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わかだんな
ふりがな文庫
“
若旦那
(
わかだんな
)” の例文
若旦那
(
わかだんな
)
も、
呆
(
あき
)
れて
立
(
た
)
つこと
半時
(
はんとき
)
ばかり。
聲
(
こゑ
)
も
一言
(
ひとこと
)
もまだ
出
(
で
)
ない
内
(
うち
)
に、
霞
(
かすみ
)
の
色
(
いろ
)
づく
如
(
ごと
)
くにして、
少女
(
せうぢよ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
美少年
(
びせうねん
)
に
變
(
かは
)
つたのである。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
若旦那
(
わかだんな
)
が
手
(
て
)
を
合
(
あわ
)
せて、たっての
頼
(
たの
)
みだというからこそ、
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
てやったんじゃねえか、そいつを、
自分
(
じぶん
)
からあわてちまってよ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
野口真造
(
のぐちしんざう
)
これも小学以来の友だちなり。呉服屋
大彦
(
だいひこ
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
。但し余り若旦那らしからず。品行方正にして学問好きなり。
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
百姓や何かにはわからないが、あなたのとこの
若旦那
(
わかだんな
)
は大学校へはいっているくらいだから、石の
善悪
(
よしあし
)
はきっとわかる。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ここに
桑盛次郎右衛門
(
くわもりじろうえもん
)
とて、隣町の裕福な質屋の
若旦那
(
わかだんな
)
、
醜男
(
ぶおとこ
)
ではないけれども、鼻が大きく
目尻
(
めじり
)
の垂れ下った何のへんてつも無い
律儀
(
りちぎ
)
そうな
鬚男
(
ひげおとこ
)
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
自慢にしたくらいで色の白きは京阪に及ばない大阪の旧家に育ったぼんちなどは男でさえ
芝居
(
しばい
)
に出て来る
若旦那
(
わかだんな
)
そのままにきゃしゃで骨細なのがあり
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「黙っとりなされ、
若旦那
(
わかだんな
)
や、黙っとりなされ」と、見張りのために寝台の傍に居のこった老看視人がいった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
仕様のない
若旦那
(
わかだんな
)
だ。こんな晩に東京から、飛び出して来て、旦那をとっちめるなんて、
理窟
(
りくつ
)
のねえ事を
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
鹽花
(
しほばな
)
こそふらね
跡
(
あと
)
は一まづ
掃
(
は
)
き
出
(
だ
)
して、
若旦那
(
わかだんな
)
退散
(
たいさん
)
のよろこび、
金
(
かね
)
は
惜
(
を
)
しけれど
見
(
み
)
る
目
(
め
)
も
憎
(
にく
)
ければ
家
(
いゑ
)
に
居
(
を
)
らぬは
上々
(
じやう/\
)
なり、
何
(
ど
)
うすれば
彼
(
あ
)
のやうに
圖太
(
づぶと
)
くなられるか
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私にはなぜ老爺が
若旦那
(
わかだんな
)
様は御病中御病中をふり回したのか、使いの主が私を呼び付けようとしたのか? その理由もハッキリ納得がいったのであったが、この婦人は
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
あの下宿屋の
若旦那
(
わかだんな
)
は役者よりも美くしいと
其処
(
そこ
)
ら
中
(
じゅう
)
の若い女が
岡惚
(
おかぼ
)
れしたという評判であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
やってみたいとか、何とか、来る度に話が変ってる。
何卒
(
どうか
)
して早く手足を延ばすようにして遣りたいものだネ——あの人も、橋本の
若旦那
(
わかだんな
)
として置けば、立派なものだが——
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
空
(
むな
)
しくそっと引き退け酔うでもなく
眠
(
ねぶ
)
るでもなくただじゃらくらと
更
(
ふ
)
けるも知らぬ夜々の長坐敷つい出そびれて帰りしが山村の
若旦那
(
わかだんな
)
と言えば
温和
(
おとな
)
しい方よと小春が顔に花散る
容子
(
ようす
)
を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
丸顔のかわいい娘で、今でも恋しい。この身は
田舎
(
いなか
)
の豪家の
若旦那
(
わかだんな
)
で、金には不自由を感じなかったから、ずいぶんおもしろいことをした。それにあのころの友人は皆世に出ている。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ヤーコフ (トレープレフに)
若旦那
(
わかだんな
)
、〔わっしら〕ちょいと一浴びしてきます。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
おせいの家の本家の
若旦那
(
わかだんな
)
の喜平さんが見え、さうしてゐるうちに、向うを代表して中へ這入つてくれてゐる小池さん——「
蠢
(
うごめ
)
くもの」——の中に出て来てゐる人事相談のお方なんだ。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
