)” の例文
新字:
御酒ごしゆをめしあがつたからとてこゝろよくくおひになるのではなく、いつもあをざめたかほあそばして、何時いつ額際ひたひぎはあをすぢあらはれてりました。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
春着はるぎで、元日ぐわんじつあたり、たいしてひもしないのだけれど、つきとあしもとだけは、ふら/\と四五人しごにんそろつて、神樂坂かぐらざかとほりをはしやいで歩行あるく。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
思へば風前ふうぜんともしびに似たる平家の運命かな。一門上下しやうかはなひ、月にきやうじ、明日あすにもめなんず榮華の夢に、萬代よろづよかけて行末祝ふ、武運の程ぞ淺ましや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
瞬きする間もなく全身の血を煮返にえかへらすやうな氣がした、かと思ふと、私は忽ち前後の思慮もなく、まるで酒につた時と同じやう、死ぬなら一緒に死ぬ。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
がふほどをりやうとした但馬守たじまのかみは、めづらしく二三銚子てうしへたが、一かうふといふことをらなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
洩りてえりる淺間の山の雪おろし弓なりに寐るつる屋の二階是等も何ぞの取合せと思ふ折しも下屋したや賑はしく馬士まご人足のひたるならん祭文さいもんやら義太夫やら分らぬものを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
彼女かのぢよふたやうに、またつかれたやうに、しばらくは自分じぶん空想くうさうなかにさまよはしてゐた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
くそなすはひて吐き散らすとこそ我が汝兄なせの命かくしつれ。また田の離ち溝むは、ところあたらしとこそ我が汝兄なせの命かくしつれ」と詔り直したまへども、なほそのあらぶるわざ止まずてうたてあり。
橋側はしそば安酒場やすさかばこそまたなけれべんけいも來てひて唄へる
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
さすがにこれらの光華くわうくわひて、一日ひとひ、神を造りぬ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
命にひしわれは笑ふ、力の夢、美の夢おもひ。
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
ロレ それ、そこに地上ちじゃうに、おのがなみだうて。
色音いろねえつ、——ひざまのこゝろあがりに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
いやしきもののがひゆくひしれざまや。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ふたまきれに
流浪るらう致しをり不便ふびんに存候故途中とちうよりつれかへり私し明家あきやへ住居させ候に追々狂氣きやうきをさま正氣しやうきに立歸り以前の如く渡世とせい致し居候内享保きやうほ元申年十一月廿八日かと覺え候が其日は大雪おほゆきにて人通りもまれなるにお三には酒に圍爐裏ゐろりまろおち相果あひはて申候と聞て次右衞門三五郎は役柄やくがらなれば早くも心付其死骸しがい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其の時ひと共に話し出す先生の囘顧談に引かされて、私はとう/\芝の公園内に今もつて獨身の生活をつゞけてゐる先生の寓居まで、我知らず附き從つて行つた。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
糸織いとをりのなへたるにふらんねるをかさねし寐間着ねまき小袖こそでめさせかへ、いざ御就蓐おやすみをとりてたすければ、なに其樣そのやうふてはないとおつしやつて、滄浪よろめきながら寐間ねまへと入給いりたまふ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
りの玄竹げんちく相手あひてに、けるのをわすれてゐた但馬守たじまのかみは、いくんでもはぬさけに、便所べんじよへばかりつてゐたが、座敷ざしきもどたびに、かほいろあをみがしてくるのを
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ふぢはなむらさきは、眞晝まひる色香いろかおぼろにして、白日はくじつゆめまみゆる麗人れいじん面影おもかげあり。憧憬あこがれつゝもあふぐものに、きみかよふらむ、高樓たかどのわた廻廊くわいらうは、燃立もえた躑躅つゝじそらかゝりて、宛然さながらにじへるがごとし。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひどれのかの辨慶も秋くれば路傍に立ちて物を思へり
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
水錆みさびおもにまたたくにひしれて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
あるはまたれてこそめくるめけ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
葡萄の酒にはうとも、なんのその。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
よき詩を作るには、寂寞を愛さねばならぬ。血縁の繋累、社會の制裁から隔離せねばならぬ。彷徨さまよはねばならぬ。讀まねばならぬ。泣かねばならぬ。はねばならぬ。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ふたらば介抱かいはうしてくだされといふに、きみつたをいまだにことがない、れるほどむはいが、また頭痛づゝうがはじまりはせぬか、なに其樣そんなに逆鱗げきりんにふれたことがある
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
生日いくひ足日たるひや、事榮ことばえひさまたれぬ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
あらたま春着はるぎきつれてひつれて
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひごこち、よろしきたま
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
此邸こゝにては煤取すゝとりさゝ座敷ざしきにこぼれて、ひやめし草履ぞうりこゝかしこの廊下らうかちりみだれ、お雜巾ぞうきんかけまするもの、おたゝみたゝくもの家内かない調度てうどになひまはるもれば、お振舞ふるまひさゝふて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分は人力車を雇はうかとも思つたが、又觀察の興味を思返して、小半時間も待つた後遂に一輛の電車に乘り得た。壯士見たやうな風采のつた男が一人でぶつ/\小言を云つてゐる。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
あらたま春着はるぎきつれてひつれて
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひて過ぎしも夢なりや
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ぼくらにつてはるいことかとはれるに、いゑ貴君あなたにはきいいたゞきたいのでござんす、ふとまをしますからおどろいてはいけませぬと嫣然につこりとして、大湯呑おほゆのみとりよせて二三ばいいきをもつかざりき。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
然し自分がくまで長く外國に居て、猶且つ故郷を思はなかつたのは、決して女の爲めのみぢやない。外國と云ふ空氣全體を愛して居たからで、外國と云ふ空氣全體が自分をはして居たからである。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
ぢつつひしれぬ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
今夜こんやはおきやく大變たいへんひましたからおにかゝつたとておはなしも出來できませぬとことはつておくれ、あゝこまつたひとだねとまゆせるに、おまへそれでもいのかへ、はあいのさとてひざうへばちもてあそべば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あま先刻さきほどみなさまのおあそばすが五月蠅うるささに、一人ひとりにはへとげまして、お稻荷いなりさまのおやしろところひをましてりましたに、わたしへんへんな、をかしいことおもひよりまして、わらつてくださりますな
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れい酒癖しゆへき何處どこみせにかたふれて寢入ねいりても仕舞しまひしものかそれなればいよいよこまりしことなりうちにてもさぞあん此家こゝへもまたどくなりなにとせんとおもほどよりつもゆきいとゞ心細こゝろぼそ燭涙しよくるゐながるゝおもて二階にかい一人ひとり取殘とりのこされし新田につたのおたか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)