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有様
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ありさま
ふりがな文庫
“
有様
(
ありさま
)” の例文
旧字:
有樣
殊に
歳暮
(
さいぼ
)
の夜景の如き
橋上
(
けうじやう
)
を往来する車の
灯
(
ひ
)
は沿岸の
燈火
(
とうくわ
)
と相乱れて
徹宵
(
てつせう
)
水の上に
揺
(
ゆらめ
)
き動く
有様
(
ありさま
)
銀座街頭の
燈火
(
とうくわ
)
より
遥
(
はるか
)
に美麗である。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
荷物にも福澤と記さず、コソ/\して往来するその
有様
(
ありさま
)
は、
欠落者
(
かけおちもの
)
が人目を忍び、
泥坊
(
どろぼう
)
が逃げて
廻
(
ま
)
わるような
風
(
ふう
)
で、誠に面白くない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
火元から遠くにある家々は猛烈な煙の為に全く囲まれてしまって、人々は煙に
咽
(
むせ
)
び、呼吸すら全く自由には出来ない
有様
(
ありさま
)
であった。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
王子
(
おうじ
)
はこういう
憐
(
あわ
)
れな
有様
(
ありさま
)
で、
数年
(
すうねん
)
の
間
(
あいだ
)
、
当
(
あて
)
もなく
彷徨
(
さまよ
)
い
歩
(
ある
)
いた
後
(
のち
)
、とうとうラプンツェルが
棄
(
す
)
てられた
沙漠
(
さばく
)
までやって
来
(
き
)
ました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
ここでは国見岳(四四二〇尺)が正面に見え、左に妙見右に
江丸
(
えまる
)
と外輪山が、環状に
堵列
(
とれつ
)
して
普賢
(
ふけん
)
に
向
(
むか
)
っている
有様
(
ありさま
)
がよく分かる。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
▼ もっと見る
折悪しく、利助は持病で昨夜から枕も上がらぬ
有様
(
ありさま
)
。娘のお品は、岡っ引の真似をするわけではありませんが、ともかく、行ってみると
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかるに
言
(
い
)
おうと
云
(
い
)
う
望
(
のぞみ
)
は、
終
(
つい
)
に
消
(
き
)
えず
忽
(
たちまち
)
にして
総
(
すべて
)
の
考
(
かんがえ
)
を
圧去
(
あっしさ
)
って、こんどは
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
、
熱切
(
ねっせつ
)
に、
夢中
(
むちゅう
)
の
有様
(
ありさま
)
で、
言
(
ことば
)
が
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
感激的というのはこんな
有様
(
ありさま
)
で情緒的教育でありましたから一般の人の生活状態も、エモーショナルで努力主義でありました。
教育と文芸
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行儀作法も知らず言葉遣いは下等人物同様で一挙一動が
悉
(
ことごと
)
く感情
任
(
まか
)
せという動物性の人間も
寡
(
すくな
)
くない。実に野蛮界の
有様
(
ありさま
)
を現出しているね。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ぴんと立っていると足は痛くなる体は疲れてぐにゃぐにゃになるといった
有様
(
ありさま
)
なので、私はよく、後ろの電信柱に
凭
(
よ
)
りかかって体を休めた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そしてこんな
有様
(
ありさま
)
はそれから
毎日
(
まいにち
)
続
(
つづ
)
いたばかりでなく、
日
(
ひ
)
に
増
(
ま
)
しそれがひどくなるのでした。
兄弟
(
きょうだい
)
までこの
哀
(
あわ
)
れな
子家鴨
(
こあひる
)
に
無慈悲
(
むじひ
)
に
辛
(
つら
)
く
当
(
あた
)
って
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
漸
(
ようや
)
く
眼
(
め
)
に
慣
(
な
)
れて
来
(
き
)
たのであろう。
行燈
(
あんどん
)
の
輪
(
わ
)
が
次第
(
しだい
)
に
色
(
いろ
)
を
濃
(
こ
)
くするにつれて、
狭
(
せま
)
いあたりの
有様
(