馬喰町へ持行後藤先生に
慈悲
(
じひ
)
を願ひて以前の惡事を云はれぬ樣に
頼
(
たの
)
まんと思ひ
若旦那
(
わかだんな
)
五郎藏が奉行所より歸るを今や/\と
待居
(
まちゐ
)
たり此番頭久兵衞は
大膽不敵
(
だいたんふてき
)
なる奴なれども今後藤に舊惡を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
下町の
若旦那
(
わかだんな
)
らしい柄の彼を、初め雪枝が紹介した時に、庸三はそれが彼女の若い愛人だと気づきながら、
刹那
(
せつな
)
に双方の組合せがちょっと気になって、何か
仄
(
ほの
)
かな不安を感ずるのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
神主の
忰
(
せがれ
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
と言わるるだけに無遠慮なる言い草、お絹は何と聞きしか
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
蔀君は下町の
若旦那
(
わかだんな
)
の中で、最も
聡明
(
そうめい
)
な一人であったと云って
好
(
よ
)
かろう。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
人間に嫁だの
姑
(
しゅうと
)
だのというものの無かった時代から、または
御隠居
(
ごいんきょ
)
・
若旦那
(
わかだんな
)
などという国語の発生しなかった頃から、既に二つの生活趣味は両々相対立し、互いに相手を許さなかったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「え⁉ わ、
若旦那
(
わかだんな
)
様が……」
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
知
(
し
)
りつゝ、
魂
(
たましひ
)
から
前
(
さき
)
へ
溶
(
とろ
)
けて、ふら/\と
成
(
な
)
つた
若旦那
(
わかだんな
)
の
身體
(
からだ
)
は、
他愛
(
たわい
)
なく、ぐたりと
椅子
(
いす
)
に
落
(
お
)
ちたのであつた。
于二女之間恍惚夢如
(
にぢよのあひだにくわうこつとしてゆめのごとし
)
。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
若旦那
(
わかだんな
)
行
(
い
)
つて
來
(
こ
)
い」と
宗助
(
そうすけ
)
が
小六
(
ころく
)
に
云
(
い
)
つた。
小六
(
ころく
)
は
苦笑
(
にがわら
)
ひして
立
(
た
)
つた。
夫婦
(
ふうふ
)
は
若旦那
(
わかだんな
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
を
小六
(
ころく
)
に
冠
(
かむ
)
らせる
事
(
こと
)
を
大變
(
たいへん
)
な
滑稽
(
こつけい
)
のやうに
感
(
かん
)
じた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
損
(
そん
)
五も
得
(
とく
)
七もありゃァしません。
当時
(
とうじ
)
名代
(
なだい
)
の
孝行娘
(
こうこうむすめ
)
、たとい
若旦那
(
わかだんな
)
が、百
日
(
にち
)
お
通
(
かよ
)
いなすっても、こればっかりは
失礼
(
しつれい
)
ながら、
及
(
およ
)
ばぬ
鯉
(
こい
)
の
滝登
(
たきのぼ
)
りで。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
あの駕籠かきの九郎助など、かねがね私があれほどたくさん酒手をやり、どこへ行くにも私のお供で、
若旦那
(
わかだんな
)
が死ねばおらも死にますなどと言っていたくせに
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それはお
前
(
まへ
)
が
知
(
し
)
らぬから
其樣
(
そん
)
な
憎
(
にく
)
ていな
事
(
こと
)
も
言
(
い
)
へるものゝ
三日
(
みつか
)
交際
(
つきあひ
)
をしたら
植村樣
(
うゑむらさま
)
のあと
追
(
お
)
ふて
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
まで
行
(
ゆ
)
きたくならう、
番町
(
ばんちやう
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
を
惡
(
わる
)
いと
言
(
い
)
ふではなけれど
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
啓ちゃんのような
甲斐性
(
かいしょう
)
なしに連れ添うのには、もしもの時に自分が夫を食べさせる用意が必要だから、と云うのだけれども、奥畑はあの通り何不足ない
若旦那
(
わかだんな
)
の身分で
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一週間ばかり私が、
伊香保
(
いかほ
)
の温泉へいっている間に、六十くらいの
下男
(
げなん
)
風の
老爺
(
ろうや
)
が来て、
麹町
(
こうじまち
)
のお
邸
(
やしき
)
から来たものだが、
若旦那
(
わかだんな
)
様が折り入ってお眼にかかりたいといっていられる。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
舞台にはただ
屏風
(
びょうぶ
)
のほかに、火のともった
行燈
(
あんどう
)
が置いてあった。そこに頬骨の高い
年増
(
としま
)
が一人、
猪首
(
いくび
)
の町人と酒を飲んでいた。年増は時々
金切声
(
かなきりごえ
)
に、「
若旦那
(
わかだんな
)
」と相手の町人を呼んだ。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「やあ!
