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扇
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あふぎ
ふりがな文庫
“
扇
(
あふぎ
)” の例文
「飛んでもねえ、そんな
爺々
(
ぢゞ
)
むさいのぢやありませんよ、正直に申上げると、呼出し奴、宜い役ですぜ——斯う半開きの
扇
(
あふぎ
)
を口に當てゝ」
銭形平次捕物控:286 美男番附
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
右に見えるのは
出島
(
でじま
)
である。出島は
扇
(
あふぎ
)
の形をした、低い土地である。それが陸の方へ扇の
柄
(
え
)
を向けて、海の中へ突き出してゐる。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
月光
(
げつくわう
)
其
(
その
)
滑
(
なめ
)
らかなる葉の
面
(
おも
)
に落ちて、葉は
宛
(
さ
)
ながら
碧玉
(
へきぎよく
)
の
扇
(
あふぎ
)
と
照
(
て
)
れるが、
其上
(
そのうへ
)
にまた黒き
斑点
(
はんてん
)
ありてちら/\
躍
(
おど
)
れり。
李樹
(
すもゝ
)
の影の
映
(
うつ
)
れるなり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
近衞家
(
このゑけ
)
の
京武士
(
みやこぶし
)
は、
綺麗
(
きれい
)
な
扇
(
あふぎ
)
で、のツぺりした
顏
(
かほ
)
を
掩
(
おほ
)
ひつゝ、
片手
(
かたて
)
で
鼻
(
なは
)
を
摘
(
つ
)
まんで、三
間
(
げん
)
も
離
(
はな
)
れたところから、
鼻聲
(
はなごゑ
)
を
出
(
だ
)
した。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
汀
(
なぎさ
)
に
裂
(
さ
)
けし
芭蕉
(
ばせを
)
の
葉
(
は
)
、
日
(
ひ
)
ざしに
翳
(
かざ
)
す
扇
(
あふぎ
)
と
成
(
な
)
らずや。
頬
(
ほゝ
)
も
腕
(
かひな
)
も
汗
(
あせ
)
ばみたる、
袖
(
そで
)
引
(
ひ
)
き
結
(
ゆ
)
へる
古襷
(
ふるだすき
)
は、
枯野
(
かれの
)
の
草
(
くさ
)
に
褪
(
あ
)
せたれども、うら
若
(
わか
)
き
血
(
ち
)
は
燃
(
も
)
えんとす。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
此蹴綱に
転機
(
しかけ
)
あり、
全
(
まつた
)
く
作
(
つく
)
りをはりてのち、穴にのぞんで
玉蜀烟艸
(
たうがらしたばこ
)
の
茎
(
くき
)
のるゐ
熊
(
くま
)
の
悪
(
にく
)
む物を
焚
(
たき
)
、しきりに
扇
(
あふぎ
)
て
烟
(
けふり
)
を穴に入るれば熊烟りに
噎
(
むせ
)
て大に
怒
(
いか
)
り
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その間にも刀自達は、氣つけ藥の
瓶
(
びん
)
だの、手頃の
扇
(
あふぎ
)
だのを與へて、彼等の警告を用ゐないからこんなことになると、繰り返し繰り返し云ふのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
時計
(
とけい
)
の
右
(
みぎ
)
が
壁
(
かべ
)
で、
左
(
ひだり
)
が
袋戸棚
(
ふくろとだな
)
になつてゐた。
其
(
その
)
張交
(
はりまぜ
)
に
石摺
(
いしずり
)
だの、
俳畫
(
はいぐわ
)
だの、
扇
(
あふぎ
)
の
骨
(
ほね
)
を
拔
(
ぬ
)
いたものなどが
見
(
み
)
えた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『さうね、
今
(
いま
)
、五六
本
(
ぽん
)
扇
(
あふぎ
)
が
欲
(
ほ
)
しい』と
愛
(
あい
)
ちやんは
思
(
おも
)
ひました。『
私
(
わたし
)
は
皆
(
みん
)
なで
謎
(
なぞ
)
かけして
遊
(
あそ
)
ぶのが
大好
(
だいす
)
き。——
私
(
わたし
)
にだつて
其
(
そ
)
れが
解
(
と
)
けると
思
(
おも
)
ふわ』と
續
(
つゞ
)
いて
聲高
(
こわだか
)
に
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
笹屋
(
さゝや
)
とは
笹
(
さゝ
)
のやうに
繁
(
しげ
)
る
家
(
いへ
)
、
扇屋
(
あふぎや
)
とは
扇
(
あふぎ
)
のやうに
末
(
すゑ
)
の
廣
(
ひろ
)
がる
家
(
いへ
)
といふ
意味
(
いみ
)
からでせう。でも
笹屋
(
さゝや
)
と
言
(
い
)
つてもそれを『
笹
(
さゝ
)
の
家
(
や
)
』と
思
(
おも
)
ふものもなく、
