“にえかへ”の漢字の書き方と例文
語句割合
煮返100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
瞬きする間もなく全身の血を煮返にえかへらすやうな氣がした、かと思ふと、私は忽ち前後の思慮もなく、まるで酒につた時と同じやう、死ぬなら一緒に死ぬ。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
此時役人は富右衞門に向ひなんたしかに承知したか彌々いよ/\白状の趣きに相違さうゐなくば口書こうしよ爪印つめいん致せと右の口書を富右衞門の前へ差付さしつくるに富右衞門是を見て殘念ざんねん至極しごくに思ひ心中煮返にえかへるが如き涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
左から右へと眞白なクレフの上に二三度も繰返して指先をはしらしたが、心は上の空で、樂器の響は耳に入らず、來訪者に對する欝憤の情がます/\烈しく煮返にえかへつて來る。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
兩親か監督者のやうなものが自分の手紙を遮つた爲めではないかと思ふと、自分はもう腹の中が煮返にえかへるやうだ。日本の青年は信書の自由すら與へられないのであらうか。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)