ゆう)” の例文
然るにこの書籍を積んだ舟が、航海中七月九日に暴風に遭って覆って、抽斎のかつて蒐集しゅうしゅうした古刊本等の大部分が海若かいじゃくゆうした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
帰朝後の三年ゆうはんもまた不愉快の三年有半なり。去れども余は日本の臣民なり。不愉快なるが故に日本を去るの理由を認め得ず。
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
有史以前ゆうしいぜんには噴火ふんかした證跡しようせきゆうしながら、有史以來ゆうしいらい一回いつかい噴火ふんかしたことのない火山かざんかずはなか/\おほい。箱根山はこねやまごときがその一例いちれいである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
大悟徹底だいごてっていと花前とはゆうとのである。花前は大悟徹底だいごてっていかたちであってこころではなかった。主人しゅじんはようやく結論けつろんをえたのであった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
以上いじようべましたように、支那しな朝鮮ちようせん石器時代せつきじだいのものは、その土器どきうへからて、日本につぽんのものとは關係かんけいゆうしてゐないようでありますが
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
真理は余一人のゆうにあらずして宇宙に存在するすべての善人の有たることを知れり、心の奥底より天主教徒たる人を余は想像し得るに至れり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
世事せいじ紛紜ふんうんとして慨嘆を長うす、人情浮薄にして日に推移す。知るやいなや十ゆう三年の後、頑鈍がんどん依然としてひとを守るを。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
第七十六条 法律規則命令又ハ何等なんらノ名称ヲもちヰタルニかかわラスノ憲法ニ矛盾むじゅんセサル現行ノ法令ハすべ遵由じゅんゆうノ効力ヲゆう
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
六条院の御遺産として右大臣のゆうになっている土地はかわの向こうにずっと続いていて、ながめのよい別荘もあった。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
これはどうしても政治が悪いからである。王者が国を治むる術を得なかったために乱れたのである。その極、ついに露西亜ロシアゆうとならんとしたのである。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
こしひくくて、愛想あいそうがよく、ここへむまでには、いろいろの経験けいけんゆうしたであろうとおもわれる主人しゅじんは、わらって
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
本石町の小西と淺沼あさぬま、今川小しんどう——それらがとう時のゆう名なみせだつたが、とにかく東けうにも寫眞器屋しやしんきやなどはまだかぞへるほどしかなかつたやうにおもふ。
其後そののち望生ぼうせいが、土偶變形どぐうへんけいともるべき一把手とつてゆうする土器どき(第三圖ロ參照)其他そのた土器どきし。また土器どきを三ばかりした。幻翁げんおう大分だいぶした。
人、死したましい去り、すなわちさらにかたちを受く。父子因縁ありて居に会す。たとえば寄客ききゃくてば、すなわち離散するごとく、愚迷ぐめい縛著ばくちゃくして、己のゆうとなす。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
個人こじん固有名こゆうめい神聖しんせいなもので、それ/″\ふか因縁いんねんゆうする。みだりにこれをいぢくりまはすべきものでない。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「それもそうだが、はじめに黒の一石をわがゆうにしたそっちの石も、つまり見事な男ぶり……いやなに、石振りではないはずだぞ。けとる、ハッハッハ右がける」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それらの草木は皆それぞれに特徴をゆうしていて、それがその培養者たる科学者にはよく知られているらしく、あるものは多くの古風な彫刻を施した壺のうちに置かれ、また
コロボツクルは植物性食物をもゆうせしに相違そうゐ無けれど、如何なる種類しゆるいの如何なる部が常食としてえらばれしや嗜好品として撰ばれしや、考定かうてい材料不足ざいりやうふそくにして明言めいげんする能はず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
本日の記念日に際し、は何よりもず第一に、敵国の空軍は本年に入って、殆んど新しい飛行機の補充をなさなくなったことを諸君の前に報告するの光栄をゆうするものである。
これは重禁錮じゅうきんこの者は、官に七分を収めて三分を自分の所有とするが例なるに、妾はこれに反して三分を官に収め七分を自分のゆうとなしければ、在監もし長からんには相応の貯蓄も出来て
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ここにも勿論同窓会をゆうしていたのであるが、何かの事情でしばらく中絶していたのを、震災以後、復興の再築が竣工して、いよいよこの九月から新校舎で授業をはじめることになったので
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一 これは正しいものの種子しゅしゆうし、そのうつくしい発芽はつがつものである。
ゆう先生がいわれた。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
大島おほしまといふ名前なまへ火山島かざんとう伊豆いづ渡島おしまとにある。伊豆いづ大島おほしまゆうする火山かざん三原山みはらやまたか七百五十五米しちひやくごじゆうごめーとる)とづけられ、噴火ふんかふる歴史れきしゆうしてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
