太鼓の音や唄の聲が賑やかにしてゐるのが、
癪
(
しやく
)
にさはつて仕やうがない。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
鳩山夫人のこの振舞を見て、
甚
(
ひど
)
く
癪
(
しやく
)
にさへたものが一人ある。それは当の相手の添田氏でも無ければ、添田氏の夫人でもない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
悪魔は、手をふりながら、
睡
(
ね
)
むさうな声で、かう怒鳴つた。寝入りばなの邪魔をされたのが、よくよく
癪
(
しやく
)
にさはつたらしい。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
『
癪
(
しやく
)
にさわるけれど、
誰
(
だれ
)
か
仲間
(
なかま
)
を
誘
(
さそ
)
つてやらう。
仲間
(
なかま
)
と
飛
(
と
)
ぶなら
楽
(
らく
)
なもんだ、
何
(
なに
)
か
饒舌
(
しやべ
)
つてるうちには
着
(
つ
)
くだらうし。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
「お袋と喧嘩したんでせう。僕にまで当り散らすもんで、
癪
(
しやく
)
にさはつたから、こら、あいつの草履、穿いて来てやつた」
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
胸
(
むね
)
に
痞
(
つか
)
への
病
(
やまひ
)
は
癪
(
しやく
)
にあらねどそも/\
床
(
とこ
)
に
就
(
つき
)
きたる
時
(
とき
)
、
田町
(
たまち
)
の
高利
(
こうり
)
かしより
三月
(
みつき
)
しばりとて十
圓
(
ゑん
)
かりし、一
圓
(
ゑん
)
五拾
錢
(
せん
)
は
天利
(
てんり
)
とて
手
(
て
)
に
入
(
い
)
りしは八
圓
(
ゑん
)
半
(
はん
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
別に深い意味で
謂
(
い
)
ツたのでは無かツたが、俊男は何んだか自分に
當付
(
あてつ
)
けられたやうに思はれて、グツと
癪
(
しやく
)
に
障
(
さわ
)
ツた。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
然
(
さ
)
うすると
此方
(
こつち
)
は
引手茶屋
(
ひきてぢやや
)
の
女房
(
かみさん
)
、
先方
(
むかう
)
も
癪
(
しやく
)
に
觸
(
さは
)
らせたから、「
持
(
も
)
てますか。」と
言
(
い
)
つたんだらう。
持
(
も
)
てますかと
言
(
い
)
つたものを、
持
(
も
)
たれないと
云
(
い
)
ふ
法
(
はふ
)
はない。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さえ、わたしにまで隠そうとなさるなんぞは、水臭いにも程のあったもの、
癪
(
しやく
)
にさわってたまらなかったのさ
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
養母さん、ちツとは
癪
(
しやく
)
も収りまさあネ、あゝ、何卒一日も早く此様
娑婆
(
しやば
)
は
御免蒙
(
ごめんかうむ
)
りたいものだと思つてネ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
僕はいつも
他事
(
よそごと
)
ながら
癪
(
しやく
)
にさはるやうに感ずるのだが、そら君、
此家
(
ここ
)
の夕食の膳立を知つてるだらう。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
その點は、ちつとも心配しなくてもいゝの……あの自轉車屋も、考へると
癪
(
しやく
)
さ。自分ぢや表できれいな顏をしてゐて、裏へ𢌞つてぼろい儲けをしてゐるんだからね。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
彼奴
(
きやつ
)
が
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
る、どうして
彼奴
(
きやつ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
先
(
さき
)
へ
先
(
さき
)
へと
廻
(
ま
)
はるだらう、
忌
(
い
)
ま/\しい
奴
(
やつ
)
だと
大
(
おほい
)
に
癪
(
しやく
)
に
觸
(
さは
)
つたが、さりとて
引返
(
ひきか
)
へすのは
猶
(
な
)
ほ
慊
(
いや
)
だし、
如何
(
どう
)
して
呉
(
く
)
れやうと
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
(起ちかけて又かんがへる。)だが、これからのそ/\出て行くと、なんだか助の野郎におどかされたやうで、ちつと
癪
(
しやく
)
