煮返にえかえ)” の例文
外封そとふうの書体とはまるで異った男の手蹟しゅせきで、一語一句、いずれも重吉の心を煮返にえかえらせるような文字ばかり並べてある中に
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
座敷では人顔の朦朧もうろうとするまで、蟹の脳味噌の再び煮返にえかえる中を、いつの間にか、お久という人は、帰りしなに……「ちょっと」……で八郎を呼出して、連込んだものらしい。——
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)