若旦那
(
わかだんな
)
じゃねえか!」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『
若旦那
(
わかだんな
)
。』
まぼろし
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
押
(
おし
)
開き立出たるは別人成ず彼の
番頭
(
ばんとう
)
の久八なれば千太郎は大いに
怖
(
おどろ
)
き
書
(
かき
)
置手早く
後
(
うし
)
ろへ
隱
(
かく
)
し
素知
(
そし
)
らぬ
振
(
ふり
)
して居る側へ久八は
膝
(
ひざ
)
摺寄
(
すりよ
)
せ是申し
若旦那
(
わかだんな
)
暫時
(
しばらく
)
お
待
(
まち
)
下さるべし如何にも御無念は御道理然共
爰
(
こゝ
)
は
急
(
せく
)
時ならず
曩
(
さき
)
より私し
失禮
(
しつれい
)
ながら主人の御
容子
(
ようす
)
唯事
(
たゞごと
)
ならずと
心配
(
しんぱい
)
なして
襖
(
ふすま
)
の彼方に殘らず
始終
(
しじう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
詰寄
(
つめよ
)
る。
若旦那
(
わかだんな
)
の
手
(
て
)
を、
美少年
(
びせうねん
)
の
方
(
はう
)
から
迎
(
むか
)
へるやうに、じつと
握
(
にぎ
)
る、と
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
の
尖
(
さき
)
から
雪
(
ゆき
)
と
成
(
な
)
つて、
再
(
ふたゝ
)
び
白衣
(
びやくい
)
の
美女
(
びぢよ
)
と
變
(
かは
)
つた。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そうすると、ある御嬢さんは朝顔になったり、ある細君は御園になったり、またある
若旦那
(
わかだんな
)
は信乃や権八の気でいたんでしょう。そりゃ満足でしょう。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そう
仰
(
おっ
)
しゃいますが、これを
黙
(
だま
)
って
居
(
お
)
りましたら、あとで
若旦那
(
わかだんな
)
に、どんなお
小言
(
こごと
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
するか
知
(
し
)
れませんや」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
御近所のおじさん、朝日タクシイの
若旦那
(
わかだんな
)
、それから主治医の香川さん。総動員で、出発のお支度。なにせ、お母さんは寝たっきりの病人なのだから手数がかかる。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
陰に廻りて
機関
(
からくり
)
の糸を引しは藤本の仕業に
極
(
きわ
)
まりぬ、よし級は上にせよ、
学
(
もの
)
は出来るにせよ、龍華寺さまの
若旦那
(
わかだんな
)
にせよ、大黒屋の美登利紙一枚のお世話にも預からぬ物を
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「まあ、……恐れ入ります、
若旦那
(
わかだんな
)
様が、さぞお喜びでございましょう」
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ああは云っても、家に落ち着いて暮らしに不自由のない
若旦那
(
わかだんな
)
になってしまえば、自然野心も
衰
(
おとろ
)
えるものだから、津村もいつとなく
境遇
(
きょうぐう
)
に
馴
(
な
)
れ、
平穏
(
へいおん
)
な町人生活に甘んずるようになったのであろう。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
組
(
くみ
)
しは身の
過失
(
あやまり
)
この娘にして其病ありとは
嗚呼
(
あゝ
)
人は見掛に
依
(
よら
)
ざる物かと
嘆息
(
たんそく
)
なしてゐたりしが
漸々
(
やう/\
)
にして
此方
(
こなた
)
に向ひ
然
(
さる
)
惡病のあると知らば
假令
(
たとへ
)
若旦那
(
わかだんな
)
がどの樣に
戀慕
(
こひした
)
ひて居給ふとも決してお世話は致すまじきに全く知ずに
爲
(
なせ
)
し事故
不行屆
(
ふゆきとゞき
)
の其
廉
(
かど
)
は平に御
勘辨
(
かんべん
)
下さる可し
然
(
さう
)
して此上の御
思案
(
しあん
)
は何の思案に及ぶ可き
直
