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しば
ふりがな文庫
“
縛
(
しば
)” の例文
柴井町の友次郎は、この八五郎が暫らく
冷飯
(
ひやめし
)
を食つて居た、露月町の辰五郎棟梁を
縛
(
しば
)
るかも知れません——とな。解つたか、ガラツ八
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は用意の細引を取り出すと、死人のような探偵のからだを、グルグル巻きに
縛
(
しば
)
り上げ、
手拭
(
てぬぐい
)
を丸めて厳重な猿ぐつわをほどこした。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
卯平
(
うへい
)
は
久振
(
ひさしぶり
)
で
故郷
(
こきやう
)
に
歳
(
とし
)
を
迎
(
むか
)
へた。
彼等
(
かれら
)
の
家
(
いへ
)
の
門松
(
かどまつ
)
は
只
(
たゞ
)
短
(
みじか
)
い
松
(
まつ
)
の
枝
(
えだ
)
と
竹
(
たけ
)
の
枝
(
えだ
)
とを
小
(
ちひ
)
さな
杙
(
くひ
)
に
縛
(
しば
)
り
付
(
つ
)
けて
垣根
(
かきね
)
の
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
てたのみである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
云つしやるなと
肱
(
ひぢ
)
を張ば理左衞門大いに怒りヤイ
汝
(
おの
)
れ役人に
對
(
むか
)
ひ
再應
(
さいおう
)
の口
答
(
こた
)
へ
不屆
(
ふとゞ
)
きな奴ソレ
縛
(
しば
)
れと
差※
(
さしづ
)
をなすに三五郎は理左衞門を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
是空
(
ぜくう
)
、是空」うめくようにいった
唇
(
くち
)
はすぐ歯で噛み
縛
(
しば
)
っていた。
拳
(
こぶし
)
を二つの胸にくみあわせて苦しげに闇へ闇へ歩みだしている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
あまり暴れるので俺が大きな
綱
(
つな
)
でぐるぐるまきに
縛
(
しば
)
っておいたのに、どんなに
頑丈
(
がんじょう
)
にしといても何時の間にか抜けてしまうのだ
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それ所ではなく、小猿がみんな歯をむいて楢夫に走って来て、みんな小さな綱を出して、すばやくきりきり
身体
(
からだ
)
中を
縛
(
しば
)
ってしまいました。
さるのこしかけ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
するとある
時
(
とき
)
、ライオンが
猟人
(
かりうど
)
に
捕
(
つかま
)
つて
縛
(
しば
)
られたとこへ
例
(
れい
)
の
鼠
(
ねづみ
)
が
来
(
き
)
て「おぢさん、
待
(
ま
)
つといで」と
言
(
い
)
つて
縛
(
しば
)
つた
縄
(
なわ
)
を
噛切
(
かみき
)
つてやりました。
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
「さっきの矛盾した事実はこれで説明ができるようだね。みどりは、
金
(
かね
)
と親とに
縛
(
しば
)
られて
厭
(
いや
)
な男と結婚しなけりゃならないのだ」
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あの口の悪いメリメと云うやつは、側にいたデュマか誰かに「おい、誰が一体日本人をあんな
途方
(
とほう
)
もなく長い刀に
縛
(
しば
)
りつけたのだろう。」
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
靈魂
(
れいこん
)
が
生
(
い
)
きてゐる
人間
(
にんげん
)
に
惡
(
わ
)
るいことをしないために、
足部
(
そくぶ
)
をまげて
縛
(
しば
)
るといふことがあつたものと
考
(
かんが
)
へられるのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
答『
竜神
(
りゅうじん
)
にとりて、
一緒
(
いっしょ
)
に
棲
(
す
)
む、
棲
(
す
)
まぬは
問題
(
もんだい
)
でない。
竜神
(
りゅうじん
)
の
生活
(
せいかつ
)
は
自由自在
(
じゆうじざい
)
、
人間
(
にんげん
)
のように
少
(
すこ
)
しも
場所
(
ばしょ
)
などには
縛
(
しば
)
られない。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
もっとも私の立った
後
(
あと
)
にあるいは
縛
(
しば
)
られたとかいうような説もあるが、何分ラサの人間は嘘を
吐
(
つ
)
く者が多いからどうも当てにはならない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
すずめは
足
(
あし
)
をあげて
目
(
め
)
をぬぐおうとしましたが、このときは、はや
両方
(
りょうほう
)
の
足
(
あし
)
が
枝
(
えだ
)
の
上
(
うえ
)
に
縛
(
しば
)
りつけられたように、
凍
(
こお
)
りついて
離
(
はな
)
れませんでした。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そしてある
晩
(
ばん
)
、にわかに甚兵衛の
所
(
ところ
)
へ
押
(
お
)
し入り、
眠
(
ねむ
)
ってる甚兵衛を
縛
(
しば
)
りあげ、
刀
(
かたな
)
をつきつけて、人形をだせと
嚇
(
おど
)
かしました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
この上は
縛
(
しば
)
りからげても引つ立てゝ
行
(
ゆ
)
かなければならぬが、それもあまりに
無慈悲
(
むじひ
)
で、当人は勿論、親たちにも気の毒だ。
梟娘の話
