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吹
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ふき
ふりがな文庫
“
吹
(
ふき
)” の例文
硫化水素の臭いが四辺をこめ、山や丘陵や、赤松や、
濛々
(
もうもう
)
たる蒸気の間から、
吹
(
ふき
)
なびく風のまにまに隠見する趣きは、一種の地獄風景観を形作る。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
静
(
しずか
)
なる夜にて有之候はゞ、この物音に人々
起出
(
おきい
)
で参り大騒ぎにも相なるべきの処、
幸
(
さいわい
)
にも風大分
烈
(
はげ
)
しく
吹
(
ふき
)
いで候折とて、誰一人心付き候者も無之。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
井戸
(
ゐど
)
は
車
(
くるま
)
にて
綱
(
つな
)
の
長
(
なが
)
さ十二
尋
(
ひろ
)
、
勝手
(
かつて
)
は
北向
(
きたむ
)
きにて
師走
(
しはす
)
の
空
(
そら
)
のから
風
(
かぜ
)
ひゆう/\と
吹
(
ふき
)
ぬきの
寒
(
さむ
)
さ、おゝ
堪
(
た
)
えがたと
竈
(
かまど
)
の
前
(
まへ
)
に
火
(
ひ
)
なぶりの一
分
(
ぷん
)
は一
時
(
じ
)
にのびて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
丁度しわすのもの淋しい夜の事でしたが、
吹
(
ふき
)
すさぶその晩の山おろしの
唸
(
うな
)
るような
凄
(
すご
)
い音は、今に思出されます。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
堀ばた通り九段の
辺
(
あたり
)
、
吹
(
ふき
)
かくる雪におもてむけがたくて
頭巾
(
ずきん
)
の上に肩かけすつぽりとかぶりて、折ふし
目
(
め
)
斗
(
ばかり
)
さし出すもをかし、種々の感情胸にせまりて
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
唯
(
た
)
だ何かの野菜の太い根を日本の風呂
吹
(
ふき
)
の様にした物だけが気に
入
(
い
)
つた。酒も
酒精
(
アルコホル
)
を抜いた変な味の
麦酒
(
ビイル
)
が出た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
吹
(
ふき
)
つのる風の音
凄
(
すさ
)
まじく、荒波の響きを交う。舞台暗黒。
少時
(
しばらく
)
して、光さす時、巫女。ハタと藁人形を
擲
(
なげう
)
つ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫
(
をつと
)
は
簑笠
(
みのかさ
)
を吹とられ、
妻
(
つま
)
は
帽子
(
ばうし
)
を
吹
(
ふき
)
ちぎられ、
髪
(
かみ
)
も吹みだされ、
咄嗟
(
あはや
)
といふ
間
(
ま
)
に
眼口
(
めくち
)
襟袖
(
えりそで
)
はさら也、
裾
(
すそ
)
へも雪を吹いれ、
全身
(
ぜんしん
)
凍
(
こゞえ
)
呼吸
(
こきう
)
迫
(
せま
)
り
半身
(
はんしん
)
は
已
(
すで
)
に雪に
埋
(
う
)
められしが
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
一人
(
ひとり
)
は
左鬢
(
さびん
)
に、
微
(
かす
)
かな
傷
(
きづ
)
に
白
(
しろ
)
鉢卷
(
はちまき
)
、
私
(
わたくし
)
は
雀躍
(
こをどり
)
しながら、
倶
(
とも
)
に
眺
(
なが
)
むる
黎明
(
れいめい
)
の
印度洋
(
インドやう
)
、
波上
(
はじやう
)
を
亘
(
わた
)
る
清
(
すゞ
)
しい
風
(
かぜ
)
は、
一陣
(
いちじん
)
又
(
また
)
一陣
(
いちじん
)
と
吹
(
ふき
)
來
(
きた
)
つて、
今
(
いま
)
しも、
海蛇丸
(
かいだまる
)
を
粉韲
(
ふんさい
)
したる
電光艇
(
でんくわうてい
)
は
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
もて變更さするは如何なることぞ父母も父母なり和郎も和郎あまりと
云
(
いへ
)
ば餘りなる
壓制業
(
おしつけわざ
)
とや云
可
(
べ
)
けれ又一
方
(
ぱう
)
より云時はお光に
斯
(
かゝ
)
る病ありとも开は大道にて
轉覆
(
ひつくりかへ
)
り
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふき
)
たる所を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
出様来
(
でやうきや
)
る
者
(
もの
)
や、
伊祖
(
いぞ
