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氣勢
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けはひ
ふりがな文庫
“
氣勢
(
けはひ
)” の例文
新字:
気勢
建續
(
たてつゞ
)
く
家
(
いへ
)
は、なぞへに
向
(
むか
)
うへ
遠山
(
とほやま
)
の
尾
(
を
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
其方此方
(
そちこち
)
の、
庭
(
には
)
、
背戸
(
せど
)
、
空地
(
あきち
)
は、
飛々
(
とび/\
)
の
谷
(
たに
)
とも
思
(
おも
)
はれるのに、
涼
(
すゞ
)
しさは
氣勢
(
けはひ
)
もなし。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
襖の蔭から覗き見をする人の
氣勢
(
けはひ
)
など、明らかに解つてゐたが、既うそんな事など氣にならぬほど、次第に私は心の落ち着くのを感じた。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
何やら探す樣な
氣勢
(
けはひ
)
がしてゐたが、
鏗
(
がちや
)
りと銅貨の相觸れる響。——
霎時
(
しばし
)
の間何の物音もしない、と老女の枕元の障子が靜かに開いて、
窶
(
やつ
)
れたお利代が顏を出した。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
四方板塀で圍まれ隅に用水桶が置いてある、板塀の一方は
見越
(
みこし
)
に夏蜜柑の木らしく暗く繁つたのが其
頂
(
いたゞき
)
を出して居る、月の光はくつきりと地に印して
寂
(
せき
)
とし人の
氣勢
(
けはひ
)
もない。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
義男の見定められない深い奧にいつかしら一人で突き入つて行く時があるのだと云ふ樣な
氣勢
(
けはひ
)
が、その眼の底に現はれてゐるのを見て取ると、義男の胸には又反感が起つた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
▼ もっと見る
細
(
ほそ
)
い
針
(
はり
)
ほどな
侏儒
(
いつすんぼふし
)
が、
一
(
ひと
)
つ/\、と、
歩行
(
ある
)
き
出
(
だ
)
しさうな
氣勢
(
けはひ
)
がある。
吃驚
(
びつくり
)
して、
煮湯
(
にえゆ
)
で
雜巾
(
ざふきん
)
を
絞
(
しぼ
)
つて、よく
拭
(
ぬぐ
)
つて、
先
(
ま
)
づ
退治
(
たいぢ
)
た。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
どうやら人の居る
氣勢
(
けはひ
)
もする。私は玄關を離れてそちらへ急いだ。あけ放たれた入口の敷居を跨ぐと、中は廣大な土間で、老婆が一人、竈の前で眞赤な火を焚いてゐる。
比叡山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
お由は二三度唸つて立ち上つた
氣勢
(
けはひ
)
。下腹が痺れて、便氣の塞逼に堪へぬのだ。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
夜中頃
(
よなかごろ
)
には
武生
(
たけふ
)
の
町
(
まち
)
を
笠
(
かさ
)
のやうに
押被
(
おつかぶ
)
せた、
御嶽
(
おんたけ
)
といふ
一座
(
いちざ
)
の
峰
(
みね
)
、
根
(
ね
)
こそぎ
一搖
(
ひとゆ
)
れ、
搖
(
ゆ
)
れたかと
思
(
おも
)
ふ
氣勢
(
けはひ
)
がして、
風
(
かぜ
)
さへ
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふ
)
き
添
(
そ
)
つた。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
路
(
みち
)
の
兩側
(
りやうがは
)
しばらくのあひだ、
人家
(
じんか
)
が
斷
(
た
)
えては
續
(
つゞ
)
いたが、いづれも
寢靜
(
ねしづ
)
まつて、
白
(
しら
)
けた
藁屋
(
わらや
)
の
中
(
なか
)
に、
何家
(
どこ
)
も
何家
(
どこ
)
も
人
(
ひと
)
の
氣勢
(
けはひ
)
がせぬ。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
塾
(
じゆく
)
の
山田
(
やまだ
)
は、
湯
(
ゆ
)
に
行
(
い
)
つて、
教場
(
けうぢやう
)
にも
二階
(
にかい