だな。おれはまあ止さう。おめえも止せよ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私はAがあゝ云つた言葉の中に、『俺に
交際
(
つきあ
)
つてゐないと損だぞ。』といふやうな、友情の脅威が自ら含まつてゐるのを、何よりも
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
つて聞き取つたのだつた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
江戸
(
えど
)
から
新
(
あた
)
らしく
此
(
こ
)
の
町奉行
(
まちぶぎやう
)
として
來任
(
らいにん
)
してから
丁度
(
ちやうど
)
五ヶ
月
(
げつ
)
、
見
(
み
)
るもの、
聞
(
き
)
くもの、
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
ることだらけの
中
(
なか
)
に、
町醫
(
まちい
)
中田玄竹
(
なかだげんちく
)
は
水道
(
すゐだう
)
の
水
(
みづ
)
で
産湯
(
うぶゆ
)
を
使
(
つか
)
はない
人間
(
にんげん
)
として
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
お掃除の手伝ひをしたやうに思はれて
癪
(
しやく
)
だから、二人は、
大公孫樹
(
おほいてふ
)
の根方に腰をおろして足をふみはだかつたお坊さんの前に、面白くないやうな顔をして突つ立つてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
で、
癪
(
しやく
)
に
触
(
さは
)
つて、
故意
(
わざ
)
と逆に、「もう死んでゐるのだ。姉さんはもう死んで了つてゐるのだ」
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
父はニコリともしない、こぼしたりすると
苛々
(
いらいら
)
怒るだけである。私はたゞ
癪
(
しやく
)
にさはつてゐたゞけだ。女中がたくさんゐるのに、なんのために私が墨をすらなければならないのか。
石の思ひ
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
と云つて笑顔もせずに二重
廻
(
まはし
)
の儘で山田は
座
(
すわ
)
つた。保雄は山田の態度が
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
つたので
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
なまじい、借金の催促に
来
(
き
)
たんぢやない抔と
弁明
(
べんめい
)
すると、又平岡が其
裏
(
うら
)
を
行
(
ゆ
)
くのが
癪
(
しやく
)
だから、向ふの
疳違
(
かんちがひ
)
は、
疳違
(
かんちがひ
)
で
構
(
かま
)
はないとして
置
(
お
)
いて、
此方
(
こつち
)
は
此方
(
こつち
)
の
歩
(
ほ
)
を進める
態度
(
たいど
)
に
出
(
で
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
院長は黙り込んで
気
(
ママ
)
嫌の悪いお嬢さんにシヤツクリ止めの薬をのませたり話をしかけたりしました。が、お嬢さんの鈴虫は、院長の来るのがおそかつたので
癪
(
しやく
)
にさわつてゐたのです。
こほろぎの死
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
深く感じ再度勸むる言葉もなく其意に
任
(
まか
)
せて打過けり斯て
光陰
(
つきひ
)
の
經
(
たつ
)
程に姑女お八重は是まで
種々
(
さま/″\
)
辛苦
(
しんく
)
せし
疲
(
つか
)
れにや持病の
癪
(
しやく
)
に
打臥
(
うちふし
)
漸次
(
しだい
)
に病氣差重りしにぞお菊は大いに心を痛め種々
療養
(
れうやう
)
に手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
よせて笑つたわよ。私、
癪
(
しやく
)
だから、さつさと蒲団を敷いて寝ちやつたのよ
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
其滿足
(
そのまんぞく
)
な
顏
(
かほ
)
、
人
(
ひと
)
を
見下
(
みさげ
)
るやうな
樣子
(
やうす
)
、
彼
(
かれ
)
を
呼
(
よ
)
んで
同僚
(
どうれう
)
と
云
(
い
)
ふ
言
(
ことば
)
、
深
(
ふか
)
い
長靴
(
ながぐつ
)
、
此等
(
これら
)
は
皆
(
みな
)
氣障
(
きざ
)
でならなかつたが、
殊
(
こと
)
に
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
るのは、
彼
(
かれ
)
を
治療
(
ちれう
)
する
事
(
こと
)
を
自分
(
じぶん
)
の
務
(
つとめ
)
として、
眞面目
(
まじめ
)
に
治療
