場合ばあい)” の例文
こうした場合ばあい、もしすこしでもひるむことがあればてきはあなどって逆襲ぎゃくしゅうするのがきまりだから、ますます攻勢こうせいなければならない。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
『あんな名僧めいそう知識ちしきうたわれたかたがまだこんな薄暗うすぐら境涯ところるのかしら……。』時々ときどき意外いがいかんずるような場合ばあいもあるのでございます。
その容疑ようぎのもとは、中内工学士なかうちこうがくし場合ばあいていて、金魚屋きんぎょや老人ろうじんとのあいだ貸借関係たいしゃくかんけいがあり、裁判沙汰さいばんざたまでおこしたという事実じじつからである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
手綱たづなにそうとう要意ようい覚悟かくごをもてば、自分とて、こんなところをり落とすことができないではないが、帰る場合ばあいにどうしよう?
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたし医者いしゃで、貴方あなた精神病者せいしんびょうしゃであるとうことにおいて、徳義とくぎければ、論理ろんりいのです。つま偶然ぐうぜん場合ばあいのみです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
細君は、主人からある場合ばあいになにほどどなられても、たいていのことでははらをたてたり、反抗はんこうしたりせぬ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ときにはわざと背中合せなかあわせにすわる場合ばあいもままあったが、さて、吉次きちじはやがて舞台ぶたいて、子役こやくとしての評判ひょうばん次第しだいたかくなった時分じぶんから、王子おうじったたがいおや
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
とうさんは袖子そでこにいさんたち学校がっこうからかえって場合ばあい予想よそうして、むすめのためにいろいろ口実こうじつかんがえた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いや、考えたことがらは、みょうでもなんでもないのだが、そんな、せっぱつまった場合ばあいに、よくも、あんな、のんきなことを考えだしたものだと、それがみょうなのだ。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
このチョウの場合ばあいも、やっぱりおんなじで、バルト海にねころんでいるうちに、そのまま、細長ほそながい岩になってしまったと、わしは思うんだ。おまえさんは、そうは思わんかね?
そういう多くの音楽おんがくは、みなぴったりとそれぞれの場合ばあいにあてはまっていた。クリストフはけっしてそれを混同こんどうしたりしなかった。ほかの人ならたれだって、まちがえるかもれなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ぼく母親ははおやは、子供こども時分じぶんから、ぼく教育きょういくするのに、いつも、いかなる場合ばあいでも、卑怯ひきょうなまねをしてはならぬといいきかせたものだ。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは丁度ちょうどおさなときからわかわかれになっていたははが、不図ふとどこかでめぐりった場合ばあい似通にかよったところがあるかもれませぬ。
「つねにりきたえている胡蝶こちょうじんみましょう。ふだん武芸ぶげいをはげむのも、こういう場合ばあいのためにではありませぬか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それで近来きんらい主人は、ある場合ばあいにどなることはどなっても、きょうのようにしりをむすばぬことがおおいのだ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そ、その料簡りょうけんがいけねえんだ。はらにあろうがなかろうが、武士ぶし戦略せんりゃく坊主ぼうず方便ほうべんとき場合ばあいじゃ、ひと寝首ねくびをかくことさえあろうじゃねえか。——さ、ここにふでかみがある。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
くまは、ひくく長くうなりだした。それは、さっきまでほえたような声とちがって、大敵たいてき出会であった場合ばあいに、たがいにすきをねらってにらみ合っているような、不気味ぶきみなものだった。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
同室どうしつだれかが釦鈕ぼたんおとしたとかさじおとしたとか場合ばあいには、かれがまず寝台ねだいからおきあがって、ってる。毎朝まいあさおきると同室どうしつ者等ものらにおはようとい、ばんにはまたお休息やすみなさいと挨拶あいさつもする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
はちみずがあつただけでは、まん一の場合ばあいひとあやしまれるとがついて、きゅう金魚きんぎょれることにしたが、島本医院しまもといいんからは、まえからして不思議ふしぎおもい、老人ろうじん挙動きょどうながめていたものとかんがえられる。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
自分の生活せいかつのいろんな場合ばあいにあてはまる音楽をそれぞれこしらえていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
それも神様かみさまのお使者つかいや、大人おとなならばかくも、うした小供こどもさんの場合ばあいには、いかにも手持無沙汰てもちぶさたはなは当惑とうわくするのでございます。
このへんは、まちるにはとおいし、お医者いしゃさまもいない、まことに不便ふべんなところですから、まん一の場合ばあいこまってしまいます。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かりに、甲州路こうしゅうじより乱入らんにゅうする兵ありとすれば、一必定ひつじょう天目山てんもくざんより仙元せんげんの高きによって御岳みたけ俯瞰ふかんするものにそういござらん、その場合ばあいは?