ありさま
)
は、おのずから
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
前
(
まえ
)
にはっきり
浮
(
う
)
き
出
(
だ
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
窟の奥から
窃
(
そっ
)
と抜け出して、
先
(
ま
)
ず表の
有様
(
ありさま
)
を
偸
(
ぬす
)
み
視
(
み
)
ると、夜は
既
(
も
)
う更けたらしい、山霧は雨となって細かに降っている。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
空想が生き生きと目ざめて、いつもいつも同じ
幻
(
まぼろし
)
のまわりを
素早
(
すばや
)
く
駆
(
か
)
けめぐる
有様
(
ありさま
)
は、朝焼けの空に
燕
(
つばめ
)
の群れが、
鐘楼
(
しょうろう
)
をめぐって飛ぶ姿に似ていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
そのころ彼は、宗教家たらんとの念が最高潮に達していたときであったが、この
有様
(
ありさま
)
を見、この考えが急に一転した。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その
匍匐
(
ほふく
)
する
有様
(
ありさま
)
を見て
居
(
お
)
りますと、あるときは
籬
(
まがき
)
の上を進む
蛞蝓
(
なめくじ
)
のように、又あるときは天狗の面の鼻が徐々に伸びて行くかのように見えるのです。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
世界中のいろいろな
有様
(
ありさま
)
を見るのは自分にとってほんとうに望ましいことです。自分は夢のなかに見るような日本を
アインシュタイン教授をわが国に迎えて
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
肉体とが日に日に頽廃して行く
有様
(
ありさま
)
を自分でジッと
凝視
(
みつ
)
めていなければならなくなったのには少々悲観させられた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
其の動機は事業の
失敗
(
しつぱい
)
で、
奈何
(
いか
)
に
辛辣
(
しんらつ
)
な
手腕
(
しゆわん
)
も、一度
逆運
(
ぎやくうん
)
に向ツては、それこそ
鉈
(
なた
)
の力を
苧売
(
おがら
)
で防ぐ
有様
(
ありさま
)
であつた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ボクリ、ボクリと土の音がするたびに、何か出て来やしまいか、何か手ごたえがして来るだろうと、眼も心も鍬の先にあつまって、他念のない
有様
(
ありさま
)
です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
故障続出して、心痛常に絶ゆることなかりし、かかる
有様
(
ありさま
)
なれば残余の人夫に対しては、あるいは
呵責
(
かせき
)
し、あるいは
慰撫
(
いぶ
)
し、
随
(
したがっ
)
て勢い賃金を増すにあらざれば
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
実際、ケメトスが炬火をかざして塔から河の淵へ飛んだ
有様
(
ありさま
)
は、空に出る彗星とそっくりだったそうです。
彗星の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
畢竟
(
つまり
)
売捌
(
うりさばき
)
の方法が
疎略
(
そりやく
)
であつた
為
(
ため
)
に、
勘定
(
かんじやう
)
合つて
銭
(
ぜに
)
足
(
た
)
らずで、
毎号
(
まいがう
)
屹々
(
きつ/\
)
と
印刷費
(
いんさつひ
)
を
払
(
はら
)
つて行つたのが、
段々
(
だん/\
)
不如意
(
ふによい
)
と
成
(
な
)
つて、
二号
(
にがう
)
おくれ三
号
(
がう
)
おくれと
逐
(
おは
)
れる
有様
(
ありさま
)
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「万事万端皆
癪
(
しゃく
)
だ」「大きく出たな。これはかなわぬ」「今の浮世の
有様
(
ありさま
)
は、いって見れば蓋をした釜だ。人を窒息させようとする」「おれにははっきり解らないが」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何か兄の身体の上に三十センチほどの厚さのものが
蔽
(
おお
)
っている——としか考えられない
有様
(
ありさま
)
でした。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
石ノ上の奴、まるでもう、何と云うか、それこそ