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そりゃあ、あるだろう。警官が泥棒をふん
縛
(
しば
)
るんだって、そうだからね。しかし、学校を浄化するためにストライキに訴えるのは無茶だよ。」
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
夏の夜はその入口に
筵
(
むしろ
)
を
吊
(
つ
)
って戸代りにしたが、冬はさすがに余りに寒いので
他家
(
よそ
)
から戸板を二枚
貰
(
もら
)
って来て入口に押しつけて
縄
(
なわ
)
で
縛
(
しば
)
りつけた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
さうすると、
了局
(
しまひ
)
に那奴は何と言ふかと思ふと、
幾許
(
いくら
)
七顛八倒
(
じたばた
)
しても金で
縛
(
しば
)
つて置いた体だなんぞ、と
利
(
き
)
いた風な事を言ふんぢやありませんか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
勘太郎は鬼の鼻の穴に引っかかっている自在鉤をそのままにして、
残
(
のこ
)
りの
綱
(
つな
)
で両手をうしろに回して
縛
(
しば
)
りあげ、先に歩かせながら村へ帰って来た。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
またはじまつた、
此通
(
このとほ
)
りに
猿
(
さる
)
をつかまへて
此処
(
こゝ
)
へ
縛
(
しば
)
つとくのは
誰
(
だれ
)
だらう/\ツて、
一
(
ひと
)
しきり
騒
(
さわ
)
いだのを
私
(
わたし
)
は
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
名画を破る、
監獄
(
かんごく
)
で
断食
(
だんじき
)
して
獄丁
(
ごくてい
)
を困らせる、議会のベンチへ
身体
(
からだ
)
を
縛
(
しば
)
りつけておいて、わざわざ
騒々
(
そうぞう
)
しく叫び立てる。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はまた家族制度に由って
縛
(
しば
)
られた生活ほど、唯今の時代においては、道徳的に不良な状態にあるものはないという事を附け加えずにいられません。
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
脇坂山城を
雁字
(
がんじ
)
がらめに
縛
(
しば
)
っているので、それから、もう一つ、筆幸に油御用を言いつけるには、どうあっても係の雑用物頭をうごかさねばならぬ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
呍
(
うん
)
」と久さんは答えて、のそり/\
檐下
(
のきした
)
から引き出して、二握三握一つにして、トンと地につき
揃
(
そろ
)
えて、
無雑作
(
むぞうさ
)
に小麦からで
縛
(
しば
)
って、炬火をこさえた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
でも、と皆さんは云われるでしょう、そのシムソンと云う男が、秘密書類を
奪
(
と
)
った事が確かなら、なぜ家宅捜査をするのと一緒に、
縛
(
しば
)
ってしまわないかと。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
左の手に
蝋燭
(
ろふそく
)
を持つて兄の
背後
(
うしろ
)
に
廻
(
まは
)
つたが、
三筋
(
みすぢ
)
の
麻縄
(
あさなは
)
で後手に
縛
(
しば
)
つて
柱
(
はしら
)
に
括
(
くヽ
)
り附けた
手首
(
てくび
)
は血が
滲
(
にじ
)
んで居る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
そういいながら吉は釣瓶の尻の重りに
縛
(
しば
)
り
付
(
つ
)
けられた
欅
(
けやき
)
の
丸太
(
まるた
)
を取りはずして、その代わり石を縛り付けた。
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
むろん頭山満も貧乏の天井を打っている時分だ。俺にも相談だけはしてくれたが、
三月
(
みつき
)
縛
(
しば
)
り三割天引という東京切ってのスゴイ高利貸連を
片端
(
かたっぱし
)
から泣かせて
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ただそれらのものが現世の
絆
(
きずな
)
に
縛
(
しば
)
られると、たちまちに美と醜との反目の中に置かれてしまう。二元以外に出られないのが、現世における万物の命数である。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
自分の心に面白くなしとあればその契約を
解
(
と
)
くことも出来る。役人も国家の命令により身を
縛
(
しば
)
られるとは論ずるものの、あくまでも心の
盲従
(
もうじゅう
)
を要求されない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それから
彼女
(
かのぢよ
)
は
毎晩
(
まいばん
)
、
惡夢
(
あくむ
)
を
見
(
み
)
た。
片山
(
かたやま
)
が
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げられて
上
(
うへ
)
から
吊
(
つ
)
るされてゐる、
拷問
(
がうもん
)
の
夢
(
ゆめ
)
である。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
もうあといくらも綱が
手許
(
てもと
)
に残っていなくなると、爺さんはいきなりそれで子供の
体
(
からだ
)
を
縛
(
しば
)
りつけました。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
が、
咄嗟
(
とっさ
)
な場合、二人は下帯を脱して、櫂を両方の
舷
(
ふなべり
)
へ
縛
(
しば
)
