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愈
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いよ/\
ふりがな文庫
“
愈
(
いよ/\
)” の例文
其処
(
そこ
)
へ和上の縁談が伝はつたので
年寄
(
としより
)
仲間は皆眉を
顰
(
ひそ
)
めたが、
何
(
ど
)
う云ふ
運命
(
まはりあはせ
)
であつたか、
愈
(
いよ/\
)
呉服屋の娘の
輿入
(
こしいれ
)
があると云ふ
三日前
(
みつかまへ
)
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
况んや前山の雲のたゝずまひの無心の
中
(
うち
)
におのづからの秋の姿を
具
(
そな
)
へて、
飄々
(
へう/\
)
高く揚らんとするの趣ある、我は
愈
(
いよ/\
)
心を奪はれぬ。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
兎角
(
とかく
)
するうちに
月
(
つき
)
が
滿
(
み
)
ちた。
愈
(
いよ/\
)
生
(
うま
)
れるといふ
間際
(
まぎは
)
迄
(
まで
)
日
(
ひ
)
が
詰
(
つま
)
つたとき、
宗助
(
そうすけ
)
は
役所
(
やくしよ
)
へ
出
(
で
)
ながらも、
御米
(
およね
)
の
事
(
こと
)
がしきりに
氣
(
き
)
に
掛
(
かゝ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一行
始
(
はじ
)
めて
団結
(
だんけつ
)
し
猛然
(
もうぜん
)
奮進に
决
(
けつ
)
す又足を水中に
投
(
とう
)
ずれば水勢
益
(
ます/\
)
急
(
きう
)
となり、両岸の岩壁
愈
(
いよ/\
)
嶮
(
けん
)
となり、之に従つて河幅は
頗
(
すこぶ
)
る
縮
(
ちぢま
)
り
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
「文章は無䨇也」の一句は茶山が傾倒の情を言ひ尽してゐる。傾倒の情
愈
(
いよ/\
)
深くして、其
疵病
(
しびやう
)
に
慊
(
あきたら
)
ぬ感も愈切ならざるを得ない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
而して其の
躰裁
(
ていさい
)
に至りても亦一家私乗の体を為し藩主浅野氏の事を書するときは直ちに其名を称せざるが如き
愈
(
いよ/\
)
以て外史の本色を見るべき也。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
愈
(
いよ/\
)
傭
(
やと
)
はれて
行
(
ゆ
)
くとなつた
時
(
とき
)
收穫
(
とりいれ
)
を
急
(
いそ
)
いだ。
冬至
(
とうじ
)
が
近
(
ちか
)
づく
頃
(
ころ
)
には
田
(
た
)
はいふまでもなく
畑
(
はたけ
)
の
芋
(
いも
)
でも
大根
(
だいこ
)
でもそれぞれ
始末
(
しまつ
)
しなくてはならぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼は、瑠璃子の美しさがしみ/″\と、感ぜられゝば感ぜられる丈、たゞ黙つて、並んでゐることが、
愈
(
いよ/\
)
苦痛になり出した。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
僕は
愈
(
いよ/\
)
無気味になり、そつと椅子から立ち上ると、一足飛びに戸口へ飛び出さうとしました。丁度そこへ顔を出したのは幸ひにも医者のチヤツクです。
河童
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
愈
(
いよ/\
)
停車場の構内に着いたと思つた時には既に面と向つて驕奢な
而
(
そ
)
して冷酷な都会にブツツカツてゐたのである。
新橋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
木像
(
もくざう
)
、
神
(
しん
)
あるなり。
神
(
しん
)
なけれども
霊
(
れい
)
あつて
来
(
きた
)
り
憑
(
よ
)
る。
山深
(
やまふか
)
く、
里
(
さと
)
幽
(
ゆう
)
に、
堂宇
(
だうう
)
廃頽
(
はいたい
)
して、
愈
(
いよ/\
)
活
(
い
)
けるが
如
(
ごと
)
く
然
(
しか
)
る
也
(
なり
)
。
甲冑堂
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
闘ふこと
愈
(
いよ/\
)
多くして愈激奮し、その最後に全く疲廃して万事を
遺
(
わす
)
る、この時こそ、悪より善に転じ、善より悪に転ずるなれ、この疲廃して昏睡するが如き間に。
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
その落ち工合が丁度上から槍で衝いたやうであつたことを思ふと、此語源説が
愈
(
いよ/\
)
尤
(
もつとも
)