物
(
もの
)
の
怪
(
け
)
にでも
取
(
と
)
っ
憑
(
つ
)
かれてしまったような
有様
(
ありさま
)
だ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
男瀧
(
をだき
)
の
方
(
はう
)
はうらはらで、
石
(
いし
)
を
砕
(
くだ
)
き、
地
(
ち
)
を
貫
(
つらぬ
)
く
勢
(
いきほひ
)
、
堂々
(
だう/\
)
たる
有様
(
ありさま
)
ぢや、
之
(
これ
)
が二つ
件
(
くだん
)
の
巌
(
いは
)
に
当
(
あた
)
つて
左右
(
さいう
)
に
分
(
わか
)
れて二
筋
(
すぢ
)
となつて
落
(
お
)
ちるのが
身
(
み
)
に
浸
(
し
)
みて、
女瀧
(
めだき
)
の
心
(
こゝろ
)
を
砕
(
くだ
)
く
姿
(
すがた
)
は
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
有様
(
ありさま
)
が沢山の坊主頭を並べているようだからその名があるのだともいうし、
又
(
また
)
昔
円内坊
(
えんないぼう
)
とかいう坊さんが二重
桝
(
ます
)
をつかって百姓から米穀をむさぼり取ったがために
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
戦争中国内の
有様
(
ありさま
)
を
察
(
さっ
)
すれば
所在
(
しょざい
)
の
不平士族
(
ふへいしぞく
)
は日夜、
剣
(
けん
)
を
撫
(
ぶ
)
して官軍の
勢
(
いきおい
)
、利ならずと見るときは
蹶起
(
けっき
)
直
(
ただち
)
に政府に
抗
(
こう
)
せんとし、すでにその
用意
(
ようい
)
に
着手
(
ちゃくしゅ
)
したるものもあり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
とても今日の
有様
(
ありさま
)
ではシナ政府がチベット内地に踏み込んで征服するというような事は出来ない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
地元
(
じもと
)
の
里
(
さと
)
はいうまでもなく、三
里
(
り
)
五
里
(
り
)
の
近郷近在
(
きんごうきんざい
)
からも
大
(
たい
)
へんな
人出
(
ひとで
)
で、あの
狭
(
せま
)
い
海岸
(
かいがん
)
が
身動
(
みうご
)
きのできぬ
有様
(
ありさま
)
じゃ。
往来
(
おうらい
)
には
掛茶屋
(
かけちゃや
)
やら、
屋台店
(
やたいみせ
)
やらが
大分
(
だいぶ
)
できて
居
(
い
)
る……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
菊之丞は、この
有様
(
ありさま
)
を眺めると、持っていた包を投げ出して、清左衛門を抱き起した。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
もう一人の女大力は、
相撲人
(
すもうびと
)
、大井光遠の妹である。光遠は、横ぶとりの力強く足早き
角力
(
すもう
)
であった。妹は、形
有様
(
ありさま
)
尋常
(
じんじょう
)
で美しい女であった。光遠とは、少し離れた家に住んでいた。
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
陵一個のことはしばらく
措
(
お
)
け、とにかく、今数十矢もあれば一応は囲みを脱出することもできようが、一本の矢もないこの
有様
(
ありさま
)
では、明日の天明には全軍が
坐
(
ざ
)
して
縛
(
ばく
)
を受けるばかり。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
一体
(
いったい
)
夏菊という花は、そう
中々
(
なかなか
)
萎
(
しお
)
れるものでない、それが、ものの二時間も
経
(
へ
)
ぬ
間
(
あいだ
)
にかかる
有様
(
ありさま
)
となったので、私も何だか一種いやな
心持
(
こころもち
)
がして、その日はそれなり
何処
(
どこ
)
へも出ず
過
(
すご
)
した
鬼無菊
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
つまりその頃その
某
(
なにがし
)
という日本画の生徒は、場所は
麹町番町
(
こうじまちばんちょう
)
の或る
家
(
いえ
)
に下宿していた。自分一人では無くて友達と二人で、同じ部屋に
起臥
(
きが
)
を共にしていたというような
有様
(
ありさま
)
であったのだ。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
予
(
よ
)
はいよ/\
嬉
(
うれ
)
しくて
堪
(
たま
)
らず、
川面
(
かわづら
)
は水も見えぬまで、
端艇
