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爾時
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そのとき
ふりがな文庫
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爾時
(
そのとき
)” の例文
その後また多くギリシア人を虜して一日ことごとくこれを宮せんとす。
爾時
(
そのとき
)
その捕虜の一妻大忙ぎで走り込み、侯と話さんと乞うた。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
何も
彼
(
か
)
も忘れ果てて、狂気の如く、その
家
(
や
)
を
音信
(
おとず
)
れて聞くと、お柳は
丁
(
ちょう
)
ど
爾時
(
そのとき
)
……。あわれ、草木も、
婦人
(
おんな
)
も、
霊魂
(
たましい
)
に姿があるのか。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
、優に
朧
(
おぼ
)
ろなる、謂はば、帰依の酔ひ心地ともいふべき
歓喜
(
よろこび
)
ひそかに心の奥に
溢
(
あふ
)
れ出でて、やがて
徐
(
おもむ
)
ろに全意識を領したり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
爾時
(
そのとき
)
我血は氷の如く冷えて、五體
戰
(
ふる
)
ひをのゝき、夢とも
現
(
うつゝ
)
とも分かぬ
間
(
ま
)
に、屍の指はしかと我手を握り屍の唇は
徐
(
しづ
)
かに開きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
互に得たる
幸福
(
しあはせ
)
を互に深く讚歎し合ふ、
爾時
(
そのとき
)
長者は
懐中
(
ふところ
)
より真実の
璧
(
たま
)
の蓮華を取り出し兄に与へて、弟にも真実の砂金を袖より出して
大切
(
だいじ
)
にせよと与へたといふ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
衰えのみえる目などのめっきり水々して来たおゆうは、
爾時
(
そのとき
)
五月
(
いつつき
)
の腹を抱えていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
爾時
(
そのとき
)
毒竜のいいけるは、
徃時
(
いんじ
)
桃太郎は
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
忘
(
わす
)
れ
果
(
は
)
てて、
狂氣
(
きやうき
)
の
如
(
ごと
)
く、
其
(
その
)
家
(
や
)
を
音信
(
おとづ
)
れて
聞
(
き
)
くと、お
柳
(
りう
)
は
丁
(
ちやう
)
ど
爾時
(
そのとき
)
……。あはれ、
草木
(
くさき
)
も、
婦人
(
をんな
)
も、
靈魂
(
たましひ
)
に
姿
(
すがた
)
があるのか。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
牝馬狂い出し、巌高く
湍
(
せ
)
速く谷深きを物ともせず飛び越え跳び越え駈け廻る、この時ヒッポマネス馬身より流れ出づという。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
一の年わかき婦人ありて、我前に來り
跪
(
ひざまづ
)
き、我手を握り、その涙に
潤
(
うるほ
)
へる黒き瞳もて我面を見上げ、神の母の
報
(
むくい
)
は君が上にあれと呼びたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「家の地面は、全部でどのくらいあるの」お島は
爾時
(
そのとき
)
も父親に訊いてみた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
固より丸木の橋なる故弟も堪らず水に落ち、僅に長者の立つたるところへ濡れ滴りて這ひ上つた、
爾時
(
そのとき
)
長者は歎息して、汝達には何と見ゆる、今汝等が足踏みかけしより此洲は
忽然
(
たちまち
)
前と異なり
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
爾時
(
そのとき
)
毒龍
(
どくりよう
)
のいひけるは、
徃時
(
いんじ
)
桃太
(
もゝた
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
爾時
(
そのとき
)
は……、そして何んですか、
切
(
せつ
)
なくって、あとで
臥
(
ふせ
)
ったと申しますのに、
爾時
(
そのとき
)
は、どんな
心持
(
こころもち
)
でと言って
可
(
い
)
いのでございましょうね。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
かの駒
跪
(
ひざまず
)
いて瓦師の双足を
舐
(
ねぶ
)
ったので可愛くなり受け取って
牽
(
ひ
)
き帰ると、自分の商売に敵するものを貰うて来たとてその妻小言を吐く事
夥
(
おびただ
)
し。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
口に聖母の
御名
(
みな
)
を唱へつゝ、走りて火に赴きて死せんとす。
爾時
(
そのとき