おな生命せいめいゆうしている人間にんげんのすることにくらべて、はかりれない、暴力ぼうりょく所有者しょゆうしゃである自然しぜんのほうが、どれほどおそろしいかしれないとおもっていました。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
した破片はへんうちに、内模樣うちもやうのある土器どき内部ないぶ把手とツてゆうするのがある。これなぞも珍品ちんぴんかぞふべしだ。
第二十八条 日本臣民ハ安寧秩序あんねいちつじょさまたケス及臣民タルノ義務ニそむカサルかぎりおいテ信教ノ自由ヲゆう
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
いっさいのゆうかいっさいの、抱きしめる手でそのまま殺すことも彼女にとっては同じだったが、さすがに殺しは得ずして助けて来た左膳、日々近く手もとにおいてみると
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
分与ぶんよしたる田畑をば親族の名に書き換え、即ちこれに売り渡したるていに持てして、その実は再び本家ほんけゆうとなしたるなど、少しも油断なりがたく、彼の死後は殊更ことさら遺族の饑餓きがをもかえりみず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
日本人は自分で従来ゆうしておった文明を充分に理解するばかりでなく、自分等と同種族の東洋全体の文明を了解するばかりでなく、また同時に永い歴史を有する欧羅巴ヨーロッパの文明を充分に受け入れ
文明史の教訓 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
民の名望一たび爾のゆうに帰せば彼らを感化するたなごころかえすより易し
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ゆう先生がいわれた。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
わが富士山ふじさんごと外輪山がいりんざんたない火山かざん單式たんしきであるが、ヴェスヴィオのごと外輪山がいりんざんゆうするものは複式ふくしきである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ふた突起つまみついては、中央ちうわう一箇ひとつ突起つまみゆうするのと、二箇ふたつ突起つまみゆうするのと、二箇ふたつ突起つまみ上部じやうぶおいがつるのと、大概だいがいこのしゆ區別くべつすること出來できるとおもふ。
ちいさな時分じぶんに、たびをする途中とちゅうたというのだ。そしていま、その記憶きおくはかすかになったけれど、おじいさんは、さがせばかならずいだせるというつよ信念しんねんゆうしているのだ。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
第二十九条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニおいテ言論著作印行いんこう集会及結社ノ自由ヲゆう
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
帰藩と同時に其刀それを献上におよび、左膳のものとなるべきはずだったあらゆる賞美と栄誉は、すべてこれ和田栄三郎のゆうする……と、お艶はいま、あけても暮れても海へ行った栄三郎の帰府と
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
東京市内とうきようしないむものは、七八秒しちはちびようから十秒位じゆうびようぐらゐまでの初期微動しよきびどうゆうする地震ぢしんかんずることがもつと多數たすうである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さらまた時間じかんゆうし、浪人生活ろうにんせいくわつ氣樂きらくさは、何時いつでもかまはず發掘はつくつ從事じうじするとが出來できるのである。
「そんなら、おれたちは、おじいさんに案内あんないたのんで、かけることにしようじゃないか。」と、なかでも、もっとも野生やせいゆうしていた、ケーがんが、さっそくこのせつ賛成さんせいしました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
今日こんにち世界せかいゆうする地震學參考書ぢしんがくさんこうしよ中堅ちゆうけんをなすものであつて、これ事業じぎようは、日本地震學會時代につぽんぢしんがつかいじだいおい專有せんゆうしてゐたわがくに名聲めいせいはづかしめなかつたといへるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しろいし破片はへんに、いろとまじって、ひときわしろ光沢こうたくはなち、しおなどの結晶けっしょうのようにえるのです。方解石ほうかいせきだけは、っても、っても、四角形かくけいれる特徴とくちょうゆうしていました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
余等よらもつと興味きやうみゆうして傾聽けいちやうしたのは、權現臺貝塚ごんげんだいかひづか歴史れきしであつて、最初さいしよ野中のなかくわん發見はつけんしたのを、ふかしてたので、其頃そのころ發掘はつくつをせずとも、表面ひやうめんをチヨイ/\掻廻かきまはしてれば、土偶どぐう
また此等これら學問がくもんちからによつて、わが地球ちきゆう鋼鐵こうてつよりもおほきな剛性ごうせいゆうしてゐることもわかつてた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
わたすかぎり、くさ灌木かんぼくしげった平原へいげんであります。さおそらは、奥底おくそこれぬふかさをゆうしていたし、はるかの地平線ちへいせんには、砲煙ほうえんともまがうようなしろくもがのぞいていました。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さらまたさらまた勞動らうだう健康けんかうゆうす。