扇屋
(
あふぎや
)
と
言
(
い
)
つても『
扇
(
あふぎ
)
の
家
(
や
)
』と
思
(
おも
)
ふものはありません。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
誘引
(
さそひ
)
に來たれども夫は
用向
(
ようむき
)
もあれば
行
(
ゆか
)
れぬと
斷
(
ことわ
)
りしに其時
貴殿
(
おまへ
)
は
扇子
(
あふぎ
)
を落して來たから
貸
(
かし
)
て
呉
(
くれ
)
ろと云ふ故
鐵
(
てつ
)
の
扇
(
あふぎ
)
を
貸
(
かし
)
て
遣
(
や
)
つた其日鴻の巣の金兵衞が金五百兩
勝
(
かち
)
しを見て
汝
(
おの
)
れは先へ廻り金兵衞が歸りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
扇
(
あふぎ
)
にて
麾
(
さしま
)
ねき、
實
(
げ
)
に
頼
(
たの
)
もしき
器
(
き
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
赤き
扇
(
あふぎ
)
をかざして踊るを
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
金
(
きん
)
の
墨絵
(
すみゑ
)
の
扇
(
あふぎ
)
にて
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
扇
(
あふぎ
)
飜
(
かへせ
)
し舞姫と——
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
妓
(
ぎ
)
の持ちし
扇
(
あふぎ
)
に
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
握らせるのも、三月の
雛
(
ひな
)
人形に、
扇
(
あふぎ
)
や
銚子
(
てうし
)
を持たせるのも同じことだ。下手人が男なら兎も角、女はそんな間拔けな間違ひはしない筈と思ふがどうだい、八
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
双坡楼
(
そつはろう
)
扇
(
あふぎ
)
をいだして
余
(
よ
)
に
句
(
く
)
を
乞
(
こ
)
ふ、妓も
持
(
もち
)
たる扇を
出
(
いだ
)
す。京水画をなし、余
即興
(
そくきやう
)
を
書
(
しよ
)
す。これを見て
岩居
(
がんきよ
)
をはじめおの/\
壁
(
かべ
)
に
句
(
く
)
を
題
(
だい
)
し、
更
(
さら
)
に
風雅
(
ふうが
)
の
興
(
きやう
)
をもなしけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
僕は近頃その
贋
(
に
)
せものの中に決して贋にものとは思はれぬ一本の
扇
(
あふぎ
)
に遭遇した。
成程
(
なるほど
)
この扇に書いてある句は
漱石
(
そうせき
)
と言ふ名はついてゐても、確かに夏目先生の書いたものではない。
続澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其奴
(
そいつ
)
引捕
(
ひつとら
)
へて
呉
(
く
)
れようと、
海陸軍
(
かいりくぐん
)
を
志願
(
しぐわん
)
で、クライブ
傳
(
でん
)
、
三角術
(
さんかくじゆつ
)
などを
講
(
かう
)
じて
居
(
ゐ
)
る
連中
(
れんぢう
)
が、
鐵骨
(
てつこつ
)
の
扇
(
あふぎ
)
、
短刀
(
たんたう
)
などを
持參
(
ぢさん
)
で
夜更
(
よふけ
)
まで
詰懸
(
つめかけ
)
る、
近所
(
きんじよ
)
の
仕出屋
(
しだしや
)
から
自辨
(
じべん
)
で
兵糧
(
ひやうらう
)
を
取寄
(
とりよ
)
せる
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
能
(
よく
)
こそ心掛給ひしと
甚
(
いた
)
く
賞美
(
しやうび
)
なし外々にて才覺致候はんと申ければ隱居は暫く考へ
脊負葛籠
(
せおひつゞら
)
一ツ取出し中より
猩々緋
(
しやう/″\ひ
)
虎
(
とら
)
の
皮
(
かは
)
古渡
(
こわた
)
りの
錦
(
にしき
)
金襴
(
きんらん
)
八
反
(
たん
)
掛茶入
(
かけちやいれ
)
又は
秋廣
(
あきひろ
)
の短刀五
本骨
(
ほんぼね
)
の
扇
(
あふぎ
)
の三
處拵
(
ところごしら
)
への
香箱
(
かうばこ
)
に
名香
(
めいかう
)
品々
(
しな/″\
)
其外金銀の小道具を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
双坡楼
(
そつはろう
)
扇
(
あふぎ
)
をいだして
余
(
よ
)
に
句
(
く
)
を
乞
(
こ
)
ふ、妓も
持
(
もち
)
たる扇を
出
(
いだ
)
す。京水画をなし、余
即興
(
そくきやう
)
を
書
(
しよ
)
す。これを見て
岩居
(
がんきよ
)
をはじめおの/\
壁