)
僅に數尺を
剩
(
あま
)
したる烈火の壁面と女房との間に、馬を躍らして
騎
(
の
)
り入りたる一士官あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
お島は
爾時
(
そのとき
)
、ひろびろした水のほとりへ出て来たように覚えている。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
爾時
(
そのとき
)
も、早や
黄昏
(
たそがれ
)
の、とある、
人顔
(
ひとがお
)
、
朧
(
おぼろ
)
ながら月が出たように、見違えないその人と、思うと、男が五人、中に主人もいたでありましょう。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
妻
頸
(
くび
)
限りなく延び長じ、頭が烟突から外へ出で室内ただ喉の鳴るを聞いたので、近処の川の水を飲み居ると判った。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
渾名
(
あだな
)
を
一厘土器
(
いちもんかわらけ
)
と申すでござる。
天窓
(
あたま
)
の真中の
兀工合
(
はげぐあい
)
が、
宛然
(
さながら
)
ですて——川端の
一厘土器
(
いちもんかわらけ
)
——これが
爾時
(
そのとき
)
も釣っていました。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海を渡る間大風
俄
(
にわか
)
に船を
覆
(
くつがえ
)
さんとし乗船の輩泣き叫ぶ、
爾時
(
そのとき
)
小童小船一艘を漕ぎ来り冠者に乗れという、その心を得ねどいうままに乗り移ると風浪
忽
(
たちま
)
ちやむ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
であつた。あの
四谷見附
(
よつやみつけ
)
の
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
櫓
(
やぐら
)
は、
窓
(
まど
)
に
血
(
ち
)
をはめたやうな
兩眼
(
りやうがん
)
を
睜
(
みひら
)
いて、
天
(
てん
)
に
冲
(
ちう
)
する、
素裸
(
すはだか
)
の
魔
(
ま
)
の
形
(
かたち
)
に
變
(
へん
)
じた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その中に亀多く居るを見てこれを食い
悉
(
つ
)
くそうとした
爾時
(
そのとき
)
亀高声に
喚
(
さけ
)
んでわれらをただ食うとは卑劣じゃ、まず汝と
競駈
(
かけくらべ
)
して亀が劣ったら汝に食わりょうというと
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
幼君
(
えうくん
)
おほせには、「
汝
(
なんぢ
)
が
獻立
(
こんだて
)
せし
料理
(
れうり
)
なれば、
嘸
(
さぞ
)
甘
(
うま
)
からむ、
予
(
よ
)
も
此處
(
こゝ
)
にて
試
(
こゝろ
)
むべし」とて
御箸
(
おんはし
)
を
取
(
と
)
らせ
給
(
たま
)
へば
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
爾時
(
そのとき
)
辟支仏
(
へきしぶつ
)
あって城下に来りしを、かの五百
牧牛人
(
うしかい
)
供養発願して、その善根を以てたとい彼女身死するとも残金五百銭を与えて、約のごとく彼と交通せんと
願懸
(
がんかけ
)
した。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
此
(
こ
)
の
樣子
(
やうす
)
では、
其處
(
そこ
)
まで
一面
(
いちめん
)
の
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
だ。
何處
(
どこ
)
を
志
(
こゝろざ
)
して
行
(
ゆ
)
くのであらう。
餘
(
あま
)
りの
事
(
こと
)
に、また
一度
(
いちど
)
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
た。
一時
(
いちじ
)
を
過
(
す
)
ぎた。
爾時
(
そのとき
)
は
最
(
も
)
う
一
(
ひと
)
つも
見
(
み
)
えなかつた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一説に
爾時
(
そのとき
)
女神急ぎ走りて
刺
(
とげ
)
で足を
傷
(
いた
)
め元白かった薔薇花を血で汚して紅色にしたと、しかればスペンサーも「薔薇の花その古は白かりき、神の血に染み紅く咲くてふ」
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
仮橋
(
かりばし
)
ががた/\いつて、
川面
(
かはづら
)
の
小糠雨
(
こぬかあめ
)
を
掬
(
すく
)
ふやうに
吹
(
ふ
)
き
乱
(
みだ
)
すと、
流
(
ながれ
)
が
黒
(
くろ
)
くなつて
颯
(
さつ
)
と
出
(
で
)
た。トいつしよに
向岸
(
むかふぎし
)
から
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
つて
来
(
く
)
る、
洋服
(
やうふく
