相變あひかは)” の例文
新字:相変
武村兵曹たけむらへいそう相變あひかはらず淡白たんぱくで、慓輕へうきんで、其他そのほか三十有餘名いうよめい水兵等すいへいら一同いちどう元氣げんきよく、だいなる希望きぼう待望まちのぞみつゝ、勤勉きんべんはたらいてる。
が、中根なかね營庭えいていかがや眞晝まひる太陽たいやうまぶしさうに、相變あひかはらずひらべつたい、愚鈍ぐどんかほ軍曹ぐんそうはうけながらにやにやわらひをつづけてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
私は私で相變あひかはらず貧乏世帶びんばふじよたいりになやまされてゐます。けれど私達はしてそれをいることはなかつたと思ひます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
此の滿足に依ツて、燃えてゐた血は幾か鎭靜ちんせいになツたが、氣は相變あひかはらず悶々する。何を悶々するのか自分にも能くは解らなかツたが、始終悶々する。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其處そこでもかれ宿やどからずに、終日しゆうじつ相變あひかはらず長椅子ながいすうへころがり、相變あひかはらずとも擧動きよどう愛想あいさうかしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
御米およねそでにして道具屋だうぐやまへまつた。ると相變あひかはらずあたらしい鐵瓶てつびん澤山たくさんならべてあつた。其外そのほかには時節柄じせつがらとでもふのか火鉢ひばち一番いちばんおほいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もう其話そのはなしはめ/\といひながらたちあがるときおもてとほ兵兒帶へこおびの一むれ、これ石川いしかはさん村岡むらおかさんおりきみせをおわすれなされたかとべば、いや相變あひかはらず豪傑ごうけつこゑかゝり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから十ちやうへだたつてらぬ加瀬かせ貝塚かひづかまはつて、小發掘せうはつくつこゝろみ、相變あひかはらず失敗しつぱいして歸宅きたくした。
開て忠兵衞が若旦那樣相變あひかはらず今日も御本ごほんで御座りますかと進み這入はひるに此方は見返へりオヽたれかと思へば管伴ばんたう忠兵衞昨今さくこん水揚みづあげ荷物にもつありて店は大層たいそういそがしいと聞しに今頃何用にて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのあひだ相變あひかはらずたけつては、黄金おうごんれましたので、つひにはたいした身代しんだいになつて、家屋敷いへやしきおほきくかまへ、使つかひなどもたくさんいて、世間せけんからもうやまはれるようになりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
わすれたやうに、相變あひかはらず、すれつ、もつれつ、と可懷かはいい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
中根なかねだな、相變あひかはらず爲樣しやうのないやつだ‥‥」と、わたし銃身じうしんげられたひだりほほおさへながら、忌々いまいましさに舌打したうちした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その風采ふうさい餘程よほどちがつてるが相變あひかはらず洒々落々しや/\らく/\おとこ『ヤァ、柳川君やながはくんか、これはめづらしい、めづらしい。』としたにもかぬ待遇もてなしわたくししんからうれしかつたよ。
相變あひかはらずせいますね」とつたなり、長火鉢ながひばちまへ胡坐あぐらをかいた。あによめ裁縫しごとすみはうつていて、小六ころくむかふて、一寸ちよつと鐵瓶てつびんおろしてすみはじめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
診察しんさつとき患者くわんじや臆病おくびやうわけわからぬこと、代診だいしんそばにゐること、かべかゝつてる畫像ぐわざう、二十ねん以上いじやう相變あひかはらずにけてゐる質問しつもん是等これら院長ゐんちやうをしてすくなからず退屈たいくつせしめて
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
東皐子とうくわうしはそれをいて、手紙てがみで『おもなほしていかとり枯木かれきに二とまる』とつて寄越よこす。幻翁げんおうもすゝめる。のゝしりながらもじつきたいので、また出掛でかける。相變あひかはらずなにい。
かたをはると、三人みたりあるひおどろあるひはよろこび。大佐たいさ相變あひかはらず鼻髯びぜんひねりつゝ。豪壯がうさうなる濱島武文はまじまたけぶみむねたゝいて
相變あひかはらずかつてりますな」とつた。さうして主人しゆじん氣色けしきあたまおくからうかゞつた。主人しゆじん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此間このあひだ望蜀生ばうしよくせい故郷こきやうかへり、活東子くわつとうしまたふるはず。幻花子げんくわし相變あひかはらず。それと玄川子げんせんし相手あひてにぼつ/\つて、到頭たうとう鷄屋とりやへいしたまですゝんで、なつころには場所ばしよくなつた。
中根なかね自身じしん相變あひかはらずひらぺつたいかほににやにやわらひをうかべながら勤務きんむしてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それで西面せいめん横穴よこあなには斷念だんねんして、山頂さんてう主墳探しゆふんさがしに全力ぜんりよくつくこととなつたが、相變あひかはらず埴輪圓筒はにわゑんとう破片はへんや、埴輪土馬はにわどば破片等はへんとうくらゐで、さら石槨せきくわく突當つきあたらぬ。如何どう古墳こふんいらしい。
其間そのうち正午ひるになつたので、一先ひとま座敷ざしき引揚ひきあげ、晝餐ちうさん饗應きやうおうけ、それからまた發掘はつくつかゝつたが、相變あひかはらず破片はへんくらゐやうやくそれでも鯨骨げいこつ一片ひとひらと、石槌いしづち打石斧だせきふ石皿いしざら破片はへんなど掘出ほりだした。