(
ちれう
)
をしてゐる
意
(
つもり
)
なのが。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さてさうなると、私は益々
癪
(
しやく
)
に障つて來ました。
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
猫の糞
癪
(
しやく
)
にぞさわれ。
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「たしかに、何處かで見たことのある顏ですよ。この間から考へて居るが、どうしても思ひ出せねえ。
癪
(
しやく
)
にさはるぢやありませんか」
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こんな時にかの女の
癪
(
しやく
)
がさし込むのだがと氣が付いたが、ただ瞰みつけながら、「直すなら加集にも頼め——寫眞の先生にも頼め——その學校の生徒にも頼め!」
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
忌
(
いや
)
なら忌で其れも
可
(
よう
)
御座んすサ、只だ其の
言
(
いひ
)
ツ
振
(
ぷり
)
が
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
りまさアネ、——ヘン、軍人は
私
(
わたし
)
は
嫌
(
いや
)
です
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
なかに一人ちよつぴり鼻の尖つた狐のやうな表情をした、
商人
(
あきんど
)
らしい男が、口汚くウヰルソンを
罵
(
のゝし
)
るのが、
殊更
(
ことさら
)
耳立
(
みゝだ
)
つて聞えた。総長某氏は
癪
(
しやく
)
にさへて口を出した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
苦労はかけまじと思へど見す見す
大晦日
(
おほみそか
)
に迫りたる家の難義、胸に
痞
(
つか
)
への病は
癪
(
しやく
)
にあらねどそもそも床に就きたる時、田町の高利かしより三月しばりとて十円かりし
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「だから
癪
(
しやく
)
で堪らないのよ。自分で泥棒をしといて、罰は人に
被
(
き
)
せるつてんだからね。」
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
強
(
し
)
いて
周圍
(
しうゐ
)
から
諦
(
あきら
)
めさせられた
樣
(
やう
)
な
氣
(
き
)
がして、
縁側
(
えんがは
)
の
寒
(
さむ
)
いのが
猶
(
なほ
)
のこと
癪
(
しやく
)
に
觸
(
さは
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
狼、のしのしと出でてうかがうに、老いさらぼいたるものなれば、
金魚麩
(
きんぎょぶ
)
のようにて
欲
(
ほし
)
くもあらねど、吠えても
嗅
(
か
)
いでみても恐れぬが
癪
(
しやく
)
に障りて、毎夜のごとく小屋をまわりて
怯
(
おびや
)
かす。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
度度
(
たびたび
)
傘を
紛失
(
ふんじつ
)
して買ふのも
癪
(
しやく
)
だと云つて居る内藤は僕の傘の中へ
入
(
はひ
)
つて歩いた。自動車にでも乗らうと云つたが、謙遜なヌエは近い所だと云つて聞かなかつた。ラスパイユの通りへ出た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
喧嘩好
(
けんくわず
)
きの
少年
(
せうねん
)
、おまけに
何時
(
いつ
)
も
級
(
くらす
)
の一
番
(
ばん
)
を
占
(
し
)
めて
居
(
ゐ
)
て、
試驗
(
しけん
)
の
時
(
とき
)
は
必
(
かな
)
らず
最優等
(
さいゝうとう
)
の
成績
(
せいせき
)
を
得
(
う
)
る
處
(
ところ
)
から
教員
(
けうゐん
)
は
自分
(
じぶん
)
の
高慢
(
かうまん
)
が
癪
(
しやく
)
に
觸
(
さは
)
り、
生徒
(
せいと
)
は
自分
(
じぶん
)
の
壓制
(
あつせい
)
が
癪
(
しやく
)
に
觸
(
さは
)
り、
自分
(
じぶん
)
にはどうしても
人氣
(
にんき
)
が
薄
(
うす
)
い。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
博奕
(
ばくち
)
で儲けあげて村内屈指の
分限
(
ぶげん
)
であつた初太郎の父は兼ねて自分の父などが、常々「舊家」といふを持出して「なんの博勞風情が!」といふを振𢌞すのが
癪
(
しやく
)
に障つて
耐
(
たま
)
らなかつた所であつたので
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「すると、思つた通り、三度までこの