)
を
着
(
き
)
た
男
(
をとこ
)
がある。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこへ往って見ると何の事はない樹が水に落ちたのと判ったんでこんな事に愕くなかれと叱って諸獣一同
安静
(
おちつい
)
た、
爾時
(
そのとき
)
神
偈
(
げ
)
を説いて曰く、
諸
(
もろもろ
)
の人いたずらに他言を信ずるなかれ
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と
胸
(
むね
)
に
應
(
こた
)
へた、
爾時
(
そのとき
)
、
物凄
(
ものすご
)
い
聲音
(
こわね
)
を
揃
(
そろ
)
へて、わあといつた、わあといつて
笑
(
わら
)
ひつけた
何
(
なん
)
とも
頼
(
たのみ
)
ない、
譬
(
たと
)
へやうのない
聲
(
こゑ
)
が、
天窓
(
あたま
)
から
私
(
わたし
)
を
引抱
(
ひつかゝ
)
へたやうに
思
(
おも
)
つた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
大王この宝を
得
(
え
)
已
(
おわ
)
ってまた省録せず、ついに財物の想なしと言えるは辻褄が合わず、どんな暮しやすい世になっても、否暮しやすければやすいほど貧乏人は絶えぬ物と見える。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
(あゝん、
此
(
こ
)
のさきの
下駄
(
げた
)
屋
(
や
)
の
方
(
はう
)
が
可
(
えゝ
)
か、お
前
(
まへ
)
好
(
すき
)
な
處
(
ところ
)
で
買
(
か
)
へ、あゝん。)と
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れて
見
(
み
)
たが、
矢張
(
やつぱり
)
默
(
だま
)
つて、
爾時
(
そのとき
)
は、おなじ
横顏
(
よこがほ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
背
(
そむ
)
けて、あらぬ
處
(
ところ
)
を
見
(
み
)
た。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
上帝高声で聖ジョージに、汝の馬は魔に魅された早く下りよと告げ、
聖
(
セント
)
しかる上はこの馬魔の所有物たれと言いて放ちやると、三歩行くや否やたちまち虫と
化
(
な
)
って飛び去った
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
は、
総髪
(
そうはつ
)
の
銀杏返
(
いちょうがえし
)
で、
珊瑚
(
さんご
)
の
五分珠
(
ごぶだま
)
の
一本差
(
いっぽんざし
)
、髪の
所為
(
せい
)
か、いつもより眉が長く見えたと言います。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尊者聞いてすなわち
起
(
た
)
ち、杖に
縋
(
すが
)
って彼所に往きその履工を訪うと、履工かかる聖人の光臨に逢うて誠に痛み入った。
爾時
(
そのとき
)
尊者
面
(
おもて
)
を和らげ近く寄って、われに汝の暮し様を語れという。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
後
(
のち
)
にも
言
(
い
)
ふが——いつもは
件
(
くだん
)
の
得意
(
とくい
)
の
俥
(
くるま
)
で、
上街道
(
かみかいだう
)
越前
(
ゑちぜん
)
を
敦賀
(
つるが
)
へ
出
(
で
)
たのに——
爾時
(
そのとき
)
は、
旅費
(
りよひ
)
の
都合
(
つがふ
)
で。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
爾時
(
そのとき
)
一野干あり、師子王を見てこの念を
作
(
な
)
して言う、我この林に住み安楽し肉に飽満するを得る所以は師子王に由る、今急処に堕ちたり、いかに報ずべき、時にこの井辺に渠水流あり
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
尤
(
もつと
)
も
彼
(
かれ
)
の
前
(
まへ
)
にも
車
(
くるま
)
が
續
(
つゞ
)
いた。
爾時
(
そのとき
)
、
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
をひら/\
肩裾
(
かたすそ
)
の
薄
(
うす
)
く
濃
(
こ
)
く、
月下
(
げつか
)
に
入亂
(
いりみだ
)
れて
對岸
(
たいがん
)
へ
渡
(
わた
)
つた四五
人
(
にん
)
の
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
えた。
其等
(
それら
)
は
徒歩
(
かち
)
で、
些
(
ち
)
と
早
(
はや
)
めに
宴會
(
えんくわい
)
を
辭
(
じ
)
した
連中
(
れんぢう
)
。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
〈仏舎衛国にあり、
爾時
(
そのとき
)
竜子仏法を信楽す、来りて
祇洹
(
ぎおん
)
に入る、聴法のため故なり、比丘あり、縄を以て咽に繋ぎ、無人処に棄つ、時に竜子母に向かいて啼泣す〉、母大いに