)
にも
誰
(
たれ
)
も
居
(
を
)
らず、
物音
(
ものおと
)
もしなかつた。
枕頭
(
まくらもと
)
へ……ばたばたといふ
跫音
(
あしおと
)
、ものの
近寄
(
ちかよ
)
る
氣勢
(
けはひ
)
がする。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
それ
)
が
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
へ
着
(
つ
)
いたと
思
(
おも
)
ふと、
四邊
(
あたり
)
また
濛々
(
もう/\
)
、
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
が
少
(
すこ
)
し
赤味
(
あかみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
ずんだ
水面
(
すゐめん
)
に、五六
人
(
にん
)
の
氣勢
(
けはひ
)
がする、
囁
(
さゝや
)
くのが
聞
(
きこ
)
えた。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ト
日
(
ひ
)
があたつて
暖
(
あた
)
たかさうな、
明
(
あかる
)
い
腰障子
(
こししやうじ
)
の
内
(
うち
)
に、
前刻
(
さつき
)
から
靜
(
しづ
)
かに
水
(
みづ
)
を
掻𢌞
(
かきまは
)
す
氣勢
(
けはひ
)
がして
居
(
ゐ
)
たが、ばつたりといつて、
下駄
(
げた
)
の
音
(
おと
)
。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
ど
)
うかすると
石
(
いし
)
の
手水鉢
(
てうづばち
)
が、
柳
(
やなぎ
)
の
影
(
かげ
)
に
青
(
あを
)
いのに、
清
(
きよ
)
らかな
掛手拭
(
かけてぬぐひ
)
が
眞白
(
まつしろ
)
にほのめくばかり、
廊下
(
らうか
)
づたひの
氣勢
(
けはひ
)
はしても、
人目
(
ひとめ
)
には
唯
(
たゞ
)
軒
(
のき
)
の
荵
(
しのぶ
)
。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
然
(
しか
)
も
紅
(
くれなゐ
)
は、
俯向
(
うつむ
)
いた
襟
(
えり
)
を
辷
(
すべ
)
り、
凭
(
もた
)
れかゝつた
衣紋
(
えもん
)
に
崩
(
くづ
)
れて、
膚
(
はだへ
)
も
透
(
す
)
く、とちらめくばかり、
氣勢
(
けはひ
)
は
沈
(
しづ
)
んだが
燃立
(
もえた
)
つやう。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
買
(
か
)
はん
哉
(
かな
)
、
甘
(
あま
)
い/\
甘酒
(
あまざけ
)
の
赤行燈
(
あかあんどう
)
、
辻
(
つじ
)
に
消
(
き
)
ゆれば、
誰
(
た
)
そ、
青簾
(
あをすだれ
)
に
氣勢
(
けはひ
)
あり。
閨
(
ねや
)
の
紅麻
(
こうま
)
艷
(
えん
)
にして、
繪團扇
(
ゑうちは
)
の
仲立
(
なかだち
)
に、
蚊帳
(
かや
)
を
厭
(
いと
)
ふ
黒髮
(
くろかみ
)
と、
峻嶺
(
しゆんれい
)
の
白雪
(
しらゆき
)
と、
人
(
ひと
)
の
思
(
おもひ
)
は
孰
(
いづれ
)
ぞや。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
釵
(
かんざし
)
の
搖
(
ゆら
)
ぐ
氣勢
(
けはひ
)
は、
彼方
(
あちら
)
に、お
孃
(
ぢやう
)
さんの
方
(
はう
)
にして……
卓子
(
テエブル
)
の
其
(
そ
)
の
周圍
(
まはり
)
は、
却
(
かへ
)
つて
寂然
(
ひつそり
)
となりました。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
十
時
(
じ
)
を
過
(
す
)
ぎた
頃
(
ころ
)
、
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
かせて、もの
音
(
おと
)
は
靜
(
しづ
)
まつたが、
裾
(
すそ
)
を
捲
(
ま
)
いて、
雷神
(
はたゝがみ
)
を
乘
(
の
)
せながら、
赤黒
(
あかぐろ
)
に
黄
(
き
)
を
交
(
まじ
)
へた
雲
(
くも
)
が
虚空
(
そら
)
へ、
舞
(
ま
)
ひ/\
上
(
あが
)
つて、
昇
(
のぼ
)
る
氣勢
(
けはひ
)
に、
雨
(
あめ
)
が、さあと
小止
(
をや
)
みに
成
(
な
)
