右手みぎて)” の例文
東海道線とうかいだうせんやませんがつして鐵道線路てつだうせんろ右手みぎて臺地だいちがそれで、大井おほゐ踏切ふみきりからけば、鐵道官舍てつだうくわんしやうらから畑中はたなかるのである。
先棒さきぼううしろとのこえは、まさに一しょであった。駕籠かご地上ちじょうにおろされると同時どうじに、いけめんした右手みぎてたれは、さっとばかりにはねげられた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
けれど、学校がっこうのお習字しゅうじは、どうしても右手みぎてでなくてはいけませんので、お習字しゅうじのときはみょうつきをして、ふでちました。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
御米およねのない眞中まんなかに、少時しばらくたゝずんでゐたが、やがて右手みぎてあた下女部屋げぢよべやを、おとのしないやうにそつといて、なか洋燈らんぷかざした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と、にわのほうへよびいれました。おチエはすなおににわのほうへはいってきましたが、右手みぎてあたまをなんべんもかいています。
もうひとここ景色けしきなかとくわたくしいたものは、むかって右手みぎてやま中腹ちゅうふくに、青葉おおばがくれにちらちらえるひとつの丹塗にぬりのおみやでございました。
引きちがいに立てた格子戸こうしどまいは、新しいけれど、いかにも、できの安物やすものらしく立てつけがはなはだわるい。むかって右手みぎて門柱もんちゅう看板かんばんがかけてある。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「おいじうだよ、だれじうつてくれよ‥‥」と、中根なかねは一所懸命しよけんめい右手みぎてじうあたまうへげながら呶鳴どなつた。そして、右手みぎてでバチヤバチヤみづたたいた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
だれんでもかまはないのだらう』とあいちやんはおもひました、『此位このくらゐ身長せいでは駄目だめよ、さうだ、ひと彼等かれらおどろかしてやらう!』とつてあいちやんは、ふたゝ右手みぎてかけはじめました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そいつをいて、鼻かけ卜斎ぼくさい、ダラリと右手みぎてにさげたのである。そして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此方こつちよ。」と道子みちこはすぐ右手みぎて横道よこみちまがり、おもてめてゐる素人家しもたやあひだにはさまつて、軒先のきさき旅館りよくわんあかりした二階建かいだてうち格子戸かうしどけ、一歩ひとあしさき這入はいつて「今晩こんばんは。」となからせた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
こういうと、そのとき右手みぎての三ばんめにすわっていたおにが口をして
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
海蔵かいぞうさんは、右手みぎてにのせていたあごを、左手ひだりてにのせかえました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
案内あんないはかねて梯子はしごのぼてゝ右手みぎて小座敷こざしき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「はやく、右手みぎてくせをつけなければ。」と、ごはんのときに、とりわけやかましくいわれました。すると、おとうさんが
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
おおかたくわえた楊枝ようじてて、かおあらったばかりなのであろう。まだ右手みぎてげた手拭てぬぐいは、おもれたままになっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ところが、つぎのとし正月しょうがつごろから、にいさんがリューマチという病気びょうきをわずらって、右手みぎて自由じゆうがきかなくなりました。
ここでちょっと申添もうしそえてきたいのは、わたくし修行場しゅぎょうば右手みぎてやま半腹はんぷくる、あのちいさい竜神りゅうじんやしろのことでございます。
すると人足にんそくの一にんか『かひところ此所こゝばかりぢやアりません。御門ごもんはいつて右手みぎて笹山さゝやまうしろところにも、しろかひ地面ちめんます』と報告ほうこくした。
三人は入口いりぐちの五六間手前で留つた。右手みぎてに可なり大きな御影の柱が二本立つてゐる。とびらは鉄である。三四郎がこれだと云ふ。成程貸家札かしやふだが付いてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「さうか、それでもまださきはなかなかとほいなあ‥‥」と、河野かうの右手みぎてじうおもさうにずりげながらつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
学校がっこうくときには、鉛筆えんぴつや、ふで右手みぎてち、またお弁当べんとうをたべたり、おうちでみんなといっしょに、おぜんかってごはんをたべるときは
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから逆戻ぎやくもどりをして塔頭たつちゆう一々いち/\調しらべにかゝると、一窓庵いつさうあん山門さんもん這入はいるやいなやすぐ右手みぎてはうたか石段いしだんうへにあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは根方地ねがたぢで、街道かいだうから南面なんめんし、右手みぎて小徑こみちがある、それをまがつてから、また右手みぎてはた目的地もくてきちだ。
町人ちょうにんたちがはなしている、その少年しょうねんは、じりじりとてりつける太陽たいようにあせばんだのか、ときおり、右手みぎてで、ひたいのあせをふきながら、士族しぞくやしきへかえっていきました。
「おい河野かうの‥‥」と、わたしへん心細こころほそさとさびしさを意識いしきして、右手みぎていてことばけたが、河野かうのこたへなかつた。くびをダラリとまへげて、かれねむりながらあるいてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
瀑布たき右手みぎてにくねくねといているせま山道やまみち私達わたくしたちはそれをばうえうえへとのぼってきました。
出窓でまどえんひじけて、するりとからだもちちあげると、如何いかにも器用きよういた草履ぞうり右手みぎてぎながら、こしの三尺帯じゃくおびへはさんで、ねこのように青畳あおだたみうえったのは、三年前ねんまえいえたまま
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
かれは、右手みぎてでしっかりとかわにぶらがっていたが、あちらへおされ、こちらへおされしなければなりませんでした。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
格子かうしうち三和土たゝきで、それが眞直まつすぐうらまでけてゐるのだから、這入はいつてすぐ右手みぎて玄關げんくわんめいたあがぐちあがらない以上いじやうは、くらいながら一筋ひとすぢおくはうまでえるわけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのかまは、おおきく、するどく、そして、三日月みかづきのようにほそいのを、大男おおおとこは、右手みぎてにぎっていたからです。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
代助は花瓶くわへい右手みぎてにあるかさねの書棚しよだなまへへ行つて、うへに載せた重い写真帖を取りげて、ちながら、きん留金とめがねはづして、一枚二枚とり始めたが、中頃迄てぴたりとめた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かあさんもわらいだしそうなかおつきをむりにこらえてていらっしゃいますと、しょうちゃんはボールをった右手みぎてをぐるぐるっとあたまうえでまわして、片手かたてをあげてげるまねをしました。
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、かわいらしい右手みぎてして、時計とけいかって、「おくれ。」をしました。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)