(
すぐ
)
婚姻を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二人
(
ふたり
)
は
容易
(
ようい
)
に
行
(
い
)
かうとはしなかつた。
仕舞
(
しまひ
)
に、では
若旦那
(
わかだんな
)
がみんなを
代表
(
だいへう
)
して
行
(
い
)
くが
宜
(
よ
)
からうといふ
事
(
こと
)
になつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
僧正
(
そうじやう
)
ともあるべきが、
女
(
をんな
)
のために
詩人
(
しじん
)
に
成
(
な
)
つたんだとね。
玉茗
(
ぎよくめい
)
と
言
(
い
)
ふのは
日本橋室町
(
にほんばしむろまち
)
の
葉茶屋
(
はぢやや
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
だとさ。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「声が高い。
若旦那
(
わかだんな
)
に聞えると、あの、張手とかいう
凄
(
すご
)
いのを、二つ三つお見舞いされるぞ。」
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
陰
(
かげ
)
に
廻
(
まわ
)
りて
機械
(
からくり
)
の
糸
(
いと
)
を
引
(
ひき
)
きしは
藤本
(
ふぢもと
)
の
仕業
(
しわざ
)
に
極
(
きは
)
まりぬ、よし
級
(
きう
)
は
上
(
うへ
)
にせよ、
學
(
もの
)
は
出來
(
でき
)
るにせよ、
龍華寺
(
りうげじ
)
さまの
若旦那
(
わかだんな
)
にせよ、
大黒屋
(
だいこくや
)
の
美登利
(
みどり
)
紙
(
かみ
)
一
枚
(
まい
)
のお
世話
(
せわ
)
にも
預
(
あづ
)
からぬ
物
(
もの
)
を
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
習っていたこの者親の
身代
(
しんだい
)
を鼻にかけどこへ行っても
若旦那
(
わかだんな
)
で通るのをよい事にして
威張
(
いば
)
る
癖
(
くせ
)
があり同門の子弟を店の番頭手代並みに
心得
(
こころえ
)
見下す風があったので春琴も心中面白くなかったけれども
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それだけならまだよかった。彼の弱点はもう一歩先へ乗り越す事を忘れなかった。彼のお延に
匂
(
にお
)
わせた自分は、今より大変楽な身分にいる
若旦那
(
わかだんな
)
であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
愁眉
(
しうび
)
は
即
(
すなは
)
ち
眉
(
まゆ
)
を
作
(
つく
)
ること
町内
(
ちやうない
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
の
如
(
ごと
)
く、
細
(
ほそ
)
く
剃
(
あた
)
りつけて、
曲
(
まが
)
り
且
(
か
)
つ
竦
(
すく
)
むを
云
(
い
)
ふ。
泣粧
(
きふしやう
)
は
目
(
め
)
の
下
(
した
)
にのみ
薄
(
うす
)
く
白粉
(
おしろい
)
を
塗
(
ぬ
)
り
一刷
(
ひとはけ
)
して、ぐいと
拭
(
ぬぐ
)
ひ
置
(
お
)
く。
其
(
そ
)
の
状
(
さま
)
涙
(
なみだ
)
にうるむが
如
(
ごと
)
し。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大旦那
(
おほだんな
)
はお
歸
(
かへ
)
りに
成
(
な
)
つたか、
若旦那
(
わかだんな
)
はと、これは
小聲
(
こゞゑ
)
に、まだと
聞
(
き
)
いて
額
(
ひたい
)
に
皺
(
しは
)
を
寄
(
よ
)
せぬ。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
周さんは、宿のどてらに着換えたら、まるで商家の
若旦那
(
わかだんな
)
の如く
小粋
(
こいき
)
であった。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“若旦那”の意味
《名詞》
商家などの跡継ぎの長子。
大家などの子弟。
(出典:Wiktionary)
若
常用漢字
小6
部首:⾋
8画
旦
常用漢字
中学
部首:⽇
5画
那
常用漢字
中学
部首:⾢
7画
“若旦那”で始まる語句
若旦那様
若旦那樣