(
ボート
)
其他
(
そのた
)
の
船
(
ふね
)
並
(
なら
)
びて
其
(
そ
)
が
漕開
(
こぎひら
)
き、
漕
(
こ
)
ぎ
廻
(
まは
)
る
有様
(
ありさま
)
、
屏風
(
びやうぶ
)
の
絵
(
ゑ
)
に見たる
屋島
(
やしま
)
壇
(
だん
)
の
浦
(
うら
)
の
合戦
(
かつせん
)
にも
似
(
に
)
て勇ましゝ、
大尉
(
たいゐ
)
が
大拍手
(
だいはくしゆ
)
大喝采
(
だいかつさい
)
の
間
(
あひだ
)
に
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
かなり広いが、これも長年手を
入
(
はい
)
らぬと見えて、一面に
苔
(
こけ
)
が
蒸
(
む
)
して、草が生えたなりの
有様
(
ありさま
)
なのだ、それに座敷の正面のところに、一本古い桜の樹があって、
恰
(
あだか
)
も
墨染桜
(
すみぞめざくら
)
とでもいいそうな
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
香坂皇子
(
かごさかのおうじ
)
は、くぬぎの木に上って、その猟の
有様
(
ありさま
)
を見ていらっしゃいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
此の
有様
(
ありさま
)
は
如何
(
どう
)
じゃ、何と怖い事じゃアないか、と云うので、盆の十六日はお
閻魔様
(
えんまさま
)
へ参詣致しますると、地獄の画が掛けてあるから、此の画を見て子供はおゝ怖い、悪い事はしまいと思う。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私はそれを
讃岐
(
さぬき
)
の国学者、猪熊方主翁の書翰によって知ったのであるが、この人は当時の大阪の市中に、もっぱらその風説を伝えたと
謂
(
い
)
っているから、或いは『
浮世
(
うきよ
)
の
有様
(
ありさま
)
』のような書物にも
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それもこれも
最早
(
もはや
)
後の祭りで既に遅い、男はそろそろ
妻
(
かない
)
に秋風が吹いて来た、さあ、こうなると、こんなつまらない女房は無い
家
(
うち
)
へ帰ってもつまらないと、会社からすぐ茶屋へ
廻
(
まわ
)
るという
有様
(
ありさま
)
で
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
信号燈から円く落された光の中には恐ろしい
有様
(
ありさま
)
が、展開されていた。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その花や
南京玉
(
なんきんだま
)
の
有様
(
ありさま
)
が手にとるように
閉
(
と
)
じた
眼
(
め
)
にみえた。
花をうめる
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
目も
当
(
あ
)
てられない
有様
(
ありさま
)
です。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
夫
(
そ
)
れから彼の国の巡回中色々観察見聞したことも多いが、
是
(
こ
)
れは後の話にして、
先
(
ま
)
ず使節一行の
有様
(
ありさま
)
を申さんに、その人員は
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかるに今の若い女がまだ物の味も知らないで五銭のアイスクリームを食べると
直
(
す
)
ぐに恋愛心を起すというような
有様
(
ありさま
)
だから実に危険千万さ。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
私はこの家に来てからも実に、私自身の家の
有様
(
ありさま
)
を、そっくりそのまま見せつけられているような気がして悲しかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
廊下で
距
(
へだ
)
てられ、コジ開けた二枚の戸は片寄せてありますが、廊下に立つともう、プーンと血の臭い、
疎
(
うと
)
い
灯
(
あかり
)
の下に、
惨憺
(
さんたん
)
たる
有様
(
ありさま
)
が展開するのです。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何といふことは無く考へるのが面白い。此の考は、始めふはりと輕く頭に來た。恰で
空明透徹
(
くうめいとうてつ
)
な大氣の中へ
淡
(
あは
)
い
水蒸氣
(
すいじようき
)
が流れ出したやうな
有様
(
ありさま
)
であツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“有”で始まる語句
有
有難
有無
有之
有頂天
有耶無耶
有名
有明
有体
有縁