かわ)” の例文
そうすればきもは、あのたび薬屋くすりやたかれるし、にくは、むらじゅうのものでたべられるし、かわかわで、おかねにすることができるのだ。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その男は、おかをこえて、ブランブルハーストえきからあるいてきたとみえ、あつい手袋てぶくろをはめた手に、黒いちいさなかわかばんをさげていた。
けれども、おかみさんはまだ満足まんぞくしてはいませんでした。おかみさんはよくかわがつっぱって、どうしてもねむることができません。
いぬかわをかぶって、おせんのはだかおも存分ぞんぶんうえうつってるなんざ、素人しろうとにゃ、鯱鉾立しゃちほこだちをしても、かんがえられるげいじゃねえッてのよ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
タネリがゆびをくわいてはだしで小屋こやを出たときタネリのおっかさんは前の草はらでかわかしたさけかわぎ合せて上着うわぎをこさえていたのです。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
また履物はきもの黒塗くろぬりりのくつみたいなものですが、それはかわなんぞでんだものらしく、そうおもそうにはえませんでした……。
年久しく風霜ふうそうと闘うてかわは大部分げ、葉も落ちて、老骨ろうこつ稜々りょうりょうたる大蝦夷松おおえぞまつが唯一つ峰に突立つったって居るのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
世の中に真面目は、どんなものか一生知らずに済んでしまう人間がいくらもある。かわだけで生きている人間は、つちだけで出来ている人形とそう違わない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、どうも。びっくりしたとたんに、ばけかわがはがれるとは、われながら大失敗でありました。はははは」
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すると、おにはびっくりして、あわててあたまかわをそっくり子供こどものこしたまま、にげて行ってしまいました。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのつど友人の心事や性格を疑うごときは不見識のはなはだしきものなれば、つねづね、なにものにもおもてうらと、そとうちと、かわにくとの別あるを心得ておきたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「いや、いかに忠義をよそおうても、最後の土壇場どたんばへ来ると、けのかわがずにいられなくなるのだろう」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
森の中で美しい果物を見つけたり、川の中できれいな魚を見つけたりすると、長いくちばしが先にそれをつっついて、短いくちばしには、かわほねしかくれなかった。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
飲む水だけは、やっと出口のあたりで見つけたけれど、食べるものといったら、パンのかわひとつ落ちていない。今朝けさから、もう十ぺんも、おかあさんを起しに行ってみた。
台屋だいやのかたでは、源四郎の細君さいくんまさとままははわかいやといおんなとの三人が、なにかまじめに話をしながら、ままははははすのかわをはぎ、お政と女はつと豆腐どうふをこしらえてる。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「ふんぎりもつかず、引っこみもつかずにうろうろしているもんですから、何のことはないお蘭さんの投げた株を引受けて、追敷きを食わされ通し……全くいいつらかわですわ」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あるいは後年にいたって大老井伊掃部頭いいかもんのかみは開国論を唱えた人であるとか開国主義であったとか云うような事を、世間で吹聴ふいちょうする人もあればほんあらわした者もあるが、開国主義なんて大嘘だいうそかわ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かわ剥けば、欧羅巴ヨーロッパ人の骨も、日本人の骨も同様である。一と皮剥けば、骨どころでない、肉も血も同じことであるのである。しかし、旧来の慣習はそういう工合になっているのである。
平和事業の将来 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
其時そのとき最後の痛苦の絶叫、と見ると、さいなまるゝ婦人おんなの下着、樹の枝に届くまで、すツくりと立つたので、我を忘れて突立つったあがると、彼方かなたはハタと又たおれた、今はかわや破れけん、枯草かれくさの白き上へ
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
途中とちう大なる蝮蛇まむしの路傍に蜿蜒えん/\たるあり、之をへば忽ち叢中さうちうかくる、警察署の小使某ひとり叢中にり、生擒せいきんして右手にひつさきたる、衆其たくふくす、此に於て河岸に出でて火をき蝮のかわ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
かわを きたるもの てらの なかに はいるべからず
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
パイのかわ 冬 第三百十七 パイの皮
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
たぬきかわ
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
バナナのかわは、わかおとこおんなとが、たのしそうにかたい、わらっているこえをききますと、きゅうまれた、みなみ故郷こきょうこいしくなりました。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さいきん、ふくかわをかぶった子どもが生まれました。こういう子どもは、なにをやってもいいうんにめぐまれているものです。
