“煮返”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にえかへ60.0%
にえかえ40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
瞬きする間もなく全身の血を煮返にえかへらすやうな氣がした、かと思ふと、私は忽ち前後の思慮もなく、まるで酒につた時と同じやう、死ぬなら一緒に死ぬ。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
此時役人は富右衞門に向ひなんたしかに承知したか彌々いよ/\白状の趣きに相違さうゐなくば口書こうしよ爪印つめいん致せと右の口書を富右衞門の前へ差付さしつくるに富右衞門是を見て殘念ざんねん至極しごくに思ひ心中煮返にえかへるが如き涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
外封そとふうの書体とはまるで異った男の手蹟しゅせきで、一語一句、いずれも重吉の心を煮返にえかえらせるような文字ばかり並べてある中に
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
座敷では人顔の朦朧もうろうとするまで、蟹の脳味噌の再び煮返にえかえる中を、いつの間にか、お久という人は、帰りしなに……「ちょっと」……で八郎を呼出して、連込んだものらしい。——
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)