り付けた。が、半町と漕がないうちに、弱い木綿は、櫂と舷との強い摩擦のために
摩
(
す
)
り切れてしまった。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それが官位の棒で押へられ、
黄金
(
かね
)
の
鎖
(
くさり
)
に
縛
(
しば
)
られて、恐ろしい一夜を過ごした後は、泣いてもワメいても
最早
(
もう
)
取り返へしは付かず、
女性
(
をんな
)
の
霊魂
(
たましひ
)
を引ツ裂れた
自暴女
(
あばずれもの
)
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
性
(
しょう
)
の悪き牛、乳を
搾
(
しぼ
)
らるる時人を
蹴
(
け
)
ることあり。人これを怒つて大に
鞭撻
(
べんたつ
)
を加へたる上、足を
縛
(
しば
)
り付け、無理に乳を搾らむとすれば、その牛、乳を出さぬものなり。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
命
(
みこと
)
がちょうどぐうぐうおやすみになっているのをさいわいに、その長いお
髪
(
ぐし
)
をいく
束
(
たば
)
にも分けて、それを四方のたる木というたる木へ一束ずつ
縛
(
しば
)
りつけておいたうえ
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
それ/\……
染
(
し
)
みるか、……あと、
余
(
あま
)
つたのをお
前
(
まへ
)
に
上
(
あ
)
げるから
此薬
(
これ
)
を
持
(
も
)
つてお
帰
(
かへ
)
り。乞「はい/\。主「エーまア血が
大層
(
たいそう
)
流れるが、
手拭
(
てぬぐひ
)
で
縛
(
しば
)
らなければ
可
(
い
)
けない。乞 ...
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
縛
(
しば
)
れる者の誰なりしや我はしらねど、彼
鏈
(
くさり
)
をもてその腕を左はまへに右はうしろに
繋
(
つな
)
がれ 八五—
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
かすかに覚えているところでは父は
柔和
(
やさし
)
い
方
(
かた
)
で、荒々しく母や自分などを
叱
(
しか
)
ったことはなかった。母に叱られて柱に
縛
(
しば
)
りつけられたのを父が解てくれたことを覚えている。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
恰で
囚人
(
しうじん
)
だ!………
痩
(
や
)
せツこけた藝術に體を
縛
(
しば
)
られて、日の光も見ずにもぐ/\してゐるんだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それに反して実枝の方は、いわば肩の荷が下りた身軽さである。
縛
(
しば
)
るものの何もない自由さで実枝はのびのびとなり、匂うような若さで身も心もまるまると太っていった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
郷里の両親らは福田が渡韓の事を聞きて彼を郷里に呼び返すことのいよいよ
難
(
かた
)
きを
憂
(
うれ
)
い、その極
高利貸
(
こうりかし
)
をして、福田が
家資分産
(
かしぶんさん
)
の訴えを起さしめ、かくして彼の
一身
(
いっしん
)
を
縛
(
しば
)
り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
一人
(
ひとり
)
は耳に囁きつ、またの
一人
(
ひとり
)
は
腕
(
かひな
)
に自由を許しつゝ
布
(
きれ
)
もて
腱
(
すぢね
)
を卷き
縛
(
しば
)
る如きめをみて
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
「あなた方は、おやっちゃんが来たときから、気持に
縛
(
しば
)
られてしまっていたのですよ。」
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
カピ長
女
(
むすめ
)
を
奪
(
うば
)
うて
泣
(
な
)
かせをる
死神
(
しにがみ
)
めに、
此
(
この
)
舌
(
した
)
を
縛
(
しば
)
られて、
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
ふことが
能
(
かな
)
はぬわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
なろう事なら、己はいつ迄もいつ迄も、メリー嬢の魔術に
縛
(
しば
)
られたまゝ、
明
(
めい
)
煌々
(
こう/\
)
たる舞台のまん中に、口をあんぐり開いて、観客の嘲笑を浴びて、
昏々
(
こん/\
)
と眠って居たかった。………
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
探索隊の役人たちは、やむなく老夫婦を
縛
(
しば
)
り上げ、
笞
(
むち
)
うち、責めさいなんで、山から引きずりおろして来た。里に出て宿を取るときには、逃亡を怖れて老夫婦に
磨
(
す
)
り
臼
(
うす
)
を背負わせた。
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
私も、それを聞いていくらか身体が固く
縛
(
しば
)
られたような感じがしてきた。そうして
雪の日
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
何だか目に見えぬ
縄
(
なわ
)
で
縛
(
しば
)
られているような気がして、ぼんやり考えこんでしまった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
“縛”の意味
《名詞》
(バク)罪人をしばること。しばるなわ。
(出典:Wiktionary)
縛
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
“縛”を含む語句
捕縛
呪縛
繋縛
引縛
束縛
金縛
緊縛
縛著
纏縛
棒縛
蹈縛
縛付
地縛
自縄自縛
就縛
喰縛
咒縛
魅縛
縛引
縛繩
...