らしく聞えて来る。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
辺に沿ひて而して走れば、其の生を得る者と雖も敗る。弱くして而して伏せざる者は
愈
(
いよ/\
)
屈し、躁いで而して勝を求むる者は多く敗る。両勢相囲まば、先づ其外に促れ。
囲碁雑考
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
かくてゴーゴンの
在所
(
ありか
)
を三人の処女から教はつたパーシユーズは、四つの品を携へてゴーゴンの
棲処
(
すみか
)
に向つた。
愈
(
いよ/\
)
目的地に来て見ると三つのゴーゴンは熟睡して居る。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
御身にも気が附いたらしかつた己の不機嫌はそれゆゑであつた。それに御身の若い盛んな容貌は
愈
(
いよ/\
)
己の心を激させた。あゝ。己は御身の青春をどれ丈か
妬
(
ねたまし
)
く思つただらう。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
愈
(
いよ/\
)
噴火
(
ふんか
)
が
始
(
はじ
)
まると
菜花状
(
さいかじよう
)
の
噴煙
(
ふんえん
)
に
大小
(
だいしよう
)
種々
(
しゆ/″\
)
の
鎔岩
(
ようがん
)
を
交
(
まじ
)
へて
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばし、それが
場合
(
ばあひ
)
によつては
數十町
(
すうじつちよう
)
にも
達
(
たつ
)
することがある。この
際
(
さい
)
鎔岩
(
ようがん
)
は
水蒸氣
(
すいじようき
)
の
尾
(
を
)
を
曳
(
ひ
)
くことが
目覺
(
めざ
)
ましい。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
その年も
愈
(
いよ/\
)
おしつまつて、田原はたうとう辭表を提出した。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
文「
愈
(
いよ/\
)
聴かれなければ
此方
(
こっち
)
にも
了簡
(
りょうけん
)
がある」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ところが
愈
(
いよ/\
)
我慢した挙句は。」
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
忠誠
鯁直
(
かうちやく
)
之者は
固陋
(
ころう
)
なりとして
擯斥
(
ひんせき
)
せられ、平四郎の如き朝廷を
誣罔
(
ぶまう
)
する大奸賊
登庸
(
とうよう
)
せられ、類を以て集り、政体を
頽壊
(
たいくわい
)
し、外夷
愈
(
いよ/\
)
跋扈
(
ばつこ
)
せり。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
瑠璃子が、
愈
(
いよ/\
)
窮したのを見ると、勝平は
愈
(
いよ/\
)
威丈高になつた。彼は、獣そのまゝの形相を現して居た。ほの暗い
洋燈
(
ランプ
)
の光で、眼が物凄く光つた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「
既
(
すで
)
に
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に、さう
仕樣
(
しやう
)
と
云
(
い
)
ふ
下心
(
したごゝろ
)
があるから
不可
(
いけ
)
ないのです」と
宜道
(
ぎだう
)
が
又
(
また
)
云
(
い
)
つて
聞
(
き
)
かした。
宗助
(
そうすけ
)
は
愈
(
いよ/\
)
窮
(
きゆう
)
した。
忽然
(
こつぜん
)
安井
(
やすゐ
)
の
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へ
出
(
だ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
地中海に面した港の口に運河の設計者レセツプスが地図を手にして
突
(
つゝ
)
立つて居る銅像を左舷に見ながら
愈
(
いよ/\
)
欧洲に一歩踏み
入
(
い
)
る
旅客
(
りよかく
)
となつた。(十二月廿三日)
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
蛙
(
かへる
)
は
愈
(
いよ/\
)
益
(
ます/\
)
鳴
(
な
)
き
矜
(
ほこ
)
つて
樫
(
かし
)
の
木
(
き
)
のやうな
大
(
おほ
)
きな
常緑木
(
ときはぎ
)
の
古葉
(
ふるは
)
をも一
時
(
じ
)
にからりと
落
(
おと
)
させねば
止
(
や
)
まないとする。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
で、自分は
愈
(
いよ/\
)
その山中の二人の青年と親しくなつて、果ては
殆
(
ほとん
)
ど毎日のやうにその二階を訪問した。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
