をしへ)” の例文
だから聖者はをしへを説くのに、深く増上慢を戒めてゐる。慢心一たび生ずれば、百の解決も千の究理も、忽ちその力を失つて了ふと言つてゐる。
心理の縦断と横断 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
飛衞ひゑいいにしへるものなり。おなとき紀昌きしやうといふもの、飛衞ひゑいうてしやまなばんとす。をしへいはく、なんぢまづまたゝきせざることをまなんでしかのち可言射しやをいふべし
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
呼び始終しじう事共ことども委曲くはしくはなし又七樣へきずを付け其身も咽喉のんどすこ疵付きずつけ情死しんぢうと云ひてなくべしとをしへ頼み居たるを長助は物影ものかげより是をきゝて大いに驚きながらなほいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
〔譯〕せいは同じうして而てしつことなる。質異るはをしへの由つてまうけらるゝ所なり。性同じきは教の由つて立つ所なり。
此鏡は天道てんたうさまよりたれにも/\あたへおかるれどもみがゝざればてらさずと、われわかかりし時ある経学者けいがくしやをしへきゝしと、狐のはなしにつけ大学のわなにかけて風諫ふうかんせしは
五三仏菩薩のをしへの広大なるをもしらず、愚かなるまま、五四かだましきままに世を終るものは、其の五五愛慾邪念の五六業障ごふしやうかれて、或は五七もとかたちをあらはしていかりむく
僕は今でも絶えず篠田さんのをしへを受けて居るんです、篠田さんに教会放逐と云ふ侮辱を与へたものは僕の父です、父の利己心です、無論其等の事を意に介する様な篠田さんぢやない
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
塾には二十人程の生徒があつまつて、先生のをしへをうける。栄蔵のやうに学問の好きな子もゐるし、学問のきらひな子もゐる。嫌ひな子は、うしろの方に席をとりたがるから、すぐわかる。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
一葉女史いちえふぢよしはおのれとおな園生そのふにありてはぎつゆにおほしたてられし下葉したはなりはぎ中島なかじまつねにいにしへぶりのしなたかきををしへさとしたまへれど性來せいらいのすきこゝろによのみゝちかくぞく今樣いまやう情態じやうたい
うもれ木:01 序 (旧字旧仮名) / 田辺竜子(著)
一大事であるが、お前方まへがたはどう身を処置するか承知したいと云つたのだ。おれは一大事とは何事か問うて見た。先生はざつとこんな事を説かれた。我々は平生良知りやうちの学ををさめてゐる。あれは根本のをしへだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それをすこ御話おはなしして大方たいはうをしへはんとほつするので御在ございます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
(かんがへる。)佛のをしへを學べばそのやうに悟られまするか。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
ぬにくる夜明よあがらすもこうときて反哺はんぽをしへとなるものを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
磁石なく枯野の髑髏どくろをしへらる
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
のがれよ、早も邪宗門じやしゆうもん外道げだうをしへ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
われらの示すをしへさとらじ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
けては置かじとささややうにて、心済まねば謂ひも出でず、もしそれ胸中の疑磈ぎくわいを吐きて智識のをしへけむには、胸襟きようきんすなははるひらけて臆病とみえむと思へど
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見懸みかけられざりしやあとの宿にてたしかに昨日の晝頃ひるごろに通りしときけもし見當り玉はゞをしへ玉はれといふに善六はくだんの小袖を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此秋山にはいにしへ風俗ふうぞくおのづからのこれりときゝしゆゑ一度はたづねばやとおもひりしに、此地をよくしりたる案内者あんないしやたりしゆゑ、偶然ふとおもひたち案内あなひをしへにまかせ
われらの示すをしへさとらじ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
はじめ二目にもく三目さんもくより、本因坊ほんいんばう膏汗あぶらあせながし、ひたひ湯煙ゆけむりてながら、たる祕法ひはふこゝろむるに、僅少わづかに十餘子じふよしばんくや、たちまけたり。すなはひざまづいてをしへふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をしへけるにぞ吉之助承知して其後そののち又々涼船すゞみぶね花火はなび見物けんぶつの時六之助同道どうだうにて吉原へ行き蓬莱屋ほうらいやと云ふ六之助が馴染なじみの茶屋へ上りけるに吉之助は傳兵衞がをしへはこゝなりと女房にようばうむすめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それよりも土地とちて、ゆめともうつゝともわからない種々いろ/\ことのあるのは、べつではない、をんなのために、仕事しごとわすれたねむりさまして、つゝしんで貴老あなたをしへけさせやうとする
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
護身ごしんじゆつや、魔法まはふつかひのをしへにあらず、なきはゝ記念かたみなりきとぞ。はなさと温泉いでゆ夜語よがたり
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
てんときあめながら、案内あんない美人びじんたぞと、もう山葵漬わさびづけはしさきで、鯛飯たひめし茶漬ちやづけにしたいきほひで、つい此頃このごろ筋向すぢむかひとんさんにをしへをうけた、いち見附みつけはとじるしと
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つたふるところ怪異くわいいしよおほくは徳育とくいくのために、訓戒くんかいのために、寓意ぐういだんじて、勸懲くわんちやうとなすにぎず。けだをしへのために、鬼神きしんわづらはすものなり人意じんいいづくん鬼神きしん好惡かうをさつむや。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さて、どつちみち靜岡しづをかとほるには間違まちがひのない汽車きしやだから、ひとをしへけないでましたが、米原まいばら𢌞まはるのか、岡山をかやま眞直まつすぐか、自分じぶんたちのつた汽車きしや行方ゆくへらない、心細こゝろぼそさとつてはない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
高野聖かうやひじりのことについて、あへべつちうしてをしへあたへはしなかつたが、翌朝よくてうたもとわかつて、雪中せつちう山越やまごしにかゝるのを、名残なごりしく見送みおくると、ちら/\とゆきるなかを次第しだいたか坂道さかみちのぼひじり姿すがた
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)