(
かべ
)
に
句
(
く
)
を
題
(
だい
)
し、
更
(
さら
)
に
風雅
(
ふうが
)
の
興
(
きやう
)
をもなしけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
閉
(
と
)
づる、
又
(
また
)
開
(
ひら
)
く、
扇
(
あふぎ
)
の
要
(
かなめ
)
を
思着
(
おもひつ
)
いた、
骨
(
ほね
)
あれば
筋
(
すぢ
)
あれば、
手
(
て
)
も
動
(
うご
)
かう、
足
(
あし
)
も
伸
(
の
)
びやう……
風
(
かぜ
)
ある
如
(
ごと
)
く
言
(
ものい
)
はう…と
早
(
は
)
や
我
(
わ
)
が
作
(
つく
)
る
木彫
(
きぼり
)
の
像
(
ざう
)
は、
活
(
い
)
きて
動
(
うご
)
いて、
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
ながらも
頼母
(
たのも
)
しい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「御冗談で、あつしは、
扇
(
あふぎ
)
の
要
(
かなめ
)
のやうなもので、あつしが居るから、指圖が行屆く」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八
人
(
にん
)
では
第
(
だい
)
一
乗溢
(
のりこぼ
)
れる。
飛
(
と
)
ぶ
輻
(
や
)
の、あの
勢
(
いきほ
)
ひで
溢
(
こぼ
)
れた
日
(
ひ
)
には、
魔夫人
(
まふじん
)
の
扇
(
あふぎ
)
を
以
(
もつ
)
て
煽
(
あふ
)
がれた
如
(
ごと
)
く、
漂々蕩々
(
へう/\とう/\
)
として、
虚空
(
こくう
)
に
漂
(
たゞよ
)
はねばなるまい。それに
各
(
おの/\
)
荷
(
に
)
が
随分
(
ずゐぶん
)
ある。
恁
(
か
)
くいふ
私
(
わたし
)
にもある。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何處にもある半開の
扇
(
あふぎ
)
型の、
紙屑入
(
かみくづいれ
)
と兼用の踏臺です。
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宛如
(
さながら
)
、
秋
(
あき
)
の
掛稻
(
かけいね
)
に、
干菜
(
ほしな
)
、
大根
(
だいこん
)
を
掛
(
か
)
けつらね、
眞赤
(
まつか
)
な
蕃椒
(
たうがらし
)
の
束
(
たば
)
を
交
(
まじ
)
へた、
飄逸
(
へういつ
)
にして
錆
(
さび
)
のある
友禪
(
いうぜん
)
を
一面
(
いちめん
)
ずらりと
張立
(
はりた
)
てたやうでもあるし、しきりに
一小間々々
(
ひとこま/\
)
に、
徳利
(
とくり
)
にお
猪口
(
ちよく
)
、お
魚
(
さかな
)
に
扇
(
あふぎ
)
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いざ、
金銀
(
きんぎん
)
の
扇
(
あふぎ
)
、
立
(
た
)
つて
舞
(
ま
)
ふよと
見
(
み
)
れば、
圓髷
(
まげ
)
の
婦
(
をんな
)
、なよやかにすらりと
浮
(
う
)
きて、
年下
(
としした
)
の
島田
(
しまだ
)
の
鬢
(
びん
)
のほつれを、
透彫
(
すかしぼり
)
の
櫛
(
くし
)
に、
掻撫
(
かいな
)
でつ。
心憎
(
こゝろにく
)
し。
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
の
傳
(
つた
)
ふらく、
此
(
こ
)
の
船
(
ふね
)
、
深川
(
ふかがは
)
の
木場
(
きば
)
に
歸
(
かへ
)
る。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
凧
(
たこ
)
、
皆
(
みな
)
いかとのみ
言
(
い
)
ふ。
扇
(
あふぎ
)
の
地紙形
(
ぢがみがた
)
に、
兩方
(
りやうはう
)
に
袂
(
たもと
)
をふくらましたる
形
(
かたち
)
、
大々
(
だい/\
)
小々
(
せう/\
)
いろ/\あり。いづれも
金
(
きん
)
、
銀
(
ぎん
)
、
青
(
あを
)
、
紺
(
こん
)
にて、
圓
(
まる
)
く
星
(
ほし
)
を
飾
(
かざ
)
りたり。
關東
(
くわんとう
)
の
凧
(
たこ
)
はなきにあらず、
名
(
な
)
づけて
升凧
(
ますいか
)
と
言
(
い
)
へり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“扇”の意味
《名詞》
扇(おうぎ)
手で振って風を起こす道具。
(出典:Wiktionary)
扇
常用漢字
中学
部首:⼾
10画
“扇”を含む語句
扇子
扇形
舞扇
檜扇
羽団扇
羽扇
破扇
団扇
渋団扇
團扇
鉄扇
白扇
扇骨木
張扇
扇屋
唐団扇
白羽扇
扇橋
大団扇
絵団扇
...