只管
(
ひたすら
)
写真機械を
携
(
たづさ
)
へ来らざりしを
憾
(
うら
)
むのみ、
愈
(
いよ/\
)
溯れば
愈
(
いよ/\
)
奇にして山石皆凡ならず、右側の
奇峰
(
きばう
)
を
超
(
こ
)
へて
俯視
(
ふし
)
すれば、
豈図
(
あにはか
)
らんや
渓間
(
けいかん
)
の一丘上
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩の
危坐
(
きざ
)
せるあり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
ただし其の部の痛みは非常であつて、見る間に
膨
(
は
)
れ
上
(
あが
)
り、赤くなり痛みは
愈
(
いよ/\
)
甚
(
はなは
)
だしくなる。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
老職
(
らうしよく
)
の
輩
(
やから
)
は
謂
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
なり、
諸役人等
(
しよやくにんら
)
も、
愈
(
いよ/\
)
出
(
い
)
でて、
愈
(
いよ/\
)
不平
(
ふへい
)
なれども、
聰明
(
そうめい
)
なる
幼君
(
えうくん
)
をはじめ、
御一門
(
ごいちもん
)
の
歴々方
(
れき/\がた
)
、
殘
(
のこ
)
らず
御同意
(
ごどうい
)
と
謂
(
い
)
ひ、
殊
(
こと
)
に
此席
(
このせき
)
に
於
(
おい
)
て
何
(
なに
)
といふべき
言
(
ことば
)
も
出
(
い
)
でず、
私
(
わたくし
)
ども
儀
(
ぎ
)
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一起一倒要するに性理学の範囲を出でず、抽象し又抽象し推拓し又推拓す、到底一圏を循環するに過ぎず、議論
愈
(
いよ/\
)
高くして愈人生に遠かる。斯の如きは当時の儒者が通じて有する所の弊害なり。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
噴火
(
ふんか
)
の
前景氣
(
まへけいき
)
が
愈
(
いよ/\
)
進
(
すゝ
)
んで
來
(
く
)
ると、
火口
(
かこう
)
からの
噴煙
(
ふんえん
)
が
突然
(
とつぜん
)
勢
(
いきほひ
)
を
増
(
ま
)
して
來
(
く
)
る。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
観察の範囲は一層拡大せられて、旧説の妄は
愈
(
いよ/\
)
明になつた。「常年もかかるべけれども、今年はじめて心づきてしるすなり」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さう云はれると、瑠璃子は、
愈
(
いよ/\
)
不安になつて来た。寝室へ退くことなどは愚か、父の部屋を遠く離れることさへが、心配で堪らなくなつて来た。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
實際
(
じつさい
)
斯
(
こ
)
んな
發明
(
はつめい
)
は、
宗助
(
そうすけ
)
から
見
(
み
)
ると、
本當
(
ほんたう
)
の
樣
(
やう
)
でもあり、
又
(
また
)
嘘
(
うそ
)
の
樣
(
やう
)
でもあり、
愈
(
いよ/\
)
それが
世間
(
せけん
)
に
行
(
おこな
)
はれる
迄
(
まで
)
は、
贊成
(
さんせい
)
も
反對
(
はんたい
)
も
出來
(
でき
)
かねたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
愈
(
いよ/\
)
辞職と決したので
此
(
この
)
十七日に氏の
御名残
(
おなごり
)
狂言がコメデイ・フランセエズ座で催され、氏の
得意
(
おはこ
)
の物を
一幕
(
ひとまく
)
宛
(
づゝ
)
出し、ムネ・シユリイ
其他
(
そのた
)
の名優が一座する
筈
(
はず
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
さうして
愈
(
いよ/\
)
となれば
俺
(
おれ
)
がどうにでも
其處
(
そこ
)
は
始末
(
しまつ
)
をつけて
遣
(
や
)
るから、
何
(
なん
)
でも
愚圖
(
ぐづ
)
/\して
居
(
ゐ
)
ちや
駄目
(
だめ
)
だとお
品
(
しな
)
の
心
(
こゝろ
)
を
教唆
(
そゝ
)
つたのであつた。お
品
(
しな
)
から一
心
(
しん
)
に
勘次
(
かんじ
)
へ
迫
(
せま
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
大般涅槃経あたりに行くと、世尊がいかに唯我独尊であつたかといふことが
愈
(
いよ/\
)
わかつて来る。
孤独と法身
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
愈
(
いよ/\
)
利根の
水源
(
すゐげん
)
に
沿
(
そ
)
ふて
遡
(
さかのぼ
)
る、