る。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それより
無言
(
むごん
)
にて
半町
(
はんちやう
)
ばかり、たら/\と
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
る。こゝに
晝
(
ひる
)
も
暗
(
くら
)
き
樹立
(
こだち
)
の
中
(
なか
)
に、ソと
人
(
ひと
)
の
氣勢
(
けはひ
)
するを
垣間
(
かいま
)
見
(
み
)
れば、
石
(
いし
)
の
鳥居
(
とりゐ
)
に
階子
(
はしご
)
かけて、
輪飾
(
わかざり
)
掛
(
か
)
くる
少
(
わか
)
き
一人
(
ひとり
)
、
落葉
(
おちば
)
掻
(
か
)
く
翁
(
おきな
)
二人
(
ふたり
)
あり。
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
山
(
やま
)
の
底
(
そこ
)
に
潛込
(
もぐりこ
)
むが
如
(
ごと
)
き、
易
(
やす
)
からぬものの
氣勢
(
けはひ
)
に、
少
(
すくな
)
からず
驚
(
おどろ
)
かされたのである。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
友
(
とも
)
は
心
(
こゝろ
)
強
(
がう
)
にして、
小夜
(
さよ
)
の
螢
(
ほたる
)
の
光
(
ひかり
)
明
(
あか
)
るく、
梅
(
うめ
)
の
切株
(
きりかぶ
)
に
滑
(
なめら
)
かなる
青苔
(
せいたい
)
の
露
(
つゆ
)
を
照
(
てら
)
して、
衝
(
つ
)
と
消
(
き
)
えて、
背戸
(
せど
)
の
藪
(
やぶ
)
にさら/\とものの
歩行
(
ある
)
く
氣勢
(
けはひ
)
するをも
恐
(
おそ
)
れねど、
我
(
われ
)
は
彼
(
か
)
の
雨
(
あめ
)
の
夜
(
よ
)
を
惱
(
なや
)
みし
時
(
とき
)
、
朽木
(
くちき
)
の
燃
(
も
)
ゆる
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一昨年
(
いつさくねん
)
の
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は、
翌日
(
よくじつ
)
、
半日
(
はんにち
)
、いや、
午後
(
ごご
)
三
時頃
(
じごろ
)
まで、
用
(
よう
)
もないのに、
女中
(
ぢよちう
)
たちの
蔭
(
かげ
)
で
怪
(
あやし
)
む
氣勢
(
けはひ
)
のするのが
思
(
おも
)
ひ
取
(
と
)
られるまで、
腕組
(
うでぐみ
)
が、
肘枕
(
ひぢまくら
)
で、やがて、
夜具
(
やぐ
)
を
引被
(
ひつかぶ
)
つてまで
且
(
か
)
つ
思
(
おも
)
ひ、
且
(
か
)
つ
惱
(
なや
)
み
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
湯
(
ゆ
)
に
行
(
い
)
つた
留守
(
るす
)
か、もの
越
(
ごし
)
、
氣勢
(
けはひ
)
もしないが、
停車場
(
ステイシヨン
)
から
俥
(
くるま
)
で
走
(
はし
)
らした三
人
(
にん
)
の
客
(
きやく
)
、
其
(
そ
)
の三
人
(
にん
)
が
其處
(
そこ
)
に、と
思
(
おも
)
つて、
深
(
ふか
)
く
注意
(
ちうい
)
した、——
今
(
いま
)
は
背後
(
うしろ
)
に
成
(
な
)
つた——
取着
(
とツつ
)
きの
電燈
(
でんとう
)
を
裡
(
うち
)
に
閉切
(
しめき
)
つた、
障子
(
しやうじ
)
の
前
(
まへ
)
へ
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、
激
(
はげ
)
しい、
強
(
つよ
)
い、
鋭
(
するど
)
いほどの
氣勢
(
けはひ
)
はなかつた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大家
(
たいけ
)
の
店前
(
みせさき
)
に
人
(
ひと
)
の
氣勢
(
けはひ
)
もない。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
擦寄
(
すりよ
)
つた
氣勢
(
けはひ
)
である。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
氣
部首:⽓
10画
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
13画
“氣”で始まる語句
氣
氣色
氣味
氣遣
氣持
氣障
氣質
氣分
氣高
氣紛