こほろぎの死こおろぎのし
ある日、うす寒い秋でしたのに、一匹のこほろぎが単衣を着て、街へ仕事をさがしに出掛けましたが、此間までつとめてゐた印刷工場で足の上へ重い活字箱を落としてけがをして首を切られ、けがをした足は益々ふくれるばかりで、どこにも雇ひ手はありませんでした …