顧
(
かへりみ
)
れば両岸は
懸崖絶壁
(
けんがいぜつぺき
)
、加ふるに
樹木
(
じゆもく
)
鬱蒼
(
うつさう
)
たり、たとひ
辛
(
から
)
ふじて之を
過
(
す
)
ぐるを得るも
漫
(
みだ
)
りに時日を
費
(
ついや
)
すの
恐
(
おそれ
)
あり、故にたとひ
寒冷
(
かんれい
)
足
(
あし
)
を
凍
(
こふ
)
らすとも
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
彼れが富嶽の詩神を思ふの文は
愈
(
いよ/\
)
奇也、曰く
唯心的、凡神的傾向に就て(承前)
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
「
愈
(
いよ/\
)
奥
(
おく
)
へ
行
(
い
)
つて
御父
(
おとう
)
さんに
叱
(
しか
)
られて
来
(
く
)
るかな」と云ひながら又
洋盞
(
コツプ
)
を
嫂
(
あによめ
)
の前へ
出
(
だ
)
した。梅子は
笑
(
わら
)
つて
酒
(
さけ
)
を
注
(
つ
)
いだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしの此推定は誤らなかつた。しかし錦橋書上と直温先祖書の錦橋の条とは、
広略
(
くわうりやく
)
大に相異なつてゐる。そして錦橋書上は其文
愈
(
いよ/\
)
長うして其矛盾の痕は愈
著
(
いちじる
)
しい。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「そんな事はあるものか」と貞七は口では言つたが、成程それで十分に奮発する事も出来ないのかと思ふと、一層同情の念が加はつて、
愈
(
いよ/\
)
慰藉
(
ゐしや
)
して遣らずには居られなくなつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
旋風器
(
せんぷうき
)
の起す風はわが髪の
雫
(
しづく
)
たるる
濡髪
(
ぬれがみ
)
となるをすら救はず
候
(
さふら
)
へば、その
音
(
おと
)
の頭に響く
音
(
おと
)
の
愈
(
いよ/\
)
疎
(
うと
)
ましく覚え、それも
止
(
と
)
め
候
(
さふら
)
うては身は
唯
(
たゞ
)
𤍠湯の中にあると思はばよからんと心を定め申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
愈
(
いよ/\
)
となれば、
家
(
うち
)
から
金
(
かね
)
を取り
寄
(
よ
)
せる気でゐた。それから、本来が
四辺
(
しへん
)
の
風気
(
ふうき
)
を換えるのを目的とする移動だから、贅沢の方面へは重きを置かない決心であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
倒れたまゝ
愈
(
いよ/\
)
起きまじとする重右衛門を殆ど五人掛りにて辛くも抱上げ、
猶
(
なほ
)
ぐづ/\に
埋窟
(
りくつ
)
を云ひ懸くるにも頓着せずに、Xの字にその大広間をよろめきながら、
遂
(
つひ
)
に
戸外
(
おもて
)
へと
伴
(
つ
)
れ出した。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
清常より後の眞志屋の歴史は
愈
(
いよ/\
)
模糊
(
もこ
)
として來る。しかし大體を論ずれば眞志屋は既に衰替の期に入つてゐると謂ふことが出來る。眞志屋は自ら
支
(
さゝ
)
ふること
能
(
あた
)
はざるがために、人の
廡下
(
ぶか
)
に
倚
(
よ
)
つた。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
此涼しき
鈴
(
りん
)
の音が、わが肉體を貫いて、わが心を透して無限の幽境に赴くからは、身も魂も氷盤の如く清く、
雪甌
(
せつおう
)
の如く冷かでなくてはならぬ。太織の夜具のなかなる余は
愈
(
いよ/\
)
寒かつた。
京に着ける夕
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
何
(
ど
)
うです此汽車で、神戸迄遊びに行きませんか」と勧めた。代助はたゞ難有うと答へた丈であつた。
愈
(
いよ/\
)
汽車の
出
(
で
)
る
間際
(
まぎは
)
に、梅子はわざと、
窓際
(
まどぎは
)
に
近寄
(
ちかよ
)
つて、とくに令嬢の名を呼んで
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
たゞでさへ
何
(
ど
)
うして
独逸
(
ドイツ
)
に復讐してやらうかと考へ続けに考へて来た彼等が、
愈
(
いよ/\
)
となると、
却
(
かへつ
)
て
其
(
その
)
独逸の為に領土の一部分を
蹂躪
(
じうりん
)
されるばかりか、政庁さへ遠い所へ移さなければならなくなつたのは
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
愈
漢検準1級
部首:⼼
13画
“愈”を含む語句
愈々
愈〻
腹愈
韓愈
愈太刀
愈益
愈氏
愈末期
愈更
愈曲園
愈愚
愈愈
愈御酒
偖愈
愈以
愈〻道
愈〻甚
愈〻新
愈々益々
半愈
...