馬鹿ばかをいわッし。おいらがんで、うしかわようがあるんだ。もっともこの薬罐やかんそばはなッつけて、よくいで見ねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そこでみんなは青いりんごのかわをむきはじめました。山男もむいてたべました。そしてをすっかりたべてからこんどはかまどをぱくりとたべました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そなたもへび脱殻ぬけがら——丁度ちょうどあれにうすうすかわが、竜神りゅうじんからだからけてちるのじゃ。竜神りゅうじん通例つうれいしッとりした沼地ぬまちのようなところでそのかわぎすてる……。
ここの渓流けいりゅうでは砂金さきんがとれる、砂金をうってよろい小太刀こだち金具かなぐをつくる少女があり、そうかと思うと、かわをついで絹糸きぬいとで、武具ぶぐ草摺くさずりをよろっているうちも見える。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
毎日まいにちいぬれて山の中にはいって、いのしし鹿しかしては、いぬにかませてってて、そのかわをはいだり、にくってったりして、朝晩あさばんらしをてていました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ピートこそ、いいつらかわだった。そのころ、機は高度をだんだん低めて、着陸の用意にかかっていた。
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けれどもなんとか始末をしなくちゃあならねえ、せっかくここまで漕ぎつけたところで、ここでばけかわが剥げたんじゃあ、宝の山へ入って馬の皮を持たせられるようなものだ。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そんな出鱈目でたらめをいってもし相手が読んでいたらどうするつもりだ」あたかも人をあざむくのは差支さしつかえない、ただばけかわがあらわれた時は困るじゃないかと感じたもののごとくである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だが、ついにけのかわのはがれるときがきたんだ。アイピング村の連中れんちゅうは、そいつが透明人間とうめいにんげんとわかったので、大格闘だいかくとうをやってつかまえようとしたが、なにしろ相手あいて姿すがたはみえないんだ。
かわナマス 夏 第百三十九 鯛料理
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かわもんどう
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
ふねからりた三にんのものは、ばかりするどひかって、ひげはくろく、頭髪かみはのびて、ほとんど、ほねかわばかりにやせおとえていたのです。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
さてこの夫婦ふうふうちまえにわに、一ぽん杜松としょうがありました。ふゆのことでしたが、おかみさんはこのしたで、林檎りんごかわいていました。
またせっかくむいたそのきれいなかわも、くるくるコルクきのような形になってゆかちるまでの間にはすうっと、はいいろに光って蒸発じょうはつしてしまうのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
日ごろ憎悪する相手にめぐりあって、いきなりそのつらかわへツバしてかかるように、彼はののしり出した。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「でも、あそこへいけば、かならずつかまって、取調べをうけるにきまっているんですからねえ、そうすると、けのかわがはがれますから、えらいことになりますよ」
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
それにちげえねえやな。でえいち、ほかにあんなにおいをさせる家業かぎょうが、あるはずはなかろうじゃねえか。雪駄せったかわを、なべるんだ。やわらかにして、はりとおりがよくなるようによ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
がすっかりけはなれると、みんなが心配しんぱいしてました。そして子供こどもがとくいらしく、かみのついたおにあたまかわまわすのをて、ますますびっくりしました。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
身代りに倒された方こそいいつらかわだ、この面の皮をいったいどうしてくれるんだ
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
バナナのかわとつえとは、それからも、まだ河水かわみずについてながされていったのです。しかし、かれらは、まだ希望きぼうてませんでした。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この女があるときひとりの男の子を生みましたが、その子は頭に(1)ふくかわ〉をかぶって生まれてきました。
「あん。」達二は、垣根かきねのそばから、やなぎえだを一本り、青いかわをくるくるいでむちこしらえ、しずかに牛を追いながら、上の原へのみちをだんだんのぼって行きました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのはずみに、相手のかぶっていたけものかわが、いきおいよく、蛾次郎の手に引きはがれたので
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かわでもはいで、わたしがもらって、ろうかと思うのですが、たび途中とちゅうではそれもできないし、そうかといってこのまま往来おうらいてておくこともできないので、どうしたものか
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いいつらかわなのは米友であります。米友の背が低いから子供に見誤ったものか、或いはこの驚きに紛れて逆上のぼせてしまったものか、誰ひとり米友にお礼を言うことに気がつきませんでした。