瞋
(
いか
)
り仏に告ぐ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いや、
此
(
こ
)
の
勢
(
いきほひ
)
で、
的面
(
まとも
)
にシツペイを
遣
(
や
)
られた
日
(
ひ
)
には、
熊
(
くま
)
を
挫
(
ひし
)
いだ
腕
(
うで
)
も
砕
(
くだ
)
けやう。
按摩
(
あんま
)
爾時
(
そのとき
)
鼻脂
(
はなあぶら
)
で
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
爾時
(
そのとき
)
数百人黄なる馬と車に乗り、衣服も侍従も皆黄な一行が遣って来り、車を
駐
(
と
)
めて彼を穀賊と呼び、汝はどうしてここに在るかと問うと、われは人の穀を食うたからここへ置かれたと答え
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
心
(
こゝろ
)
も
暗夜
(
やみ
)
の
手
(
て
)
を
取合
(
とりあ
)
つて、
爾時
(
そのとき
)
はじめて、
影
(
かげ
)
を
捉
(
と
)
る
魔
(
ま
)
ものの
話
(
はなし
)
は、
坂
(
さか
)
の
途中
(
とちう
)
で、
一人
(
ひとり
)
の
盲人
(
めくら
)
に
聞
(
き
)
かされた
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
して、
其
(
そ
)
の
脊恰好
(
せいかつかう
)
、
年
(
とし
)
ごろを
言
(
い
)
ひますと、
婦
(
をんな
)
は、はツと
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
岩間より他の姫蟹一疋出で来り、
件
(
くだん
)
の負傷蟹を両手で
挟
(
はさ
)
み運び行く。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
、さつと云ひ、さつと鳴り、さら/\と響いて、小窓の外を宙を通る……
冷
(
つめた
)
い
裳
(
もすそ
)
の、すら/\と
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
に触つて……
高嶺
(
たかね
)
をかけて星の空へ軽く飛ぶやうな音を聞いた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
憍薩羅
(
きょうさら
)
国に一比丘あり、独り林中に住す、雌獼猴あり常にしばしばこの比丘の所に来往す、比丘すなわち飲食を与えてこれを誘う、獼猴心軟し、すなわち共に婬を行う、この比丘多く知識あり
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
何事とも知れず
仄
(
ほの
)
かにあかりがさし、池を隔てた、
堤防
(
どて
)
の上の、松と松との間に、すっと立ったのが
婦人
(
おんな
)
の形、ト思うと細長い手を出し、
此方
(
こなた
)
の岸を
気
(
け
)
だるげに
指招
(
さしまね
)
く。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾時
(
そのとき
)
二十四樹変じて、二十四億の鶏鳥、金の嘴、七宝の羽翼なるを生ずという。これもインドで古く金宝もて鶏の像を造る習俗があったらしい。『大清一統志』三〇五、
雲南
(
うんなん
)
に、金馬、碧鶏二山あり。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
爾時
(
そのとき
)
何事
(
なにごと
)
とも
知
(
し
)
れず
仄
(
ほの
)
かにあかりがさし、
池
(
いけ
)
を
隔
(
へだ
)
てた、
堤防
(
どて
)
の
上
(
うへ
)
の、
松
(
まつ
)
と
松
(
まつ
)
との
間
(
あひだ
)
に、すつと
立
(
た
)
つたのが
婦人
(
をんな
)
の
形
(
かたち
)
、ト
思
(
おも
)
ふと
細長
(
ほそなが
)
い
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
し、
此方
(
こなた
)
の
岸
(
きし
)
を
氣
(
け
)
だるげに
指招
(
さしまね
)
く。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
治脩公
(
ちしうこう
)
これを
御覽
(
ごらん
)
じ、
思
(
おも
)
はず
莞爾
(
につこ
)
と、
打笑
(
うちゑ
)
み
給
(
たま
)
ふ。
時
(
とき
)
に
炊烟
(
すゐえん
)
數千流
(
すうせんりう
)
。
爾時
(
そのとき
)
公
(
こう
)
は
左右
(
さいう
)
を
顧
(
かへり
)
み
鉄槌の音
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
貴下
(
あなた
)
のお姿が
楯
(
たて
)
におなり下さいましたから、
爾時
(
そのとき
)
も、
厭
(
いや
)
なものを見ないで済みました。」
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爾
漢検準1級
部首:⽘
14画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“爾時”で始まる語句
爾時菩薩食糜