)
の
大主
(
おほぬし
)
の
御万人
(
おまんちよ
)
の
中
(
うち
)
に
頭取
(
かしらどり
)
聞
(
き
)
ちゆる者どやゆる、お万人のまぢり
誠
(
だに
)
よ
聞留
(
ききと
)
めれ、ムルチてる池に
大蛇
(
おほぢや
)
住
(
す
)
で
居
(
を
)
とて、
風
(
かぜ
)
の
根
(
ね
)
も
絶
(
て
)
らぬ、
雨
(
あめ
)
の
根
(
ね
)
も
絶
(
て
)
らぬ、
屋蔵
(
やぐら
)
吹
(
ふき
)
くづち、
原
(
はる
)
の
物作
(
もづくり
)
も
ユタの歴史的研究
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
辺まで煤けておいでになって、火をお
吹
(
ふき
)
になるので
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
口の
法螺
(
ほら
)
でなくして
身体
(
からだ
)
の法螺で
吹
(
ふき
)
倒した。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
掻撫
(
かいな
)
づるひと
吹
(
ふき
)
に、桑の葉おもふ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
家
(
いへ
)
の
間數
(
まかず
)
は
三疊敷
(
さんでふじき
)
の
玄關
(
げんくわん
)
までを
入
(
い
)
れて
五間
(
いつま
)
、
手狹
(
てぜま
)
なれども
北南
(
きたみなみ
)
吹
(
ふき
)
とほしの
風入
(
かぜい
)
りよく、
庭
(
には
)
は
廣々
(
ひろ/″\
)
として
植込
(
うゑこみ
)
の
木立
(
こだち
)
も
茂
(
しげ
)
ければ、
夏
(
なつ
)
の
住居
(
すまゐ
)
にうつてつけと
見
(
み
)
えて
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
可恐
(
こは
)
いもの
見
(
み
)
たさで、
私
(
わたし
)
もふツと
立
(
た
)
つて、
框
(
かまち
)
から
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
すと、
雨
(
あめ
)
と
風
(
かぜ
)
とが
横
(
よこ
)
なぐりに
吹
(
ふき
)
つける。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
晴
(
はら
)
さんと夫より播州
指
(
さし
)
てぞ
急
(
いそ
)
ぎける所々方々と尋ぬれど
行衞
(
ゆくゑ
)
は更に
知
(
しれ
)
ざりしが或日
途中
(
とちう
)
にて兵助に
出會
(
であひ
)
しも六郎右衞門は
天蓋
(
てんがい
)
を
冠
(
かふ
)
りし故兵助は夫とも
知
(
しら
)
ず
行過
(
ゆきすぎ
)
んとせしに一陣の
風
(
かぜ
)
吹
(
ふき
)
來り天蓋を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
能登国
珠洲
(
すず
)
ヶ岬へ
吹
(
ふき
)
はなされたまいし時、いま一度陸にうけて、ともかくもなさせ給えとて、北の
方
(
かた
)
、
紅
(
くれない
)
の
袴
(
はかま
)
に、
唐
(
から
)
のかがみを取添えて、八大竜王に参らせらると、つたえ聞く
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
藏
(
か
)
くし
孃
(
じよう
)
さまにも
嘸
(
さ
)
ぞお
喜
(
よろこ
)
び
我身
(
わがみ
)
とても
其通
(
そのとほ
)
りなり
御返事
(
おへんじ
)
屹度
(
きつと
)
まちますと
云
(
い
)
えば
點頭
(
うなづき
)
ながら
立出
(
たちいづ
)
る
廻
(
まは
)
り
椽
(
ゑん
)
のきばの
橘
(
たちばな
)
そでに
薫
(
かを
)
りて
何時
(
いつし
)
か
月
(
つき
)
に
中垣
(
なかがき
)
のほとり
吹
(
ふき
)
のぼる
若竹
(
わかたけ
)
の
葉風
(
はかぜ
)
さら/\として
初
(
はつ
)
ほとゝぎす
待
(
まつ
)
べき
夜
(
よ
)
なりとやを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
戸外
(
おもて
)
を
吹
(
ふき
)
すさぶ
風
(
かぜ
)
のまぎれに、かすれ
聲
(
ごゑ
)
を
咳
(
せき
)
して、いく
度
(
たび
)
か
話
(
はなし
)
が
行違
(
ゆきちが
)
つて
漸
(
やつ
)
と
分
(
わか
)
つた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
珍
(
めづ
)
らしやお
高
(
たか
)
さま
今日
(
けふ
)
の
御入來
(
おいで
)
は
如何
(
どう
)
いふ
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふき
)
まはしか
一昨日
(
をとゝひ
)
のお
稽古
(
けいこ
)
にも
其前
(
そのまへ
)
もお
顏
(
かほ
)
つひにお
見
(
み
)
せなさらずお
師匠
(
ししやう
)
さまも
皆
(
みな
)
さまも
大抵
(
たいてい
)
でないお
案
(
あん
)
じ
日
(
ひ
)
がな
一日
(
いちにち
)
お
噂
(
うはさ
)
して
居
(
をり
)
ましたと
嬉
(
うれ
)
しげに
出迎
(
でむか
)
ふ
稽古
(
けいこ
)
朋輩
(
ほうばい
)
錦野
(
にしきの
)
はな
子
(
こ
)
と
呼
(
よ
)
ばれて
醫學士
(
いがくし
)
の
妹
(
いもと
)
博愛
(
はくあい
)
仁慈
(
じんじ
)
の
聞
(
きこ
)
えたかき
兄
(
あに
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ね、古市へ行くと、まだ宵だのに
寂然
(
ひっそり
)
している。……軒が、がたぴしと鳴って、
軒行燈
(
のきあんどん
)
がばッばッ揺れる。
三味線
(
さみせん
)
の音もしたけれど、
吹
(
ふき
)
さらわれて大屋根へ猫の姿でけし飛ぶようさ。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やすくて
深切
(
しんせつ
)
なタクシイを
飛
(
と
)
ばして、
硝子窓
(
がらすまど
)
に
吹
(
ふき
)
つける
雨模樣
(
あまもやう
)
も、おもしろく、
馬
(
うま
)
に
成
(
な
)
つたり
駕籠
(
かご
)
に
成
(
な
)
つたり、
松並木
(
まつなみき
)
に
成
(
な
)
つたり、
山
(
やま
)
に
成
(
な
)
つたり、
嘘
(
うそ
)
のないところ、
溪河
(
たにがは
)
に
流
(
なが
)
れたりで
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
急
(
いそ
)
いで
出
(
で
)
ると、
停車場
(
ステエシヨン
)
の
入口
(
いりくち
)
に、こゝにも
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
、コートの
裾
(
すそ
)
を
風
(
かぜ
)
に
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふき
)
まどはされながら、
袖
(
そで
)
をしめて、しよぼ
濡
(
ぬ
)
れたやうに
立
(
た
)
つて、
雨
(
あめ
)
に
流
(
なが
)
るゝ
燈
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
はぐるまいと
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
邪
(
よこしま
)
な心があつて、ために
憚
(
はばか
)
られたのではないが、
一足
(
ひとあし
)
づゝ、みし/\ぎち/\と響く……
嵐
(
あらし
)
吹
(
ふき
)
添ふ
縁
(
えん
)
の音は、
恁
(
かか
)
る
山家
(
やまが
)
に、おのれ
魅
(
み
)
と成つて、歯を
剥
(
む
)
いて、人を
威
(
おど
)
すが如く思はれたので
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
吹込む
呼吸
(
いき
)
が強くなるためだといって
抱主
(
かかえぬし
)
が、君、朝御飯も食べさせない、
耐
(
たま
)
るもんか、寒い処を、笛を習ってる
中
(
うち
)
に
呼吸
(
いき
)
が続かぬから気絶するのが、毎朝のようだ、水を
吹
(
ふき
)
かけて生返らして
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あいにく
風
(
かぜ
)
が
強
(
つよ
)
くなつて、
家
(
いへ
)
の
周圍
(
まはり
)
を
吹
(
ふ
)
きまはる
雪
(
ゆき
)
が、こたつの
下
(
した
)
へ
吹
(
ふき
)
たまつて、パツと
赤
(
あか
)
く
成
(
な
)
りさうで、
一晩
(
ひとばん
)
おびえて
寢
(
ね
)
られなかつた。——
下宿
(
げしゆく
)
へ
歸
(
かへ
)
つた
濱野
(
はまの
)
さんも、どうも、おち/\
寢
(
ね
)
られない。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
玉
(
たま
)
の
簾
(
すだれ
)
を
吹
(
ふき
)
ちぎり、
金屏風
(
きんべうぶ
)
を
倒
(
たふ
)
すばかり、
嵐
(
あらし
)
の
如
(
ごと
)
く
世
(
よ
)
に
響
(
ひゞ
)
いた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
吹
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“吹”を含む語句
吹雪
吹掛
鼓吹
吹込
吹出
一吹
吹消
吹奏
吹散
吹溜
潮吹
吹懸
吹聴
息吹
灰吹
吹上
吹降
吹荒
吹通
吹捲
...