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳義上とくぎじょうだとか、論理ろんりだとか、そんなことはなにもありません。ただ場合ばあいです。すなわちここにれられたものはいっているのであるし、れられんもの自由じゆう出歩であるいている、それだけのことです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
手拭てぬぐいぽん裸絵巻はだかえまきひろげていたが、こんな場合ばあいだれくちからもおなじようにかれるのは、何吉なにきちがどこの賭場とばったとか、どこそこのおなにが、近頃ちかごろだれにのぼせているとか、さもなければ芝居しばいうわさ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
前後左右ぜんごさゆう係累者けいるいしゃはまといついてる。なにをひとつするにも、自分のみを標準ひょうじゅんとして動くことはできぬ。とうてい社会組織しゃかいそしき上の一分子ぶんしであるから、いかなる場合ばあいにも絶対ぜったい単独たんどく行動こうどうはゆるされない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かれは、ほんとうのははであればこそ、この場合ばあい、だれでもおそろしがる、地主じぬしかって、自分じぶんのためにいいあらそってくれたのだ。
高い木と子供の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
家康いえやす場合ばあい
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もしそうきめられれば、なにも問題もんだいはないのであるが、はたして、この場合ばあい、だれにたいしても、こういう叡智えいちしんずることができるだろうか。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんな場合ばあいには、こうあか帽子ぼうしかぶり、おつしろ帽子ぼうしかぶりましたが、一ぽうは、さくらみぎに、一ぽうさくらひだりにというふうに、陣取じんどりました。
学校の桜の木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとというものは、一つのことをじっとかんがえていると、ほかのことはわすれるものだし、また、どんな場合ばあいでも、かんがえることの自由じゆうを、もつものです。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんとなく、金魚きんぎょ場合ばあいとは、ちがったようなもして、うたがわれましたので、先生せんせいいてみることにいたしました。
ある日の先生と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふだんから、平和へいわあいするあにであるのをっていたけれど、こうした場合ばあいに、希望きぼうや、空想くうそうが、どんなかたちであらわされるだろうかとおもったからです。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まん一の場合ばあいおもんぱかって、短銃たんじゅう猟銃りょうじゅうなどを携帯けいたいしながら、このあやしげなふねざしてこいでゆきました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつかいじめたので、二郎じろうさんは、かおの四かくな、はなのとがった父親ちちおやからしかられたことがあります。しかし、いまはそんなことをいっている場合ばあいでないから
僕たちは愛するけれど (新字新仮名) / 小川未明(著)
もしわたしたちが、そういうなか不幸ふこうひとにあって、はなしいてみたら、たいていの場合ばあいは、そのひとたいして、同情どうじょうをせずにはいられなかったでありましょう。
ある冬の晩のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、それは、わるいとおもわれないような場合ばあいもありました。たとえば、病人びょうにんかって
その日から正直になった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、どんな場合ばあいにでも、自分じぶんに、同情どうじょうしてくれるものがないのをかなしくかんじました。
酒屋のワン公 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かあさんは、こういう場合ばあいには、ちいさいものより、にいさんをしかるのがつねでした。
政ちゃんと赤いりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかるに、上役うわやくは、冷然れいぜんとして、皮肉ひにくつきで、そのおとこ見下みくだして、命令めいれいします。この場合ばあい、だれがいても無理むりおもわれるようなことでも、おとこは、服従ふくじゅうしなければなりませんでした。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
とはいうものの、人間にんげんは、たいていの場合ばあい自分じぶんのことばかりかんがえているものでした。そして、ここをとおひとたちも、おおくは、このあわれなおんなのことをふかにとめるものはなかったのでした。
ある冬の晩のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつか、この街道かいどうで、おじいさんをたのだが、つかってくれればいいがな。今日きょうばかりは、おじいさんをつかまえてやろう。そこで、場合ばあいによったら、自動車じどうしゃせてつれてゆこう……。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生せんせい、どんな場合ばあいにでも、ものをぬすむということはわるいことですか。」
なくなった人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しまいには、本名ほんみょうをいうよりか、仲間なかま間柄あいだがらだけに、あだぶほうが、したしみのあった場合ばあいもあるが、そばをとおったどらねこに、いしげるのがおそかったからといって、こころから軽蔑けいべつした意味いみ
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
これは、商人しょうにん場合ばあいですが、こんなはなしがあります。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)