人生じんせい)” の例文
わたくしはこのときはじめて、ひやうのない疲勞ひらう倦怠けんたいとを、さうしてまた不可解ふかかいな、下等かとうな、退屈たいくつ人生じんせいわづかわすれること出來できたのである。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
然うだ、其だから僕等の生涯は永久えいきゆうに暗黒だと云ふのだ!家庭かてい人生じんせい活動くわつどうみなもとである、と、人にツてはこんなことを云ふものもある。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ひとこゝろ宿やどところこひをすらわらふべくしんずべからざるものならば、人生じんせいつひなんあたひぞ、ひとこゝろほど嘘僞きよぎものいではないか。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この感覚かんかくうちにおいて人生じんせい全体ぜんたいふくまっているのです。これをにすること、にくむことは出来できます。が、これを軽蔑けいべつすることは出来できんです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
服飾ふくしよくの事は前回にてしるおはりたれば是より飮食の事を記すべし先づみ物には如何なる種類しゆるゐ有りしかと云ふに、人生じんせいく可からざる水は勿論もちろん
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
火山地方かざんちほう地下熱ちかねつ利用りようなどもあることだから、使つかようによつては人生じんせい利益りえきあたへる時代じだいもやがて到着とうちやくするであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
こころうえをかすめてとお真理しんりがあり、たくみにそれをとらえれば、その真理しんりこそ、人生じんせいにとって重大じゅうだいなねうちのあるものであるが、そのままわすれてしまえば
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
年輩ねんぱいも、たしかみことはそのときおん二十四、ひめおん十七、どちらも人生じんせい花盛はなざかりなのでございました。
……人生じんせいいやしくも永代えいたいわたつて、辰巳たつみかぜかれようといふのに、足駄あしだ蝙蝠傘かうもりがさ何事なにごとだ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふのは、たゞたんどもたちのためにとばかりではく、わたしは此等これらのはなしのなか人生じんせい社會しやくわいおよびその運命うんめい生活せいくわつくわんする諸問題しよもんだい眞摯まじめにとりあつかつてみたからであります。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
人生看得幾清明 人生じんせい るを得るは幾清明いくせいめいぞ〕
十九の秋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
人生じんせいうらみ、このやまい一大要素いちだいようそならずんばあらじ。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
自分というほかに人生じんせいの考えはない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
人生じんせいあいやま
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
未練みれんをしみてとも思召おぼしめさんくるしさよとおもひやりてはしづおもいだしてはむせかへみとはなんゆめにもわすれてるものは人生じんせいきといふきの數々かず/\るものは無意むい無心むしん春夏秋冬しゆんかしうとう落花らくくわ流水りうすゐちりてながれてかへなみとしまたとし今日けふこゝろけやする明日あすおもひのはなれやするあは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
人生じんせい解悟かいごむかつて自由じいうなるふか思想しさうと、おろかなるさわぎたいする全然ぜん/\輕蔑けいべつすなは人間にんげん以上いじやうのものを未甞いまだかつらぬ最大幸福さいだいかうふくです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「何うせ、人生じんせいツてものは淋しいものさ。不幸なことを謂や僕なんか随分ずいぶん………」と謂ひかゝツて、ふと口をつくむでお房は氣の無い顏で外の方をながめてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
博雅の君子亦「鏡花全集」を得て後、先生が日光晶徹の文、哀歓双双あいくわんさうさう人生じんせいを照らして、春水欄前に虚碧きよへきただよはせ、春水雲外に乱青らんせいを畳める未曾有の壮観をほしいままにす可し。
「鏡花全集」目録開口 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わけて、少年しょうねんには、とおえる、うつくしいむすめ姿すがたが、この人生じんせいあかるくしたのに不思議ふしぎはありません。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たにおくには墓場はかばもあるだらう、人生じんせい悠久いうきうながれ此處こゝでも泡立あわだたぬまでのうづゐてるのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
人生じんせい解悟かいごむかっておる自由じゆうなるふか思想しそうと、このおろかなるさわぎたいする全然ぜんぜん軽蔑けいべつ、これすなわ人間にんげんのこれ以上いじょうのものをいまだかつてらぬ最大幸福さいだいこうふくです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いかなる災難さいなんか、またなやみからで、そのおんなんだのであるが、わかでありながら、人生じんせいのよろこびも、たのしみも、じゅうぶんらずして、んでしまったのだ。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
故郷こきやう風景ふうけいもととほりである、しか自分じぶん最早もはや以前いぜん少年せうねんではない、自分じぶんはたゞ幾歳いくつかのとししたばかりでなく、かう不幸ふかうか、人生じんせい問題もんだいになやまされ、生死せいし問題もんだい深入ふかいりし
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
んだか深遠しんえん人生じんせい意味ゐみふくまれてゐるやうな氣がしてならなかツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
この隧道トンネルなか汽車きしやと、この田舍者ゐなかもの小娘こむすめと、さうしてまたこの平凡へいぼん記事きじうづまつてゐる夕刊ゆふかんと、——これが象徴しやうちようでなくてなんであらう。不可解ふかかいな、下等かとうな、退屈たいくつ人生じんせい象徴しやうちようでなくてなんであらう。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そして、これがほんとうの人生じんせいであるとは、どうしてもしんしんじられなかったのであります。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
感覺かんかくうちおい人生じんせい全體ぜんたいふくまつてゐるのです。これにすることにくこと出來できます。が、これ輕蔑けいべつすること出來できんです。でるから、ストア哲學者てつがくしや未來みらいこと出來できんのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ぼく諸君しよくんこの不可思議ふかしぎなる大宇宙だいうちうをも統御とうぎよしてるやうな顏構かほつきをしてるのをると冷笑れいせうしたくなるぼく諸君しよくんいますこしく眞面目まじめに、謙遜けんそんに、嚴肅げんしゆくに、この人生じんせいこの天地てんち問題もんだいもらひたいのである。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
えうするに彼は、宇宙うちうの本體をさぐらうとしたり人生じんせいの意義をきはめやうとして、種々な思想を生噛なまがみにしてゐるうちに、何時かデカタン派の影響えいきやうけて、そして其の空氣が弱い併しながらねばツこい力で
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
まったく砂漠さばくのように、灰色はいいろにしかうつらないいえなかにも、ちいさいながらさんらんとした、きんかたまりが、かくされているということは、令二れいじにとって、不思議ふしぎというよりか、むしろ、人生じんせいには
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「もし、ということがなかったら、人生じんせいは、どんなに幸福こうふくでしょう?」
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あのは、もうこのいえわたしたちといっしょにいるのでない。どこかはなれたまちなか群集ぐんしゅうあしまれたり、もまれたりしているのだ。よく人生じんせいは、一すんさきはわからぬというが、このことであろう……。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あさかける時分じぶんには、人間にんげん発明力はつめいりょく科学かがくちからに、おどろきをかんじたのであったが、かえるときには、どれだけあい真心まごころをかたむけつくしても、永遠えいえんきとどめられないものがある人生じんせいのはかなさを
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
この人生じんせいつうずる一しゅのあわれさをかんじたのでありました。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)