罠
(
わな
)
に落ちて、すんでの事に御用といふところで——
癪
(
しやく
)
にさはることは三度共輕く逃げられた」
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
門左はひどく
癪
(
しやく
)
に
障
(
さ
)
へたらしかつたが、その折は唯笑つて済ました。それから二三日過ぎると、珠数屋あてに手紙を一本持たせてやつた。珠数屋は封を切つてみた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
或醫者がかの女を神經で以つて身づから病氣を惡くしてしまふお
方
(
かた
)
だと云つたことがある。それに違ひはないのである。これまでに、兎角、
癪
(
しやく
)
や精神錯亂を起し易い女だ。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
無骨
(
ぶこつ
)
一
遍
(
ぺん
)
律義
(
りつぎ
)
男
(
をとこ
)
の
身
(
み
)
を
忘
(
わす
)
れての
介抱
(
かいほう
)
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
にあやしく、しのびやかの
咡
(
さゝや
)
き
頓
(
やが
)
て
無沙汰
(
ぶさた
)
に
成
(
な
)
るぞかし、
隱
(
かく
)
れの
方
(
かた
)
の六
疊
(
でう
)
をば
人
(
ひと
)
奧樣
(
おくさま
)
の
癪
(
しやく
)
部屋
(
べや
)
と
名付
(
なづ
)
けて、
亂行
(
らんげう
)
あさましきやうに
取
(
とり
)
なせば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
御米
(
およね
)
は
小六
(
ころく
)
の
憮然
(
ぶぜん
)
としてゐる
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、それを
時々
(
とき/″\
)
酒氣
(
しゆき
)
を
帶
(
お
)
びて
歸
(
かへ
)
つて
來
(
く
)
る、
何所
(
どこ
)
かに
殺氣
(
さつき
)
を
含
(
ふく
)
んだ、しかも
何
(
なに
)
が
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
るんだか
譯
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らないでゐて
甚
(
はなは
)
だ
不平
(
ふへい
)
らしい
小六
(
ころく
)
と
比較
(
ひかく
)
すると
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
可愛
(
かはい
)
さの
餘
(
あま
)
り
其
(
その
)
不注意
(
ふちうい
)
なこの
兒
(
こ
)
の
親
(
おや
)
が、
恐
(
おそろ
)
しくかみさんの
癪
(
しやく
)
にさはつたのだ。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ハヽヽヽ、君の様に悲観ばかりするものぢや無いサ、天下の富を集めて剛造
輩
(
はい
)
の腹を
肥
(
こや
)
すと思へばこそ
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
るが、之を梅子と云ふ
女神
(
めがみ
)
の
御前
(
おんまへ
)
に献げると
思
(
お
)
もや、何も怒るに足らんぢや無いか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
さう言はれると落膽もし
癪
(
しやく
)
にもさはつた。
樹木とその葉:06 四辺の山より富士を仰ぐ記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
その上、大工の半次は喜三郎が
癪
(
しやく
)
にさはつてたまらないから、いきなり
後袈裟
(
うしろげさ
)
に斬つたことだらう。側に居たケチ兵衞は、
脇腹
(
わきばら
)
を刺した
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、どうかすると、
側
(
そば
)
にゐる尾崎紅葉に用事を言ひつけたりする。紅葉は気取屋で、
加之
(
おまけ
)
に子規よりもずつと先輩の積りで居たからそれが
癪
(
しやく
)
で癪で堪らなかつたらしい。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“癪”の解説
癪(しゃく)とは、近代以前の日本において、原因が分からない疼痛を伴う内臓疾患を一括した俗称。積(せき)ともいい、疝気とともに疝癪(せんしゃく)とも呼ばれた。
(出典:Wikipedia)
癪
漢検1級
部首:⽧
21画
“癪”を含む語句
癇癪持
小癪
疝癪
疳癪持
癇癪
疳癪
肝癪
癇癪玉
癪持
癪気
疳癪玉
肝癪持
小間癪
癪氣
疳癪筋
癇癪筋
癇癪声
疳癪声
空癪
肝癪玉
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